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イベント
新ミュージカル「スタミュ」-2ndシーズン- 囲み取材&ゲネプロレポート。先輩方の“卒業”に向き合うストーリー&パフォーマンスは必見!
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本作は,2017年から2020年まで上演されたミュージカル「スタミュ」シリーズを,新たなキャストで再構成した新シリーズとして,2024年1月に始動した新ミュージカル「スタミュ」の2作目にあたる。前作同様,脚本を手がけるのは,アニメのシリーズ構成を担当したハラダサヤカ氏だ。
本稿では,公演に先駆けて行われた囲み取材とゲネプロ公演の様子をレポートする。物語や演出のネタバレを含む記述や写真があるため,これから観劇を予定している人は注意してほしい。
1年ぶりに集結したキャスト陣が
見どころや想いを存分に語る
ゲネプロ前には,本公演で主要キャラクターを演じる星谷悠太役の三井淳平さん,那雪 透役の田口 司さん,月皇海斗役の司波光星さん,天花寺 翔役の宮内伊織さん,空閑 愁役の松井健太さん,鳳 樹役の吉原雅斗さんへの囲み取材が行われた。キャスト陣からは,本作の見どころや役作りでの苦労といった裏話が存分に語られた。
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――本公演の見どころを教えてください。
三井淳平さん(星谷悠太役):
本作は,ミュージカルスターを目指す学生たちの物語です。そのため,僕たち役者の信念やプライドが,お芝居にも色濃く反映される部分が多いと感じています。同時に,それこそが「スタミュ」を舞台化する理由でもあるのではないかと思うので,ぜひそうした点にも注目していただけるとうれしいです。
田口 司さん(那雪 透役):
今回は,前シリーズの2ndシーズンでは歌われていなかった新曲が加わっています。また,新たに追加されたシーンもあるので,ぜひ注目していただけたらと思います。
司波光星さん(月皇海斗役):
僕たち1年生が,前作と比べてどのように成長し,チームとしての絆を深めたのかを楽しんでいただきたいです。そして,先輩方の「これぞ華桜会!」といったパフォーマンスにも注目していただけたらと思います。
宮内伊織さん(天花寺 翔役):
前作(新ミュージカル「スタミュ」)では,それぞれバラバラだったキャラクターたちが「team鳳」として走り始めました。今回は「元・team鳳」として物語が始まりますが,自分たちのパフォーマンスや,先輩たちをどのように送り出すかという点が見どころかなと思います。
松井健太さん(空閑 愁役):
「スタミュ」は,“青春”をテーマにした作品です。今作でも,泥臭く,全力で青春を楽しむ僕たちの姿を,ぜひ楽しんでいただけたらと思います。
吉原雅斗さん(鳳 樹役):
今回は,3年生が卒業していく物語ということで,僕たち自身も“卒業”をしっかりと噛み締めながら,皆さんに新たな道を示していけたらと思っています。
――ご自身以外のキャストの見どころや,好きなシーンを教えてください。
三井さん:
ほかのキャストの見どころといえば,伊織(天花寺 翔役)の“猫”ですね。作中で猫のような仕草をするシーンがあるのですが,通し稽古で「SEの猫の鳴き声と似すぎている」という新しいダメ出しが飛んできまして(笑)。うますぎてダメ出しされるほど達者なので,ぜひ注目していただけるとうれしいです。
田口さん:
僕が一番観てほしいのは,2幕の冒頭にある鳳先輩のソロ曲です。先輩のダンスが本当にカッコよくて,「先輩についてきてよかったな」と思える楽曲になっています。
司波さん:
僕たちのライバルであり,仲間でもある「team柊」の楽曲は見どころが満載で,彼らのパフォーマンスを見ると「もっと頑張らなきゃ」と思わされます。彼らの演技にもぜひ注目していただけたらと思います。
宮内さん:
僕は「元・team鳳」の仲間や,鳳先輩(吉原雅斗さん)ですね。稽古の段階から,気持ちが奮い立つシーンや,感銘を受ける場面がたくさんあって,皆が僕を感動させてくれました。それが自分の芝居にもつながっていますし,お互いに影響し合うチームの関係性を観ていただけたらと思います。
松井さん:
劇中では,「華桜会」の楪先輩,漣先輩,暁先輩の3人による楽曲があるのですが,普段の華桜会は鳳先輩や柊先輩の2人がクローズアップされることが多い中,今回は3人にもスポットが当たっています。ぜひ聴いていただきたいですね。
三井さん:
確かに。そういえば,柊先輩の好きなところが一つあって,2幕終盤の流星くん(柊翼役)のお芝居がすごく好きなんです。柊先輩と「team柊」の関係性を象徴するシーンになっていると思うので,そこも楽しみにしてほしいですね。
吉原さん:
