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  • アトラス
  • 発売日:2016/09/15
  • 価格:通常版:8800円(税別)
    20thアニバーサリー・エディション:1万3800円
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ペルソナ5
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NHK「ゲームゲノム」第2回は「ペルソナ5」。3つのキーワードでひも解く,心の世界を描くRPGに込められた思いとゲームの軸となる考え
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印刷2022/10/13 12:00

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NHK「ゲームゲノム」第2回は「ペルソナ5」。3つのキーワードでひも解く,心の世界を描くRPGに込められた思いとゲームの軸となる考え

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 2022年10月5日に全10回のレギュラー放送がスタートした,ゲームを題材としたNHKの教養番組「ゲームゲノム」。10月13日に放送された第2回で取り上げられたのは,アトラスのRPG「ペルソナ5」PS4 / PS3)だ。

 共に作品のファンだというMCの本田 翼さん,ゲストの野田クリスタルさんに加え,本作を手がけたゲームクリエイターの橋野 桂氏が出演。心の世界を冒険する本作に込められた思いや,ゲームの軸となる考えについてが語られた。

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 ゲームをこよなく愛するプレイヤーが,またはゲーム業界の人が,いくら「ゲームは文化だ」と言い張っても,ゲームをプレイしない人にそれが届いて理解される可能性は,割と少ない。そのもどかしい状況を変えてくれるかもしれないTV番組が,NHKで始まった。

[2022/10/06 12:00]


「ペルソナ5」(2016年)


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 ナンバリング作品としては,2008年7月の「ペルソナ4」以来,8年ぶりの完全新作としてリリースされた「ペルソナ」シリーズ第5作。ある出来事をきっかけに「ペルソナ」の力に目覚め,悪い大人の“心”を盗む「心の怪盗団」となった主人公とその仲間を中心に,現代の高校生達の冒険と成長の物語を描くRPG。
 主人公は高校生であり,昼は学生生活を送り,放課後や夜に“心の怪盗団”として活動する。人の心を具現化したパレス(ダンジョン)での探索や,弱点を突くことで敵(シャドウ)への総攻撃や会話などの選択肢が発生する戦略的なバトルが大きな特徴。その世界観やビジュアル,ストーリー性などは国内外で高い評価を獲得。シリーズを代表する作品となった。

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少年少女が葛藤し,成長する「学園ジュブナイル」


写真は2021年9月掲載「アトラスのRPG『ペルソナ』誕生25周年企画。4Gamer掲載記事で振り返る,ペルソナシリーズのこれまでの歩み」のもの
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 特別な力「ペルソナ」に目覚めた主人公とその仲間たちが,さまざまな困難に立ち向かう物語を描く「ペルソナ」シリーズだが,もとは同社の看板RPGシリーズである「真・女神転生」の派生作品として登場した。音楽ライブやアニメなどメディアミックスでさらなるコンテンツの展開を生み,ナンバリングのシリーズ以外の作品も作られ,今や同社を代表するゲームシリーズの1つとなっている。

 シリーズのターニングポイントとなったのが,橋野氏がプロデューサー / ディレクターを担当した「ペルソナ3」だろう。2006年7月に登場した同作品は,過去作とは大きく異なるゲームサイクルやシステム,個性的でスタイリッシュなアートワークや音楽,演出により,現在のシリーズ作品の礎となった。橋野氏はその後も,「ペルソナ3」から「ペルソナ5」まで「ペルソナ」開発チームの中心人物として同シリーズに関わっている。

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 その橋野氏が,「(自身が手掛けた)シリーズ作品をとおして,一貫している部分は?」と聞かれて答えたのが,「学園ジュブナイル」――少年少女が大人の社会へ向かっていくときに“ぶち当たるもの”や,好き勝手ができなくなっていくことへの葛藤,それらに向き合って成長していく姿を描く,若者を主体とした物語だ。

 「ペルソナ5」は,さらにこの「学園ジュブナイル」に,悪者を主人公とした物語の様式である「ピカレスクロマン」の魅力を加えた“ピカレスクジュブナイル”である。

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心を冒険し 心で戦う――タイトル名のペルソナに込められたもの


 そんな「ペルソナ5」の“ゲームゲノムの分析”をするうえで挙げられたのが,「心を冒険し 心で戦う」「人との出会いが強さになる」「自分の“心のゆがみ”と向き合う」という3つのキーワードだ。
 1つ目の「心を冒険し 心で戦う」でキーとなるのが,ゲームのタイトル名にもなっている「ペルソナ」。主人公やその仲間達が自己に向き合うことで覚醒する特別な力で,彼らが心の怪盗団として“悪い大人”の心を改めさせるうえでも欠かせないものとして登場する。

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 心理学用語では人間の外的な側面――社交性の仮面という意味を持つこのペルソナについて橋野氏は,

基本的に,人って無意識にいろいろな顔を持っていますよね。親に対しての顔,友達に対しての顔。芸能活動をしているときの顔……そういったものをひっくるめて一つの人格。
悪意で化けるのではなく,相手のことを思うからこそ顔が変わっていく(使い分ける)もの。


