
プレイレポート
「オブリビオン」はリマスターで何が変わったのか。主な変更点を紹介
2025年4月23日,予告なく突如として発表&配信された本作は,Xbox Game Passにも初日から対応し,PC,PS5,Xbox Series X|Sで展開されている。
通常版が6930円,デラックス版が7980円という,リマスター作品としてはなかなかに強気な価格設定ながら,Unreal Engine 5の採用,現代的な操作性の実装,システムの刷新など,オリジナルからの進化は多岐にわたり,コンシューマだけでなくPC版も日本語のUI・字幕に対応している。
本稿では,リマスター版で何がどのように変化したのかを見ていこう。
グラフィックスエンジンの移行
本作最大の変更点は,グラフィックスエンジンの移行である。オリジナルのGamebryoエンジンからUnreal Engine 5への移行により,ビジュアル面は劇的な進化を遂げた。キャラクター,武器,装備品,建物,自然環境に至るまで,目に見えるほぼすべてのアセットが「丹念にゼロから再構築」されている。
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とくに印象的なのは,UE5による高度なライティングだ。時間帯,場所,天候に応じて光が環境と相互作用する様子がリアルにシミュレートされ,霧,水面の反射,影の表現などが大幅に向上している。朝日に照らされるインペリアルシティや,夕暮れ時の森の中を漏れる陽光といった美しい風景が鮮明に表現されている。
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キャラクターモデルも一新され,NPCの表情や口の動きも自然になった。リップシンクの改善で,会話の没入感が増している。魔法のエフェクトや天候表現も刷新され,雨や雪の表現も向上している。また,描画距離の大幅な改善により,遠くの山々や建物まで鮮明に見渡せるようになっている。
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ただし,この視覚的進化には代償もある。インストールサイズは約120GBととなり,オリジナル版(約5.5GB)より大幅に増加している。また,発売直後ということもあり,一部の環境でパフォーマンス問題(とくにスタッタリング)も見られる。せっかくのリマスターということで,4K/60fpsで遊びたいところだが,実際の体験はハードウェアによって大きく異なるだろう。
現代化されたゲームプレイ
ビジュアル面だけでなく,ゲームプレイにも多くの改良が施されている。最も顕著な変更点は,オリジナルにはなかったスプリント(ダッシュ)機能の追加だ。これにより,広大なシロディールの探索効率が向上し,「Skyrim」以降のBethesda作品に近い操作感となった。
戦闘システムも大幅に改良されている。新しいアニメーション,効果音,視覚エフェクト,ヒット時の敵の反応などが追加されたほか,PS5版ではハプティックフィードバックも実装された。
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三人称視点も大きく改善された。カメラは肩越しの追従視点となり,キャラクターの移動方向とカメラの向きが独立して動くようになった。照準用のクロスヘアも表示され,一人称視点と同等の操作性を実現している。
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ユーザーインターフェース(UI)も全面的に刷新され,HUD,メニュー画面,マップなどが現代的な基準に合わせて再設計された。視認性や使いやすさが向上し,コントローラでは方向キーにメニューショートカットが割り当てられるなどの変更も加えられている。
オリジナル版で特徴的だった説得ミニゲームのホイールも見やすくなり,キャラクターの好みが色で示されるようになった。
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刷新されたレベリングシステムと成長メカニクス
オリジナル版で最も議論を呼んだ要素の一つがレベリングシステムの複雑さだった。リマスター版では,オリジナル版と「Skyrim」の“融合”ともいえる形で再構築されている。
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もともとオリジナル版では,レベルアップ時にどのスキルをどれだけ上げたかによって,各能力値に割り振れるボーナスポイント数が変動した。
このため,最適な成長を目指すには計画的にスキルを上げる「効率的なレベリング」が必要となり,直感的でないプレイを強いられることがあった。
それに対してリマスター版では,メジャースキル(主要スキル)とマイナースキル(補助スキル)の両方を上げることで,キャラクターレベル上昇に必要な経験値が得られるようになった。
レベルアップ時には「徳」ポイントを獲得し,これを8つの基本能力値(筋力,知力,気力,敏捷性,速度,持久力,魅力,運)に自由に割り振れるため,能力値の成長が大幅に簡略化されている。
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また,敵の強さの変動(レベルスケーリング)も調整されており,オリジナル版で問題視されていた「レベルアップするほど世界全体が強くなりすぎる」という現象が緩和された。
コンテンツとModサポート
リマスター版には,オリジナル版のメインコンテンツと拡張パック(「Knights of the Nine」と「Shivering Isles」)がすべて収録されている。シロディールの広大な世界,メインクエスト,各種ギルドクエスト,無数のサイドクエストと探索要素など,ゲーム内容自体は維持されている。
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一方で,リマスター版とオリジナル版の最も重要な相違点の一つは,Mod(ユーザー作成コンテンツ)への対応方針である。Bethesdaはリマスター版においてModを公式にはサポートしないことを明言している。これは,同社のほかのRPGタイトルでModが長期的な人気を支えてきたことを考えると,注目すべき方針転換である。
この背景には,UE5の採用があると考えられる。Bethesdaの自社エンジンとは異なるUE5では,従来のModツール(Creation Kitなど)との互換性がなくなった。公式ツールが提供されないことで,Mod制作のハードルは相応に上がることになる。
これはゲームの長期的なカスタマイズ性に影響を与える変更点といえるだろう。ただし,熱心なMod制作者たちは既にゲームファイルの解析を始めており,サポートがなくてもModが登場する可能性は十分に残されている。
20年の時を経た変化
「The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered」は,単なるグラフィックスの向上にとどまらない,包括的な変更が加えられた作品である。Unreal Engine 5による視覚表現の刷新,操作性の現代化,レベリングシステムの再構築など,オリジナルから多岐にわたる進化を遂げている。
オリジナル版が持つ個性的な要素の一部は変化しているものの,核となるゲーム内容は維持されており,シロディールの世界を今日(こんにち)の技術で体験できるようになっている。
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約20年の時を経て,「Oblivion」は技術的に大きく前進したが,それは同時に現代におけるゲーム環境への適応でもあったわけだ。オリジナルの精神を保ちつつも,時代の変化に合わせた進化を遂げたこのリマスター版は,BethesdaのRPG作品の歴史における重要な転換点となるだろう。
「The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered」Steam
「The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered」PS Store
「The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered」Xbox Store
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The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered
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