本作では,「華桜会」から脱退した鳳のために皆が奮起する場面があり,僕としても見どころだと感じています。また,「元・team鳳」と鳳が一つのチームになるような場面もあって,恥ずかしながらも「うれしいな」と思えるシーンでした。ぜひ見つけていただきたいですね。
――稽古や役作りで苦労したことはありますか。
宮内さん:
本作では,僕たちの日常が垣間見える場面がふんだんに盛り込まれています。そのなかには,天花寺が飼っている猫が登場するドタバタしたシーンもあり,最初は苦労しながら演じていたんですけど,今では結構面白いシーンになっているんじゃないかなと思います。
田口さん:
前作では,各キャラクターが個々に苦悩を抱えていましたが,本作ではチームとしての結束をより大切にしなければならない場面が多く,役作りの仕方や考え方から前作との違いを感じました。演じるにあたって話し合う時間も増えたので,そういうところが難しくもあり,楽しかったですね。
松井さん:
「-2ndシーズン-」は,それを歌で表現することが多かったですよね。前作は芝居で作り上げることができましたが,今回は僕たちの場合,歌でつないでいかなければならなくて,最初からそれが課題であり,やるべきことだと感じていました。やっと形が見えてきた気がするので,ゲネプロを通してより一層固めていけたらなと思っています。
司波さん:
新ミュージカル「スタミュ」では,歌・演技・ダンスの3つが主軸になってくると思うんですけど,僕らは5位でテストステージを突破したグループなので,前作と比べて成長した部分を提示できなければいけないのかなという責任もあります。でも,本当にチーム一丸となって作り上げている作品で,そこがかなり重要な部分ではないかと思っています。
三井さん:
逆に雅斗くんが苦労したことってありますか?
吉原さん:
鳳 樹は奇才であり天才なので,そこに順応していくのはすごく大変ですね。さっき司くん(那雪 透役)が話してくれた2幕のソロ楽曲は,彼の葛藤や解放を表現しているんですが,1人の歌声でそれを皆さんに届ける難しさを強く感じています。絶対に良いものにしたいという思いが,プレッシャーにもなっていました。
司波さん:
こんなに苦労しているようには見えないくらい,さらっと素晴らしいものを提示してくるので,僕は心打たれてしまいます……!
三井さん:
「スタミュ」は楽曲がすごく多くて,その分覚えることも多いんですよね。しかも今回は,アンサンブルも6人という少人数なので,僕たち以上に覚えることが多くて。だからこそ,みんなで情熱を燃やして臨んだ稽古だったんじゃないかなと思いますね。
――「元・team鳳」が再集結したということで,久々に集まってみて感じた変化や感想を聞かせてください。
三井さん:
前作から1年くらい経ちましたが,びっくりするくらい変わらなくて……! みんな歳も近いし,第一印象からずっとこんな感じだったんですよね。
松井さん:
久々に会っても,空気感は変わらないんですけど,各々が1年の間にすごく成長したなと思いました。「こういう仕事をしてきたんだろうな」というのも感じますし,1年経って,すごく良い方向に進んだなと思います。
――最後に,本作への意気込みを一言お願いします。
三井さん:
「スタミュ」は“青春ドタバタミュージカルコメディ”ですから,僕たち「元・team鳳」が汗をかき,涙を流し,泥臭く頑張る姿が,人の心を勇気づけるんじゃないかなと感じています。だからこそ,責任を持って演じていきたいです。
また,卒業シーズンを間近に控えたお客様もいると思うので,新しいことを始める人や,何かを終える人たちの背中を少しでも押せるような作品にしたいと思っています。ぜひ頑張りますので,皆さん観に来てください!
田口さん:
今回の公演は「卒業セレモニー」ということで,僕たちにとっても,前作とはまた違った特別な想いが詰まった作品だと感じています。先輩方をしっかりと送り届けられるように,そして観に来てくださるお客様のためにも,“最高のステージ”をお届けできたらと思っています。
司波さん:
この作品を通して,「何度でも観に行きたい!」と思ってもらえるようなお芝居や歌,ダンスを皆様にお届けしたいです。そして,配信でも観てくださる方に楽しんでいただけるよう,精一杯チーム一丸となって頑張りますので,応援のほどよろしくお願いいたします!
宮内さん:
僕たちは1か月間,演出の吉谷さんを筆頭に,みんなで一生懸命稽古を積み重ねてきました。お客様の心が少しでも動くような作品になっていればうれしいですし,これからもチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。
松井さん:
新ミュージカル「スタミュ」では,僕たちがチームになるところから物語が始まり,本作では「卒業セレモニー」として,鳳先輩を送るまでが描かれています。一つひとつの場面を大切にしながら,お客様にも,僕たちの想いをしっかりと届けられるように,全力で頑張りたいと思います!
