【ヒャダイン】「Pokémon UNITE」を詫びながらプレイする，秋。

ヒャダイン /  音楽クリエイター

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第83回「『Pokémon UNITE』を詫びながらプレイする，秋。」

　ども。Nintendo Switch版の「Pokémon UNITE」（Nintendo Switch / iOS / Android。以下，UNITE）が配信されてから，2か月ほど経ちましたね！　「ポケモン」として初のMOBA作品であるUNITEですが，まさかの無料ダウンロード，そのうえ基本プレイ料金無料のゲームとは思えないほど充実した内容。使えるポケモンも，「ポケットモンスター ソード・シールド」のランクバトル常連の強いポケモンだらけではなく，ワタシラガやイワパレスなんかもいてバリエーションを楽しめます。


　基本ルールとしては5 vs. 5での点取り合戦となるんですが，全員レベル1から始まりプレイ中にレベルアップしていく，という仕様です。これ，ポケモンとの相性が抜群なんですよね。ほら，ポケモンといえば進化。例えばレベル1のゴースがレベル5になるとゴーストに進化し，レベル9になるとゲンガーとなって，どんどん強くなる。一方，カビゴンやルカリオはゴンベやリオルからスタートせず，最初から最終進化の形でプレイできるなど，ポケモンによってまちまちではあるのですが。
　で。ポケモンバトルといえばタイプ相性だと思います。この相性を覚えるのがポケモンバトルを始めるにあたっての最初の難関だとは思います。フェアリータイプの弱点がはがねタイプとか，エスパータイプの弱点がむしタイプとか，なかなかムズいですよね。しかしながら，それを覚えるからこそバキーンと技が決まったときの快感がえげつないんですけどね（関連記事）。


　しかし！　今回UNITEではタイプ相性は，なし！　純粋に技のダメージを相手に与える形となっております。私はこれがいいと思うんです。やはりタイプ相性は理解までのハードルが高く，それが新規プレイヤーには取っ付きにくさを感じるところになりかねません。そこを分かりやすくするのは至極当然だと思うんですよね。
　この，タイプ相性を無視して戦う感じ，何かに似てるなあと考えたところ，答えが出ました。そう。アニポケ!!　アニメのポケモンバトルです。アニメを見ていたらピカチュウとギャラドスが互角に戦っていたりするのですが，ゲームの場合だとギャラドスはみず・ひこうタイプなのででんきタイプが4倍弱点。ピカチュウの圧勝になるわけですが，アニメの中では互角にやりあえちゃうのです。そういえば，UNITEで入り乱れて戦う様子は，劇場版のバトルを彷彿とさせて，いいですよね〜。


　さて，ここからが本題です。UNITEは基本オンラインで同レベル帯のプレイヤーがランダムに選ばれて5 vs. 5で戦うんですが，まあ私ったら足を引っ張る引っ張る！　好きなポケモンがゲンガー，アローラキュウコンなんですが，すぐにやられてしまいがち。耐久能力が低いポケモンだとは知っているのですが，それにしてもすぐにペナルティ。休んでいる間，チームメイトに100回くらい「ゴメンナサイ」って言っちゃう。
　なるべく人が集まっているところに参戦するのですが，そういうところには敵も集まってくる。そうなるとボカーンと即退場。奇をてらって人のいないところでちまちま野生のポケモンを倒していると，気付けば仲間が続々とやられており，チームワークを乱している戦力外としての罪悪感にさいなまれます。
　そりゃあ私だって上昇志向はあります。YouTubeの実況動画で座学に励んでおります。「やってはいけないこと」とか「アローラキュウコンの立ち回り方」とか人気の動画を日夜視聴して実戦に生かそうとするんですが，基本の立ち回りがヘタなんでしょうか，全然うまくいかない。
　ちなみにUNITEには課金要素もありまして，ポケモンに持たせるもちものをレベルアップさせるための，もちものきょうかキットを購入できます。そこで自分が使うもちものを，とりあえずレベルMAXにしてみました。そのポケモンが持っておいたほうがいいもちものも調べに調べました。なので基本の条件はほかのプレイヤーより良いかもしれません。要するに開発コストのかかりまくった車に乗っているのに全然勝てないF1レーサーみたいなもんですよ！　なのに足を引っ張る。つらい！　つらいよ！