と考えており,それはゲームの大前提にあるものだとも語った。

 野田さんが番組中で語ったように,仮面(ペルソナ)は,大人になる過程で身に着いていくものであり,ある種“人に合わせる気遣い”で生まれるものでもある。
 子どものころや若いころは上っ面で話しているようで嫌悪していたものが大事であることに,成長過程で多くの人は気づく。そうして多くの仮面をかぶり続けた先に「本当の自分とは何か」という新たな葛藤を迎えながら自分自身に向き合い,また成長する。高校生が主人公ながら大人でも楽しめる「ペルソナ5」の核は,このように大人が“自分自身が歩んだ道”を振り返ることができる部分にあるのかもしれない。

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 “心で戦う”ペルソナの力を得た彼らの冒険の舞台となるのが,“悪い大人”達の心が具現化された世界――本作のダンジョンとして登場する「パレス」だ。
 元オリンピック選手で,教師からも生徒からも慕われる体育教師。日本画の大家。日本を代表する大手企業の経営者。そんな,一見“立派な大人”達だが,部員への体罰,弟子の作品の盗作,従業員をモノのように使い捨てる企業経営といったように,表からでは見えない一面を持つ。こういった悪人達の心の中を描いたのがパレスであり,このパレスに潜入しその心を変えていくのが,本作の物語の軸となる部分だ。

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 パレスを攻略するうえで重要なのが,「敵のゆがんだ心を理解すること」である。番組でその例として挙げられたのが,怪盗団の3番目のターゲットとして登場する金城のパレスだ。

 金城は,無力な高校生を相手に,その弱みを握っては薬物の運び屋などを強要し,さらに金を巻き上げるという,渋谷の不良グループのボスである。他人は金づるとしか思っていない彼のパレスは,渋谷の街は銀行で,往来する人々はATMという,“金への執着”の強い彼の認識が投影されたものとなっている。
 一方でその金への執着がパレス攻略の手がかりにもなっており,「一見頑丈な扉でも,金さえ払えば開く」「ボス戦で高価なアイテムを投げれば,バトル中にスキが生まれる」といったように,作中で描かれた“心のゆがみ”がゲームの攻略においても重要なものとなっている。

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 現実世界では高校生が太刀打ちできない大人の悪人達を,心の世界でやっつける。このパレスは,どういった考えで誕生したのか。
 橋野氏は,そのきっかけになったのが,人付き合い(とくに大人になってから)の中で「分かり合えない」「どうしても誤解されてしまう」「何を考えているのかぜんぜん分からない」といったことを経験し,「この人が見ている世界は,自分が見ているものと違うんだ」と気付いたことだったと言う。

 正しいか,正しくないかではなく,一つのものでも人それぞれに異なる見方があるということだろう。パレス制作時にこだわった点として,以下のように語っている。

(“悪人のパレス”を描くうえでも)悪い奴だけど,どこか(その考えが)分かるような気がするというか。心の世界だからこそ,そこから人間味が感じられるものにしたいなと。

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 野田さんが「(パレスは)ダンジョンっていう考え方ではなく,人の心の中だから付け入る隙があるんですよね。そこがすごく面白い」と話していたように,「ペルソナ5」は主人公やその仲間,悪人か否かを問わず“一人の人間”としてそれぞれが描かれているところが,ゲーム全体の深みを生んでいる部分だと思う。
 この“人の描き方”へのこだわりは徹底され,言い回し一つによって印象が変わる部分までをチーム全体でチェックしていたことが,2017年9月に掲載した4Gamerの対談企画の後編で語られている。

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 新プロジェクト「PROJECT Re FANTASY」に取り組むアトラスのゲームクリエイター 橋野 桂氏と,マフィア梶田との対談企画。貴重な資料や動画を見ながらの「ペルソナ5」振り返りや,「PROJECT Re FANTASY」への取り組みについて話してもらいつつ,橋野氏のパーソナルな部分にも迫る後編をお届けしよう。

[2017/09/15 00:00]


人との出会いが強さになる――さまざまな人に出会い,価値観に触れ,心は成長する


 2つ目のキーワードが「人との出会いが強さになる」。高校生と怪盗という二重生活の“表の顔”である学生生活の中で,街の人々と出会い,関係を深めることで能力が強化されていくという,シリーズの特徴となっている“人との絆”に関する部分だ。

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 「ペルソナ5」では,学校の先生やクラスメイトといった身近な存在のほかに,政治家,ゴシップ記者,ゲームセンターにたむろする小学生など,年齢や立場が異なる,普通の高校生活を送っていたのでは出会うことがない人達ともつながりが生まれていく。
 そのキーとなる多種多様な人物が怪盗団の協力者(コープ)として登場することの意義を,橋野氏はこう語る。

(学生時代は)ふつうに生活していると,親や兄弟,学校の友だちくらいの人間関係しかないじゃないですか。それが大人になると,日々いろいろな人に会うようになって,それがさまざまな刺激を与えてくれるようになりますよね。
「この人は面倒くさいな」と思ってもそれが勉強になることもあるし,そういった人との出会いで意外と真面目な自分や厳しい自分が出たり,「こういう相手には,自分ってこういう顔ができるんだ」と気付かされたりするんです。


