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「HUNTER×HUNTER」THE STAGEは,ゾルディック家からキルアを連れ戻すまでの物語が展開される。初日会見&公開ゲネプロレポート
「HUNTER×HUNTER」は1998年に週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載を開始した漫画作品。主人公のゴンが父と同じハンターを目指し,迫りくる数々の難関に立ち向かっていく姿が描かれており,いまなお多くのファンを魅了し,新たな展開が待ち望まれ続けている作品だ。
本公演には,大友至恩さん(ゴン役),阿久津仁愛さん(キルア役),小越勇輝さん(クラピカ役),近藤頌利さん(レオリオ役),上田堪大さん(イルミ役),丘山晴己さん(ヒソカ役)をはじめとした豪華キャスト陣が出演している。
このほかにも数十名のキャストによって,ゴンが旅立つ序盤からハンター試験後にゾルディック家を訪れてキルアを連れ戻す場面までが舞台上で演じられることとなった。
本稿では,初日会見で出演陣が語ったコメントに加えて,公開ゲネプロの模様を現地写真とともにお届けしていこう。
初日会見では演出の山崎さんによるメッセージも
ゲネプロ開演前には,大友さん,阿久津さん,小越さん,近藤さん,上田さん,丘山さん,そして脚本・演出の山崎 彬さん7名による初日会見が実施され,本公演への意気込みや来場者へのメッセージが語られた。
まず大友さんから「千秋楽まで安全に楽しくみなさんにお届けできたらなと思います」との言葉があり,その際の初々しさに周囲のキャストからは「かわいい!」という声が漏れ出ていた。
ほかの面々からは4月から1か月ほどに及ぶ稽古期間への言及などもあるなか,丘山さんは「リンゴちゃんたち元気ー?」とファンサービス精神に溢れた第一声を披露し,「山崎さんが素晴らしいディレクションをくださいまして,スタッフさんにも支えられて,もう勝ちだなと思いましたと,キャスト以外も盤石の布陣であることを語った。
続いて山崎さんは,本公演について「学生時代に始まった第1回の連載から原作を読んでいます。そんな作品に素晴らしいキャストとスタッフといっしょに携わることができてうれしく思います」と心中を明かした。
また「HUNTER×HUNTERを読んでいるときに感じたワクワクした気持ちや,ゴンといっしょに冒険に出る感覚を客席で味わってもらえればいいなと思って作りました。千秋楽までよろしくお願いします」と公演に込めた思いを語った。
そこから話題は稽古期間中のエピソードにシフトしていき,山崎さんは「大友さんはオーディションのときから目がゴンそのものだなと思っていて出演が決まりました。本当にゴンが成長していくさまを見るような稽古だったのが印象深かったです」と当時を振り返った。
対する大友さんは「稽古や舞台は経験がありませんが,まわりのかたにアドバイスをいただき勉強になりましたし,うれしくもありました」とコメント。
すると丘山さんが「アドバイスを素直に受け取ってくれるのでスポンジのようでした。すべて吸収できる素晴らしいリンゴちゃんなんだなあと思いました」と実際にアドバイスを送ったときの大友さんの様子について言及。続けて山崎さんも「どんどんゴンになっていくさまが楽しかった」と大友さんに関して物語っていた。
随所で各キャラクターに焦点を当てた歌唱パートも見どころ!
本公演では,ゴンが故郷を出発する船旅のシーンから物語が始まり,その途中でミトとのエピソードや旅立ちの切っ掛けとなったカイトとの出会いが回想によって描かれていく。その後,ゴンが船上でクラピカとレオリオに初めて出会うシーンも展開される。
そしてクラピカとレオリオが口論の末,嵐に巻き込まれた船上で戦いを繰り広げる場面では,2人によるスタイリッシュなアクションパートはもちろん,甲板の外へ放り出されそうになった船員を,ゴンが捨て身のダイブで助ける大胆なジャンプアクションまでもが見事に演じられていた。
ハンター試験の会場にたどり着いた3人の前には,原作でも登場した受験者たちがズラリ。受験者の一人ひとりが原作に沿って服装から仕草まで再現されていた。全員が出揃ったところでステージを埋め尽くす人数のキャスト陣によるミュージカルパートへと突入。一糸乱れぬ圧巻のダンスと歌声が披露された。
ハンター試験が始まると,キルアやヒソカといった物語においてゴンと深い関係を持つことになるキャラクターも登場する。さらに原作でも描かれていたキルアが試験中にスケートボードで移動するシーンを,阿久津さんが実際にスケートボードを乗りこなして再現。試験の一環で走り続ける受験者の間を縫うように,見事なライディングを披露していた。
それからしばらく受験者が走り続けるシーンのなかで各キャラクターの交流が描かれていくと,長距離走によって疲弊したレオリオが服を脱ぎ始めてしまう。原作の描写による裸体以上に磨き抜かれた肉体を近藤さんは惜しげもなく見せつつ,レオリオの迫真の走り込みを熱演していた。
