オンラインレースゲーム「Level-R」,CBTプレイレポートを掲載
思い思いにパーツを変更し,カラーリングやマーキングなどを施してカスタマイズした愛車で,ストリート,サーキット,オフロードを突っ走るのが本作の醍醐味だ
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昨今,日本でサービスされるオンラインレースゲームの数が増えてきている。だがその多くは「マリオカート」の影響が色濃いカートタイプの作品だ。そんな中,ゲームポットがサービスを準備している「Level-R」は,数少ないリアル系のレースゲームだ。 何度かお伝えしてきたとおり,本作の開発元は,レースゲームを数多く手がけてきたハンガリーのInvictus Games。同社は,ヨーロッパで2005年にProject Three Interactiveというパブリッシャからリリースされたパッケージゲーム「Cross Racing Championship 2005」の開発元であり,本作はそれをオンラインゲームとして生まれ変わらせたものという位置付けになる。
レースゲームをオンライン化にするにあたって,大きなポイントとなるのは,いかにしてラグを軽減するかである。というのも,レースゲームのプレイ時にラグが発生してしまえば,即座にゲーム性が崩れかねないからだ。 そこで本作では通信方式として,ロビーやルーム画面ではクライアント/サーバー方式を,レースではP2P(Peer-to-Peer)方式を採用。2006年12月15〜17日の三日間,こうしたネットワーク部分の検証を主目的に“技術テスト”が行われた。 その結果,P2Pではうまくリンクできないテスターもいたということで,そういった場合にはプレイヤーに意識させることなく,自動的にレースもクライアント/サーバー方式へ切り替わるという方式が採用されることになった。
2月4〜16日まで行われたクローズドβテストは,こういった技術テストの結果を経て,総勢7000名もの参加者に対しLevel-Rの真価を問うかのごとく実施されたのである。本稿では,そのクローズドβテストの模様をお伝えすることにしよう。なお,技術テストのプレビュー記事も掲載済みなので,そちらも併せて読んでほしい。
■舗装路と非舗装路での摩擦係数が大きく変化
本作では,いわゆるサーキットタイプのもののみならず,オフロードタイプのマップも用意されている。登場するマップの概要については,技術テストのプレビュー記事にて紹介したので今回は割愛するが,技術テスト時と比較してドライビングフィールに変更が加えられていることに気付いた。 具体的には,舗装路を走行しているときと,非舗装路を走行しているときの摩擦係数である。例えばサーキットを走行していて,ダートに少しはみ出てしまったような場合,技術テストではそれほど大きな影響はなかったのだが,クローズドβテストでは一気に速度が低下してしまうように変更されていたのだ。 そのため,車両の片側だけがダートにはみ出てしまった場合など,片側のみが引っ張られ,スピンの原因になりかねない。また,スピンは免れたとしてもタイムへの影響は極めて大きく,レース時にはほかのプレイヤーとの差が大きく開いてしまう原因にもなる。
その昔,鈴木亜久里氏がF-1ドライバーとして鈴鹿サーキットで表彰台に登ったときなど,ダートにはみ出しながら1コーナーをすり抜けていったものだが,そういったややアクロバティックな走り方は本作では難しいだろう。とはいえ,ダートで速度が低下するのは自然なことだし,本作が“リアル”を志向する以上,こういった変更が加えられるのは当然のことともいえる。 なお,ドライビングフィールに関しては,これ以外の部分でとくに気になった点はなかった。ただし,本作の中核となる物理演算エンジン「Invictusエンジン」は,常にアップデートされているそうなので,次回のβテスト時にはまたドライビングフィールががらっと変わることもあり得るだろう。
●左:ダートにはみ出たところ。摩擦係数が増して一気に速度が落ちるし,ヘタするとスピンしてしまう ●右:このぐらいならまだ影響は小さいが,縁石を越えると途端に速度が落ちる
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■新たに四つのルートが登場。新マップもお目見え
本作では,一つのマップに複数のルートが設定されているのだが,クローズドβテストではルートのみならず,新たなマップも登場した。それが「Mud」である。 その名のとおり,路面が泥に覆われているマップで,用意されていたルートは「ルート1」のみ。ターマックは70%という設定ながらも,泥の上というより中を走っているような感触すら感じさせられた。コースレイアウトはひょうたん型で,全長1392m。ストレートはほぼなく,常に曲がった道という印象だ。その中でもいくつかのカーブは角度がきつく,おそらくここをいかに切り抜けるかが,勝負の分かれ目になるのだろう。