 そういった,さまざまな人間や価値観に触れたことによる成長が,ゲームでは能力アップやスキル獲得という形で描かれるのだ。

 こうして,彼らと交流し絆が生まれることで,ゲーム上でもさまざまな恩恵が得られるようになるが,話はそう簡単にはいかない。主人公には知識や魅力,優しさといったパラメータがあり,それらを勉強やバイトといった行動で高めていかないと,次のステップには進めないのだ。

 日常生活で物事をどう捉え,どう考えるかが心の成長につながる――野田さんが「『優しさが足りなかったから話が進まない』とか,生々しいんですよ。逆転現象ではないけど,『優しさ(のパラメータ)が足りないからちゃんと伝わっていないのかな』って日常生活でも考えることがある」と話したように,ゲームをプレイして“現実での自分の振る舞い方”を再認識させられた人は少なくないはず。それだけ「ペルソナ5」は,人々の日常や出会い,そして成長が,現実的に描かれているとも言えるだろう。

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自分の“心のゆがみ”と向き合う――新たな一歩を踏み出すための力となる,作品に込められたメッセージ


 最後のキーワードが「自分の“心のゆがみ”と向き合う」。ここで取り上げられたのが,パーティメンバーである佐倉双葉の加入時の物語だ。
 母が亡くなったことを「育児に悩んだうえでの自殺だ」と周囲に言われ,自分を責める母の幻覚に悩まされている双葉が,「佐倉双葉の心を盗み,改心させろ」と自分から怪盗団に“依頼”。その双葉を救うため彼女のパレスに挑む怪盗団と,自らのパレスで真実と“自分自身”に向き合い成長する双葉の姿を描くエピソードだった。

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 このエピソードをとおして橋野氏から語られたのが,「心のゆがみは悪いものではない」ということだった。
 心のゆがみは,他者だけではなくもちろん自分にも存在しており,それによって生まれるパレスも悪人だけでなく皆が持ちうるもの。心がゆがんでしまったとしても,それに気が付くことができれば,たとえ辛い経験からでも,また新たな一歩が踏み出せる。そういったメッセージがゲームには込められているというわけだ。

 番組の最後,「“本当の自分”にこだわらなくていいと思った。『仕事のときの顔』や『友達といるときの顔』のようにペルソナをたくさん持っていて。仮面をかぶっていると言うと悪い意味で囚われがちだけど,それを肯定してもらえる気がして」とゲームをプレイして感じたことを話した本田さんから「『ペルソナ5』のゲーム体験からなにを受け取ってほしいか」を聞かれ,橋野氏は以下のように語った。

ゲームとして楽しんでもらいたいのはもちろんだけど,プラスでそこに,これが他人の話ではなく自分にも関わってくるような,「自分も無関係ではないんじゃないか」という体験をしてもらいたい。
何かにぶち当たったとき,今知っている世界は一つである必要はなくて,人それぞれが見ている世界がある。同時に,自分が今思っているこの世界も,“見方ひとつで捨てたもんじゃない”……かもしれないと,最後のそういう思い入れみたいなのが残るといいかなって。


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 4Gamerでは「ペルソナ5」の発売前や現在取り組んでいる新プロジェクト「PROJECT Re FANTASY」の発足時など,さまざまな機会で橋野氏に登場いただいている。
 それらの取材のたびに直接「ペルソナ5」に関する“何かしら”の話をうかがってきたが,当時のことを思い出しつつゲームゲノム第2回を視聴し“「ペルソナ5」は本当に人に対する真っ直ぐな気持ちで作り上げられた作品”だととあらためて感じた。

 「ペルソナ5」は,「自立のためには,自己・他者を問わず“人と向き合うこと”がいかに大事か」というメッセージが込められた作品だと筆者は思う。それは,「ペルソナ5」の発売前のインタビューで初めて橋野氏に話をうかがったときから,ずっと感じているものだ。
 最後に,ゲームゲノム第2回の締めくくりの言葉と通ずるメッセージが込められた,発売時のインタビューでの一言をあらためて届けて,本稿の締めとしよう。

「世界というものは簡単に歪んでしまうものだけど,だからこそ個々の心の中にある思い一つで世界が変えられるんだと。変に何かに流されたり,思想的なものを押しつけられたりしないで,自分が幸せになるために,どのように世界を見据えて,どのように向き合えばいいかを自分の頭で考える。そのきっかけになる作品になるといいですね。」
――「ペルソナ5」橋野 桂氏インタビュー。“心を盗む怪盗”をテーマにした本作と,20周年を迎える「ペルソナ」シリーズに込められた思いを聞いた」

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[ゲームゲノム 放送日程]
 2022年10月5日 放送開始(全10回)
 毎週水曜日 23:00〜23:29/NHK 総合(予定)
※「NHK プラス」で同時配信・1週間見逃し配信あり
※ NHK オンデマンド配信あり


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