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[TGS2022]着実に進む模索。NFTデジタルシールコレクション中心に展開中の「資産性ミリオンアーサー」に追加されるゲームコンテンツとは
昨今,見聞きすることが多くなったブロックチェーンとNFT。まだよく分からないけれど,知識として知っておきたい人向けの内容とも言えるだろう。
「資産性ミリオンアーサー」公式サイト
セッションに登壇したのはスクウェア・エニックスのプロデューサー畑 圭輔氏と渡辺 優氏,double jump.tokyoの坂本康朗氏である。坂本氏は「資産性ミリオンアーサー」のディレクターでもある。
すでにブロックチェーンを採用したゲームはいくつか登場しているが,「資産性ミリオンアーサー」もブロックチェーンやNFTの仕組みを採用したサービスの1つだ。スクウェア・エニックス初のNFTプロジェクトとして,2021年10月にNFTデジタルシールの販売を開始している。
現在はシールのコレクション要素のみの展開だが,最新の第4弾までの累計発行数は10万枚を超えているとのこと。また,2022年3月には2ndシーズンの開発が発表されており,ゲームコンテンツをサービス内に統合する予定がある。
NFTとは非代替性トークンのことである。ざっくり説明すれば,データの改ざんが難しいブロックチェーン上にあるため,膨大なデジタルデータの中から特定のデータを識別できる因子のこと。既存のオンラインゲームでは「○○さんが作った武器」といった情報が付与されるが,ここにブロックチェーンでの取引履歴を加えると,「○○さんが作った武器」であることが非代替性トークンになり,「最初の所有者が自分である」といった情報も残せる。内部的な振る舞いは別として,意外とゲーマーにはよく知るものだと言える。
ただ,改ざんが難しいため,アナログのような物理的な実感のないデジタルアイテムにNFTを付与することで,「所有感や価値が生まれるのでは?」と考えられているわけだ。もちろん,そこに価値があれば,取引によって利益を得ることもできるだろう(トレーディングカードを思い浮かべてみるといい)。
「資産性ミリオンアーサー」のNFTデジタルシールを購入すると,フィルターのかかった状態でユーザーのもとに届く。購入したシールをユーザーが背景やフレームを選んでプレスすると,オリジナルカードになるという流れだ。NFTの場合,同じものを数多く用意するが,ユーザーにNFTをカスタマイズできる要素を用意することで愛着を持ってもらう狙いがある。
作成したシールはホルダーに貼りつけることができ,最初に貼ったユーザー情報がシールに刻まれる。ホルダーには最大30枚のシールを貼りつけられるため,お気に入りのキャラクターのシールを集めてウフフするといった楽しみ方だ。
このとき,シールに刻まれた自分の情報は削除されない。それゆえ,デジタルアイテムでありながら所有感が生まれるだろうというわけだ。また,LINE Blockchainで売買するときにもユーザー情報は残るため,誰のシールだったのかか分かるのもポイントだ。
ここまで読んで,「あまりゲーム性がない?」と思った読者も多いだろう。ゲームコンテンツは2022年冬の実装が予定されており,ドットキャラや“動き”の要素がチラ見せされた。
このセッションではドット絵のキャラが公開となり,選択中や仕事中といったステータス,レベル,属性のようなアイコンが確認できた。キャラクターたちにはゲームの中で働いてもらうことになるようだが,詳細は不明。また,デジタルシールを持っていたら,楽しいことがいろいろできるようにしたいとのことだ。
手にしたデジタルシールがのちに変化を起こすことがあれば,アナログアイテムにはない要素であり,前述したドット絵の情報も含めると,ゲームコンテンツの詳細が気になるところだ。コレクション要素だけだったところにゲーム性を加えるのは,慎重にならざるを得ない部分もあったと思うが,サービスイン以降のユーザーのアクションを受けて判断したものだろう。
「資産性ミリオンアーサー」はNFTやブロックチェーンといった昨今のバズワードを,あまり意識しなくてもサービスを使いこなせる部分が受けているのかもしれない。ゲームのプレイ時間をマネタイズする動きを実感している読者も多いはずだが,今一度,「ゲームの価値とは何だ?」と考えられるアップデートを期待したい。
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