ヒソカが受験者たちと乱戦を繰り広げるシーンでは,丘山さんがアクロバティックな戦闘を華麗にこなし,倒された受験者数人を交えたダンスパートへ。ヒソカらしさが込められた歌詞とともに,奇術師と呼ばれる彼のパーソナリティが反映された独特なダンスによって,丘山さんがヒソカという唯一無二のキャラクターを見事に表現し切っていた。
ハンター試験中の料理試験は,一転してコミカルなタッチで進行。そのまま舞台は,原作の流れに沿ってネテロの登場シーンや塔で囚人と対決する場面まで進んでいく。
ゴンとキルアがハンターライセンスを賭けてネテロとボールの取り合いに興じる場面では,いろいろな演出手法を使って原作のアクションを再現していた。とくにキルアが特殊な歩法でネテロに迫るシーンでは,ステージ上に映像が投影され,アニメーション顔負けの表現に仕上げられていた。
塔における試験はコンパクトにまとめられており,おもに囚人衆との対決に焦点が当てられていた。そんななか,クラピカが緋の目を見せる場面は,壇上を赤く照らすライティングによって緋の目の特徴が大胆に表現され,小越さんの鬼気迫る演技がより一層際立っていた。
そうしてついに物語は,キルアの兄であるイルミが正体を現すシーンに入り,上田さんが壇上へと出現。さらに最終試験でイルミがキルアに呪縛の言葉を投げかける場面では,上田さんの歌唱パートも展開された。キルアを縛る言葉が,そのまま歌詞となっており,一般的な家庭からすれば偏執的とも取れるイルミの家族愛を上田さんが見事に表現し切っていた。
兄との邂逅を経て,ハンター試験後にキルアはゾルディック家の邸宅へと帰郷。しかし,ゴン,クラピカ,レオリオの3人はそれを良しとせず,キルアを家族の束縛から解放するべく,ゾルディック家へ向かうことに。
それに伴い,ゾルディック家のファミリーはもちろん,敷地内の掃除人や屋敷の執事といった面々も登場。さらに一家の大多数が出揃うシーンでは歌唱パートもあり,原作においても異様な存在感を放つ彼らの特殊性が舞台上の演出と合わせて,より一層強く発揮されていた。
カーテンコールでは,何十人ものキャスト陣が舞台上に立ち並び,観客に挨拶を交わして壇上を去っていく。最後にはゴンとキルアの2人が舞台上に残り,少年らしい爽やかな手振りで別れの挨拶とともに公演を締めくくっていた。
今回の初日会見及び公開ゲネプロに関するレポートは以上だ。キャスト陣による熱演,歌唱,ダンスに加え,アクションパートも素晴らしく,ライティングや小道具による各パートの表現も目を見張る出来になっていた。
原作ファンが見ても満足できることはもちろん,原作を知らない人でも物語を過不足なく知ることができるほど,ストーリーに忠実な構成となっていたので,キャスト陣から今回の舞台に注目している人もぜひ公演情報をチェックしてみてほしい(DMM TVにて初日公演の見逃し配信と,5月28日13:00千秋楽公演のライブ配信チケットも発売中)。
「HUNTER×HUNTER」THE STAGE公式サイト
DMM TVの「HUNTER×HUNTER」THE STAGEライブ配信ページ
公演日程
2023年5月12日〜5月28日
天王洲 銀河劇場
CAST ※敬称略
ゴン役 大友至恩 キルア役 阿久津仁愛
クラピカ役 小越勇輝 レオリオ役 近藤頌利
シルバ役 北村圭吾 ゼノ役 椎名鯛造
ミルキ役 皇希 ゴトー役 田鶴翔吾
ハンゾー役 川﨑優作 ネテロ役 大高洋夫
イルミ役 上田堪大 ヒソカ役 丘山晴己
倉持聖菜 齋藤 潤 高岩芯泰 辻本将平
原池 優 樋口明志 藤田浩太朗 古田伊吹
森川 錦 山崎理彩
STAFF ※敬称略
原作
冨樫義博(集英社「週刊少年ジャンプ」より)
脚本・演出
山崎 彬
音楽
坂部 剛
振付
當間里美
美術
田中敏恵
照明
加藤直子
音響
増澤 努
音響効果
天野高志
映像
O-beron inc.
衣裳
及川千春 (とわづくり)
ヘアメイク
糸川智文 (STRINGS)
特殊造形
林屋陽二
アクション監督
加藤 学
歌唱指導
宗田梁市
稽古場ピアノ
伊藤辰哉
演出助手
木下マカイ
舞台監督
今野健一 (KeyStones)
宣伝美術
江口伸二郎 (SENRIN)
宣伝写真
三宅祐介
制作協力
アプル
制作
ネルケプランニング
監修
集英社(「週刊少年ジャンプ」編集部)
協賛
ローソンチケット
協力
一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会
主催
『HUNTER×HUNTER』THE STAGE製作委員会
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(C)P98-23・『HUNTER×HUNTER』THE STAGE製作委員会