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NVIDIA,Ampereベースの新GPU「NVIDIA RTX A6000」と「NVIDIA A40」を発表。フルスペック版「GA102」コアを採用
2020年10月5日22:50頃追記:Quadro RTX A6000は,発表前にNVIDIA RTX A6000に名称が変更されました。掲載当初は古い名称のまま記載していましたので,正しい名称に修正いたしました。
フルスペック「GA102」を採用したワークステーション向けグラフィックスカードとデータセンター向けGPU
まずはGPUの新製品を紹介しよう。今回,発表となったのは,ワークステーション向けGPU「NVIDIA RTX A6000」(以下,RTX A6000)とデータセンター向けの数値演算アクセラレータ「NVIDIA A40」(以下,A40)だ。
RTX A6000 |
A40 |
どちらの製品も,GPUコアに「GeForce RTX 3090」(以下,RTX 3090)や「GeForce RTX 3080」と同じ,Ampereアーキテクチャに基づく「GA102」を採用しているのだが,本製品のGA102は,10752基のシェーダプロセッサ「CUDA Core」を集積したフルスペック版GA102となっているのが見どころだ。
単精度浮動小数点(FP32)演算性能は,RTX A6000が最大約40TFLOPS,A40は最大約38TFLOPSとなる。RTX 3090の35.58TFLOPSと比べると,CUDA Core数の差よりも性能差が開いているので,おそらくGPUの動作クロックを引き上げているものと考えられる。本稿執筆時点では,RTX A6000とA40の動作クロックは未公開だが,NVIDIAによると今後,動作クロックを含めた詳細なスペックを明らかにするとのことだ。
RTX 3090との違いとして,もう1つ目立つのはグラフィックスメモリだ。RTX A6000とA40は,RTX 3090の2倍となる容量48GBのECC付きGDDR6メモリを搭載する。ただし,メモリバス帯域幅は,RTX A6000が768GB/s,A40が696GB/sと,RTX 3090の936GB/sよりも狭くなっている。ECCの影響が多少あると仮定しても差が大きすぎるので,おそらくメモリの動作クロックを,GeForce RTX 3090より引き下げているものと思われる。
接続インタフェースで興味深いのは,A40に3基のDisplayPort出力を搭載する点だ。これまでNVIDIAのアクセラレータには,映像出力端子を持たない製品が多かった。NVIDIAによると,データセンター向け製品にもディスプレイ出力を搭載してほしいという要望が多かったため,採用を決めたそうだ。映像出力端子があればハイエンド市場向けのデジタルサイネージなどにも利用可能で,対応できる用途の幅が広がるという判断もあったようである。
RTX A6000は,代理店を通じて2020年12月から出荷を開始し,2021年初めにPCメーカーやシステムビルダーから搭載製品が発売となる見込みだ。一方のA40は,PCメーカーやシステムビルダー向けにのみ提供する予定で,こちらも2021年初めに搭載製品が登場するという。
クラウドVRサービス「CloudXR」のAWS連携やOmniverseのオープンβプログラムも発表
ソフトウェアについても2つの発表があった。1つは,VRやAR向けの配信プラットフォーム「CloudXR」と,Amazonが展開するクラウドサービス「AWS」(Amazon Web Services)の連携である。
CloudXRは,NVIDIA製GPUを搭載したサーバーやワークステーションで処理したVR,およびARコンテンツを,クラウド経由でPCやスマートフォン,VRヘッドセットなどにストリーミングする技術だ。CloudXRによって,ユーザー側が高性能なPCやワークステーションを用意することなく,VRやARを使用したサービスが利用できるようになるのがメリットだという。ユーザー側のデバイス性能に依存しないという点は,クラウドゲームサービス「GeForce NOW」と同じようなものだ。
AWSとの連携により,企業が自分でサーバーを用意することなく,コストを抑えながらサービスを提供できるようになるという。クラウドを経由する場合,遅延による影響が気になるところだが,NVIDIAによると,デバイスの入力からAWSサーバーの応答までにかかる時間を50ms以内に抑えられれば,実用的なVRやAR体験が可能だと説明していた。
もう1つの発表は,3Dクリエイター向けコラボレーションプラットフォーム「Omniverse」のオープンβサービスを,2020年秋中に開始するというものである。
Omniverseは,2019年3月に行われた「GTC 2019」で発表となったサービスだ。遠隔地にいる複数のクリエイターが,Autodeskの3Dモデリングおよびアニメーション制作ツール「Maya」やゲームエンジン「Unreal Engine」などを使って,共同でコンテンツを制作できるという。
これまでは,早期アクセス希望者に対して限定的にサービスが行われていたが,2020年秋中にオープンβのダウンロードサービスが始まるそうだ。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により,ゲーム業界のみならず,クリエイターの在宅勤務が増えている。そうした中でOmniverseのようなコラボレーションを実現するソリューションは時節にかなったものといえるだろう。OmniverseやCloudXRの新展開は,こうした状況を逆手に取り,GPU技術を広めていこうとするNVIDIAの意気込みの現れとも言えるかもしれない。
NVIDIAのGTC 2020特設サイト
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