「モンスターファーム オンライン」ネットワークトライアルのプレイレポートを掲載
テスト開始直後,あっという間にテスターで埋め尽くされたエリア「タウン」。シリーズのファンが多いようで,過去作品を踏まえた夢や希望を語り合う人達をたくさん見かけた
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2007年7月13日と14日の2日間,コンシューマゲーム機で名を馳せた名作「モンスターファーム」シリーズのPCオンラインゲーム作品「モンスターファームオンライン」(以下,MFO)のネットワークトライアルが実施された。
MFOの運営元ゲームポットおよび開発担当のテクモによると,今回のトライアルの目的は「ネットワーク接続処理の確認」と,「クライアントの動作確認」の2点。つまりオープン/クローズドのβテストはおろかαテスト段階でさえない,ごく基本的な動作確認のみを行うという趣旨で行われたものだ。
そのため,一般参加の募集人数も500名とごくごく小規模で,期間も1日4時間(2日で8時間)と非常に短い。ただ短いながらも,ファンが気にしているであろうゲームプレイの雰囲気や,モンスターの再生方法など,いくつかの仕様をこのテストで確認できた。ここではテストの雰囲気に触れながら,現時点で得られた情報を項目別にお伝えしていきたい。
さて,ゲームの内容に入る前に簡単にクライアントプログラムの説明をしておこう。 使用されたMFOのクライアントは,やや小ぶりな230MB(242,156,813バイト)というボリューム。インストールして起動すると,ファイルの自動アップデートが始まるというごく一般的な形式だ。ゲーム画面の解像度は,800×600ドット,1024×768ドッド,1280×1024ドットの三段階に対応しており,それぞれの解像度でのウィンドウモード表示もサポートしていた。
なお,テスト終了後にテスター用の公式掲示板を覗いてみたところ,「クライアントが重い」という意見がかなり多かった。 ただし,筆者が今回使用したテストPC(OS:Windows Vista,CPU:Core 2 Duo E6400,グラフィックスチップ:GeForce 7900GS,メインメモリ:1GB)でプレイ中にストレスを感じたことはなく,このPCよりも高いスペックで「重い」と報告されている例があること踏まえると,問題はハードウェアというわけではなさそうだ。もし現時点で「重い」と判断してPCパーツの交換などを行おうと考えている人がいたら,本テストのフィードバックを元にした運営元の分析結果を待ってからでも遅くはないかも,とアドバイスしておきたい。
たった8時間のプレイだけに,MFOのポテンシャルは未知数としか言いようがない。ただ名作シリーズ直系のオンライン作品だけに,圧倒的な期待を受けているのは確かだ
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■モンスターの再生: ■ステータス変化のパターンが垣間見える内容
“ステータスだけがディスクで決まる”は賛否両論ある。ディスクの性能差を埋める措置なのか,はたまた別の狙いがあるのか。レアモンスターの扱いも気になる
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モンスターファームシリーズといえば,やはりCD,DVDといった光ディスクからのモンスター再生が最も大きな特徴だろう。手持ちの音楽CDなどを読み取り,そのデータから新たなモンスターを誕生(再生)させるのだ。MFOにももちろんモンスター再生機能が搭載されており,今回のネットワークトライアルでさっそく試すことができた。
ただし,MFOのモンスター再生はシリーズの従来作品と少し異なる。具体的には,使用するディスクの内容で変わるのが,“モンスターの種族”から“モンスターのステータス”に変更されている。つまりMFOでは,あらかじめプレイヤーがモンスターの種族を選び,ディスクのデータでモンスターのステータスを決定するという形になったわけだ。 ネットワークトライアル時点で選べたのは,「アンテロ」「キキモ」「ライガー」「ディナシー」「コルヌー」の5種族。種族によって,モンスターの持つステータスバランスや,見た目,気性の大まかな傾向などが決まる。モンスターの種類については,プレイヤーの要望を踏まえてアップデートなどで増えていくだろうと,公式サイトのブログなどで語られている。
今回は,温暖な地方に棲息し近距離戦闘を得意とする種族「コルヌー」を選択。棚からいろんなディスクを引っ張り出してあれこれと試してみた。さすがにテストの合計時間が短いため,延々とモンスター再生を繰り返すわけにはいかなかったが,以下に,内容の異なるディスクで再生したモンスターのステータスを掲載しておく。
