
インタビュー
[インタビュー]原点に立ち戻り,至高を目指したリメイク版「ブレイドアンドソウルNEO」。開発と運営チームが語る,その狙いと展望
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2014年にサービスを開始した「ブレイドアンドソウル」は,MMORPGでありながら高いアクション性を備え,また当時としてはずば抜けたビジュアルで注目を集めたタイトルだ。今回の「ブレイドアンドソウルNEO」は,そのアクション性はそのままに,グラフィックス面の強化に加え,成長システムなどのゲームシステム面にも大きな改修が施されており,いわばリメイクと呼ぶべき規模だという。
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日本での展開に先駆け,2024年10月にサービスを開始した韓国では,既存プレイヤーを含む多くのファンに歓迎され,人気を博したという本作だが,その全貌はまだ謎のベールに包まれている。
そこで今回4Gamerでは,「ブレイドアンドソウルNEO」の統括プロデューサーであるNCSOFTのキム・ホンジェ氏と,エヌシージャパンの運営プロデューサー“FSふんこ”こと福富 岳氏にお話を伺った。リメイクの注目点や,今後の展望なども聞いているので,同作に注目している読者は,ぜひご一読いただきたい。
※本稿はメールでのやり取りを元に構成したインタビューです。
ブレイドアンドソウルのリメイク作品「ブレイドアンドソウル NEO」,3月12日にサービス開始。事前登録の受け付けがスタート

エヌシージャパンは本日,PC向けオンラインゲーム「ブレイドアンドソウル NEO」のサービスを2025年3月12日に開始すると発表した。本作は,「ブレイドアンドソウル」のアクション性はそのままに,グラフィックスやキャラ成長システムを大幅に改善させたリメイク作品だ。事前登録の受け付けが実施されている。
「ブレイドアンドソウル」公式サイト
これまでを継承し,至高へと進化したリメイク版「ブレイドアンドソウルNEO」
4Gamer:
まずはお二方の自己紹介をお願いします。
キム・ホンジェ氏(以下,キム氏):
こんにちは,金 弘才(キム・ホンジェ)です。「ブレイドアンドソウルNEO」ではプロダクトディレクターとして,開発総括責任者を務めています。
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福富 岳氏(以下,福富氏):
運営プロデューサーの福富です。「ブレイドアンドソウル」は“ふんこ”の名前でオープンβからプレイしていまして,2017年から2022年ぐらいまではプレイヤーを代表する立ち位置から,大会の解説員を務めたり,公式配信に出演したりしていました。
その後,2022年5月に前任のプロデューサーに声をかけてもらい,エヌシージャパンに入社。「ブレイドアンドソウルNEO」では運営プロデューサーを担当しています。
4Gamer:
福富さんはプレイヤー出身とのことですが,運営にあたり,その経験が生かされていると感じていることはありますか。
福富氏:
自分自身,あるいは同時期にプレイしていた多くのプレイヤーが感じた不満の要因を繰り返さないことでしょうか。そのうえで,「日本のプレイヤーの意見」を開発に物申していきたいと考えています。
4Gamer:
では,「ブレイドアンドソウルNEO」がいったいどんなサービスになるのか,その概要から教えていただけますか。
キム氏:
「ブレイドアンドソウルNEO」は,「ブレイドアンドソウル」初期の体験を再び提供することを目指し,開発したコンテンツです。市場の変化に合わせ,サービス当初のクラシックな部分には改修を加えながら,Unreal Engine 4環境における色感と光源の表現の完成度を高めるなどで,元々の「ブレイドアンドソウル」の魅力を継承しつつ,より多くのプレイヤーに楽しんでいただける内容となっています。
福富氏:
より美しいグラフィックスで,リアルな東洋風の世界観が感じられるのが一番の魅力ですね。またスキルエフェクトもリマスターされ,アクションの爽快感も向上しています。
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4Gamer:
コンセプトとしては,リメイクにあたるわけですよね。
キム氏:
はい。グラフィックスやビジュアル,アクションのアップグレードに力を入れつつ,MMORPG本来の面白さを引き出すべく,ゲーム内マネーである「金」の活用頻度が高めるなど,システム面にも改修を加えたものになります。
旧作のプレイヤーのみならず,初めて「ブレイドアンドソウル」に触れる人にも親しみやすい環境を目標に,2023年から開発を進めてきました。
福富氏:
元プレイヤーとしては,これまでの「ブレイドアンドソウル」の良さを継承しながら,発展,進化した「新しいブレイドアンドソウル」といったところです。かつての「ブレイドアンドソウル」が持っていた要素をすべて兼ね備えた,至高の「ブレイドアンドソウル」だと思っています。
4Gamer:
システム面は,ほかにどの辺りが変化しているのでしょうか。
福富氏:
まずキャラクターの成長に大きく手が入っています。現在の「ブレイドアンドソウル」では,成長のルートが固定され,誰もが同じスタイルを目指す環境になっていましたが,「ブレイドアンドソウルNEO」では新たに導入された「武功システム」によってこれが一新され,一人ひとりのプレイヤーがオンリーワンを目指せる環境へと変化しました。
また,いわゆる“Pay to Win”から“Play to Win”への転換を目指し,課金に依存した装備が撤廃されるといった変化もあります。
4Gamer:
なるほど,それはかなり大きい変化ですね。すでにサービスが開始されている韓国のほか,北米でも近日のローンチが予定されている※とのことですが,それらの地域での反応はいかがでしょうか。
※本インタビューは,北米版サービス開始前に実施している。
キム氏:
韓国のサービス開始時は,ワールド接続に待ち時間が発生するくらい,多くのプレイヤーが集まりました。北米においても,事前予約と事前キャラクター作成の状況を見るに,かなり期待が集まっているのが分かります。
日本でのサービスも韓国や北米と同じバージョンで展開し,日本のプレイヤーの皆さんの状況に合わせた多彩なイベント,アップデートを行っていく予定ですので,ぜひ期待していてください。
4Gamer:
今後の開発と運営は,「ブレイドアンドソウル」と並行して進めていくのでしょうか。それとも「ブレイドアンドソウルNEO」に注力する形になりますか。
キム氏:
並行して開発を進めていきます。「ブレイドアンドソウル」と「ブレイドアンドソウルNEO」,その双方のプレイヤーに楽しんでいただけるサービスを目指し,運営していく予定です。
4Gamer:
メインストーリーや登場するNPCなどは,「ブレイドアンドソウル」から何か変わっていますか。
キム氏:
メインストーリーとキャラクターは基本的には同一です。しかし,よりスムーズにゲームを進行できるような改修を施しています。
例えば,キャラクター作成後に疾走や滑空などのすべての軽功スキルを無限に使用できたり,クエスト進行の位置まで即時移動できたりといったように。そのため,以前よりも速いテンポでストーリーを楽しめると思います。
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4Gamer:
選べる職業が15職から7職に減っていますが,これはなぜですか?
福富氏:
今回はリメイクということもあり,「ブレイドアンドソウル」がサービスを開始した2014年当時の職業を,まず用意した形です。当時と同じく大砂漠からのスタートですし,もちろん職業の追加も随時行っていく予定です。
4Gamer:
ちなみに,7つの職業うち2つがリン族専用なのは,やっぱりリン族の人気ゆえなんですか?
福富氏:
種族と職業の関係はこれまでどおりですが,確かにリン族は人気があります。なので人気ゆえかと聞かれると……実際そのとおりですね(笑)。
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4Gamer:
「ブレイドアンドソウルNEO」の強化点を,もう少し詳しく教えてください。グラフィックスが強化されているとのことですが,推奨スペックに変化はありますか?
福富氏:
現行の「ブレイドアンドソウル」と同じと思っていただいて大丈夫です。
「ブレイドアンドソウルNEO」のエフェクトは,Unreal Engine 3で制作された初期バージョンと,2021年の「胎動」アップデートで導入されたUnreal Engine 4環境の,双方の良さを兼ね備えたものになっています。
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4Gamer:
……というと?
