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印刷2024/11/18 13:13

イベント

スタッフの業務に対するモチベーションを上げるには。会社×ゲーミフィケーションの実践事例が紹介されたオンラインセッションをレポート

 日本オンライン教育産業協会と産経新聞社は,2024年11月5日から8日にかけて,オンライン教育の各分野の研究者,有識者,eラーニングサービス企業が集結して,ノウハウやソリューションを発信する「eラーニングアワードフォーラム2024」をオンラインで開催した。

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 本稿では,11月7日に行われたセッション「従業員のモチベーションを上げる,会社×ゲーミフィケーション実践事例」をレポートする。登壇したのは以下の5名だ。

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・日本ゲーミフィケーション協会 代表 岸本好弘氏
・Misfits Founder 大森寛之氏
・Misfits Product Creator部署 Creator 野老美希氏
・さきがけ税理士法人 代表/税理士 黒川 明氏
・セガ エックスディー エクスペリエンスデザイン部部長 田岡 雄氏


会社×ゲーミフィケーション


 岸本氏は,ゲーミフィケーションの活用分野として,従来の教育や健康に加え,昨今における地域振興やSDGsなどの社会課題を挙げる。また最近では,社会人のDXやリスキリングにもゲーミフィケーションが活用されていることを紹介した。

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 そうした新しいゲーミフィケーションの活用分野の1つとして注目を集めているのが「(会社側からの)働き方」だ。つまり,従業員のモチベーションを上げるためにゲーミフィケーションを会社での業務のフローに採用するということである。本セッションでは,その実践事例が示された。

参考書籍も紹介された
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日本ゲーミフィケーション協会が掲げるゲーミフィケーションの定義と,ゲーミフィケーションデザイン6要素
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“伴走力”×従業員のモチベーションアップ


 Misfitsは,「学びへの伴走」をテーマに社会人向けの教育事業を行っている企業である。そのため現在社内では「学びに伴走する人材の育成」に重きを置いているそうだ。大森氏によると,伴走には“相手の話に耳を傾け,観察や質問,提案などをして相手の内面にある答えを引き出して目標達成すること”を目的としたコミュニケーションスキル,すなわち「コーチングスキル」が必要になるとのこと。

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 しかし,社員それぞれが通常業務で忙しい中,新しいスキルを習得するのは難しい。そこでコーチングスキルを鍛えるために,ゲーミフィケーションを活用しようと考え出した企画が,「コチクエ」である。具体的には,毎朝行う「コーチングトレーニング」と日常の中で行う「OGP」の2つを実践しているという。

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 コーチングトレーニングは,ゲーミフィケーションデザイン6要素の1つである「能動的な参加」を重視し,社員が義務ではなく能動的に取り組めるよう工夫している。たとえばコーチングスキルがいかに重要であるか理解を深めるためのディスカッションや講義を行ったり,外部の講師を招いてコーチングの重要性や面白さを伝えてもらったりしているという。
 また,これもゲーミフィケーションデザイン6要素の1つである「達成可能な目標設定」に基づき,幅広いコーチングスキルの中でも自身の成長を実感できる部分に絞って学習を進めているそうだ。

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知識ゼロからでもコーチングスキルの学習を進めやすくなるアイテムも用意
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 加えて,ゲーミフィケーションデザイン6要素の「賞賛を演出」と「即時フィードバック」も意識している。コーチングトレーニングでは毎回異なる社員同士でペアを組み,1人はコーチ役,もう1人はクライアント役を務める。

 その日1日の生産性を高めるためのコーチングのテーマを2人で決め,コーチ役は専用のシートに書き込みつつ,学んだ内容に沿ってコーチングを進めていき,クライアント役はコーチ役の質問に答えていく。ひととおり終わったら,役割を交代して同様に進めていく。

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 両者がコーチ役を終えたら,ゲーミフィケーションデザイン6要素の「成長の可視化」を実現するべく,互いに点数で評価しあう。しかしクライアント役がコーチ役を一方的に評価すると,気を使って点数が甘くなってしまうことが当初見受けられたそうだ。
 そのため現在ではコーチ役も自己評価の点数を出し,クライアント役の点数と比較して,どうしてそういった評価になったのかを話し合いながら,2人で最終的な点数を決める形式になっている。

 そうやって決められたコーチングトレーニングの点数は,社員全員が見られるシートに記入され,各自がどのくらいのレベルなのか,毎日のトレーニングでどのように数値が上がっていくのかなどを確認できるようにし,成長を実感できるようにした。さらに,相手のいいところにできるだけ着目して称賛したり,より点数を上げるためにアドバイスをしたりすることも意識したそうだ。

