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NTTドコモ版「Xperia XZ3」で追加テストを実施してみた。妙に物欲をそそるカード型ケータイも見逃せない
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印刷2018/10/20 00:00

テストレポート

NTTドコモ版「Xperia XZ3」で追加テストを実施してみた。妙に物欲をそそるカード型ケータイも見逃せない

 2018年10月17日,NTTドコモは都内において新製品発表会を行い,2018年秋冬モデルとなるスマートフォン計7機種を発表した。
 実のところ,ラインナップの大半はすでにほかの通信事業者やメーカーから発表済みで,NTTドコモ限定という製品は少ないこともあって,いささか新鮮味が乏しく感じられるのが正直なところ。ただ,Google純正スマートフォン「Pixel 3」と「Pixel 3 XL」(関連記事)は,含まれているのが見どころと言えようか。

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 発売日順に並べたラインナップは以下のとおり。

  • Galaxy Note9 SC-01L:10月25日
  • Pixel 3:11月1日
  • Pixel 3 XL:11月1日
  • Xperia XZ3 SO-01L:11月上旬
  • Galaxy Feel2 SC-02L:11月上旬
  • AQUOS sense2 SH-01L:今冬
  • らくらくスマートフォン me F-01L:2019年春

 そこで本稿では,KDDI版のテストレポートで十分なチェックができなかった「Xperia XZ3 SO-01L」(以下,Xperia XZ3)の再テストを行ってみた。
 それに加えて,スマートフォンではないものの,京セラが手がけた魅力的な携帯電話機「カードケータイ KY-01L」についても,簡単に紹介したい。

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Xperia XZ3
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カードケータイ KY-01L


Xperia XZ3を再テスト


 まずはXperia XZ3から見ていく。製品の概略や外観の特徴は,KDDI版と変わらないのでそちらを参照してもらうとして,おさらい的に特徴を説明しておこう。

Xperia XZ3のフォレストグリーンモデル。カラーバリエーションはこのほかにブラック,ボルドーレッド,ホワイトシルバーの3色がある
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 Xperia XZ3は,2018年8月末に,ソニーモバイルコミュニケーションズがドイツで行ったイベントで発表となった製品で,Xperiaシリーズとしては初めて,有機ELパネルをディスプレイに採用したのが最大の特徴だ。Qualcomm製のハイエンドSoC(System-on-a-Chip)「Snapdragon 845 Mobile Platform」(以下,Snapdragon 845)を搭載した,Xperiaのフラッグシップモデルでもある。

Xperia XZ3の背面(左)。カメラと指紋認証センサーは,背面中心線上に並んでいる。気になったのは,背面下部の一部に,側面フレームが食い込んだようなデザインをしているところ(右)。USB Type-Cポート周辺の強度を確保するための処理だそうだ
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 前回のテストレポートでは,「ぺしぺしIkina」を使った連打に対する応答性のテスト結果が振るわず,「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以下,デレステ)によるプレイ検証でも,スライド操作の習得漏れが目立つ結果となっていた。こうした傾向は,前機種に当たる「Xperia XZ2」でも見られたもので,Xperiaシリーズとしての仕様ではないかと筆者は予想している。

ぺしぺしIkinaの結果は「76」で,やはり傾向は変わらず
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 そこで今回も,真っ先にぺしぺしIkinaを使った連打応答性テストをしてみたが,93〜96になるよう連打してのスコアは「76」と,KDDI版の「74」とほぼ同じ結果となった。頻繁に飽和が起きる点も同様だ。リズムゲームを好むゲーマーがXperia XZ3を検討しているのであれば,店頭の実機で入念なチェックを行うことを強く推奨する。

 では,ベンチマークテストによる性能検証を進めていこう。
 今回実行したのは,「3DMark」のSling Shot Extreme UnlimitedプリセットとSling Shot Extreme Vulkanプリセット,「PCMark for Android」のStorage test,「AnTuTu Benchmark」のアプリ版と,HTML5版「AnTuTu HTML5 Test」という定番のセットだ。