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| (1) | (2) | (3) | (4) | ライフ | 100 | 100 | 100 | 100 | かしこさ | 16 | 15 | 13 | 15 | 素早さ | 18 | 20 | 22 | 20 | 精神力 | 36 | 40 | 36 | 50 | ちから | 40 | 31 | 49 | 45 | 器用さ | 22 | 20 | 18 | 14 | 丈夫さ | 36 | 40 | 36 | 52 | 集中力 | 33 | 39 | 33 | 30 | | 素直 てきとう好き 魚介好き 黄肌 | 素直 弱いメンタル 肉好き 黄肌 | 戦士 てきとう好き 甘党 水色肌 | 戦士 ボディー自慢 果物好き 水色肌 |
(1)「ミッション・トゥ・マーズ」(ASIN: B0000646P2)/映画DVD (2)「DOOM3」/ゲームCD(DISK1) (3)「CAR SONGS OF THE YEARS」奥田民生(ASIN: B00005HRZD)/音楽CD (4)名称なし/データディスク
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※なおゲームポットは,モンスターの再生に利用できるディスクに関して「音楽CD(CD-DA)もしくは映像DVD(DVD-Video)の動作のみを保証」と明確に謳っている(ディスクの読み込み前に警告メッセージが表示される)。“動作のみを保証”とは少し曖昧な表現だが,これは一般的なデータ保存用ディスクによって再生したモンスターデータ(およびそのデータを使用しているプレイヤーカウント)に問題が発生した場合に,運営側はなんら責任を負わない,またアカウント停止などの措置に対して抗議する権利をプレイヤー側が有さないということだろうか? このあたりのポリシーがどの程度厳しいものになるのか,次回以降行われるテストに注目したい。
念のため説明しておくと,ディスクとモンスターのステータスは1:1で対応している。つまり,同じディスクを何度再生しても――当然だが――決定するステータスは変わらない。裏を返すと,「CAR SONGS OF THE YEARS / 奥田民生」の音楽CDで決定するステータスは,どのPCで,誰が持っている「CAR SONGS OF THE YEARS / 奥田民生」の音楽CDで再生しても同じである。これがモンスターファームのコミュニティで「〜のCDはレア」などといった情報や噂が飛び交う理由だ。
またディスクのほか,ゲーム内モンスターのドロップアイテムとして得られる「円盤石」からもモンスターを再生できる。円盤石は光ディスク用ドライブのないPCでもMFOを遊べるようにという配慮から用意されたものだが,アイテムとして扱えるだけに,トレード対象となったり,有料アイテムとして販売されたりする可能性も考えられる。光ディスクからのモンスター再生とどのように差別化が行われるのか,気になるところだ。
上段3点:ゲーム進行度が低いためか,それともまだ劇的な変化が生まれない設定なのか,モンスターの性格の影響はまだハッキリと見えてこない。一方で身体的特徴は,色や体の大きさ,角の形など,ある程度ステータスが反映されたものとなっていた
下段3点:モンスター再生の前にキャラクターメイキングを行うので順序は前後するが,これはプレイヤーのアバターとなるブリーダーだ。まだβよりはるか手前の段階ということで,見た目のカスタマイズ以外,とくに目を惹く部分はない。ただ一つ,ステータス画面で見られる国籍やJobなどの項目にだけは,注目しておきたい
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■公開エリア: ■戦闘エリアはすべてインスタンスで処理される(?)
第三階層の中央広場が,最初のお買い物スポット。薬などを販売する「雑貨屋」,モンスターの食料を売る「食材屋」のほか,ブリーダーの衣服を販売する「仕立て屋」などが軒を連ねている
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キャラクターメイキングとモンスター再生を済ませると,ブリーダー(プレイヤーキャラクター)は“タウン”と呼ばれるエリアに移動する。タウンは冒険の出発点となっており,今回のテストでも買い物やクエスト受注,パーティメンバー集めなどを行うブリーダーでごった返していた。
タウンは3階層のエリアに分かれており,それぞれにアイテム販売店やクエスト紹介所などが用意されている。第三階層にはブリーダー達の長老がいるなどの違いはあるが,今のところ機能に大きな違いはないようだ。すべてに戦闘フィールドへの出入り口が用意されている点から想像すると,最終的には階層で対象レベル帯が分けられたりするのかもしれない。