●左:かなりの悪路であるMudマップのルート1。ひょうたんを横倒しにしたような型のレイアウトが特徴だ ●右:ひたすらガタガタ道が続くため,ハンドルを取られての接触も多くなるはずだ
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「Circuit」マップには,「ルート#4」「ルート#8」と,二つのルートが追加された。 ルート#4は,技術テスト時から実装されていた「ルート#5」(全長4043m)の一部にバリケードを設置するなどして,レイアウトを変更したルートという設定のようだ。全長980mと短めながら曲がりくねったルートで,見通しの悪いコーナーもあるため,気を抜くと側壁に衝突してしまいかねないという特徴を持つ。 もう一方のルート#8は,ゆるめのコーナーで繋がれた,全長1747mの中程度のルート。F1でおなじみの,“フェラーリの聖地”モンツァ(イタリア)を彷彿とさせるような,シンプルなレイアウトになっている。なお,ロングストレートのあとには,きついコーナーが待ちかまえているため,直線で速度を上げすぎて減速が遅れると,クラッシュしてしまいやすい。
●上段左:Circuitのルート#4。こぢんまりとしているが,ところどころに難しいコーナーがある ●上段右:大きくカーブしたと思ったら,続いて逆方向への大きなカーブがあったり,さらにカーブが続いたり…… ●下段左:Circuitのルート#8。マップの右上や中央下のストレートがかなり長く感じる ●下段右:Circuitの新ルートは,ところどころ急造したような感じで、ギャップがあるのが特徴
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このほか「Tokyo」マップでは,「X-Treme Drift」が姿を消した代わりに,新ルート「Broadways #4」が追加されていた。これは,東京の街の雰囲気を楽しめる,全長4679m(クローズドβテスト時点での本作において最長)のルートだ。 実在する街をそのまま再現したわけではないが,ストレート部分は国道1号線日比谷通りの,日比谷から二重橋前を通って大手町へ抜けるあたりや,秋葉原の中央通りのあたりがモチーフになっているようだ。 ルート自体が長いため,非力な車にとっては少しきつめだが,東京でのドライブ気分は味わえるだろう。
●左:これまでに公開されたコースのうち,最長となるTokyoマップのBroadways #4 ●右:とにかくストレートが長いため,パワー勝負になりがち。だが,曲がりくねったセクションもあり,テクニックも必要だ
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■ロビーやルーム,ショップの画面デザインが変更に
今回新しくなったロビー画面。この画面から,フレンド登録なども可能になっていた
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これまでに挙げてきた要素以外では,画面のデザインにもいくつか変更が加えられていた。 最も大きな変更は,「VS」モードのロビー画面やルーム画面だろう。全体的なデザインが様変わりしているだけでなく,オッズが表示されるようになっていた。どういった条件に基づいてオッズが設定されるのかは不明だが,どうやら車の性能差などによって,ゴール時に得られるXP(経験値)やPP(ゲーム内通貨)などが変わってくるようだ。
また,ショップでは自車の性能表示画面のデザインが,変更されていただけでなく,新たなパーツが追加されていた。ちなみにクローズドβテストでは,スタートした時点で50万PPを所持しており,これを使って車両やパーツの購入が可能になっていた。車種によるドライビングフィールの差については後述する。 ショップ画面では,「スポンサー」「ギフト」というボタンが目に付いた。ボタン自体は技術テストの段階ですでに実装されていたが,機能についてはクローズドβテストでも未実装のまま。ギフトはおそらく,アイテムをほかのプレイヤーにプレゼントする機能ではないかと思われるが,それだけにスポンサーがどういったシステムなのか,非常に気になるところである。ひょっとしたら,ほかのプレイヤーにPPをプレゼントできるだけのものかもしれないが,複数プレイヤーでチームを結成して,それぞれがPPを稼ぎ,エースドライバーに稼いだPPを投資して,高価な車種や高価なパーツを付けさせる……といった遊び方もできたら,それはそれで楽しそうだ。
●左:レース終了後,XPやPPをもらえる画面のデザインも変更されていた ●右:ショップ画面では,車の下にある性能を表すバーや各種ボタンが見やすくなった
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■異なる個性を持つ車種をカスタマイズする楽しさ
