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ゲームボーイっぽいレトロゲーム特化のAndroidゲーム機「ANBERNIC RG405V」
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印刷2023/11/10 08:00

テストレポート

ゲームボーイっぽいレトロゲーム特化のAndroidゲーム機「ANBERNIC RG405V」

 2022年ごろからAndroidを搭載した携帯型ゲーム機が増えている。中国のデバイスメーカーが中心に製品が登場しているが,Logitech InternationalやRazerなどもこの分野に参入しており(関連記事),ゲーマーからの認知度も上がりつつあるようだ。
 今回は,数あるメーカーのなかでも精力的に製品を展開するAnbernicのAndroidゲーム機「ANBERNIC RG405V」(以下,RG405V)を試用する機会を得た。ゲームボーイをモチーフとしたレトロな外観が目を引く本製品の特徴を紹介したい。

RG405V
メーカー:Anbernic
問い合わせ先:Anbernic日本語公式Webサイト
税込価格:2万179円
画像集 No.001のサムネイル画像 / ゲームボーイっぽいレトロゲーム特化のAndroidゲーム機「ANBERNIC RG405V」


懐かしいレトロな縦長筐体を採用


 RG405Vは,4インチサイズで,解像度640×480ドット,アスペクト比4:3の液晶ディスプレイを搭載したゲーム機だ。いまどきのPCや携帯型ゲーム機,スマートフォンが搭載するディスプレイは,16:9やそれ以上に横長のものがほとんどなので,RG405Vを眺めていると懐かしく感じてしまう。ディスプレイの解像度でも分かるように,RG405Vは最新のゲームよりも,レトロゲームをプレイするための製品と言えるだろう。

グレーの本体カラーも相まって,レトロな雰囲気を醸し出すRG405V。ただ,ベゼルが狭かったりと細かく見ると,いまどきの携帯型ゲーム機らしい側面もある
画像集 No.002のサムネイル画像 / ゲームボーイっぽいレトロゲーム特化のAndroidゲーム機「ANBERNIC RG405V」

 ディスプレイパネルの発色は,少し色が薄いというか全体的に白っぽく見える。とはいえ,基本的には輝度の調整などで対応できる範囲だ。

 RG405Vの本体サイズは,実測で105(W)×145(D)×35(H)mm。デザインモチーフとなったゲームボーイの公称本体サイズは,90(W)×148(D)×32(H)mmなので,これと比べると15mmほど幅が広い。
 本体のグリップ部分は,厚みがあって丸みも付いているので下から支えるように持てるのが好印象だ。背面のグリップより上側は,グリップがない分だけ薄くなっている。グリップとそれより上部分の段差に指をかけられるので,その点も持ちやすさに寄与しているように思う。

RG405Vの背面。しっかりとしたグリップを備えており,持ちやすい。上部には空冷ファンも搭載し,背面から吸気して上側面から排気する仕組みとなっている
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 本体重量は実測で約285g。Wi-Fiモデルで約293gの第6世代iPad miniとほぼ同じくらいだ。RG405Vの筐体サイズを踏まえると少し重めに感じるのだが,この程度であれば十分許容範囲で,長時間持っていても苦にせずに使えた。

重量は公称どおりの約285gだ
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 インタフェース類は,左側面に独自のランチャーアプリを起動する機能ボタンとSDカードスロット,右側面に音量調整ボタンと[電源/スリープ]ボタンが並ぶ。

左側面には,機能ボタンとSDカードスロットを備える
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右側面には,[電源/スリープ]ボタンと音量調整ボタンが並ぶ
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 また,上側面にはUSB Type-Cポートと排気孔,下側面には3極3.5mmミニピンイヤフォン端子とスピーカー孔を備えている。手でスピーカー孔をふさぐことがないので,ゲーム内の音声も明瞭に聞こえるのは利点だ。また,厚みがあるために,内蔵スピーカーとして大きめのドライバーを積んでいるのか,サイズのわりに大きめの音量を出せる。

上側面はUSB Type-Cポートと排気孔がある
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下側面には3極3.5mmミニピンイヤフォン端子とスピーカー孔を備える
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ゲームパッドの品質も高い