さて,エリア周りで個人的に気になったのは,戦闘エリアが基本的にはプレイヤー/パーティ単位で生成される,いわゆるインスタンスの形態をといっている点だ。 現状のMFOには,序盤に多くのプレイヤーが集中して――たいがいはモンスターの奪い合いになったりする――MMORPGならではのプレイヤー共有ゾーンが存在しない。まぁだからといって別段大きな問題はないのだが,それがテストゆえの仕様なのか,基本的なコンセプトなのかは気になる。「ちょっと寂しいけどパフォーマンス的には有効だよなぁ。やっぱりちょっと寂しいけど」といったところだ。
冒頭にも書いたとおり,今回のテストで使用したPCはゲーム動作時の負荷が低く,プレイヤーの密集するタウンでさえも引っかかりを感じることはなかった。それどころか,タウンの階層間,またタウンと戦闘フィールド間の移動(いわゆるゾーン/ゾーニング)の軽さは強く印象に残っている。戦闘フィールドでモンスターが負ったダメージをアイテムで回復せず,タウンへ移動することでライフを初期化するといった小細工を繰り返してもストレスは少ない。このあたりは,今後実施されるであろうα/βテストや正式サービスまで持ち越してほしい,大きな魅力である。
上段3点:タウン内では未実装の店舗もいくつか見られた。テスト段階ではその姿すらも拝めなかったブリーダーの気になる「ファーム」関連のお店「家財工房」も……
下段3点:戦闘フィールドはすべてインスタンスの扱い。通常の戦闘ゾーンと特殊なクエストなどで訪れる(?)イベントゾーンが用意されていた。前者はレベルで入場制限が,後者はそれ以外にも資格が必要になるイメージだ
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■戦闘: ■プレイヤースキルが問われそうな独特のテンポ
マウスインタフェースは用意されているが,戦闘はショートカットキーでの操作が主流となりそうな雰囲気だ
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本作の戦闘は非常に特徴的だ。プレイヤーキャラクターではなく,あくまでも従者として寄り添うモンスターに命令を出して敵と戦わせるため,テンポが一般的なMMORPGと大きく異なる。
戦闘フィールドに出ると,プレイヤーはまず目標となる敵をターゲットする。その後,画面右下にあるモンスター用のコマンドインタフェースまたはショートカットキーを用いて,モンスターを仕掛ける距離まで移動させ,ターゲットへの攻撃命令を与える。そしてこの“距離”が,本作の戦闘を独特なものにしている。
モンスターは,近/中/遠という3段階の間合い(これをMFO用語で“距離帯”と呼ぶ)に合わせた攻撃スキルを持っている。さらにその種族や成長の方向性によって“得意な距離”が存在する。ターゲットとの距離帯をモンスターの得意な距離に合わせるため,「GO(行け)」「WAIT(待て)」「COME(おいで)」という三つの移動命令,そして距離に応じた三つの攻撃スキル発動命令を駆使して戦闘を行うわけだ。少し分かりくいので,以下に戦闘の流れをまとめておこう。
1.敵をターゲットする | ↓ | 2.モンスターにGO命令を出す | ↓戦闘開始(バトルスタンス※1に移行) | 3.GO / WAIT / COME命令を駆使してターゲットとモンスター距離を調整 | ↓モンスターの得意な距離(例:中距離)を保つ | 4.モンスターの中距離用攻撃スキルを発動 | ↓以下,3〜4を繰り返して敵を倒す | 5.モンスターにCOME命令を出す | ↓戦闘終了(バトルスタンス解除) | 6.ドロップアイテムを獲得(ルート)する |
※1……GO命令を出して戦闘モードになると,ブリーダーは「バトルスタンス」という状態になり,一切移動ができなくなる。バトルスタンスはCOME命令を出すことで解除される。バトルスタンスの設定/解除と、モンスターの行け/おいでのコマンドが兼ねられている点は少し分かりにくかも
“距離帯”と“得意な攻撃距離”は,ペットモンスター以外の敵にも共通の概念であることを覚えておきたい。要するに,敵も距離をコントロールしようとしてくるわけで,この駆け引きがMFOならではといえる部分である。「こちらが近づいて近距離攻撃スキルを発動する。なのに敵は遠ざかって距離帯が近から中に変わり,残念,近距離攻撃スキルは失敗に終わる」。戦闘はこういった攻防の連続だ。
このようにモンスターがえっちらおっちら戦闘を行う一方,ブリーダーは戦闘そのものには加わらない。唯一用意してあるパラメータ「ガッツ」を使用して,モンスターのスキル発動命令を出すだけだ。攻撃スキルを連発してガッツがゼロになると「ガッツブレイク」という状態になり,モンスターへの命令もアイテムの使用もできなくなる。戦闘中はできるだけガッツブレイクを招かぬように,ブリーダーのパラメータを見張る必要がある。
なお今回のテストでもすでにパーティシステムは実装されていたが,まだ“パーティを組めるだけ”という段階であった(αテストですらないから当然といえば当然なのだが)。ただ得意な距離帯の異なるメンバーでパーティを組んで,敵の足止め,味方を回復などを織り交ぜれられる戦闘を想像すると,なかなかに楽しげである。
