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ゲームゲノムチームによるNHKスペシャルの制作も発表に。三浦大知さんが辻本良三氏らとトークを繰り広げたステージをレポート[TGS2024]
同局の番組「ゲームゲノム」のMCで,TGS 2024のオフィシャルサポーターを務める三浦大知さんが,「モンスターハンター」シリーズプロデューサーの辻本良三氏,ゲームジャーナリストの徳岡正肇氏,「ゲームゲノム」総合演出兼ディレクターの平元慎一郎氏とトークを繰り広げたステージの模様をレポートしよう。
左から徳岡正肇氏,辻本良三氏,三浦大知さん,平元慎一郎氏,アシスタントを務めたNHKアナウンサーの宮﨑あずささん |
満員の観客の前に登場した4人がまず口にしたのは,今年のゲームショウの盛況ぶり。ビジネスデーから会場を回っている三浦さんは「とんでもない盛り上がりで,熱いイベント」と表現し,辻本氏と徳岡氏は海外からの出展社や来場者が目立つことに触れ,平元氏もタイトルの数が膨大なうえ,どれも特徴的で刺激を受けたと話した。
そして本イベントのメインである「これが気になった イチオシNEW GAME+」のコーナーへ。その名のとおり,登壇している4人がTGS出展タイトルの中で気になったものを挙げるという内容だ。
三浦さんが挙げたのは「アストロボット」。飛行機を操作するときの風や,敵にやられたときのしびれ,ガラスの上を走るときなどの感触が,PS5のコントローラであるDualSenseの振動によって細かく再現されていることを力説し,「ゲーム体験がプラスされている」と表現した。
辻本氏は,自身が手がける「モンスターハンターワイルズ」を挙げたのだが,その理由が説明される前に,三浦さんがカプコンブースで同作を試遊した感想を語る流れに。拠点から狩り場までシームレスにつながるようになったことを「ワクワクが途切れない」と表現した。天候の変化がモンスターにも影響を及ぼすことに驚いたそうだが,辻本氏が横で見ていたこともあり,目的だったドジャグマの討伐には失敗してしまったそうだ。
三浦さんの熱いコメントを受けた辻本氏は,ロードを挟まないことで没入感を高めていることを説明。加えて本作では自然の豊かさと荒々しさを表現することに挑戦しており,それをゲーム性にも反映させたいと思っているそうだ。
ここで,番組が事前に募集した質問から「モンスターをデザインするうえで参考にしていることや気を付けていることはありますか?」というものが辻本氏に投げかけられた。
辻本氏は,そのモンスターが出現するタイミング(ゲームの序盤なのか,終盤なのか)や状況,遊ばせ方などを踏まえたうえで決めていると回答。また,あくまで架空の存在ではあるが,こんな生物が実際にいるかもしれないという“納得度”を高めることに注意を払っているそうだ。
徳岡氏が気になったのは「HYPER WOBBLER」。多数のフレームで構成された物体の中に表示される光を操作して,コインを取っていく3人用ゲームとなっている。操作はスティックで行うのだが,前後にしか動かない。説明を聞いてもどんなゲームなのか想像しづらいが,実際にプレイすると徐々に「分かってくる」そうだ。
このハードウェアには鏡が使用されていて,自分が操作している光を見失ってしまうこともあるという。そんなときは「俺,今どこ?」と,ほかのプレイヤーに聞くことになる。こういったユニークな体験ができる本作を,三浦さんは(ゲームという)概念を飛び越えていると表現した。
徳岡氏は,こういった専用ハードウェアを使用するゲームは,東京ゲームショウのようなイベントでないとなかなか体験できないため,この機会にぜひ触れてほしいと語っていた。
平元氏は気になるものが2つあるということで,1つめは「Qiddiya city」。これはゲームタイトルではなく,サウジアラビアで進行中の大型娯楽プロジェクトで,その中には「ゲーミング&eスポーツ地区」が含まれている。QiddiyaはTGS 2024にも出展しており,三浦さんはそのブースで,リアルとゲームの境目がなくなるようなアトラクションを楽しんだそうだ。
辻本氏はQiddiya cityについて「ゲームが世界で認められている証拠」と語った。
平元氏の2つめは「METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER」。今から20年前の2004年にリリースされた「METAL GEAR SOLID 3: SNAKE EATER」のリメイク作品だ。平元氏は,ジャングルでの潜入ミッションに挑む本作の緊張感が,グラフィックスの向上によって「よりヒリヒリと」表現されていることに加え,オリジナル版の見下ろし視点が肩越しになっているなど,新たな試みが行われていることも説明した。
これを受けて徳岡氏は「10年20年前の作品のリメイクが面白かったなら,開発陣はかなり努力している」と語った。その理由は,プレイヤーのいわゆる“思い出補正”が掛かってしまうからだ。昔プレイしたゲームは美しい思い出だけが残りがちなため,そこまでレベルアップさせるのは相当大変な作業になるようだ。
ここで話題はリメイクつながりで「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」に。三浦さんが「ロマンシング サガ2」の特徴である「ひらめき」システムや,「ゲームゲノム」で開発者の河津秋敏氏と対面したことなどを熱く語っていると,会場に聞き覚えのある声が響いて,スクリーンに人気実況グループの2BRO.(兄者さん,弟者さん,おついちさん)が登場した。
2BRO.は「ゲームゲノム」の副音声で実況を担当しており,「ロマンシング サガ2」回の感想もそこそこに,登場の目的を「番宣に来ました!」と明言。東京ゲームショウに合わせたゲームゲノムの再放送は終了しているが「(配信サービスの)NHKプラスで!」とストレートな番宣ぶりで会場の笑いを誘った。
すると平元氏も「大事な告知がある」と切り出し,ゲームゲノムチームによるNHKスペシャルの制作が決定し,すでに取材を進めていることを発表した。
タイトルは「デジタル・ホモ・ルーデンス(仮)」で,テーマは「ゲームと人類の現在地」。2024年度の冬に2週連続で放送予定とのことだ。
三浦さんはこの番組の制作を,イベントの台本で初めて知ったそうで「ゲームゲノムチームの一員だと思ってたんですけど」「何かやることないですか?」と動揺の色を隠せない様子だったが,平元氏が三浦さんや2BRO.にも協力してもらうことを明かすと,安心したようだった。
大事な発表が無事にすんだところで,イベントの終了時刻に。三浦さんは「今のゲームのワクワク感が伝わったらいいなと思います。最高の時間でした」,辻本氏は「これからもみなさんを驚かせるようなゲームを作っていきたい」,徳岡氏は「このあとにゲームアカデミーコーナーで若者が作った新しいゲームに触れてほしい」,2BRO.は「ゲームはやるのも見るのも楽しいけれど,そこで見えないものをNHKさんが発信してくれるので,ぜひ」と,それぞれのメッセージを残してステージをあとにした。
このイベントの模様は,10月6日0:30(5日深夜)から放送される予定となっている。別途行ったロケ取材の模様も盛り込まれるとのことなので,会場に行った人も忘れずに視聴してほしい。
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