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 コーチングトレーニングを3か月続けた結果,社員全体の傾聴力が目に見えて上がり,顧客とのコミュニケーションが密になって顧客満足度が上がったという。またクライアントから話を引き出しやすくなり,業務がスムーズになる効果もあった。
 さらに副次的な効果として,部署の垣根を越えたコミュニケーションによる社内連携が円滑になり,点数を全体共有することで,成績のいい社員にコツを聞くなど能動的な学習行動が観られるようになったことも紹介された。

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 コチクエのもう1つの要素であるOGPは,「おバカさんで(O)ごめ〜んね(G)プログラム(P)」という社内制度を指す。冗談のような名前と思うかもしれないが,大森氏によると,2時間程度議論して考えたほど深い意味の名称だそう。というのも,コーチングスキルは,そのときどきで的確な質問をして相手が何を考えているのかを真摯に理解する「質問力」が重要となるからだ。

 そのため社内で,普段の会議などでも質問する習慣を付けるよう呼びかけていたのだが,実際にはなかなか質問が起きない状態が続いたという。その原因は,「今さらこんなことを聞くと馬鹿にされるのではないか」といった,社員たちの心理的な要因だ。そこで「馬鹿でもいいじゃないか」という共通認識を持たせるために,OGPという名称に決めたと大森氏は説明した。

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 具体的には会議の終盤10分を「OGPタイム」とし,1回質問したら1ポイント獲得。それをメッセージアプリの専用グループに投稿して自動集計し,ランキング形式で全体に発表する。これを3か月続けた結果,質問数が格段に増加し,新入社員が先輩社員に質問する機会が増えたり,情報伝達の漏れが少なくなったりしたそうだ。

 さらに会議の中で,自分が今,どの部分の理解が足りないのかを気づけるようになったり,社内で誰が積極的で誰が消消極的かが可視化されたり,人事面で役立ったりといった効果もあったとのこと。

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Misfitsでは,ほかにもゲーミフィケーションを活用した社内企画を展開している
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“お客様の超笑顔大作戦ゲーム”×従業員のモチベーションアップ


 黒川氏は,自身が代表を務める税理士法人に導入した「お客様の超笑顔キラキラシャキシャキ大作戦ゲーム」を紹介した。この取り組みは,ゲームと仕事を掛け合わせることにより,顧客満足度を向上するべく導入したものだ。具体的には,納期の早さや品質,契約本数など,チームやスタッフ個人による顧客が喜ぶ行動をポイントに置き換え,競うというシンプルな仕組みを作った。

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 その結果,2021年7月期から2024年7月期の3年間で売上約1.5倍,経常利益に至っては何と約11.7倍という劇的な効果があったそうだ。加えて,クライアントに対する値上げ交渉が成功した月間件数も大幅に向上。黒川氏は,「顧客が満足していないと値上げ交渉しても断られたり,契約を打ち切られたりする。値上げの件数が増えるのは,会社にとっていいこと」と説明した。

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 またGoogleのクチコミも,本店112件,新宿支店32件で,評価はいずれも星4.9と極めて好評だ。これもクライアントにクチコミを書いてもらうと,そのチームやスタッフにポイントが入ることにした結果だという。黒川氏は「ポイントが入るとなると,皆行動する」とし,業務のさまざまな要素にポイントを付与することにした結果,明らかな効果が出たと話す。たとえば,敬遠されがちな研修要素なども,ポイントが入るとなれば積極的になるそうだ。

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 同ゲームの運営ポイントも紹介された。黒川氏によると,まず毎日の順位変動と,1か月単位の結果発表といった定期的な情報の公開がゲーム的に重要だという。ランキングはチームと個人でそれぞれ発表され,上位者はヒーローインタビューを受けることになる。
 
 また,さきがけ税理士法人では,このランキングとチームやスタッフの評価は連動しておらず,かつポイントが多くても金銭や賞品は受け取れず,名誉だけが与えられることも示された。加えて,男性スタッフは個人ランキングに注目し,女性スタッフはチームでランキング上位を目指したがる傾向にあることも明かされた。

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 スタッフの同ゲームに対するスタンスの変化も示された。それによると確定申告前の超繁忙期に同ゲームの実施を宣言したため,導入期はスタッフの大半が冷ややかな対応だったという。

 しかし半年が経過したあたりからヒーローインタビューのテンションがノリノリになったり,「間接部門にも光を当てよう」という提案が出たりと,全体的に積極的になっていた。また,仕事の質にも同ゲームとの連動性が感じられるようになったとのこと。

 そして最近では,スタッフ全体が同ゲームに基づいてポイントを稼げる行動を取っていることが明確に感じ取れるようになったそうだ。また会社全体として取り組みたいことに対し,ポイント化を打診する提案も見られるようになった。