上段3点:開始直後のチュートリアル(画面左)で,本作の戦闘で重要な要素となる“距離帯”の基礎を学ぶ。余談だが,中央にあるターゲット用のぬいぐるみ「ニャー人形」は,何度も続けて攻撃すると倒せることが運営元のブログで明かされた
下段3点:パーティプレイはどう肉付けされるのだろうか? 連携が強化されたりあれしたりこれしたり……。夢は膨らみますな
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■モンスターの育成: ■モンスターレベルはステータス値の合計値で上がる
筆者が作ったコルヌー。装備スロットは「HEAD」「BACK」「HIP」の三つだ。ほかの種族も部位の名称こそ異なるが,装備スロットの数は同じ
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モンスターのパラメータは,各種ステータス/レベル/満腹度に大別できる。以下,順番に見ていこう。
まず前述のとおり,各種ステータスはモンスターの再生時に決定する。そしてステータスは戦闘でスキルを使ったり攻撃を受けたりすることで上がっていく。実際,戦闘中に「ちから UP↑」といった表示と共に突然上がる。 伸びるステータスを決めるのは戦闘方法だ。例えばモンスターに近距離戦闘ばかりを行わせていると,攻撃力の増す「ちから」や,被ダメージを軽減する「丈夫さ」などが上がっていく。そうすることで,モンスター自体も近距離戦闘用としてスタイルが固まっていくという具合である。
ではモンスターの成長がスキル性かといえばそうでもなく,レベルも存在する。レベルは対象レベルの分けられた戦闘フィールドへの入場資格となるほか,レベルアップすることでモンスターのライフを増やし,モンスターの性格や身体的な特徴を強調していく。MFOは与える食料によってモンスターの特徴が変化するわけだが,その変化のタイミング=レベルアップ時,となっているようだ。 なおレベルアップには,戦闘で向上したステータスの合計値が関係しているらしい。次のレベルに必要なポイントを50とすると,ちからが10,丈夫さが20,賢さが20が上がった段階でレベルが一つ上がると考えればいいだろう。
満腹度はモンスターに与える食料で増減する。モンスターは満腹度が下がると機嫌を損ね,戦闘時の攻撃力が下がったり,ミスを連発するようになる。また満腹度を上げたいからといって満腹なのに無駄に食料を与えたりしても,やはり機嫌を損ねてしまう。基本的には“モンスターの調子を維持する”ためのパラメータだが,嗜好によっては気分が変化したり,後々の身体的特徴が決定付けられたりもするだけに,食事の内容はかなり吟味する必要がある。
上段3点:どうやって成長させたのか,いろいろなモンスターとすれ違った。上の画面に映っているとくに角の大きなモンスターは,GMのモンスターらしい
下段3点:今回のテストでテスターを悩ませたのは,むしろブリーダーの扱いかもしれない。積極的にゲームプレイに影響する存在となるのか,あくまでもアバターとして着せ替えなどを楽しむという扱いになるのか……。どうなんでしょ
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■まだまだα/βテスト段階ですらないMFO ■大量のフィードバックがどう反映されるか?
今回はあくまでもネットワークトライアル,言ってしまえば“接続テスト”や“クライアントの動作確認”に過ぎない(クローズドβテストだと勘違いしている人もいるようなので,いちおう念を押しておきたい)。
にもかかわらず,運営元であるゲームポットはテスター専用の掲示板を設けたり,テスト中,じかにGMをタウン内に派遣したりして,積極的にフィードバックを受け付ける姿勢を見せていた。プロトタイプともいえるプログラムに対するかなり手厳しいフィードバックが予想されるなか,プレイヤーの熱意を信じて積極的に応対していた姿がとても印象的だった。
また1日めから2日めにかけて,フィードバックに応じてすぐさま戦闘フィールドへの入場レベル規制緩和を行ったり,アイテム購入価格を下げてより多くの要素を試せるような措置を行ったりと,フットワークの軽さも記憶に残っている。そもそも小規模テストとはいえ,全日程を通してログイン障害やサーバーダウンを一切起こさなかった運営の努力は素直に評価できる分だろう。
おそらく現在は,プレイヤーからのフィードバックをどう実装するかで開発元も紛糾しているものと予想される。過去のシリーズとの差別化,またシリーズとして通すべきコンセプトを両立させるという非常に困難なミッションである。ファンの期待も並大抵ではない。
プレイヤーの気になる動作環境や,モンスターの再生方法,寿命,種族の追加,またアバターの扱いなど,各種仕様は今後どう変化するのだろうか。次回以降のテストからも目が離せそうにない。(ライター:Gueed)
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