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レビュー
「Fallout 4」をGPU全28製品で一斉検証。荒廃したボストンを歩き回るのに必要なグラフィックス性能は?
12月17日には日本語版が発売となり,Steamで日本語の無償配信も始まるので,それを楽しみに待っている人も多いと思う。
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PC版ならではのお楽しみといえるMODの導入,とくに高画質化系MODの導入まで見据えると,「推奨スペックが最低スペック」とすら言えるかもしれないが,実際のところ,最近のGPUではどれくらい快適に動くのだろうか。日本語環境の配信を控えるこのタイミングで,GPU全28種をテストにかけてみたい。
現行製品に,1〜2世代前の主要製品も加えてテスト。垂直同期設定にはコツあり
さて,28種の内訳だが,具体的には以下のとおり用意した。GeForceはGPUコアアーキテクチャにして3世代分,Radeonはリフレッシュ(リブランド,リネームともいう)品が多いので,「Graphics Core Next」(以下,GCN)アーキテクチャで3世代分,それぞれエントリーミドルクラス以上のGPUを用意している。
- 第2世代Maxwell:「GeForce GTX TITAN X」
「GeForce GTX 980 Ti」 「GeForce GTX 980」 「GeForce GTX 970」 「GeForce GTX 960」 「GeForce GTX 950」 - 第1世代Maxwell:「GeForce GTX 750 Ti」
「GeForce GTX 750」 - Kepler:「GeForce GTX TITAN Z」
「GeForce GTX TITAN Black」 「GeForce GTX TITAN」 「GeForce GTX 780 Ti」 「GeForce GTX 780」 「GeForce GTX 770」 「GeForce GTX 760」 - GCN 1.2:「Radeon R9 Fury X」
「Radoen R9 Fury」 「Radeon R9 Nano」 「Radeon R9 380X」 「Radeon R9 380」 「Radeon R9 285」 - GCN 1.1:「Radeon R9 295X2」
「Radeon R9 390X」 「Radeon R9 390」 「Radeon R9 290X」 「Radeon R9 290」 「Radeon R7 360」 - GCN 1.0:「Radeon R7 370」
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![]() P 3スロット仕様の大型クーラーを搭載するR9 390X メーカー:Tul 問い合わせ先:CFD販売(販売代理店) 050-3786-9590(平日13:00〜17:00) 実勢価格:6万6000〜6万9000円程度(※2015年11月28日現在) |
![]() P 上位モデルと同じクーラーを採用した,OC仕様のR9 390 メーカー:Tul 問い合わせ先:CFD販売(販売代理店) 050-3786-9590(平日13:00〜17:00) 実勢価格:5万〜5万5000円程度(※2015年11月28日現在) |
![]() P 2連ファン仕様のクーラーを搭載するOC版R9 380 メーカー:Tul 問い合わせ先:CFD販売(販売代理店) 050-3786-9590(平日13:00〜17:00) 実勢価格:3万1000〜3万6000円程度(※2015年11月28日現在) |
![]() P 冷却能力重視の大型クーラーを採用したR7 370 メーカー:Tul 問い合わせ先:CFD販売(販売代理店) 050-3786-9590(平日13:00〜17:00) 実勢価格:2万4000〜2万7000円程度(※2015年11月28日現在) |
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また,GTX TITAN Black搭載製品である
そのほかテスト環境は表1のとおりとなる。
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テストに用いたグラフィックスドライバは,GeForceシリーズが「GeForce 358.91 Driver」,Radeonシリーズは,R9 380Xのみ,貸し出しスケジュールの都合で,GPUレビュー用としてAMDから全世界のレビュワーに対して配布された「15.
GeForce 358.91 DriverとCatalyst 15.11.1 Betaはいずれも,Fallout 4への最適化が謳われるリリースだ。15.