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 黒川氏は,同ゲームの導入によりスタッフのモチベーションが上がり,またスタッフの協力的な姿勢が強く見られるようになったと語る。さらにはスタッフ間で同ゲームについて話すことが増え,たとえば結果発表前に,まだポイントを取れそうなスタッフに対して「クチコミ書いてもらってこい」といったような呼びかけがなされたりすることも明かされた。
 そうした状況に対して黒川氏は,「ポイント目的とは言え,スタッフ各自の成長や顧客満足度につながる行動を起こせているのは,とてもいいことである」と話す。

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今後の展望も示された
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“マネジメントはRPG”×従業員のモチベーションアップ


 田岡氏は,RPGの仕組みをベースにゲーミフィケーションとマネジメントを掛け合わせた自身の事例を紹介した。観点となるのは,RPGから学ぶ「ゴール」と「育成」の大切さである。

セガ エックスディーが定義するゲーミフィケーションの具体的な手法の8属性が示された
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 まずゴールに関しては,RPGではよく「魔王を倒せ」というような最終目標が示される。しかし,そんな大きな目標をいきなり出されても達成できるわけがないので,プレイヤーはやる気をなくしてしまう。そこで,手始めに「まずは四天王の1人を倒せ」といった,「【達成欲求】段階ゴール」を示してプレイヤーのモチベーションを上げるという手法を使うのである。

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 実際,田岡氏の部署では,スタッフ各自の「将来ありたい姿」を明確にし,それを目指すための「3年後ありたい姿」「1年後ありたい姿」を決めさせるとのこと。そのうえで現状から1年後ありたい姿になるためにはどんな行動を取ればいいのかという直近の目標を決めさせて,業務に対するモチベーションを上げているという。
 加えて,仕事をする以上は収入を増やしたいという根本的な欲求もスタッフ各自は持っているので,出世条件を細かく,かつ明確化することで,目標をより具体的にするアプローチも取っているそうだ。

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 育成に関しては,「能力の可視化」が重要になるとのこと。RPGだと勇者は平均的に能力が高いけれども,魔法使いは魔法に特化している……といったように各キャラクターがそれぞれのクラスに応じた特徴を持っているが,田岡氏は部署内のスタッフも同じであるとし,スタッフ各自の長所や短所,特徴を明確化してマネジメントに生かせると語った。

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 能力の可視化は,ステータスに序列を設けることにより,さらに高いステータスを得たいという欲求を刺激する「【関係欲求】序列化」と,要素の組み合わせをユーザーが任意で選択することにより,異なる結果が得られる要として設計する「【有能欲求】組み合わせシステム」という2つの手法を使って行う。

 具体的には,面談の場でスタッフと上司が話し合いながら,そのスタッフの共通スキルや専門スキルを数値化し,そこから上司が求める数値を設定することで,スタッフ本人が自分の能力を俯瞰で把握できるようにする。

 さらにほかのスタッフとの比較で,自分が何に強くて何に弱いのかを明確にし,より成長したいという欲求を刺激しているそうだ。またプロジェクトリーダーはスタッフ全員の能力表を確認できるので,自分のプロジェクトに必要な能力を持つスタッフをアサインできるようになっていることも紹介された。

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そのほかのマネジメント関連の取り組みも紹介された
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職場におけるゲーミフィケーションの悩み相談コーナー


 セッションの終盤には,事前に募集した「職場でゲーミフィケーションを実践したいのに,なかなか実現できない」という悩みに対して,登壇者がアイデアを提供するコーナーも設けられた。

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 「周囲に反対される」という悩みには,基本的に「ゲーミフィケーションを導入すれば,こういう成果が得られる」という事例を示して根気よくプレゼンする,あるいは小さいところから実践して実際に成果が得られるという実績を示す,という提案がなされた。

 また田岡氏は,自身がセッション内で示したように,「なぜ,これをやることに意味があるのか」をしっかりと説明することにより,ロジカルに考える人であれば納得してもらえるのではないかと話していた。

 「病院勤務や建設業など,具体的にゲーミフィケーションを導入する方策が分からない」という悩みには,やはり「小さなことから始める」という提案がなされた。
 たとえば,「ラジオ体操に出席すると,カードにスタンプを押してもらえる」というだけでもモチベーションにつながるというわけである。またセガ エックスディーのような専門企業に相談するという提案もあった。

 「女性や外国人,ベテランにも使えるゲーミフィケーションとは」という質問には,野老氏が,とくに女性に向けたゲーミフィケーションに関するポイントとして,「即時フィードバック」と「称賛の演出」,そして「ソーシャライズ」を挙げた。

 これは女性がコミュニケーションを重視する傾向にあるためで,チームで業務に取り組んだり,お菓子などのアイテムを用いてコミュニケーションを取り,現状や悩みなどを聞いたりしてスタッフ各自のモチベーションを高めることが重要になるという。また,業務の結果だけでなくプロセスや過程を称賛することも,野老氏自身が女性スタッフのモチベーションを高める手法として意識していることも紹介された。

「eラーニングアワードフォーラム」公式サイト

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