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待望のミドルクラス市場向けRTX 50シリーズが登場! 「GeForce RTX 5060 Ti」の性能をゲームで検証してみた
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印刷2025/04/16 22:00

レビュー

待望のミドルクラスRTX 50をゲームで検証してみた

Palit GeForce RTX 5060 Ti 16GB Infinity 3

Text by 宮崎真一

 2025年4月16日22:00,新しいミドルクラス市場向けGPU「GeForce RTX 5060 Ti」(以下,RTX 5060 Ti)のレビューが解禁となった。
 RTX 5060 Tiのゲーム性能はどの程度なのだろうか。Palit Mycrosystems(以下,Palit)製のグラフィックスメモリ容量16GBモデルである「GeForce RTX 5060 Ti 16GB Infinity 3」(以下,Palit RTX 5060 Ti)で検証してみよう。

GeForce RTX 5060 Ti 16GB Infinity 3
メーカー:Palit Mycrosystems
メーカー想定売価:未公開
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 Blackwellアーキテクチャを採用したNVIDIAの新世代GPU「GeForce RTX 50」シリーズは,ハイエンド市場向けから順次,下位モデルが登場している。しかし,ミドルハイ市場向けの「GeForce RTX 5070」(以下,RTX 5070)でさえも,搭載カードの価格は10万円以上であり,高嶺の花とあきらめている人も多いのではないだろうか。
 RTX 5060 Tiは,RTX 5070の下位に置かれるモデルで,ようやく手が届きやすいGPUとなりそうだ。ゲーマーにとって福音となるGPUなのか確かめてみたい。


GPUコアにはGB206を採用。動作クロックはRTX 5070より若干高め


 まずはRTX 5060 Tiのスペックを確認していこう。
 Blackwell世代のRTX 5060 Tiは,GPUコアに「GB206」を採用している。GB206について,NVIDIAはあまり情報を公開しておらず,たとえばダイサイズは分かっていない。ただ,TSMCの4nm 4Nプロセスで製造される点は,RTX 5070などと同じだ。

 Blackwellアーキテクチャでは,シェーダプロセッサである「CUDA Core」を128基と,L1キャッシュメモリやテクスチャユニット,そしてレイトレーシングにおける光線の生成と衝突判定を行う「RT Core」を1基,さらにAI処理向けアクセラレータ「Tensor Core」を4基まとめて「Streaming Multiprocessor」(以下,SM)を構成する。
 GB206では,そのSMを12基集めてGPUクラスタ「Graphics Processor Cluster」(以下,GPC)としている。GB206はGPCを3基有しているため,CUDA Coreの総数は,128×12×3で4608基となる計算だ。これは,RTX 5070の75%の規模だが,置き換え対象の「GeForce RTX 4060 Ti」(以下,RTX 4060 Ti)からは,6%弱増加している。

NVIDIAコントロールパネルのシステム情報からPalit RTX 5060 Tiのシステム情報を確認したところ
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 RTX 5070などと同様に,RT Coreは,第4世代に進化。その数はSM数と同じなので12×3で36基となり,その公称スループットは72 RT TFLOPSだ。RTX 5070が93.6 RT TFLOPSだったので,その約77%しかないものの,RTX 4060 Tiの51 RT TFLOPSと比べると,約1.4倍向上している。

 一方,Tensor Coreも第5世代に進化しており,その総数はSM数の4倍なので,144基となる。Tensor Coreの公称スループットは759 AI TOPSで,これはRTX 5070の約77%しかないが,RTX 4060 Ti比で約2.2倍に,2世代前の「GeForce RTX 3060 Ti」比となると約5.8倍にも達している。さらに,ほかのGeForce RTX 50シリーズと同じく,DLSS 4をサポートし,複数のフレームが生成できる「Multi Frame Generation」が利用可能だ。

 RTX 5060 Tiのベースクロックは2407MHzで,ブーストクロックは2572MHzと,回路規模が小さくなったためか,RTX 5070から若干引き上げられた。RTX 4060 Tiと比べても,これらのクロック設定は若干高めだ。