 前面に備えるゲームパッドは,D-Padと[A/B/X/Y]ボタンの下に左右のアナログスティックが並ぶPlayStationのDualSense風レイアウトだ。アナログスティックのセンサーは,携帯型ゲームPCやAndroidゲーム機では主流となってきた磁気ホールセンサー式で,スティックのデッドゾーンを極力減らしたとのこと。実際に使っていてもキビキビと反応した。

RG405Vのゲームパッド。ボタンは小さめだが,配置はきゅうくつではないので,操作しやすい
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 また,D-Padと[A/B/X/Y]ボタンのサイズは小さめだが,ある程度のストロークを確保しており,ボタンを押したときの感触も好印象だ。[A/B/X/Y]ボタンの間隔も,ボタンの同時押しや指の移動がしやすい配置と言えよう。

ボタン類のストロークは深めだ
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 本体の背面には,[L1/L2]ボタンと[R1/R2]ボタンを備える。こちらはストロークが浅めで,少し力を入れると外側にある[L1]ボタンと[R1]ボタンを誤操作してしまうことがたびたびあった。持ち方に少し慣れが必要になるかもしれない。

[L1/L2]ボタンと[R1/R2]ボタンは,どちらもトリガー形状だ。こちらはストロークが浅めだ
画像集 No.012のサムネイル画像 / ゲームボーイっぽいレトロゲーム特化のAndroidゲーム機「ANBERNIC RG405V」 画像集 No.013のサムネイル画像 / ゲームボーイっぽいレトロゲーム特化のAndroidゲーム機「ANBERNIC RG405V」

 RG405Vは,キーマップツールを備えており,ゲームパッドに対応していないゲームでもゲームパッドでの操作を割り当てられるのもポイントだ。Android OSのクイック設定にある「Key mapping」を起動すると,スティックやボタンのアイコンが画面に表示される。仮想ゲームパッドのボタンの上に移動して,[×]ボタンを押すと,設定が有効となり,ゲームパッドが使えるようになる仕組みだ。使用しないボタンのアイコンは,「Button Config」から表示を消すこともできるので,プレイするゲームに合わせて設定するといいだろう。

RG405Vのキーマップツール
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スペックは低めだが,レトロゲームには十分対応可能


 ここからはベンチマークテストと,実際のゲームでRG405Vの性能を検証したい。RG405Vは,搭載SoC(System-on-a-chip)に,中国に拠点を構える半導体メーカーであるUnisoc Technologies(以下,UNISOC)製の「UNISOC Tiger T618」(以下,T618)を採用する。日本のゲーマーには,あまり馴染みのないUNISOC製SoCだが,中国メーカーの製品では豊富な採用実績がある。T618は,2019年に登場した少し古いプロセッサで,いまでは実売2万円台のエントリー市場向けAndroidタブレットに用いられることが多い。
 加えて,RG405Vのメインメモリ容量は4GB,内蔵ストレージ容量は128GBで,このあたりも「最新ゲームではなく,レトロゲーム向け」という製品ポジションを反映したスペックとなっている。

表 RG405Vの主なスペック
ディスプレイパネル 約4インチIPSパネル,解像度640×480ドット
SoC UNISOC製「Tiger T618」
・CPU:Cortex-A75×2(最大2GHz)Cortex-A55×6(最大2GHz)
・GPU:Mali-G52
メインメモリ容量 LPDDR4X 4GB
内蔵ストレージ容量 128GB eMMC+microSD(最大2TB)
無線LAN Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)
有線LAN 未搭載
Bluetooth 5.0
対応LTEバンド 非対応
対応3Gバンド 非対応
インタフェース USB Type-C×1,4極3.5mmミニピンヘッドセット端子×1,,microSDカードスロット
インカメラ 非搭載
バッテリー容量 約5500mAh
公称本体サイズ 約105(W)×145(D)×35(H)mm
公称本体重量 約282g
OS Android 12
本体カラー グレー,ウッドカラー,クリアパープル

 それでは,ベンチマークソフトでRG405Vの性能を簡単に計測してみた。ベンチマークソフト「AnTuTu Benchmark v10.1.2」でテストしたところ,総合スコアが「284202」であった。メインメモリ容量4GBのエントリー市場向けタブレット製品としては標準的なスコアで,処理負荷がそれほど高くないゲームであれば,なんとかプレイできる性能である。

