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RX 9070シリーズに対応する「AMD Software 24.3.1」リリース
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同GPU発表時にAMDが予告していたとおり,AMD Software 25.3.1は,新機能を含むやや大規模なアップデートになっている。AMD Software 25.3.1における新機能は,Radeon RX 9070シリーズのみで利用できる3つの機能と,既存のGPUも利用できる2つの機能に大別できる。順に説明していこう。
AIベースの超解像技術「FSR 4」
「Fidelity FX Super Resolution 4」(以下,FSR 4)は,Radeon RX 9070シリーズ以降が対応するAIベースの超解像技術だ。近日中にアップデートされる予定のものを含めると,30タイトル以上のゲームで利用できるという。たとえば,「Dragonkin: The Banished」では,3月6日にFSR 4対応アップデートが配布されるそうだ。
同機能を有効化するには,AMD Softwareのワンクリック最適化機能「HYPR-RX」をオンにするか,ゲーム個別のグラフィックス設定で行う。
ちなみに,ゲームでFSR 4が機能しているかどうかは,[ALT]+[R]キーで起動するオーバーレイで確認できるそうだ。
AIを用いたアドバイス機能「AMD Chat」と「Image Inspector」
AMD Software 25.3.1では,PC上で動作するAIからアドバイスが得られる機能が2つ実装された。
そのひとつ「AMD Chat」は,AMD製ハードウェアに関するユーザーの質問に,テキストや画像を生成して答えるという。2つめは,ゲームの画像をキャプチャして,グラフィックス品質の改善をアドバイスする「Image Inspector」だ。これらの機能は,今のところRDNA 4世代のGPU,つまり本稿執筆時点ではRadeon RX 9070シリーズでのみ利用できる。
画質と応答性が改善した「Image Sharpening 2」
Radeon RX 9070シリーズでは,ゲームや動画の画像品質を改善する「Image Sharpening 2」が利用できる。従来からあるImage Sharpeningと比べて,画像品質が向上しているうえ,応答性も改善するとのことだ。
以上がRadeon RX 9070シリーズのみ対応する機能だ。
ゲームを問わないフレーム生成機能「AFMF 2.1」
AMD Software 24.3.1では,既存のRDNAベースのGPUでも利用できる2つの新機能も盛り込まれている。
ドライバレベルで中間フレームを生成することで,見かけのフレームレートを向上させる「AMD Fluid Motion Frames 2」(AFMF 2)は,Radeonユーザーにはおなじみの機能だ。そのAFMFが,「AFMF 2.1」へとバージョンアップした。
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AMD製ソフトウェアのインストール状態を一括管理する「AMD Install Manager」
AMD Softwareやチップセットドライバといったドライバソフトウェアに加えて,視線追跡技術を応用して,画面を横からのぞき見されにくくする「Privacy View」など,AMDがユーザーが提供しているソフトウェアは増えている。AMD Software 25.3.1で新設された「AMD Install Manager」は,そうしたAMD製ソフトウェアのインストール状態を一括で管理して,必要に応じてアップグレードや追加インストールといった支援を行ってくれる機能である。
具体的には,AMD Software起動時に,次のウインドウが表示されるので,そこから追加インストールなどを行えるというものだ。
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誰にでも役立つという機能ではないが,AMD Software以外のドライバ更新にもすぐに気づけるので,利便性が向上するのは確かだろう。
以上がAMD Software 25.3.1に新設された新機能だが,これらに加えて新作ゲーム対応や性能向上策が盛り込まれている。
AMD Software 25.3.1で対応した新作タイトルは,基本プレイ無料のヒーローシューター「FragPunk」と,新作アクションアドベンチャー「スプリット・フィクション」だ。両タイトルともに性能向上はアピールしていないので,AMDが動作を確認したという理解でいいだろう。
また,Radeon RX 7000シリーズ向けには,AI関連機能や性能強化が盛り込まれている。たとえば性能面では,写真現像ソフト「Adobe Lightroom」のAIを使用した「ディティールエンハンスメント」が最大70%,写真の品質を向上させるソフト「Topaz Photo AI」が最大40%,動画編集ソフト「DaVinci Resolve」のAIを用いた処理が最大10%という具合に,AMDは大幅な性能向上をアピールしている。
そのほかにも,AMD Software 25.3.1に合わせて「AMD Streaming SDK」がリリースされた。「AMD Advanced Media Framework」(AMAF)をベースとした動画ストリーミングに,インタラクティブな機能を持たせるSDKだ。ライブチャットやキーボード,マウス入力といったインタラクティブ機能を統合したストリーミングアプリを開発しやすくするSDKと理解していいだろう。
リリースノートを眺める限り,まだRadeon RX 9070シリーズにはいくつか不具合が残っているようだ。発売直後のGPUやドライバソフトに不具合があるのはいつものパターンだが,これまでの例からしても落ち着くには,少し時間が必要かもしれない。
●AMD Software 25.3.1の対応GPU
- Radeon RX 9070シリーズ
- Radeon RX 7000シリーズ
- Radeon RX 6000シリーズ
- Radeon RX 5000シリーズ
- Radeon RX 7000M/7000Sシリーズ
