業界動向
「原神」で知られるmiHoYoの,2022年度売上は約5300億円,純利益3000億円超え。利益ベースで,大手を軒並み抜き去る結果に
※レートはすべて,2023年6月13日の数値で計算しています(1元=19.47円,1ドル=139.57円,1ユーロ=150.66円)
miHoYoは非上場企業なので,売り上げなどの会計情報は公表されていなかったが,今回は中国国営メディアの光明日報ならびに経済日報が開催している「第15回 中国文化企業TOP30」(第十五届“全国文化企业30强”)に表彰されたため,6月8日付の光明日報に掲載された企業略歴で,2022年の売り上げおよび利益,資産などが公表されたというわけだ。
もちろんゲーム事業は外せないが,それ以外にどんなビジネスがあるのかを気にしつつ,メガヒットタイトルの「原神」から,新作「崩壊:スターレイル」など,人気作を連発しているmiHoYoの底力の一隅が見えるかもしれない。
同社は,コンテンツの生産力を技術的ブレークスルーの主要な方向として定め,文化製品の工業化生産,AI技術やクラウドコンピューティングにおいて,深く広く着手している。申請した特許は400件以上もあり,そのうち50以上が認められている。
またmiHoYoは,“中国”の要素を基点にして,海外プレイヤーに中国を知ってもらう窓口として成功している。海外進出のとき中国文化の遺伝子を携えて,特別企画「流光拾遺の旅」では,中国の無形文化財を混入れた形で,ゲーム内「璃月」での仙人伝説と,市井の人の生活を描いた。無形文化財の匠人たちが作品を作る過程をドキュメンタリーにして,14もの言語に翻訳し,世界中のプレイヤーに中国無形文化財の魅力を見せた。2022年,miHoYoの主要業務による売り上げは273.40億元(約5323.1億円)で,純利益161.45億元(約3143.4億円),2022年末までの純資産は374.02億元(約7282.17億円)と記録されている。
さてmiHoYoの驚異的な数字は世界中で話題になっているが,実際どれくらいの位置にいるのか,ゲーム業界大手の2022年財務情報と比べてみよう。
※数字はすべて,IR資料や各種経済誌など,信頼できるソースのものだけを表記しています。また,数値はすべて小数点以下を四捨五入してあります。(調査は編集部が独自に行ったものです)
計上期間(2022年度) | 社名/事業部名 | 売り上げ | 日本円(億円) | 営業利益 | 日本円(億円) |
2022年1月1日〜12月31日 | Tencent | 5,546億元 | 106,400 | 2,388億元 | 43,000 |
2022年1月1日〜12月31日 | Tencent/ゲーム事業 | 1,707億元 | 32,748 | N/A | N/A |
2022年4月1日〜2023年3月31日 | ソニー | 115,398 | 12,100 | ||
2022年4月1日〜2023年3月31日 | ニンテンドー | 16,016 | 5,043 | ||
2022年1月1日〜12月31日 | miHoYo | 273.4億元 | 5,323 | 161.45億元 | 3,143 |
2022年4月1日〜2023年3月31日 | ソニー/ゲーム&ネットワークサービス | 36,500 | 2,500 | ||
2022年1月1日〜12月31日 | Activision Blizzard | 75.28億ドル | 10,506 | 15.13億ドル | 2,112 |
2022年4月1日〜2023年3月31日 | バンダイナムコ ホールディングス | 9,901 | 1,164 | ||
2022年4月1日〜2023年3月31日 | Electronic Arts | 74.3億ドル | 10,370 | 8.02億ドル | 1,119 |
2022年1月1日〜12月31日 | ネクソン | 3,537 | 1,037 | ||
2022年4月1日〜2023年3月31日 | コナミグループ/デジタルエンターテインメント事業 | 2,150 | 711 | ||
2021年10月〜2022年9月 | Cygames | 1,885 | 542 | ||
2022年4月1日〜2023年3月31日 | カプコン | 1,259 | 508 | ||
2022年4月1日〜2023年3月31日 | コナミグループ | 3,143 | 462 | ||
2022年4月1日〜2023年3月31日 | スクウェア・エニックスHD | 3,433 | 443 | ||
2022年4月1日〜2023年3月31日 | コーエーテクモホールディングス | 784 | 391 | ||
2022年4月1日〜2023年3月31日 | UBISOFT ENTERTAINMENT | 18.14億ユーロ | 2,733 | -5.86億ユーロ | -883 |
2012年に大学の有志の集まりで発足し,同人ゲームから始まったmiHoYoは,営業利益ベースで見ると,EAやバンダイナムコホールディングスだけでなく,Activion Blizzardやソニーのゲーム・ネットワークサービス部門(要するにプレイステーションビジネス全体だ)すら抜き去っている。しかもこれは2022年のデータなので,まだ「崩壊:スターレイル」は一切入っていないわけだ。“アフター・原神”のmiHoYoは,要注目だ。
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