インタビュー
[インタビュー]DreamHack Japanで唯一の賞金制大会「SnapDragon Pro Series Mobile Masters」はどのようにして開催されたのか
SnapDragon Pro SeriesはESL FACEIT GroupとQualcomm Technologiesによる,グローバルに展開するeスポーツプラットフォームであり,さまざまなモバイルゲームでeスポーツ大会を開催している。Mobile Mastersは「ブロスタ」において,世界4地域で2シーズンにわたって開催された大会の頂点を決めるもので,SnapDragon Pro Series初のグローバルチャンピオンが生まれたわけだ。
さて,その大会が日本で開催されたわけだが,なぜ日本で大会が開かれることになったのだろうか。その背景や日本でのモバイルeスポーツシーンについて,ESL FACEIT GroupのVice President of Game Ecosystems,Mobileを担当するSam Braithwaite氏と,QualcommのProduct Marketer & Creative StrategistであるMatthew Grossman氏に話を聞いた。
4Gamer:
DreamHack Japanで「SnapDragon Pro Series Mobile Masters」を開催した経緯を教えてください。
Sam Braithwaite氏:(以下,Braithwaite氏)
日本にはSupercellのタイトルで活躍しているプロチームも多く,日本でMobile Mastersを開催することを考えていたんです。ちょうどEFGがDreamHackのプランニングをしていて,タイミングが重なったことからDreamHack Japanで開催することができました。
4Gamer:
競技種目はなぜ,「ブロスタ」だったんでしょうか。
Braithwaite氏:
「ブロスタ」を選んだ理由は,世界的にまんべんなく人気のタイトルであり,地域によるその隔たりが少ないためです。より多くの人に楽しんでもらえるように,今回の選択になりました。
Matthew Grossman氏:(以下,Grossman氏)
Qualcommとしては参加のハードルを下げることを重要視しています。地域やデバイスなどで制限される中,できるだけ手軽にということを考えると,モバイルゲームが一番だと思っています。その中でESLとSupercellとともに「ブロスタ」の大会を開くことができたという経緯になります。それはとても嬉しいことです。
4Gamer:
日本のモバイルeスポーツシーンをどのように見ていますか。
Braithwaite氏:
ひとつ大きな印象としては,まだ日本はこれから成長していく市場だということです。海外ではすでにモバイルeスポーツのプレイヤー,それを視聴するコミュニティというのができあがっている市場がたくさんあります。日本はまだそれを構築している途中なのではないかと思っています。
ソニーや任天堂のハードウェアに紐づくゲーム文化が育まれてきました。しかし今回開催した「ブロスタ」などは,日本のプレイヤー数が最も多く,そういった面を見ても,日本のモバイルeスポーツ市場の成長に期待しています。
Grossman氏:
日本は強固なゲーム文化を持っている国ですが,ここ2〜3年でeスポーツ文化というものもかなり広がりを見せています。「レインボーシックス シージ」や「VALORANT」「ポケモンユナイト」などが人気ですね。
日本でモバイルゲームは「ソーシャルツール」として扱われている側面が強いですが,そうした中でeスポーツという段階へレベルアップしていくことに我々も関わっていきたいのです。10年〜20年先を見据えて,マーケットが成長していくと想定していますが,その中でも早い段階で大会を開催することで,成長を手助けしていきたいという思いがあります。
4Gamer:
世界的に見て,モバイルeスポーツはどのような盛り上がり方をしているのでしょうか。
Grossman氏:
モバイルeスポーツは特に東南アジアの国々において,かなりメジャーなものになっています。世界でトップ5に入るゲームのうち,2つはモバイルタイトルです。他の地域ではまだPCやコンシューマでのeスポーツが主流ですが,そのうち東南アジアの盛り上がりに追いついてくるのではと思っています。
Braithwaite氏:
Matthewさんの意見の通りです。付け加えると,EFGとしてはモバイルeスポーツのパイオニアになりたいと考えています。もともと我々は,まだ業界として未熟だったころからeスポーツに関わり,現在は大きな市場となっています。
eスポーツ業界が未熟だったころは,選手への給料の未払い,不平等な契約を結ばれるといった問題もありました。モバイルeスポーツではそういった問題を繰り返さないように,これまでのノウハウを利用して,プロフェッショナルな環境を構築していきたいと考えています。
4Gamer:
モバイルゲームはカジュアルなプレイヤーが多いと思いますが,そうした人たちとeスポーツというのはどう結びつくのでしょう。
Braithwaite氏:
今回のSnapDragon Mobile Mastersのような大会に出場できるのは,プロeスポーツとして楽しんでいるプレイヤーの中でもごくごく一部です。それとは別に,SnapDragonプロシリーズの中ではオープンと呼んでいる誰でも参加できるものを開催し,これには210万人ものプレイヤーが参加しています。カジュアルにeスポーツを楽しむコミュニティはたしかに存在していて,それはこれからもっと大きくなっていくと思っています。
4Gamer:
カジュアルにeスポーツを楽しんでいるのはどういった層なのでしょうか。
Braithwaite氏:
本当にさまざまな層が遊んでいますね。過去には若い女性が大会を勝ち進んできたり,おじいちゃんがチームを率いていたりといったこともありました。eスポーツというのは誰でも楽しめるものなんです。それがモバイルゲームであれば,なおさらその傾向は強くなります。我々が今作ろうとしているのは,すべての人がeスポーツを楽しめる時代です。
4Gamer:
次回以降のDreamHack Japanでどのような展開を考えていますか。
Braithwaite氏:
今回は初めての日本開催でした。SnapDragon Mobile Mastersだけではなく,さまざまなコンテンツを用意しました。今回の大会を踏まえて,日本の参加者が何を求めているのか,より理解を深めて,もっともっとローカライズを進めていき,次回は日本の人たちがより楽しめるものを作っていきたいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
「DreamHack Japan」公式サイト
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