- Radeon RX 6000Mシリーズ
- Radeon RX 5000Mシリーズ
●AMD Software 25.3.1の対応APU
- Radeon AI 300シリーズ
- Ryzen 9000シリーズ
- Ryzen 8000シリーズ
- Ryzen 7000シリーズ
- Ryzen 6000シリーズ
- Ryzen Mobile Processors with Radeon Graphics(※RDNA世代以降)
●AMD Software 25.3.1が統合するコンポーネント(※比較対象はAMD Software 25.2.1)
- Display Driver Version:24.30.31.03-250225a-412790C
-AMD -Soft ware -Adre nalin -Edi tion (←24.20 .33.05 -250 210a -412 654E -AMD -Soft ware -Adre nalin -Edi tion) - UI:2024.1127.1945.2044(←2025.0225.0110.2052)
- AMD Windows Driver version:32.0.12033.5029(←32.0.13031.3015)
- 2D Driver:8.1.1.1634
- Direct3D Driver:9.17.11.0272(←9.17.11.0279)
- OpenGL Driver:24.09.240702_2e2ba6f(←25.02.241127_5715cfc)
- Audio Driver:10.0.1.38
- Vulkan Driver:2.0.317(←2.0.331)
- Vulkan API:1.3.292(←1.3.302)
●AMD Software 25.3.1における最適化
- Radeon RX 7000シリーズにおいて,Adobe Lightroomのディティールエンハンスメントが70%,Topaz Photo AIが最大40%,DaVinci ResolveのAIを用いた処理が最大10%向上
●AMD Software 25.3.1における新新要
- Radeon RX 9070シリーズに対応
- Radeon RX 9070向けの新機能FSR 4,AMD Chat,Image Inspector,Image Sharpening 2に対応
- AFMF 2.1およびAMD Install Managerに対応
- AMD Streaming SDKなど各種AMD/GPUOpen製SDKのアップデートに対応
- FragPunk,スプリット・フィクションに対応
- HYPR-RX対応タイトルに「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl」など3タイトルを追加
- VK_EXT_depth_clamp_controlなど新たなVulkan拡張に対応(関連リンク)。
●AMD Software 25.3.1で解決した問題
- 「Twitch」で,「Enhanced Broadcasting」を有効にして「OBS Studio」を使用すると,HEVCのエンコードが意図したとおりに機能しないことのあった問題
- 「Ryzen AI HX 370」など一部のAMD製統合GPUで「Warhammer 40,000: Space Marine 2」をプレイすると,断続的にドライバのタイムアウトやゲームのクラッシュが発生することのあった問題
- Radeon RX 7000シリーズにおいて,「Delta Force」の描画性能が本来よりも低かった問題
- 「FidelityFX Super Resolution 3」(FSR 3)のフレーム生成を有効化して「Marvel Rivals」をプレイすると,断続的に画面のカクつき(スタッター)を生じることのあった問題
●AMD Software 25.3.1における既知の問題
- 「Image Inspector」を有効化して「Marvel's Spider-Man 2」「Ratchet & Clank: Rift Apart」をプレイすると,AMD Softwareが断続的にクラッシュすることがある。この問題は,Image Inspectorを無効にすることで一時的に回避できる
- ドライバインストール直後に,Webブラウザ「Microsoft Edge」(以下,Edge)でYouTubeを視聴すると,本来より性能が低いことがある。この問題は,Edgeを再起動してYouTubeを開き直すことで回避できる
- ROP数の検出に,GPUOpenで提供している「AMD Display Library」を利用したサードパーティ製のツールで,誤ってROP数が64と報告されることがある。この問題には今後のドライバの更新で対応予定とのこと
- Radeon RX 9070シリーズで,MSAA x8を設定して「Counter-Strike 2」をプレイすると,誤ったガンマ値になることがある
- Radeon RX 9070シリーズで,「Assetto Corsa Competizione」をプレイすると,本来より性能が低いことがある
- 「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」において,グラフィックス品質を「Very Ultra」に設定して,パストレーシングが有効になっていると,断続的にゲームがクラッシュすることがある。パストレーシングを無効化することで,この問題を一時的に回避できる
- Ryzen 7000シリーズ以降のRyzen CPUとAMD製GPUを組み合わせたシステムで,「AMD Cleanup Utility」使用後に,「AMDバグリポートツール」が断続的にポップアップすることがある
- 特定のノートPCにおいて,ドライバのインストールを完了後,内蔵Webカメラの起動に断続的な障害が発生することがある。この問題が発生した場合は,AMD Cleanup Utilityを使用してドライバをアンインストールしたうえで,AMD Software 24.12.1の使用を推奨するとのこと
- 関連タイトル:
AMD Software
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