ここからは,技術テストのプレビューではお届けできなかった,ショップで販売されている車種について紹介しておこう。 2ドアクーペの「QUADRO SD T5」は,デフォルト車種「CORUS S2」同様,サーキットとストリートに対応しているが,CORUS S2よりも高い基本性能を持っている。そのため,TokyoやCircuitなどのマップでは,QUADRO SD T5を使用する人も多くなりそうである。 バギータイプの「BUGGY EVO II」は,軽量であるぶん,加速力が非常に強い。例えばTokyoマップのBroadways #4のように直線が長いルートでは,ノーマルのCORUS S2あたりでは太刀打ちできないような加速を見せる。また,鋭いコーナリングも可能だ。だが,デメリットも当然あり,他車と接触すればはじき飛ばされてしまうし,コーナリング時にハンドリングを誤るとスピンしてしまいやすい。見た目からすると,オフロード専用車のようではあるが,オンロードでも十分走れるので,他車との接触やコーナリングのミスを回避できる自信の持ち主には,この車種をオススメしたい。
なお,当然のことながら全車種は,ショップでパーツを購入すれば,チューンナップ可能だ。筆者はクローズドβテストでは,CORUS S2のタイヤ,ブレーキ,サスペンション,シャシー剛性をワンランクずつ強化してみたのだが,全体的にキビキビしたドライビングフィールを得られた。予算が許せば,エンジン周りの強化も試してみたかったのだが……。このように懐具合を確かめつつ,頭をひねってカスタマイズするのも,本作の楽しみ方の一つである。
●左:QUADRO SD T5で走行中。加速,最高速度,ハンドリング,制動距離などすべてCORUS S2より上だ ●右:BUGGY EVO II。軽いだけあってとにかく加速がいいのだが,そのぶんハンドリングがシビア
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■存分に楽しむには,ステアリングコントローラが必須
筆者は今回のテストで,最大7人で走ることができた。だが,ラグが生じたのは1回だけで,あとはとくに問題なく遊べた。日数が空いてしまったため厳密に比較できないが,技術テスト時より軽くなった印象もある
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最後に,クローズドβテスト全体を振り返っておこう。前述してきたとおり,ドライビングフィール,ルート,画面デザインなどに変更が加えられており,開発が着実に進んでいる印象だ。 冒頭に述べたとおり,レース時の通信方式が2種類用意されていたのだが,プレイしている感じでは,その時点でどちらの通信方式になっているのか,ほとんど区別が付かなかった。 また,技術テストではレース時に,若干ながら重たさを感じる局面もあったのだが,これもほぼ解消されていたようだ。実際,時速100km/hに達した段階でも,かなりの高速感を味わえるようになったのは,レースゲームファンとして嬉しいところ。使用車種をカスタマイズし,150km/hや200km/hの世界に達する日が来るのを,待ち遠しく思う。
さて技術テストのプレビュー記事で,本作がフォースフィードバックに対応しているとお伝えしたが,今回のクローズドβテストに併せ,ステアリングコントローラを購入して実際に使ってみたので,その印象についても言及しておこう。
筆者は,プレイステーション2用の「GT FORCE Pro」(ロジクール)に,同じくロジクール製のPC用ステアリングコントローラ「WingMan Formula Force GP」用のデバイスドライバを組み合わせるという,いささか変則的な方法で無事動作を確認できた。メーカー保証外ではあるが,もしもPC用のステアリングコントローラを入手できない場合は,試してみる価値はあるだろう。とはいえ,ゲームポットには公式に対応する製品名を発表してほしいところではある。 ステアリングコントローラを使用すると,やはりキーボードでの操作に比べて,車を運転している感覚を味わえる。ただし,オプションでフォースフィードバックの効き目を減らさないと,かなり運転しづらくなるのも事実。筆者の場合,フォースフィードバックを50%に設定したときですら,ハンドルが重く,数周走ると腕が疲れてしまうほどだった。10〜20%あたりに設定すると,遊びやすさと車を運転する感触のバランスがとれると思う。
おそらく,そう遠くない未来に,本作のオープンβテストが行われることになるだろう。記事を読み,興味を持ってくれた人は,可能ならステアリングコントローラを準備して,オープンβテスト開始日を待ってほしい。(ライター:デイビー日高)
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