 グラフィックスベンチマークソフト「3DMark」の「Wild Life」における総合スコアは「746」だった。さらに「Sling Shot Extreme」のスコアは「1555」で,おおよそ5〜6年前のミドルクラス向けスマートフォン並みの性能と言えようか。いまどきのスマートフォンと比べると,明らかに低い性能であるが,RG405Vの用途を考えれば,それほど高い性能は必要ない。

 また,性能が低い分,発熱しにくいのも利点だ。最近のスマートフォンは,処理負荷の高いアプリを動作したり,大容量データをダウンロードしたりすると,筐体の背面や側面がかなり熱くなることがある。RG405Vは,ゲームをプレイしているときはもちろん,インストールやアップデートでも熱くならないのがポイントだ。

 続いて,実際のゲームの動作を確かめてみた。
 まずは,D4エンタープライズが提供するレトロゲーム配信アプリ「PicoPico」で,いくつかのゲームをプレイしてみた。どのタイトルも問題なくプレイできた。PicoPicoは,標準でゲームパッドに対応しており,アプリの設定メニューからボタンの割当が可能となっている。

ザナック(MSX版)
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ハイドライドスペシャル(コンシューマー版)
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パイプライン大作戦(コンシューマー版)
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 次は,シティコネクションが手掛けるスマートフォン版「シティコネクション クラシック」をプレイした。こちらもスムーズに動作した。なお,本作でゲームパッドを使う場合は,キーマップツールを利用する必要がある。RG405Vのタッチパネルは,サンプリングレートが高くないので,キビキビとした操作を求めるのであれば,ゲームパッドの使用をおすすめしたい。

シティコネクション クラシック
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 続いては,RG405V向きではなさそうな最新ゲームでの動作も検証した。スマートフォン向けのゲームとしては,とくに処理負荷が高いことで知られる「原神」をプレイした。グラフィックス設定が「最低」で,序盤のモンドは何とかプレイできるものの,スメールやフォンティーヌでは,なんとなくもっさりとした動きになる。

標準の画質設定
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スメールあたりからちょっと動作が重くなる
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 RG405Vのキーマップツールには,原神用の設定プロファイルがあり,細かなボタン割り当てをせずにゲームパッドを利用できるのだが,細かなカメラ調整がやりにくく,弓キャラの操作が難しい。秘境は,弓矢によるギミック解除が求められる場面もあるので,その点でも苦労した。

アナログスティックだと細かなエイムが難しい
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 最後に,クラウドゲームサービスでの動作を検証してみた。今回は,NVIDIAのクラウドゲームサービスである「GeForce NOW」で,「DEATH STRANDING」をプレイした。
 利用する宅内LANの通信状況による部分はあるが,RG405Vのようにスペックが低めの機器でも,動作自体は問題なかった。RG405Vのゲームパッドは,ゲーム側から認識されなかったが,キーマップツールで仮想ゲームパッドのボタン割り当てが可能だ。
 プレイしていて気になったのは,筆者が試したところ,仮想ゲームパッドの表示に対して透過率を変更できないので,画面がごちゃごちゃして見にくい。

GeForce NOWの仮想ゲームパッドにボタン割り当てが可能だが
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画面が仮想ゲームパッドの表示で埋まってしまう
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 さらに,画面が小さいので,メッセージなども読みにくいのがネックだ。画面表示がシンプルなタイトルなど,クラウドゲームサービスでもプレイするゲームを選ぶ必要がある。


良さが生きる場面は限られるが

必要十分な機能と性能を備えた逸品だ


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 RG405Vは,とくに筐体の質感が非常に高く,しっかりと作り込まれた製品だ。珍しい縦型筐体である点も所有欲を満たせる。性能は確かに低いが,狙った用途に最適化した結果であり,はじめから「そういうもの」として認識していれば問題ないだろう。

 筆者の個人的な感覚だが,人気のスマートフォン向けゲームは,周回要素が多く時間がかかる傾向にあり,その分,デバイスのディスプレイを占有されてしまう。メインの端末でそういったゲームを動作させつつ,RG405Vのような製品をサブ端末として使って旧作ゲームをプレイするといった具合に,用途に合わせて使い分けるのが良さそうだ。

AnbernicのRG405V製品情報ページ

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