福富氏:
Unreal Engine4の導入で確かにグラフィックスは向上したのですが,色のコントラストなどはUnreal Engine 3の方が良かったといった声が,一部のプレイヤーから挙がっていたんです。「ブレイドアンドソウルNEO」では,これに答える形で調整が加えられています。
4Gamer:
なるほど。……かなりマニアックですね。
福富氏:
……実は私自身,エフェクトの変化に不満に感じていたプレイヤーの一人でして(笑)。Unreal Engine 3時代はすべての衣装を金色にしていましたが,Unreal Engine 4になってからは一部の衣装が金色で表現できなくなり,悲しい思いをしたものです。ですので今回はそういった不満を解消し,究極の映像美を実現したというわけです。
4Gamer:
分かりました。先ほど「武功システム」の話がありましたが,これをもう少し詳しく教えてもらえますか。
キム氏:
これまで,「武功」は職業ごとに用意されたスキルのようなものでしたが,リニューアルによって「武功書」を付与して装身具を強化するシステムに置き換えられました。これにより,自由に武功を組み合わせて,同じ職業でも個性を出せるようになっています。ぜひ自分だけのカスタマイズを発見してほしいと思います。
福富氏:
例えばパンチで攻撃する武功の場合,「火の武功書」を付与すれば火のパンチが,「雷の武功書」を付与すれば雷のパンチが繰り出せます。そして武功書を付けられる部位は6か所あるので,その組み合わせで個性をだしていくイメージです。
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4Gamer:
装身具だけでなく,武器も成長するのですよね。
キム氏:
武器成長には「進化石」「武魂の粉」のような成長材料,そして武器に特別な力を付与する「霊魂石」が必要になります。「霊魂石」はダンジョンのボス討伐で獲得でき,それ以外もゲーム内で入手できるのでご安心ください。
福富氏:
キャラクターのステータスも,武器や装身具で強化が可能です。同じ武器なら上昇値は基本変わりませんが,ランダムで付与される追加効果で違いが生まれるので,繰り返しバトルやダンジョン探索に挑んで,自分なりの装備を収集してほしいです。
4Gamer:
ダンジョンもリニューアルされるのですよね。
キム氏:
はい。既存のダンジョンに加え,「ブレイドアンドソウルNEO」からの新ダンジョンも登場します。新ダンジョンは新鮮な気持ちで挑戦していただけるほか,既存のダンジョンも冗長だった部分やギミックなどを一部改修していますので,どちらも楽しんでいただきたいです。
福富氏:
多くのプレイヤーで挑戦するワールドボスや新ダンジョンボスなども実装予定ですので,こちらもご期待ください。
4Gamer:
そのほか,注目してほしいポイントはありますか。
キム氏:
ユーザーインタフェースが新しくなり,キャラクター成長情報が直観的に確認できるようなりました。主な能力値や装身具の武功情報などを一目で把握できるので,便利ですよ。
福富氏:
全体的にインタフェースが整理されて見やすくなっているので,以前と比べてかなり快適だと思います。クエストの即時移動機能や,豊富なアイテムの収納機能などにも,アクセスしやすいはずです。
またサービス開始時点では,行けるエリアこそ斎龍林や大砂漠などに限られますが,この10年で培われた便利な機能は,「ブレイドアンドソウルNEO」でも引き続きご利用いただけます。とくにUnreal Engine 3時代しか知らない方からすると,劇的な変化を感じると思いますので,ぜひ一度触れてみてほしいです。
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4Gamer:
リリース後の長期的な展開について,今の時点で何かお話いただけることはありますか。
キム氏:
「ブレイドアンドソウル」に登場した「白青山脈地域」や,「邪術士」といった職業はもちろん,「ブレイドアンドソウルNEO」のみのオリジナル要素も準備しています。
福富氏:
サービスチームとしては,今のチームにしかできない,プレイヤーの皆さんに寄り添った運営をしていきたいと思っています。これまでの知見を生かしつつ,毎月2回の公式放送や,2024年末に開催したオンラインファンミーティングなど,皆さんとの距離の近い施策を続けていきますので,ご期待ください。
4Gamer:
最後に,日本のプレイヤーに向けたメッセージをお願いできますか。
キム氏:
「ブレイドアンドソウル」のサービス開始から,いつのまにか10年の時が経ち,もうすぐ11年を迎えます。長い間ご愛願いただき,ありがとうございます。
そして「ブレイドアンドソウルNEO」というもう一つの新たな旅路も共にしてくださることに感謝を申し上げます。プレイヤーの皆さんの声を聞き,満足いただけるサービスが継続できるよう最善を尽くしていきますので,今後も「ブレイドアンドソウル」と「ブレイドアンドソウルNEO」をよろしくお願いします。
福富氏:
早期にサービスが終了してしまうタイトルなど,そのタイトルのプレイヤーにとっては残念なニュースを耳にすることが昨今,増えてきました。そんな中,NCSOFTのPCオンラインゲームは,「リネージュ」シリーズをはじめとして長らくサービスが継続しているものが多いのが,個人的には一番の誇らしいことだと思っています。
「ブレイドアンドソウルNEO」もまた,長く皆さんに愛されるタイトルであり続けられるよう,チーム一同全力を尽くしていきますので,どうかこれからもよろしくお願いいたします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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「ブレイドアンドソウル」公式サイト
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