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「Nornis Orchestra Live『Concerto di luce』」レポート。生演奏と歌唱が織りなす,彼女たちの優美な世界観
なお,本ライブの配信視聴チケットは3月22日23:59まで購入可能。視聴期間は3月23日23:59までとなっている。以下,ライブ内容のネタバレを含むため,これから視聴予定の人は注意してほしい。
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「Nornis Orchestra Live『Concerto di luce』」公式サイト
「Nornis」とは,戌亥とこさん,町田ちまさんによる女性2人組のボーカルユニットで,主にYouTubeへの動画投稿を中心に活動している(リンク)。“ボーカルユニット”と銘打っているだけあり,抜群の歌唱力を武器に,多くのオリジナル楽曲やカバー曲を発表している。
そして,本ライブは「にじさんじ」初のオーケストラライブで,指揮は栗田博文氏,演奏は東京フィルハーモニー交響楽団が務めている。オーケストラによる壮麗な演奏と2人の歌声が,どのようなハーモニーを生み出すのか,筆者も前々から気になっていた。
開演時間になると,東京フィルハーモニー交響楽団やバンドメンバーが登壇し,チューニングが始まる。筆者は1月にもオーケストラコンサートの取材に出向いていたため,この光景には見慣れていたが,「にじさんじ」のイベントとして目の当たりにすると,また違った新鮮さがあった。
チューニング終了後,マエストロ(指揮者)の栗田氏とNornisの2人が登場! 最初に披露されたのは「salvia」。出だしのピアノとコーラスが,より壮大な響きを生み出していた。原曲でもピアノの音色から始まる楽曲だが,生演奏の迫力は圧巻である。
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続いて披露されたのは,ハープや金管楽器が奏でる厚みのあるメロディーが印象的な「Transparent Blue」。曲の終盤では,2人のビブラートが会場全体に美しく響き渡っていた。
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この日(3月8日)は,夕方から天気が急変したこともあり,MCの序盤で戌亥さんが「皆さん寒くなかったですか? 大丈夫ですか?」と客席に問いかけた。少しかしこまった雰囲気のあるオーケストラライブだが,観客からは「大丈夫〜!」といった声が上がり,「にじさんじ」のライブらしい温かい空気感が漂っていた。
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「上質で贅沢な時間をお楽しみください」と話していた町田さんの言葉どおり,このあとも息をのむようなセットリストが続く。
バイオリンソロが曲に深みを与えた「Circle of stars」,冒頭のオーケストラアレンジや幻想的な曲調が際立つ「Lycoris」,そして「Wishing you」と,思わず聴き入ってしまうような楽曲が次々と披露された。戌亥さんの「どうでしたか?」という問いかけに,観客も大きな拍手で応えていた。
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配信中の視聴者コメントは2人にも見えているそうで,「栗田さんのライバーカメラ(特定のライバーのみを映し出すカメラのこと)はないです(笑)」「栗田さんはそもそもライバーじゃない(笑)」と冗談を交え,視聴者を笑わせる場面もあった。本公演では,ライブ中とMCの温度差も際立ち,そのギャップが印象的だった。
また,昼公演から参加・視聴していた人はすでに気づいているかもしれないが,本公演では昼と夜でセットリストが大きく変化していた。そのことについて触れた2人のトークに,筆者も思わずクスッと笑ってしまった。
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ここからはカバー曲の披露となり,最初に町田さんが歌い上げたのは「みちしるべ」(茅原実里カバー)。アニメ主題歌にも起用されたこの楽曲では,彼女の歌声とピアノの調和,そして徐々に盛り上がりを見せる演奏が見事にマッチしていた。
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戌亥さんは,スキマスイッチの名曲「ボクノート」をカバーし,観客を感動の渦へと引き込んでいく。本カバーは,2024年6月に発売された1st Mini Album「Tensegrity(テンセグリティ)」の初回限定盤にも収録されているが,オーケストラによる演奏であらためて聴くと,また違った感動を覚えるだろう。
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前半ラストの楽曲として披露されたのは「満ちてゆく」(藤井 風カバー)。グロッケンのやさしい音色がアクセントとなり,2人の歌声やメロディーを引き立てていた。
15分間の休憩を挟み,ライブは後半戦へ。フルート,バイオリン,ピアノ,ファゴットなど,さまざまな楽器が順に主旋律を奏でる「Abyssal Zone」(Instrumental)では,オーケストラの真骨頂を体感するとともに,生演奏の魅力が存分に伝わってきた。
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戌亥さんと町田さんが椅子に座りながら歌う「innocent flowers」は,スローテンポのアレンジが施され,観客の心に静かに染み渡っていく。心に響く歌詞が感動や涙を誘う「Goodbye Myself」では,時折奏でられるピッコロの音色やコーラスの歌声が,より一層引き込まれる要素となっていた。
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ライブも終盤に差しかかり,2人はこの季節にぴったりな「Fragment」を披露。花言葉から楽曲の世界観を構築したというこの曲を,伸びやかに歌い上げた。続いて,戌亥さんは自身のソロ楽曲「残光」を歌唱し,町田さんも「めっちゃ良かった」「泣いちゃった」と感想を口にしていた。
最後のMCで「皆さんいかがでしたか?」と問いかけると,盛大な拍手が送られ,ファンにとっても忘れられない思い出となったことが伝わってきた。客席ではバングルライトの光が一面に輝き,オーケストラライブならではの幻想的な雰囲気をより一層引き立てていた。
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本公演で販売されているグッズについてのトークや,2025年2月に公開された新曲「優しい君へ」のMV告知(該当ポスト)の実施後には,2人からの感想も語られた。ライブに向けて支えてくれた人たちへの感謝や,無事に開催されたことへの喜びが述べられ,温かい雰囲気が会場を包んだ。
「最後まで今日を良い日にしましょう」と声をかけ,ラストを飾るのは,先ほど告知された新曲「優しい君へ」。演奏終了後には,会場から「ブラボー!!」といった歓声が上がり,無事にライブは幕を閉じた。
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「Nornis Orchestra Live『Concerto di luce』」公式サイト
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