 加えて今回は,ストレージ性能のテストとして,「AndroBench 5」での検証も行っている。理由は2つあり,1つは,ゲームのプレイフィールを検証するテストとして「Fate/Grand Order」(以下,FGO)のロード時間テストの導入を検討しているので,そのたたき台としてストレージのランダム読み出し性能を見たかったこと。もう1つは,同時進行で進めている「Pixel 3」のレビューで,性能比較に使えるデータが欲しかったためである。

 なお,テストに当たっては,Xperia XZ3の設定アプリで,映像を補完して画質を向上させる機能「X-Reality for Mobile」をオフにしている。

 まず,3DMarkのスコアは,Sling Shot Extreme Unlimitedが「4552」,Sling Shot Extreme Vulkanは「3382」で,ほかのSnapdragon 845搭載機に比べるとやや低い結果となった。とはいえ,動作を見る限りでは,体感できるほど性能差があるわけではなく,ハイエンド端末相応の性能を引き出しているとみていいだろう。

3DMark Sling Shot Extreme Unlimitedのスコア(左)と,Sling Shot Extreme Vulkanのスコア(右)。どちらもSnapdragon 845搭載端末としては,やや低めだ
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 一方で,PCMarkのStorage testスコアは,「9106」と高い。高いのだが,例によってPCMark自体が最近のスマートフォンに対応していない節もあり,今回も「SQLite update」や「SQLite insert」,「SQLite delete」といった項目で,不自然な結果が出ている。
 それ以外の細目を眺めてみると,Sequential read(逐次読み出し)の速さが目立つ一方で,Random read(ランダム読み出し)やRandom write(ランダム書き込み)のスコアは,あまり高くない。

Storage testのスコア
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 AnTuTu Benchmarkのスコアも,Snapdragon 845搭載機の標準的なスコアといったところ。GPUスコアがやや低い一方で,MEMの項目にあるROMスコアの高さが目立っている。

AnTuTu Benchmarkのスコア
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 この結果を見る限り,Xperia XZ3のGPUスコアは快適なプレイに十分なレベルで,入力に関する懸念を別にすれば,気兼ねなくゲームを最高設定で遊べそうな結果だ。HTML5版のスコアも申し分ない。

 ベンチマークアプリの最後に,AndroBench 5の結果を見てみよう。PCMark for Androidと同じく,逐次読み出し性能は高い。一方,異なるのはRandom readの結果で,こちらは136.46MB/sと良好なスコアとなっている。

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AnTuTu HTML5 Testのスコア
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AndroBench 5のスコア

 ベンチマークアプリに続いては,FGOでの検証を行ってみた。
 FGOは,Android環境下において,バトル時の読み出し時間が長いことがよく問題視される。端末のストレージ性能だけでなく,ソフトウェア側の問題もあるのだろうが,とくにランダム読み出し性能が低いストレージの場合,細かいデータの多いゲームアプリの読み出しが遅くなるであろうことは推測できる。

テストの様子。クエストの読み込みが異常に長い……
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 FGOでの計測はごく単純で,「クエスト開始」をタップしてから,クエストがスタートするまでの様子を,別に用意したスマートフォンで録画して,動画データから時間を割り出した。
 ただ,テストを行った発表会場の通信環境が悪いためか,ゲームデータのダウンロードが終わらなかったため,「宝物庫の扉を開け」を数回プレイして,メモリ上のキャッシュに入っているであろう状態で計測しているため,一般的なプレイ環境とやや異なる点があることをお断りしておく。サポートのサーバントも,毎回同一のキャラクターを選んでいるので,ゲームデータをダウンロードした場合と極端な差はないと思いたい。