11月24日リリースの「Radeon Software」を使わないのはなぜか,という指摘はもっともだが,これは,
- GeForce 358.91 DriverのリリースをもってGeForceのテストを,Catalyst 15.11.1 BetaのリリースをもってRadeonのテストを開始した
- Catalyst 15.11.1 Betaがリリースされた時点で,Radeon Softwareのリリーススケジュールは明らかになっていなかった
という理由による。
とはいえRadeon Softwareの挙動を確認しないというのも不安が残るため,今回は念のため,R9 Fury Xを用意して,「Radeon Software Crimson Edition 15.11」(以下,Crimson 15.11)と,Fallout 4最適化前の「Catalyst 15.11 Beta」を,Catalyst 15.11.1 Betaを比較してみることにした。その結果がグラフ1,2だが,平均フレームレート,最小フレームレートとも,Catalyst 15.11.1 BetaとCatalyst 15.11 Betaの間ではスコアの違いが見て取れるものの,Crimson 15.11とCatalyst 15.11.1 Betaの間に大きな違いはない。このことから,Crimson 15.11ではなく,Fallout 4最適化版ドライバをもってスコアを語っても問題ないと判断した次第だ。
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というわけでテスト方法だが,テストシーンには,描画負荷が比較的大きいと判断できた「Corvega Assembly Plant」(自動車組み立て工場)を選択。そのなかで決まったルートを1分間動き,その平均フレームレートを「Fraps」(Version 3.5.99)から計測している。
ただし,1分間の進行ルート中では会敵する場面もあって,毎回同じ動きをすることができないことから,3回試行し,その平均をスコアとして採用した。
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テストに用いたFallout 4のバージョンは1.1.30.0.0だが,現地時間11月23日に,「Beta Update 1.2.33」がリリースされた。この1.2.33ではメモリ周りの最適化が入っているため,全体的なフレームレートの改善を期待できるはずだが,本アップデートは文字どおりβ版であり,Steamからプレイヤーがβプログラムへの参加を希望しない限り適用されないため,今回のテストで,同アップデートの適用は見送っている。
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ではどうするのかというと,設定ファイルを直接書き換えることで対応する。具体的には
設定の話が出たので続けると,Fallout 4には「Ultra」
両者では「Texture Quality」(テクスチャ品質)と「Shadow Quality」(影の品質)が異なっており,設定ファイルを見比べると「Shadow
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そのアンチエイリアシングだが,Fallout 4では「FXAA」(Fast Approximate Anti
下に示したのがそのスクリーンショットだが,両GPUで見栄えの違いは確認できなかった。
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試してみたところ,UltraとMediumでスコア差があまり大きくなかったこともあり,今回,Medium設定ではアンチエイリアシングと異方性フィルタリングの設定をともに無効とした。おそらくは,描画負荷が高いことを重視して屋内シーンを選択した結果,「Godrays Quality」の設定が意味をなさなかったこと,遠距離の描画設定を調整する「View Distance」の効果が薄らいだことの2つが理由だと思われる。今後,レギュレーションに採用するときは,このあたりを考慮する必要があるだろう。
解像度は,1920
気になるスコアだが,実際にプレイしてみた印象だと,「十分プレイできる」といえる及第点のラインは最小フレームレートが40fps以上,「快適にプレイできる」と言い切るには,最小フレームレートで60fpsを確保する必要があるように感じた。とくに最小フレームレートの40fpsは重要で,これを下回ると,とたんにカク付きを多く感じるようになったため,いま述べた点を踏まえながら,続く段落を読み進めてもらえればと思う。
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Ultra設定の1920 × 1080ドットで「快適にプレイできる」GPUはGTX 970もしくはR9 390X以上
いろいろ前置きが長くなったが,テスト結果を見ていこう。以下,グラフのバーの色分けは,GeForceがGPUコア世代,RadeonがGCN世代単位となるので注意してほしい。
グラフ3は,Ultra設定における3840
ただし,トップを取ったR9 Fury Xであっても,最小フレームレームレートは40fpsを下回っており,快適にプレイできるとは言いがたいのが正直なところである。
「あれ,GTX TITAN ZとR9 295X2がトップ争いじゃないの?」と思うかもしれないが,グラフを見てもらうと分かるとおり,両製品は中位に沈んだ。SLIもCrossFireも機能していないわけである。GTX TITAN ZのスコアがGTX TITANとほぼ同じで,R9 295X2のスコアがR9 290Xとほぼ同じあたりは,ある意味で見事だ。