　ま，まあ，ポケモンとの相性もあるしー……と思いまして，耐久能力の高いポケモンに変えてみることにしました。MOBAでは「タンク」と言われる役割のやつです。ヤドランを選んだんですが確かに耐久がすごい！　とくせい「どんかん」でHPが少しずつ減るし，もちものによって相手に技を命中させるとHPがぐんぐん回復するしで，なかなかやられることがなくなりました。
　これでほかのプレイヤーさんにご迷惑をおかけすることが少なくなったんじゃないかな，と少しホッとしているのですが，タンクは動きが遅いので全然点を入れることができない！　あと天性のプレイングのまずさによって全然敵を倒せないんです。例え試合に勝ったとしても得点，倒した数，サポート数，どれをおいても最下位……。
　いわゆる“おみそ”なんですよ。たぶんタンクはもっと体を張ってサポートをしなきゃいけないんでしょうけど，敵から集中攻撃されるのが怖くて逃げちゃうんです。立ち向かったとしてもほかのYouTuberみたいに上手に立ち回れず，すぐにやられちゃうし。リザルトが出るたびに「ゴメンナサイゴメンナサイ」と呪文のように唱えています。


　そんな感じなので全然レベルも上がらず，うまい人だらけのマスターランクはおろか，エキスパートランクに行けるわけもなく，その下のエリートランクと，さらにその下のハイパーランクを行ったり来たりしています。
　ああ。この感じ。そうだそうだ。「スプラトゥーン」や「Call of Duty」でも味わったあの苦い味だ。チャットがなかったからまだ責められることはなかったけど，もしもあったら針のむしろの奴や。
　少し話がずれるのですが，先日「水曜日のダウンタウン」を観ていたら，「強い意思があれば寝た後の体もコントロールできる説」の検証として，眠りについた状態でも頭上に吊されたタライが落ちてこないよう，紐を握りしめたままでいられるのか……みたいな企画に，野田クリスタルさんが挑戦されていたんですね。
　まず寝なきゃいけないので普段は飲まないお酒を飲んで寝付いた野田さんは，瞬く間に手を離しタライが脳天に直撃。速攻で終わってしまったんですが，その後の野田さんがメソメソと泣き始めるじゃありませんか。酔っ払っているのかな，と思ったらそういうわけでもなさそうで。「自分が寝ないとスタッフさんが家に帰れない。だから無理してお酒を飲んだらこんなあっけない結果になってしまって申し訳ない。たくさんの人が集まって力を合わせている現場で自分が迷惑をかけるのが何よりもつらくて申し訳ない」と。
　その姿に少しキュンとした自分もいたのですが，ハッとした自分も。これ，UNITEのワシやん。みんなが有限の時間を使って楽しんでいるゲームに自分もしれっと参加しているくせに，めちゃくちゃ迷惑をかけていると思ったときの申し訳なさよ。少しニュアンスは違うかもしれないけど，その気持ちよく分かるよ野田さん！　私は毎回「もう二度とプレイしないんで許して！」とか思うんですが，それでもUNITEは楽しいし，何よりポケモンのことが大好きなんでまたプレイしてしまうんです……。


　ああ。どうすればいいんだろう。家庭教師をつけて指導してほしい。誰にも迷惑をかけずに生きられる人生なんてあり得ない。とは分かっているんですよ。MOBAもまた，多かれ少なかれ迷惑をかけてかけられて成立するもんだと思っています。だけどもそんな中でも私はできれば役に立ちたい。嫌われたくないんです。今日もYouTubeで座学に励むとします。ふう。

■■ヒャダイン（音楽クリエイター）■■ ヒャダイン氏は本日（2021年9月30日），初の著書「ヒャダインによるサウナの記録2018~2021 -良い施設に白髪は宿る-」を発売します。さまざまなサウナ施設への訪問体験をまとめた一冊です。