[COMPUTEX 2005 #10]原子炉冷却機構採用にファン隠蔽仕様のグラフィックスカード
■原子炉冷却の仕組みでGPUを冷やす!
SAPPHIRE Blizzard RADEON X850 XT Platinum Edition。水冷の65倍効率よく冷やせるということで,オーバークロック性能も期待してしまいそう
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Sapphire Technology(以下Sapphire)がかなり力を入れているのが「SAPPHIRE Blizzard RADEON X850 XT Platinum Edition」だ。「Blizzard」とは,同社が提唱する新しい冷却システムの名称で,クーラーユニット内部に封入されている液体金属をポンプで循環させることにより,ビデオチップやビデオメモリなどの発熱部から効率よく熱を移動させていく仕組み。なんと,原子炉の冷却にも採用されているものだそうで,Sapphireによれば,ビデオカードの冷却用として採用したのは同社が初めてという。ちなみに液体金属冷却システム自体はnanoCoolersから提供を受けたものとのこと。
この仕組みでは,ヒートパイプのように,内部に封入した水を蒸発させたりしなくていいから,設置時における上下転置の制約がない。また,水を循環させる水冷式と比較した場合,冷媒となる液体金属の熱伝導率が水と比較して圧倒的に高いこともあり,熱の移動効率が高い。その比率は手元の資料によれば65倍とか。ただし,液体金属を循環させる関係上,ポンプに出力が求められるので,省エネという意味では少々問題ありかもしれない。ファンは2基搭載で,いずれも静音タイプだそうだが,実際に動作中のカードに近づいてみた感じでは,騒音はそれなりにあった。
ちなみに,このBlizzardシステムは,将来出てくるであろう,さらに発熱の厳しい次世代RADEONへの対応が容易という。
左:現時点ではBlizzardシステムの背が高いため,カード装着時には隣接するスロットが使用できなくなる
中:実際の動作デモ。電源はカード動作用と,ファン&ポンプ動作用に2系統が必要だ
右:「発売時期と価格は未定です。日本の皆さん,発売されたら買ってください」とはCasey Chow氏。思わず「ハイ」と返事したくなってしまった人いませんか
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6月からのSAPPHIRE SELECTはこのラインナップ。好みのタイトルのフルバージョンを,決められた数だけダウンロードできる
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SAPPHIRE Blizzard RADEON X850 XT Platinum Editionには,液冷システムのほかにも注目したい点があったので紹介しておこう。それは新しいゲームバンドルシステム「SAPPHIRE SELECT」だ。これは,あらかじめ用意されている複数のゲームタイトルの中から自分の好きなものをいくつか選んで,SapphireのWebサイトからフルバージョンををダウンロードできるサービス。SAPPHIRE Blizzard RADEON X850 XTでは,「Brothers in Arms:Road to Hill」「Richard Burns Rally」「Silent Hunter III」「SWAT 4」など11タイトルから2タイトルを選択可能だ。遊びたいゲームをユーザー本位で選べるこのシステムはかなり画期的といえる。
■ファンを隠して静音化
NX6600GT-TD256E。見てのとおりヒートシンクの高さは2スロット分ある
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MSIの「NX6600GT-TD256E」はGeForce 6600 GTを搭載し,3Dゲームに必要十分な性能を持ちつつも,銅製ヒートシンクにヒートパイプを組み合わせる構造で,冷却機構内にファンを隠蔽したビデオカードだ。冷却機構は一見巨大なファンレスヒートシンクだが,実は,中に70mm角のファンが取り付けられている。ビデオチップからの熱はヒートパイプで巨大ヒートシンクに伝わり,それはファンの風で一気に冷却されるという仕組みだ。ファンの音が直接外にもれないため,一般的な70mm角搭載クーラーより数dB静かになるという。 実はこの製品,販売中の同社製品「NX6600GT-TD128E」の別バージョンという位置づけ。簡単に言えば,NX6600GT-TD128Eのメモリ容量を倍の256MBにして,冷却機構をヒートパイプベースに変更したというわけだ。発売時期,価格は残念ながらともに未定。
左:側面から見ると,ヒートシンク内にファンが埋め込まれているのが分かる
右:ヒートシンク固定器具に「MSI」。芸が細かい
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■メモリ512MB版RADEON X800 XLをファンレス化
Info-Tekの「GECUBE RADEON X800XL PCIe 512MB SilenCool Edition(GC-HP800XL-E3)」は,6頂点パイプライン×16ピクセルパイプライン仕様でハイエンドクラスのRADEON X800 XLを搭載しながら,ファンレスを実現したビデオカードだ。カードの両面にヒートシンクを配し,ヒートパイプでつなぎ合わせた方式。ファンレスなので当然ノイズはゼロである。コアクロック400MHz,メモリクロックは980MHzで,ビデオメモリはGDDR3 SDRAM 512MBと,パフォーマンス面に妥協がない。 価格は429ドル前後で,6月中に出荷予定だそうだ。(トライゼット 西川善司)
左:GECUBE RADEON X800XL PCIe 512MB SilenCool Edition。一件巨大なヒートシンクだが,高さはないので,隣接スロットは占有しない
右:ブースでは実際に動作させているところを公開していた
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