 さて,「宝物庫の扉を開け」が開始されるまでを3回計測しての平均タイムは約20秒。FGOプレイヤーなら分かると思うが,以下に示した動画を見てのとおり,Android端末としては速いほうである。
 ちなみに,いずれもゲームデータをダウンロード済みの場合,Pixel 3 XLは約19.3秒で,Galaxy S9は約25.5秒であった。金策やイベント進行のために周回プレイをするときには,読み込み時間の長さが地味に効いてくるので,使用しているスマートフォンでロード時間が気になっているのであれば,Xperia XZ3は候補に入れてもいいだろう。FGO以外でも,細かいデータを読み込むゲームタイトルは多いので,ロード時間の短縮を体感できる場面は多いはずだ。


 2度のテストを通じて見えてきたが,Xperia XZ3は,やはりリズムゲームに対する適性はあまり期待できない。とはいえ,国内メーカー製端末としては一定のシェアがあるXperiaの新製品なだけに,ゲームの動作確認対象機種となる可能性は高そうで,その意味での安心感はありそうだ。
 バトルロイヤルタイプのゲームやカジュアルなゲーム,艦船娘のシューティングゲームといったタイトルをプレイするのであれば,Xperia XZ3も候補に入れていいだろう。

●Xperia XZ3 SOV39の主なスペック
  • メーカー:ソニーモバイルコミュニケーションズ
  • OS:Android 9.0(Pie)
  • ディスプレイパネル:6インチ有機ELパネル「トリルミナスディスプレイ for Mobile」,解像度1440×2880ドット,アスペクト比 9:18,HDR対応
  • プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 845」
    ・CPUコア:Kryo 385 Gold(最大2.8GHz)×4+Kryo 385 Silver(最大1.8GHz)×4
    ・GPUコア:Adreno 630
    ・モデム:Snapdragon X20 LTE
  • メインメモリ容量:4GB
  • ストレージ:内蔵64GB+microSDXC 最大512GB
  • アウトカメラ:有効画素数約1920万画素
  • インカメラ:有効画素数約1320万画素
  • 対応SIM:nanoSIMカード
  • 対応LTEバンド:未公開
  • 対応3Gバンド:未公開
  • バッテリー容量:3200mAh(Qiワイヤレス充電対応)
  • 待受時間:約520時間(LTE)
  • 連続通話時間:最大2240分
  • 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
  • Bluetooth対応:5.0+LE
  • FeliCa対応:○
  • USBポート:USB Type-C
  • スピーカー:ステレオ2ch
  • 公称本体サイズ:約73(W)×158(D)×9.9(H)mm
  • 公称本体重量:約193g
  • 本体カラー:ブラック,ホワイトシルバー,フォレストグリーン,ボルドーレッド



手のひらサイズのカード型ガラケー KY-01L


 スマートフォンではないのだが,あまりに魅力的な端末だったので,「カードケータイ KY-01L」(以下,KY-01L)を紹介したい。本製品は,いわゆるフィーチャーフォンとして扱われているが,実態はいわゆる「ガラホ」で,はっきりと明言されているわけではないが,見たところOSには,不必要な機能を徹底的に省略したAndroidを使っているようである。
 冒頭でも触れたが,製造メーカーは,NTTドコモへの端末供給は約20年ぶりとなる京セラだ。

KY-01L。ディスプレイ部分の下に,KY-01L。ホームボタンと「戻る」ボタンがある。独自OSとのことだが,実際はAndroidに手を加えたものだろう
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Webブラウザで4Gamerを表示してみた様子。実用性はともかく,Webブラウジングは可能だ
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 KY-01Lの注目すべき点は,ディスプレイパネルにE Ink製の電子ペーパーを採用しているところ。電子ペーパーは,非常に低消費電力という利点を有するが,画面の書き換えが遅いという欠点もあり,ゲーム用途に使うのは,まったく現実的ではない。Webブラウザ程度は搭載しているものの,あくまでも音声通話を前提にしたデバイスだ。
 だが,その見た目と仕様からは,とてもいい“匂い”がしてくる。そう,2画面折りたたみスマートフォン「M Z-01K」と同じ匂いがするのだ。これは保護しなくてはいけない……。

