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KONAMI eスポーツ学院の生徒がリモートで油圧ショベルを操作! 産学連携による課外活動をレポート
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この取り組みはeスポーツ学院と,一般社団法人 運輸デジタルビジネス協議会(以下,TDBC)との産学連携によるもので,eスポーツ学院側からの働きかけによって実現したという。本稿では課外活動の様子をお伝えしよう。
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「物流の2024年問題,建設業界の2025年問題など,働き方改革や団塊世代の大量定年により,運輸や建築の現場では人手不足が深刻化している」とTDBCの事務局長理事である鈴木正秀氏は語る。
今回の活動もリモート技術による遠隔操作やICTの利用が,それらの解決策のひとつになると見ているからだそう。
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また,eスポーツ学院校長の梅村成樹氏は「生徒たちの選択肢が,eスポーツ業界やゲーム業界の外に広がったことが大きい」と話す。
eスポーツ選手が引退した後のセカンドキャリアは,コーチ業やストリーマー,ゲーム関連の企業への就職などが一般的だが,今回の取り組みを通じて新たな道が開ける可能性がある。さらに,eスポーツ選手や生徒の視点からのフィードバックにより,遠隔操作方法の研究開発に寄与することも狙いのひとつだ。
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実際,ゲームに親しんでいる若者は重機の遠隔操縦にも高い親和性があるという。例をあげると,TDBCが一般社団法人「千葉房総技能センター」と共同開催する「e建機チャレンジ」にて,プロeスポーツチームのSengoku Gamingが優秀な成績を残している。
同チームは決勝で惜しくも丸磯建設のチームに敗れてしまったが,予選では優勝チームを上回るタイムを記録しており,競技レベルでは引けを取らない遠隔操縦を行えていたようだ。
当日,生徒たちが重機の遠隔操作に使っていたのは2つのモニタと4つのレバーだ。正面のモニタには操縦席から見える映像,右のモニターには高い位置から俯瞰する映像が映っており,両方を見ながらレバーで操作する。
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また,操作室のシャッターを締め,モニターの映像のみを頼りにクレーンを操作するなど,実際の遠隔操作に近い状態でのオペレーションも行った。
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生徒たちは簡単な練習をしただけで,車体の旋回やアームの操作などをスムーズにこなしており,ゲーマーと遠隔操縦の親和性は確かに高いように思えた。ただ,初めての経験ということもあり「ゲームよりも緊張する」などと互いに話していた。
その後,本職のオペレーターが重機を操作する姿を見て「ヤバい!」と盛り上がる生徒たち。遠隔とはいえ実際に操作してみたことで,熟練のアームさばきの凄味が肌で理解できたようだった。
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気になる安全面については,国土交通省が有識者・関係業界・関係省庁の参画のもと,各社が開発するシステムを検証しつつ,ルールやガイドラインの整備を進めているという。例えば,通信が途絶えたときの緊急停止機能や,予期せぬ動作をしたときに即時停止できるシステムの導入は必須とされている。
取り組みはまだ始まったばかりで,考慮すべき点などもあるが,eスポーツのスキルを活かした新たなキャリア形成のモデルとして,この産学連携の取り組みは注目を集めるかもしれない。
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「KONAMI eスポーツ学院」公式サイト
「運輸デジタルビジネス協議会」公式サイト
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