MSI,新製品発表会を開催。デュアルMXMカード「Geminium Go」とRadeon X1950 XTX搭載製品は9月発売へ
MSIの日本法人,エムエスアイコンピュータジャパン(MSI-J)は都内で新製品発表会を開催した。発表会では,2006年8,9月以降に発表される製品が実際に展示されていたが,今回は4Gamer読者にとってとくに気になると思われる,個性的なグラフィックスカード3製品について紹介してみたい。
■デュアルMXMカード「Geminium Go」は9月発売予定
Geminium Goのサンプルカード
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COMPUTEX TAIPEI 2006で展示されていたので,覚えている読者も多いと思われるデュアルMXMカード「Geminium Go」(仮称)。MXMは「Mobile pci eXpress Module」の略で,NVIDIAの提唱するノートPC向けグラフィックスモジュールの規格だが,今回はMSI製ノートPCが搭載しているのと同じというGeForce Go 7600搭載のMXMを2枚搭載した状態で展示されていた。
COMPUTEX TAIPEI 2006における展示品とは異なり,チップクーラーを搭載して実際に動作していたGeminium Goだが,デモ機で確認してみると,現在のところNVIDIA SLI(以下SLI)動作はしておらず,片側のMXMしか動作していない。この点についてMSI-Jの製品担当である巫 健銘氏は,「現在,MSI独自ドライバを開発中です。それによってSLI動作するようになります」とのこと。Geminium Go×2によるQuad SLI動作も視野に入れて,ドライバの開発は進められているという。
ドライバのコントロールパネルをチェック。MXM上のGPUがそれぞれPCI Express x8で接続されているのと,PowerMizerが動作していることは確認できた。一方,SLIの項目はなく,動作していないのが分かる。また,さすがにCoolBitsフラグを立てるわけにはいかなかったので,動作クロックは確認していない
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MXMを1枚取り外したところ。MXMの固定は2個のネジで行われている
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ちなみにカードは,ベースとなる“インタフェースカード”の表裏に,MXMスロットを1基ずつ搭載する仕様だ。発熱およびショート対策か,インタフェースカードのMXM装着部分は四角くスペースが空けられていた。 巫氏によれば,9月に,店頭価格3万5000円前後で発売予定とのこと。いよいよ登場となるデュアルMXMカードは,思いのほか入手しやすくなるかもしれない。(GeForce 7600 GS相当×4にどこまで性能面で期待できるかは別として)カード2枚,7万円の投資でQuad SLIというのもなかなか興味深く,具体的な発売のアナウンスが楽しみな製品といえる。
MXMの構造を確認するため,角度を変えて撮影してみた。よほどのことがない限り干渉しないとは思うが,カード裏面側のチップクーラーはかなり上方向に出っ張っている
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■HDMI対応のGeForce 7600 GTと ■ファンレスGeForce 7900 GTもこの夏に
デモ機で動作中のNX7600GT Diamond Plus
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さて,残る2製品は,HDMI出力に対応したGeForce 7600 GT搭載製品「NX7600GT Diamond Plus」,そしてファンレスのGeForce 7900 GT搭載製品「NX7900GT-VT2D256EZ」である。
順番に見ていくと,まずNX7600GT Diamond Plusは,先に秋葉原でバルク品が少量流通していたカードの“製品版”ということになる。出力インタフェースはHDMIとデジタル/アナログRGB(DVI-I,デュアルリンク対応)で,S/PDIFによるデジタルサウンド入力もサポート。S/PDIFケーブルはパッケージに同梱され,HDMIケーブルの同梱は「検討中」(巫氏)とのこと。予想実売価格は3万円前後で,2006年9月に正式発売予定だ。
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続いてNX7900GT-VT2D256EZは,リファレンスクロックどおり頂点シェーダユニット470MHz,ピクセルシェーダユニット450MHz,メモリ1.32GHz相当で動作するGeForce 7900 GTカードを,ヒートパイプでつないだ2枚のヒートシンクで挟み込む仕様の製品だ。こちらは2006年8月中に,「現行のMSI製GeForce 7900 GTカードとそれほど変わらない価格で」(巫氏)登場するそうなので,4万円台半ばくらいになるのではなかろうか。
NX7900GT-VT2D256EZ。発表会の会場内は汗ばむほど暑かったのだが,そんな中でも,補助のケースファンなしで問題なく動作していた
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■Radeon X1950 XTXの登場はまもなく?
このほか発表会では,グラフィックスカードやマザーボードなどのロードマップが示されたが,やはり気になるのは,今回の発表会で新製品のなかったRadeon関係。2006年7月20日の記事でお伝えしたように,ATI Technologiesは「Radeon X1950 XTX」という新型GPU(グラフィックスチップ)を用意しているようだが,それを裏づけるかのように,MSIのロードマップには「RX??50XTX-VT2D512E」という製品の名が刻まれていた。もちろん「これはRadeon X1950 XTX」と断言はできないが,スライドには,グラフィックスメモリがDDR4であるという記述もあり,どうやら,まず間違いないと見てよさそうである。
Radeonシリーズのロードマップを示したスライド。Radeon X1950 XTX(と思われるGPU)のほかにも,気になる記述が多い
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また,同じスライドからは,Radeon X1600/X1300系の後継GPU搭載製品の存在も確認できた。スライドから推測するに,Radeon X1950 XTXと同じタイミングで登場するわけではなさそうな気配だが,遅くとも2006年11月には出揃うロードマップになっているわけで,そう遠くない将来に登場するものと思われる。
DirectX 10を前に,なんとなく落ち着いた気配を見せつつあったGPU市場だが,MSIの発表会を見る限り,まだまだ面白い製品は登場しそうな気配。最近はCPUのほうが目立っているが,GPUについても,ゲーマーとして注意を払っておきたいところだ。(佐々山薫郁)
発表会では,IntelとMSI両社の販売代理店であるシネックスが,Core 2シリーズの人気について言及する一幕も。同社によれば,Core 2 Duoは最近のIntel製CPUのなかでは群を抜いて発注数が多く,発表後1か月の出荷量は5倍以上に達する予想という。売れ筋が実勢価格4万円超のCore 2 Duo E6600であることも明らかになった
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