GPU-Z(Version 2.65.1)でPalit RTX 5060 Tiのスペックを確認したところ
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 なお,後述するテスト環境において,テスト中の動作クロックを「GPU-Z」で追ってみたところ,2767MHzまで上昇しているのを確認した。同様のテストで,RTX 5070は2505MHzまでしか上がっていなかったのと比べると,RTX 5060 Tiのほうが,動作クロックが伸びやすいようだ。

 RTX 5060 Tiも,グラフィックスメモリにはGDDR7を採用し,その容量は16GBと8GBのモデルが用意される。どちらもメモリクロックは28GHz相当で,メモリインタフェースが128bitなので,メモリバス帯域幅は448GB/sとなる。RTX 5070のメモリバス帯域幅が672GB/sだったのと比べると,約67%の規模に留まるが,RTX 4060 Ti比で約1.6倍の向上をはたしている。
 なお,RTX 5060 TiのL2キャッシュは32MBで,RTX 5070から16MBも少ないが,RTX 4060 Tiと容量は同じだ。

CUDAの開発キットに付属している「devicequerydrv.exe」の実行結果(左)。L2キャッシュの容量(赤枠内)は,「33554432 bytes」(=32MB)だった。右はCPU-Z(Version 2.15.0)におけるGraphicsタブの内容。TDPは180.0W。グラフィックスメモリはSamsung製だ
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 RTX 5060 Tiの消費電力に当たる「Total Graphics Power」(以下,TGP)は,180Wだ。RTX 5070より70Wも低いのだが,RTX 4060 Tiからは20W増えてしまっている。
 ちなみに,今回使用したPalit RTX 5060 Tiは,補助電源コネクタが16ピンではなく,8ピンタイプ×1だった。すべてのRTX 5060 Ti搭載モデルがそうなのかは分からないが,少なくとも消費電力に関しては,かなり扱いやすいGPUと言えそうだ。

 そんなRTX 5060 Tiのスペックを,上位モデルのRTX 5070,従来製品のRTX 4060 Tiと,前世代の70番台である「GeForce RTX 4070」(以下,RTX 4070),前々世代の「GeForce RTX 3060 Ti」とともにまとめたものが表1となる。

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 RTX 5060 Tiは,RTX 5070と同様にPCI Express 5.0をサポートしているものの,x16ではなく,x8動作となる点は注意したい。


カード長は約290mmと少し長め。GPUクーラーは2スロット厚で重量も軽い


 それでは,Palit RTX 5060 Tiのカードそのものについて見ていこう。

Palit RTX 5060 Tiの表面(上)と裏面(下)。全体は黒を基調にし,ファンを中心にした波紋のような同心円のデザインが表面に施されている
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 全体は黒を基調にしたデザインで,側面や裏面に記されたGEFORCE RTXやINFINITYのロゴが白色で際立っている。なお,最近の製品としては珍しく,LEDイルミネーションはどこにもない。
 ちなみにPalitは,「Infinity 3」シリーズのグラフィックスカードについて,「Small Form Factor」(SFF)対応を謳っており,コンパクトなPCケースでの運用を視野に入れて設計しているようだ。

 カード長は実測で約290mm(※突起部除く)で,RTX 5070 Founders Edition(以下,RTX 5070 FE)が約243mmだったのに比べると,47mmほど長い。Palitの上位モデルである「GeForce RTX 5070 Infinity 3」と,ほとんど同じサイズだ。

カード長は実測で約290mm
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 GeForce RTX 50シリーズでは定番だが,基板自体の長さは約148mmほどしかない。カード後方に,GPUクーラーが約142mmもはみ出た格好だ。もちろん,最近のGeForceシリーズではよく見かける,エアーが表面から裏面へと抜ける構造である。

カード後方はエアーが抜ける構造だ
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 実測重量は約712g。RTX 5070 FEが約1106gであったのと比べると,400g近くも軽い。

重量は実測で約712g。実際に手に持つとサイズのわりに軽い印象を受ける
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ファンブレードには,中央から端まで1本の溝が彫られている
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 GPUクーラーは,2スロット占有タイプで,90mm径相当のファンを3基搭載する。ファンブレードに1本の溝が彫られている点が特徴的で,これによりエアフローを整えているのだろう。
 GPUコアの負荷が小さいアイドル時には,ファンの回転を停止する「0-dBテクニック」という機能もある。