いずれにせよ,「現行GPUのなかに,Ultra設定,4K解像度でFallout 4を快適にプレイできるものはない」という事実を押さえておいてほしい。
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これが,解像度を2560
また,及第点である最小40fpsにまで範囲を広げると,現行製品であればGTX 970以上とR9 390以上,少し前の世代まで入れるとGTX TITANやR9 290まで選択肢となってくる。
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多くの4Gamer読者が気になるであろう,Ultra設定の1920
新たに及第点レベルへ達したのは,現行製品だとGTX 960およびR9 380シリーズで,一世代前だとGTX 770以上とR9 285。それより下のモデルでUltra設定を選択するのはお勧めできない。
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グラフィックス設定をMediumに落としたらどうなるかだが,Mediumであっても,3840
メモリ周りの負荷が下がったためか,HBMのメリットが薄れ,R9 Fury XがGTX TITAN XとGTX 980 Tiの逆転を許しているのは気になった。
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解像度を2560
及第点となる最小40fps以上となると,GTX 780やR9 380と,範囲が広がってくる。
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最後に,1920
上位陣は安泰すぎるほど安泰だが,逆に下位のほうは,ここまで下げてもGTX 780やGTX 960が最小60fpsを超えられなかった。快適なゲームプレイを前提にするなら,最低でも現行世代におけるハイクラス以上のGPUは必要な気配だ。
そのなかでちょっと面白いのはR9 380シリーズで,R9 380XとR9 380はいずれも,平均フレームレートがいま名前を挙げたGTX 780およびGTX 960以下であるにもかかわらず,最小フレームレートでは60fpsを超えてきた。体感にも違いがあったので,この点は指摘しておきたい。
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テスト中におけるシステム全体の消費電力も取得したので,結果をグラフ8にまとめてみた。
正しくマルチGPU動作していないにもかかわらず大食いなGTX TITAN ZとR9 295X2の“無駄飯喰らい”ぶりが目を引く……と書こうとしたら,R9 390Xがそれらを千切っているのが衝撃的である。
全体的には,第2世代Maxwellアーキテクチャ搭載モデルの消費電力が低めという,いつものまとめになる感じながら,得られている性能を考えると,R9 Furyシリーズの3製品もかなり善戦しているとはいえる。
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CPUは2コア4スレッド対応で十分? 同一クロックならそれ以上でスコア差はない
本稿の主題はFallout 4を前にしたGPU性能の比較だが,CPUのコア数がフレームレートにどういう影響を及ぼすかも気になるところだ。ここでは,GPUをGTX 980 Tiで固定のうえ,Core i7-6700Kのコア数をUEFIから4コア,2コアと変化させ,さらに「Intel Hyper-Threading Technology」の有効/無効も切り替えることにより,4コア8スレッド(4C8T,以下同じように表記),4C4T,2C4T,2C2Tの状況を作り出している。実のところ,1コアもテストしてみたのだが,Fallout 4を起動するとフリーズする現象に陥ったため,1コアでのテストは割愛した。
テスト方法自体はGPU検証時と同じだが,描画負荷が大きすぎるとCPU性能の違いが表れづらくなることから,ここではMedium設定の2560
その結果がグラフ10だ。見てもらえば明らかなとおり,2C2Tだけ大きくスコアが落ち,2C4T以上はほぼ横並びの状況となった。Fallout 4をプレイするにあたって必要なCPUコア数は物理2,論理4だという理解でいいだろう。
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やはり“重い”Fallout 4。今後のことを考えるならGTX 970&R9 390X以上がベターか
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ただ,とりあえずバニラ(Vanilla,何もMODを導入していない状態のこと)で快適に,というのであれば,GTX 780 TiやR9 290などといった,一世代前のハイエンドGPUが選択肢になってくる。「とにかく快適」にこだわらず,一定レベルの快適性があればいいというのであれば,GTX 960やGTX 770,R9 380やR9 285といったあたりまで大丈夫そうだ。
GTX 950やGTX 760,R7 370とそれ以下のGPUは,それでもかなり厳しいが。
全体の評価としては,GeForceが優勢ながら,Radeonも上位モデルやGCN 1.2世代のモデルは健闘している,といったところ。PC日本語版の登場を待っている人や,目下プレイ中でグラフィックスカードの買い換えを考えている人は,ぜひ参考にしてほしいと思う。
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- ライター:宮崎真一
- カメラマン:佐々木秀二
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