 話を端末に戻そう。KY-01Lのディスプレイ部分は,2.8インチサイズで解像度480×600ドット,16階調のE Inkディスプレイとなっている。公称本体サイズは,約55(W)×91(D)×5.4(H)mmで,公称本体重量は,わずか約47gとのことだ。

上側面(左):[電源/スリープ]ボタンがあるだけ
下側面(右):マイク孔とUSB Micro-Bポート,ストラップホールがある
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左側面(左):SIMカードスロットがある。ちなみにSIMロック解除にも対応するとのこと
右側面(右):「音量調整」ボタンある。いちおうAndroidと同じ操作でスクリーンショットも可能である。写真左側に見える孔はスピーカーだ
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 KY-01Lは,ウェラブル端末向けのQualcomm製SoC「Snapdragon Wear 2100 Platform」を搭載しており,メインメモリ容量は1GB,内蔵ストレージ容量は8GB。バッテリー容量は380mAhとなっている。
 バッテリー容量は,ハイエンドスマートフォンの10分の1程度しかないのだが,画面の書き換えがない場合,E Inkは電力を消費しないので,カタログスペックにある連続待受時間は約100時間と長い。ともあれ,KY-01Lを手に持つと,なぜかワクワクしてしまう。

 発表会場にいた説明員に,本製品の開発理由をたずねたところ,「電話とスマートフォンを分けたい人向けに用意した」という。例えば,「タブレット端末をメインに使っているが,電話も必要」といった人や,「電話は電話専用端末で受けたい」といった人向けの製品といったところだろうか。

 通信周りも意外としっかりしている。LTE対応の通信機能を備えており,「VoLTE」も利用可能と,電話としての機能に見劣りはしない。IEEE 802.11n対応(※5GHz帯非対応)の無線LAN機能と,Bluetooth4.2にも対応しており,KY-01Lをモバイルルーター代わりに使えるテザリングも可能である。
 モバイルバッテリーを接続しっぱなしで使うはめになるだろうが,KY-01L+無線LAN機能のみのタブレット端末といった運用も可能だろう。

通信周りの設定画面(左)。Androidっぽさが出ている。テキスト入力はフリック入力のみだった(右)
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 Google Playストアが利用できないため,アプリのインストールは一切できないと思われる。ただ,WebブラウザはあるのでAnTuTu HTML5 Testを実行してみたところ,スコアは「8886」と意外なほど高かった。正常に計測できていない可能性も否定できないが。
 E Inkの書き換えによる遅さはあるものの,Webブラウジングは意外に快適だ。ただ,画面の小ささを考えれば,Webブラウジング端末としての実用性はないだろう。補足しておくと,Webブラウザもいくつかの機能が省略されているそうで,たとえば動画の再生には非対応とのこと。ちなみに,PCに接続してのファイル転送は可能だそうだ。

AnTuTu HTML5 Testの結果(左)。SVGのスコアが異様に高い。内蔵ストレージを確認している様子(右)。壁紙の設定は可能だったが,自動でのリサイズや画面に合わせて表示する機能がないため,ユーザー側で解像度を合わせた画像を用意する必要があるあたりは,ガラケー風味でちょっと懐かしい
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KY-01L(写真左)とXperia XZ3(写真右)を並べてみた。
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ON 01。KY-01Lほどではないが,重さ約55gという小さな携帯電話機だ
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 KY-01Lは,ゲーム用途に使うものではなく,ガジェットマニアが所有して楽しむための端末に近いが,スマートフォンとは別に持つセカンドデバイス的な存在としては,なかなか面白い。NTTドコモはKY-01Lのほかにも,親機となるAndroidスマートフォンと同じ電話番号で通話ができる子機端末「ワンナンバーフォン ON 01」(以下,ON 01)も,今回同時に発表している。
 ON 01は,親機がAndroid 8.0以上の必要があるそうだが,KY-01LはAndroidスマートフォンだけでなく,iOS端末と組み合わせて使うのもいいだろう。

NTTドコモの2018年秋冬モデル新製品特設ページ

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