2スロット厚と最近のカードとしては薄めで,ブラケット上側へのはみ出しも1cm程度。ブラケットには通気孔が開けられている
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 ちなみに,設定アプリケーションの「ThunderMaster」(Version 4.17)を使用することで,ファンの回転数制御を変更可能だ。
 ThunderMasterでは,1%刻みで30〜100%に回転数を固定したり,GPUの温度と回転数の関係を示したファンカーブから,任意の温度における回転数をグラフ上から設定したりできる。
 なお,ブラケット側のファン1基と,そのほかの2基を個別に設定できる点も,ユーザーにとってはありがたい。

ThunderMasterでは,画面で左がブラケット側の1基,右側は残りの2基のファンの設定になる
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 カードの隙間からのぞき込むと,ヒートパイプは3本用いられているようで,Palitによると,これらのヒートパイプには溝構造と焼結パウダー構造を利用しているとのこと。これによって熱伝導が高まり,放熱性能が最大32%向上しているという。

横から見ると,基板の短さがよく分かる。前後のヒートシンクをヒートパイプで結んでいるのも見てとれよう
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補助電源コネクタは8ピンが1基のみ
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 補助電源コネクタは,一般的な8ピンを1基備える。電源ユニットに対するハードルは,16ピンが必要な上位モデルに比べてかなり低めだ。基板が短いこともあり,コネクタの位置はカード中央からやや前寄りにある。

 映像出力インタフェースは,DisplayPort 2.1bを3系統とHDMI 2.1bを1系統装備。このあたりは,RTX 5070 FEとまったく同じだ。
 なお,ブラケットはその面積のほとんどをハニカム構造の排気孔で占めており,エアフローの効率化と強度の維持に努めているのが見てとれる。

映像出力インタフェースはDisplayPortが3つに,HDMIがひとつという最近ではよく見かける構成だ
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2世代前と比べた性能の伸びもチェック


 テスト環境について説明しよう。
 今回,比較対象にはRTX 5070とRTX 4060 Ti,RTX 4070,そしてRTX 3060 Tiの4製品を用意した。上位モデルのRTX 5070との差を見つつ,前世代からどれだけ伸びたかを確認したうえで,2世代前からのアップグレード対象としてのRTX 5060 Tiの価値をチェックしようというわけだ。
 なお,RTX 3060 Ti搭載カードとして使用したPalitの「GeForce RTX 3060 Ti DUAL OC」は,動作クロックが引き上げられたクロックアップモデルであるため,ThunderMasterでブーストクロックをリファレンスレベルにまで下げて使用している。

 使用したグラフィックスドライバは,「GeForce 575.94 Driver」だ。これは,NVIDIAがRTX 5060 Tiのテスト用としてレビュワー向けに配布したものである。テスト時におけるGeForce Driverの最新版は「GeForce 572.83 Driver」なので,RTX 5060 Tiのサポートに合わせて世代が少し進んだようだ。それ以外のテスト環境は表2のとおり。

表2 テスト環境
CPU Core i9-14900K(P-core 定格クロック3.2GHz,P-core 最大クロック5.6GHz,24C32T,Intel Smart Cache容量36MB)
マザーボード ASRock Z790 Steel Legend Wi-Fi(Intel Z790,BIOS 19.02)
メインメモリ Corsair VENGEANCE RGB DDR5 PC5-48000 DDR5 SDRAM 16GB×2(DDR5-5600の40-40-40-76設定で利用)
グラフィックスカード Palit Microsystems GeForce RTX 5060 Ti 16GB Infinity 3(GeForce RTX 5060 Ti,グラフィックスメモリ容量16GB)
GeForce RTX 5070 Founders Edition(グラフィックスメモリ容量12GB)
GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition(グラフィックスメモリ容量8GB)
GeForce RTX 4070 Founders Edition(グラフィックスメモリ容量12GB)
Palit Microsystems GeForce RTX 3060 Ti Dual OC(GeForce RTX 3060 Ti,グラフィックスメモリ容量8GB)
ストレージ CFD CDDS-M2M1TEG1VNE
(NVMe,1TB)
電源ユニット CoolerMaster V1200 Platinum(定格1200W)
OS Windows 11 Pro 24H2(Build 26100.3775)
チップセットドライバ Intel チップセットINFユーティリティ 10.1.20020.8623
グラフィックスドライバ GeForce 575.94 Driver

 テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション30に準拠。ただし,次期レギュレーションを先取りする形で,「Call of Duty: Modern Warfare III」に代えて「Call of Duty: Black Ops 6」(以下,CoD: BO6)を,「バイオハザード RE:4」に代えて「モンスターハンターワイルズ ベンチマーク」(以下,モンハンワイルズ ベンチ)を導入した。
 また,「Fortnite」も,使用するグラフィックスAPIをDirectX 11からDirectX 12に変更している。

 それぞれの具体的なテスト方法は以下のとおり。

●CoD: BO6
 「極限プリセット」を適用したうえで,「アップスケーリング/シャープニング」を「NVIDIA DLSS」に指定する。「NVIDIA DLSSフレーム生成」は,オフのまま。
 この状態で,ゲーム付属のベンチマークモードを実行して,終了後に表示される平均フレームレートと1パーセンタイルフレームレートを結果として採用する。

●モンハンワイルズ ベンチ
 「ウルトラプリセット」を指定。フレーム生成は「OFF」のままにする一方で,レイトレーシングを「高」に変更している。また,同ベンチではスコアと平均フレームレートしか得られないため,別途「CapFrameX」(Version 1.7.4)を併用して,ベンチマーク実行中の1パーセンタイルフレームレートを計測している。

●Fortnite
 グラフィックスAPIをDirectX 12に変更。それ以外の設定やテスト内容はベンチマークレギュレーション30と同じ。

 さらに,DLSS 4性能をチェックするため,「3DMark」(Version 2.31.8385)の「NVIDIA DLSS feature test」と,「Cyberpunk 2077」もテストした。
 NVIDIA DLSS feature testでは,「Super Resolution」で「Quality」を指定。そのうえで,DLSSバージョンを「DLSS 4」または「DLSS 3」に設定して,「Frame generation」の項目を「2x/3x/4x」に変更している。
 Cyberpunk 2077では,描画負荷が最も大きい「Ray Tracing: Overdrive」プリセットを選択したうえで,「DLSS Super Resolution」を「Quality」に指定。DLSS Multi Frame Generationの設定を適宜変更しながら,ゲームに用意されたベンチマークモードを実行している。

 なお,ゲームテストの解像度は,NVIDIAがRTX 5060 Tiについて1440pにおけるゲームプレイを想定しているため,2560×1440ドットを中心に,1920×1080ドットと3840×2160ドットを加えた3つを選択している。


RTX 5060 Tiの性能はRTX 5070の7割強。RTX 4060 Tiからの伸びは10%前後


 それでは,3DMarkの結果から順に見ていこう。Fire Strikeの総合スコアをまとめたものがグラフ1だ。

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 RTX 5060 Tiのスコアは,RTX 5070の66〜83%程度である。メモリバス帯域幅で劣ることもあり,解像度が高くなりにつれて差が広がる傾向だ。
 RTX 4060 Tiからは15〜28%程度伸びており,RTX 4070には2〜6%程度の差まで迫っている点は評価できる。
 気になるRTX 3060 Tiに対しては,33〜43%程度も引き離し,アップグレードした場合,はっきりと性能向上を体感できそうだ。

 DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の結果となるグラフ2を見てみよう。

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 RTX 5060 Tiのスコアは,RTX 5070の71〜74%程度で,描画負荷が大きくなると差も広がっている。RTX 4060 Tiからの伸びは約15%に留まり,RTX 4070との差も11〜15%程度と,やや広がった。
 ただ,RTX 3060 Tiには29〜35%程度の差を付けており,しっかりと世代の違いを見せつけている。

 Time Spyより新しいDirectX 12テストである「Steel Nomad」の結果が,
グラフ3だ。

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 RTX 5060 Tiは,さらにRTX 5070との差が開いて,約67%ほどのスコアしか出ていない。ただ,RTX 4060 Tiには約20%,RTX 3060 Tiになると約36%と,旧世代にはそれぞれ差を付けており,新世代らしく性能がしっかり伸びていると言える。