吉原さん:
僕たちにとっては「卒業」の物語なので,その瞬間をしっかりと噛みしめながら演じていきたいです。そして,観に来てくださるお客様にも,青春の時期だからこそ生まれる特別な表現や想いを感じ取っていただければと思います。
困難を乗り越えた先に待つ,
先輩たちの“卒業”
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「スタミュ」とは,音楽芸能分野の名門校である“綾薙学園”を舞台に描かれる青春ミュージカルストーリーだ。
主人公の星谷悠太は,中学時代に出会った高校生に憧れ,綾薙学園への入学を果たす。しかし,同じミュージカル学科に進むためには,入学後に行われるオーディションに合格しなければならない。とくに,ミュージカル学科のトップ「華桜会」に選ばれ,「スター枠」として直々に指導を受けることが,成功への近道とされている。
ミュージカルに関しては素人同然の星谷だったが,華桜会所属の鳳 樹に才能を見出され,スター枠「team鳳」の一員として,チームメイトの那雪 透,月皇海斗,天花寺 翔,空閑 愁とともにミュージカル学科への入科を目指していく……というストーリーだ。
本作では,さまざまな困難を乗り越え,無事に入科オーディションに合格したあとの物語が展開される。
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ミュージカル学科には,「スター枠」のチームが感謝を込めてパフォーマンスを披露する伝統行事「卒業セレモニー」が存在する。これは,自らの師でもある華桜会の生徒に,自分たちの成長を見てもらう“最後の晴れ舞台”でもある。
星谷たちは無事にミュージカル学科への入科を果たしたが,鳳が華桜会を脱退しているため,卒業セレモニーへの参加資格を持てずにいた。
鳳を華桜会に復帰させ,感謝の気持ちを伝えるため,「元・team鳳」のメンバーは“ある”計画を実行に移していく……。
新ミュージカル「スタミュ」シリーズの見どころは,タイトルの通り“歌唱シーン”だ。アニメシリーズの楽曲とオリジナル楽曲が主に展開され,本作でも開幕直後から「ユメ・イロ」や,星谷たちの仲間でありライバルでもある「team柊」の「スター・オブ・スター!」など,ファンにとって馴染みのある楽曲が多数披露された。
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前作(新ミュージカル「スタミュ」)よりも,チームとしての結束がより強まった「元・team鳳」,スター・オブ・スターとしての実力を発揮する「team柊」,ミュージカル学科のトップとして,また先輩としての威厳を示す「華桜会」,そして鳳 樹。それぞれが異なる魅力を持つ三者三様のパフォーマンスが楽しめるのも,本作の大きな魅力の一つではないだろうか。
そして,囲み取材でも松井さんが言及していたように,今回は前作に比べ“歌”で紡ぐシーンがかなり多く感じられる。“演技”だけでなく,“歌唱”によって物語や感情を表現するという,ミュージカルならではの醍醐味を存分に堪能していただきたい。
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続いて注目したいのは,オリジナル要素を取り入れたストーリーだ。新ミュージカル「スタミュ」-2ndシーズン-は,OVAとして収録された第13幕,第14幕(第1期)をベースとしているが,アニメでは描かれなかった彼らの日常風景がたっぷりと盛り込まれている。
冬休み前の大掃除シーンでは,「元・team鳳」のメンバーである天花寺 翔が,愛猫のタヴィアンと戯れる場面もあり,キャラクターの人間性や性格に触れられるシナリオに,筆者も思わず物語へと没入してしまった。今年(2025年)でアニメ放送10周年を迎え,今後ますます盛り上がっていくことが期待される「スタミュ」だが,本作はその先駆けとも感じられる。
さらに,物語を彩るのは「元・team鳳」だけではない。前作で圧倒的な存在感と実力を示した「team柊」や「華桜会」のメンバーにもスポットが当てられている。
綾薙祭のテストステージでトップの座を獲得した「team柊」だが,その重圧から「卒業セレモニー」の演目を決められず,苦悩することとなった。また,星谷たち1年生の憧れである「華桜会」も,次期華桜会メンバーの選抜という難題に直面し,その対応に苦戦していく。
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登場人物の繊細な心情を丁寧に描いた本公演は,“人間誰しも迷うことがある”ということを,あらためて私たちに教えてくれた。
新ミュージカル「スタミュ」-2ndシーズン-東京公演は3月9日まで上演され,その後,3月15日・16日に大阪のCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールでの公演が予定されている。また,東京公演初日(3月1日)と大阪公演最終日(3月16日)にはライブ配信も決定している(該当ポスト)。
当日券も用意されているため,前作からさらにパワーアップした彼らのパフォーマンスを,ぜひその目に焼き付けてほしい。
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新ミュージカル「スタミュ」-2ndシーズン-公式サイト
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