
プレイレポート
[プレイレポ]倒されても,また走りたくなる。崩壊した世界を駆け抜けるランアクション「Haste」
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「今日も世界は終わろうとしている」――そんな切迫感の中,主人公ゾーイとなって崩壊する10の「シャード」を駆け抜ける旅が始まる。
配達員とも運び屋とも呼ばれるこの少女が宇宙の終焉から逃れる術を探す姿は,不思議と心を打つ。しかし彼女は一人ではない。船長やニアタ,ダロ,ガンといった個性的なサポートキャラクターたちが,時に知恵を,時に励ましを与えてくれる。
世界は崩壊する。あなたは走る。
本作の真骨頂は,その移動システムにある。ジャンプボタンが存在せず,代わりに地形の傾斜を利用した「勢いの蓄積と維持」が鍵となる。下り坂へ適切な角度で着地することで加速し,その勢いを巧みにつなげながら次々と障害物を乗り越えていく。移動の流れるような連続性とスピード感が,このゲームの醍醐味だ。
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操作方法に最初は戸惑うものの,「ファストフォール」と呼ばれる下降アクションを駆使し,着地角度を調整する技術が上達すると,ゲームは新たな深みを見せる。
障害物のぎりぎりを通り抜ける「ギリギリセーフ」判定を狙い,リスクとリワードのバランスを取りながら進むスリルと爽快感のサイクルが病みつきになるのだ。崖を飛び越え,次の足場に落下する瞬間,息をのむような緊張が走る。そして完璧な着地を決めた時,指先から体中に広がる達成の喜びを味わえる。
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各シャードは自動生成によって作られるため,プレイするたびに異なる景色が広がる。これが本作の大きな特徴であり,強みでもある。青く輝く結晶が立ち並ぶ神秘的なバイオームから,赤く燃え盛る溶岩地帯まで,10種類の壮大な環境は色彩豊かで目を奪われる。
とくに印象的なのは背後から迫り来る崩壊の波だ。その光景を見て「急がなきゃ」と焦る気持ちが,プレイヤーを前へ前へと駆り立てる。
一方で,自動生成によるステージ構成には時に歯痒さを感じることもある。複雑なオブジェクト配置に戸惑い,進むべき道を見失うこともあれば,単調で退屈なステージに当たることもある。こうした不確実性は,ローグライトの特性でもあるが,時にプレイヤーの熱中度を下げてしまう原因にもなりうる。
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シャードクリア後に表示される分岐マップでは,次にどのルートを選ぶか戦略的な判断を迫られる。通常ステージ,高難度ステージ,ショップ,体力回復,ランダムイベントなど,さまざまな選択肢が用意されている。
この選択が後のプレイに大きく影響するため,慎重に考える必要がある。「ここで体力を回復するべきか,それともアイテムを買うべきか」というジレンマは,ローグライトファンには馴染み深いものだろう。
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アイテムはプレイスタイルに多様性をもたらす。「スパーク」と呼ばれる輝く光の粒を集めてショップで購入することで,自分だけの戦略を構築できるわけだ。例えば,「ギリギリセーフ」判定をトリガーにしたアイテムを組み合わせれば,あえて危険な道を選ぶビルドも作れる。
そして,各シャードの最後にはボスが待ち構えている。ボス戦ではフィールドを自由に動き回りながらスピードを高め,ボスに直接体当たりして攻撃するのが基本だ。
例えばCONVOYという要塞型ボスの場合,最後部から中に侵入し,駆動パーツを回避しながらコアを攻撃するといった立ち回りが求められる。このスピードと正確性が問われるボス戦は本作の見せ場であり,通常プレイで培った技術が真に試されるわけだ。
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本作にはローグライトらしく,ゲームオーバーになっても永続的なアップグレードを獲得できるメタプログレッションシステムが実装されている。初期ライフやスパークの増など,少しずつ強くなっていく成長曲線が,挫折しそうになる気持ちを支えてくれるのだ。
ただ,このローグライト的な要素はそこまで深堀りされていない。それは本作がプレイヤー自身の操作スキルの成長を重視しているからだろう。アイテムやビルド構築よりも,プレイヤーの反射神経や判断力,そして地形を読む力こそが攻略の鍵となるわけだ。
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ストーリー面でも各ランで少しずつ世界の謎が明かされていくが,あくまでスピーディーなアクションゲームとしての本質を損なわないよう,必要最小限の演出に抑えられている。つまり,ローグライト要素やストーリーを重視して本作をプレイすると物足りなさを覚えるかもしれない。
それでも,崩壊していく世界を駆け抜ける独特のスリルと,プレイヤー自身の成長を実感できるゲームプレイは十分に魅力的なので,ハイスピードな移動と精密な操作が求められる挑戦的なアクションゲームを求めている人にこそ,ぜひプレイしてもらいたい一作である。宇宙の終焉さえも追い抜く,その疾走感を体験してみてほしい。
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