 グラフ4は,レイトレーシングを含むテスト「Speed Way」の結果だ。

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 RTX 5060 Tiのスコアは,RTX 5070の約70%ほどだ。ただ,RTX 4060 Tiを約25%も引き離しており,RTX 3060 Tiには約40%と,差を広げている点は好印象だ。レイトレーシング性能の向上による効果だろうか。

 レイトレーシングに特化したテストであるPort Royalの結果がグラフ5だ。

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 RTX 5060 Tiは,やはりRTX 5070の約71%ほどだが,RTX 4060 Tiに対しては約22%ほどの伸びを見せている。さらにRTX 3060 Tiには,約47%もの差を付けており,このあたりは世代の革新を感じさせるものだ。

 グラフ6,7は,NVIDIA DLSS feature testの結果だ。なお,RTX 4070およびRTX 4060 Tiは,DLSS 4に対応しないので,DLSS 4のスコアはない。また,RTX 3060 Tiは,DLSS 3/4を使用できないため,当然そのスコアはないことをお断りしておく。

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 Multi Frame Generationにより,どれだけフレームレートが上昇したかを計算すると,RTX 5060 Tiは「2x」で2.6〜3.2倍程度となり,これはRTX 5070の2.6〜3.1倍程度とほぼ同じだ。同様に,RTX 5060 Tiは「3x」で3.7〜4.6倍程度,「4x」で4.7〜6.0倍程度となり,Multi Frame Generationの効きは,RTX 5070とほぼ同じと言っていい。

 実際のゲームではどうなのだろうか。グラフ8〜10は,CoD:BO6の結果となる。

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 RTX 5060 Tiの平均フレームレートは,RTX 5070の75〜78%程度に留まった。RTX 4060 Tiから伸びも,3〜4%程度と控えめだ。もちろん,RTX 3060 Ti比では23〜24%程度向上しているが,前世代に対するインパクトはあまりない。
 それは,1パーセンタイルフレームレートでも同じで,RTX 5060 Tiは,RTX 5070の74〜77%程度で,RTX 4060 Tiからは2〜3%程度しか伸びていない。

 グラフ11は,モンハンワイルズ ベンチのスコアをまとめたものだ。

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 RTX 5060 Tiのスコアは,RTX 5070の76〜84%程度だが,RTX 4060 Tiからは23〜46%程度も伸びている。RTX 3060 Tiに対しては,56〜85%程度という大差を付けている点も要注目だ。
 カプコンが示す指標では,スコアが2万以上で最高評価である。RTX 4060 Tiは,2560×1440ドットで2万に届いていないのに対して,RTX 5060 Tiが届いている点は見どころと言えよう。

 グラフ12〜14は,モンハンワイルズ ベンチにおける平均フレームレートと1パーセンタイルフレームレートの結果となる。

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 平均フレームレートはスコアを踏襲したものとなっているが,1パーセンタイルフレームレートに着目すると,RTX 5060 Tiは2560×1440ドットでRTX 4060 Tiに14fps弱もの差を付け,40fpsを上回っているあたりは優秀といえる。NVIDIAの言う「RTX 5060 Tiは1440pでのゲームプレイを想定したGPU」というのが,よく分かる結果となっている。

 Fortniteの結果をグラフ15〜17に示す。

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 RTX 5060 Tiの平均フレームレートは,RTX 5070の約73%ほどで,RTX 4060 Tiからの伸びは11〜35%程度といったところ。とくに3840×2160ドットでは,RTX 4060 Tiに大きな差を付けており,メモリバス帯域幅のアドバンテージを見せつけた格好だ。
 なお,RTX 3060 Tiとの差は34〜63%程度で,3840×2160ドットで差が大きくなっている。メモリバス帯域幅は同じ448GB/sなので,GPU世代の差に加えて,L2キャッシュ容量の差が効いているのではないだろうか。
 1パーセンタイルフレームレートを見ても,平均フレームレートと同じ傾向で,RTX 5060 TiはRTX 5070の74〜75%程度。RTX 4060 TiとRTX 3060 Tiには,3840×2160ドットで大差を付けている。

