連載
【山本一郎】VRアトラクション「ZERO LATENCY VR」が熱い! キミも大迫力VRの世界でゾンビと握手しよう
山本一郎 / アルファブロガーにしてゲーマー。その正体は,コンテンツ業界で今日も暗躍(?)する投資家
山本一郎:茹で蛙たちの最後の晩餐 |
ところで,セガ・ライブクリエイションが運営している,台場の屋内型テーマパーク「東京ジョイポリス」で,世界初らしきVRアトラクションができたというので見物に行ったわけです。その名も「ZERO LATENCY VR」。やっぱり世界初と言われると,何となくそんな気になるのが大切だと思うんですよね。
そうしたら人がごった返しているんです。ジョイポリスにカップルで来るとかおめでてーな。地味に予約してたんですけど(※編注:完全予約制です),あの人ごみの中にいるとたった15分の待ち時間でさえ2時間ぐらいに感じられる不思議! ほかのゲーム媒体の人とか,どこかでご一緒したことのあるライターなど,業界人がちらほらいる状況下で,いきなりVRゴーグルをかぶり,PCバッグを背負ってVRの世界に突入するわけであります。
第1弾ソフトである「ZOMBIE SURVIVAL」の内容はいたってシンプル。ヘリポートを模したフィールドにVRゴーグルと銃器で武装した最大6人のプレイヤーが,ヘリに吊るされて脱出するまでの15分間,迫り来るゾンビ軍団を撃退しながらサバイバルライフを送るというものです。なぜヘリポートで待っているのか,その経緯は知らん。
バリケードが破られると一気にゾンビが雪崩れ込んでくるし,どういうわけか上からゾンビが降ってきてその辺に寝そべってたりして,VRでなければ蹴っ飛ばしたり手持ちの武器でメレー(近接戦闘)したくなる……のはぐっと我慢。
ゴーグルは言うほど密着感はなく,4kgとされるPCを背負っても,あまり重くは感じなかったんですよね。その点では,充分なぐらいに快適……なんですけど,実プレイ15分ほどの間でかなり興奮するので汗をかきます。遊び半分でやると痛い目に遭いますよ,たぶん。ゲームだけど。
体験の流れは西川善司さんが記事をお書きになっているので,すべて「そちら」にお任せするとして,やはり「動かない液晶」と「手元のキーボード」を使ったFPSで銃撃に慣れ親しんでいても,いざVRで自分の目の前にゾンビの皆さんが迫りくると,これはもう一種の恐怖体験であります。
頭では分かっているんだけどさ,でも目の前に現実があるような気がするんですよね。6人同時プレイでありながら,ほかのプレイヤーがやられて戦力にならない方面からゾンビの侵入を許し,視界の外,後ろからゾンビに殴られたり,振り返ると間近に迫ったゾンビと目が合ったりとかさ。思わずバックステップしてしまうわけですね。
一番腹が立つのは,背が高くて硬くてハゲたゾンビです。地味にデブで汗をかいてるように見えるのがダブルでムカつくんですが,頑張って頭を撃ってものんびりやってくるんですよ。来るなって,ほんと。まあ,お互い仕事だからしょうがないんですけどね。
そんなゾンビがほかのプレイヤーを襲っているのを横から撃ってアシストしたりしながら,何とか15分間を生き抜きます。ヘリポートの2階に上がれたりするらしいですが,ぶっちゃけそんな余裕はゼロ。ヘッドセットから流れる「うぉー」とか「うわー」などという,叫びというよりは呻きのようなほかプレイヤーの声を聞きながら,丁寧に丁寧に位置取りを考えて狙いを定め,慎重にゾンビを撃退していきます。
この臨場感は凄いですよ。没入します。
「これからはVRだ」とか思う人は,ぜひやってみたら良いと思います。というか,数回やって,ようやく「なるほど,こういうものか」と分かるようになる感じでしょうか。初プレイでは,一緒に遊んだ6人のなかで1位になりましたが,思い返すと「ああすればよかった,こうすればよかった」とプレイ結果と反省がリフレインするのです。
一方で「こんなVRゲーム,面白いか?」と気になる読者も多いと思います。ぶっちゃけ,欠点が多いシステムではありますよ。どうやら,どこからか殴られているようだが,それがどこか良く分からないとか,緊迫したシチュエーションになるとプレイヤー同士が接近しすぎてぶつかりそうになったりとか。また,ああいうタイプのゲームに遊び慣れてないプレイヤーだと,目の前に迫り来るゾンビを見たら,マジで失神でもしてしまうんじゃないかと思いますし。汗かいたハゲってだけできついのに,こっちに来るんすよ。やめてほしいです,マジで。
ゾンビの仕上がりであれ,モーションであれ,ほかプレイヤーの挙動であれ,どうしても「ちょっと安いなあ」という感じはどうしてもしますけど,それでも,ここに「VRアトラクションの原点」を見ることができます。今後,この手のVRアトラクションはいっぱい出てくると思いますけど,これが実現できた,というのは金字塔でありましょう。
それにしても,あのつやつやしたハゲはショックだ。みだりに汗かきやがって。これだけでも,1800円を払う価値はあると思いますし,一度やって「楽しかったね」で終わらなさそうな雰囲気はあるわけですよ。この記念すべき初代こそ,後日VRコンテンツが当たり前になったとき「私はゼロレイテンシーやったぞ。あの衝撃に比べればこの作品は……」と,偉そうに言うためにどうしても必要な通過儀礼だろうと思うわけであります。
お薦めです!
「ZERO LATENCY VR」特設予約サイト
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