 グラフ18〜20が「Starfield」の結果だ。

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 RTX 5060 Tiの平均フレームレートは,RTX 5070の73〜76%程度といったところ。ただ,RTX 4060 Tiからの伸びは2〜8%程度しかなく,RTX 4070には24〜29%程度も離されている。しかし,RTX 3060 Tiとの差は22〜28%程度もあるので,さすがに2世代分の違いがあると,性能差も明確だ。
 RTX 5060 Tiの1パーセンタイルフレームレートは,RTX 5070の74〜77%程度で,RTX 4060 Tiからは4〜9%程度しか向上していない。1920×1080ドットで,RTX 4060 Tiの1パーセンタイルフレームレートが60fpsを下回っているのに対して,RTX 5060 Tiは超えてみせたのは,見どころではある。それでもStarfieldにおけるRTX 4060 Tiとの差は少々物足りない。

 グラフ21は,「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下,FFXIV黄金のレガシー ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。

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 スクウェア・エニックスが示す指標では,スコアが1万5000以上で最高評価であり,RTX 5060 Tiは,2560×1440ドットでもそれを満たしている。RTX 4060 TiやRTX 3060 Tiは,同解像度で1万5000に届いていないあたりを見ても,FFXIV黄金のレガシー ベンチにおけるRTX 5060 Tiの優位性は明らかだ。
 なお,RTX 5060 TiのスコアはRTX 5070の67〜79%程度で,やはり解像度が高くなるにつれて離されていく。

 FFXIV黄金のレガシー ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ22〜24だ。

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 平均フレームレートは,総合スコアを踏襲している。最小フレームレートに着目すると,RTX 5060 Tiは,2560×1440ドットで60fpsを超えた点を評価できよう。

 グラフ25〜27には,「F1 24」の結果をまとめている。

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 RTX 5060 Tiの平均フレームレートは,RTX 5070の69〜75%程度。RTX 4060 Tiからの伸びは8〜19%程度であるが,RTX 4070との差は23〜26%と大きい。RTX 3060 Tiとの差は29〜49%程度もあるので,しっかりと性能を伸ばしている。
 RTX 5060 Tiの最小フレームレートは,RTX 5070の69〜73%程度だ。RTX 4060 Tiからの伸びは6〜19%程度で,平均フレームレートと似た傾向にある。ただ,RTX 5060 Tiは,2560×1440ドットで60fpsに迫っている点は好印象だ。

 「Cities: Skylines II」の結果が,グラフ28〜30だ。

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 RTX 5060 Tiの平均フレームレートは,RTX 5070の73〜84%程度だが,RTX 4060 Tiに対しては16〜32%程度の差を付けている点は立派。RTX 3060 Tiに対しては,25〜43%程度の差を付けた。RTX 5060 Tiは,レギュレーションで合格点とする平均30fps以上を,2560×1440ドットでも満たしている点は評価できよう。
 また,RTX 5060 Tiの1パーセンタイルフレームレートは,RTX 5070の85〜90%程度で,RTX 4060 Tiから4〜15%程度伸び,RTX 4070に2〜3%程度まで迫っているのは上々だ。

 グラフ31〜33が,Cyberpunk 2077の結果だ。DLSS 4を使用したマルチフレーム生成の効果を確認していくが,文中とグラフ中ともに,DLSS Multi Frame Generationのフレーム生成倍率を,「RTX 5060 Ti FG 4x」といった具合に,FGの後ろに数字で示している。

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 3DMarkのNVIDIA DLSS feature testと同様に,Multi Frame Generationによる伸び率を計算してみよう。RTX 5060 Tiの平均フレームレートは,FG 2xで約1.8倍,FG 3xで2.5〜2.6倍程度,FG 4xで3.2〜3.4倍程度で,RTX 5070の伸び率とほぼ同じだ。


消費電力は180W弱。RTX 4060 Tiからは20Wほど増加


 RTX 5060 TiのTGPは180Wで,RTX 5070よりはかなり低いが,RTX 4060 Tiからは増えてしまっている。では,RTX 5060 Tiの実際の消費電力は,どの程度なのだろうか。

 NVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみよう。今回の計測も,3DMarkのTime Spyにおいて,消費電力が高くなる傾向がでたGraphics test 2の実行中に行っている。
 消費電力の計測結果をグラフ34に示そう。今回から,分かりやすくするためにレビュー対象の計測結果を赤色で示している。

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 この結果を見ると,RTX 5060 TiはRTX 5070よりは消費電力が大幅に少なく,RTX 4070やRTX 3060 Tiをも下回っていることが確認できる。ただ,やはりRTX 4060 Tiからは,若干増えてしまっているようだ。

 グラフ34の測定結果から,分かりやすくなるように中央値を求め,最大値と合わせてまとめたものがグラフ35となる。

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 RTX 5060 Tiの中央値は,177Wほどで,RTX 5070よりも約80W低い。また,RTX 4070やRTX 3060 Tiよりも25W前後低くなっているが,RTX 4060 Tiよりも20Wほど増えており,TGPどおりの結果と言えようか。
 なお,RTX 5060 Tiは,最大値も200W程度に収まっており,電源ユニットに対するハードルは低めだ。

 さらに,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力を計測した結果から推測してみよう。
 テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。
 その結果がグラフ36だ。

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 ピーク値を結果として採用するため,差が顕著になる傾向が出やすい。それを踏まえて見ていくと,各アプリケーション実行時において,RTX 5060 TiはRTX 5070から35〜71W程度も消費電力が低い。ただ,RTX 4060 Tiからは10〜29W程度も増えている。一方で,RTX 3060 Tiからは17〜49W程度減っている点は評価できる。

 GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
 GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっているうえ,それぞれファンの制御方法が違うため,異なる製品を同列に並べての評価は,あくまでも参考程度と理解してほしい。それを踏まえた結果はグラフ37のとおり。

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 RTX 5060 Tiは,高負荷時でも70℃を下回っており,GPUクーラーの冷却性能は申し分ない。とはいえ,RTX 5070の温度が突出している以外は,どのGPUも70℃前後に収まっているので,あまり大きな差はない。
 アイドル時はファンの回転が停止するため,RTX 5060 Tiは,49℃と若干高めだ。

 最後に,騒音計を使って,それぞれの動作音を比較してみたい。今回は,室内の音が41.5dBAの環境で,グラフィックスカードに正対する形で50cm離したところに騒音計を置いて,動作音を計測した。
 バラック状態でテストを行っているので,実際にケースに組み込んだ状態よりも動作音は大きくなることを断っておく。なお,アイドル時と高負荷時は,GPU温度を測定した条件と同じだ。結果はグラフ38となる。

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 RTX 5060 Tiは,高負荷時でも43.3dBAとかなり低めだ。とくに,RTX 5070と比べて,動作音を低めに抑えられていることが分かる。なお,アイドル時はどのGPUもファンの回転が停止するため,動作音に違いはない。


古い世代からのアップグレードに適するRTX 5060 Ti


 以上のテスト結果からすると,RTX 5060 Tiの性能はRTX 5070の7割強で,上位モデルとの差は,かなり大きい。また,RTX 4060 Tiからの伸びは1割前後といったところだが,モンハンワイルズ ベンチのように,20%以上の伸びを見せることもある。これは純粋な性能差だけでなく,DLSSやレイトレーシングの性能向上が好結果をもたらしたのではないだろうか。
 つまり,RTX 5060 Tiが持つRTX 4060 Tiに対する優位性は,DLSSやレイトレーシングの性能にあるわけで,これはRTX 5070の評価と同じだ。

 2世代前のRTX 3060 Tiと比べた場合は,しっかりと性能向上をはたしている。その点を見ても,RTX 5060 TiはRTX 4060 Tiユーザーが買い替えるものではなく,RTX 3060 Tiなどの2世代前やそれ以前のGPUからのアップグレード対象として存在価値が出てくるのではないだろうか。

 本稿執筆時点で,RTX 5060 Tiの国内向け価格は明らかになっていない。世界市場における価格は,グラフィックスメモリ容量16GBモデルが429ドルで,8GBモデルが379ドル(※いずれも税別)だ。これは,RTX 4060 Tiの16GBモデルが499ドル,8GBモデルが399ドルと発表されたのに比べるて,かなり抑えられている。
 RTX 4060 Tiが登場した2023年5月頃とは,為替相場も物価も異なるが,それでもRTX 5060 Tiが10万円を切ることは確実だ(編注:RTX 5060 Ti搭載カードの国内向け価格は,7万円台後半から8万円台後半となっている)。ようやく多くのゲーマーにとって,手の届きやすいGeForce RTX 50シリーズが出てきたことは素直に評価したい。

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