プレイレポート
[プレイレポ]「ゲゲゲの鬼太郎」の世界を舞台にした脱出ホラー「ノロイカゴ ゲゲゲの夜」は,ギスギスしない,ほどよい協力プレイが心地いい
そんな本作を早速遊んでみたので,本稿でプレイフィールをお伝えしよう。
ゲームの舞台は「ゲゲゲの鬼太郎」と同じ世界で,プレイヤーが操作するキャラクターたちは原作漫画に詳しい人には見覚えのある面々(らしい)。そんな彼らは呪われた武家屋敷や廃病院に閉じ込められており,なおかつ「牛鬼」や「百目」といった妖怪に追われるハメになっている。
原作の物語であれば,鬼太郎が助けにきてくれるようなシチュエーションではあるのだが,鬼太郎は結界に阻まれ,建物の中までは助けに来られない。つまり結界を何とかするのがプレイヤーたちの役割だ。
呪われた6つのオブジェクトを破壊し,無事出口にたどり着けるか? ……といったのがゲームの基本的な内容となる。
本作はソロで遊べるが,最大で4人までの協力プレイも可能だ。ルームを作って見知らぬプレイヤーを募集することもできるし,プライベートルームを作り,パスワードを伝えたプレイヤーと遊ぶこともできる。ただ,できれば誰かを誘って一緒に遊ぶほうが楽しみやすいだろう。
なお本作はシステム要件がとても軽い(Steamストア)ため,プレイ自体のハードルはかなり低い。
前述のとおり,結界を消すためには呪いのオブジェクトを6つ破壊しなければならないのだが,これには少々手順を踏む必要がある。まずは「呪われた刀」など,呪いの破壊に使う品を探し出し,これをマップ中央にある水場などで清めなくてはならない。
ボタンの長押しでアイテムを清めたら,準備完了。これでやっと呪いのオブジェクトを破壊しにいける状態になる。なお,持ち歩けるアイテムはひとつだけなので,「清めた刀」を持ったまま,新たに呪われた刀を拾うことはできない。
以上のようにゲームの流れとしては,破壊すべき呪いのオブジェクトや破壊用のアイテムを探して位置を覚えつつ,マップ内を駆け巡ることになる。もちろんそれらの位置は,プレイするたびに配置が変化する。
制限時間内に6つのアイテム,水場,オブジェクトを回り切るのは1人ではなかなかに大変だ。2人以上で手分けするのが前提と言っても差し支えないだろう。
もちろん,妖怪はこちらを探して動き回っている。押し入れの中に隠れたり,扉を閉めて視線を切って逃れたりと,追跡をまくこと自体はそれほど難しくはないが,そのあいだにも刻々と制限時間が迫ってくる。
妖怪に捕まってダウンしてしまった場合は,ほかのプレイヤーに救助してもらうことで復活できる。助ける側は,うっかり妖怪に捕まって二重遭難にならないよう,気をつけて救助しよう。
注意すべき点として知っておきたいのが,プレイヤーは妖怪の近くにいるだけで呪われ,「半妖」にされてしまうということだ。こうなると呪いのオブジェクトの破壊などができなくなるので,「お札」を見つけてほかのプレイヤーに使ってもらうか,「鏡台」の前でお札を使って解除しなくてはならない。
そんなこんなでバタバタしているうちに制限時間が刻一刻と迫っていく。残り時間が少なくなればなるほど,多少のリスクは覚悟のうえで行動する必要が出てくるというわけだ。
このように,プレイヤー1人だけでやれることが限られているため,ボイスチャットを使った情報交換や作戦伝達が脱出成功の大きなカギとなる。
「地下にはオブジェクトが2つありました」「破壊用のアイテムを見つけたので水場近くに置きます」「出口近くのオブジェクトは最後に壊して,一気に脱出しましょう」などと,コミュニケーションを取りつつ進めていくのが理想的な展開と言えるだろう。
しかし,ときにはこの「声」が邪魔になることもある。呪いのオブジェクトは「ブゥゥゥン」という音を発しているし,破壊用のアイテムも「ヒューン」と甲高い音を出しているので,ボイスチャットでオブジェクトやアイテムに気づかないことがあるからだ。
また,こちらに迫ってくる妖怪も「ドタドタ」と大きな足音を立てていて,それらの音から大まかな方向や距離を推測できる。
マップを効率よく,安全に捜索するにはこれらの音をよく聞くことも大事なので,ほかのプレイヤーの話も聞きたいが,周りの音にも集中したいというジレンマが発生しがちである。
さらに,報告途中のプレイヤーから急に悲鳴が聞こえたりして,こちらまでビックリさせられることもしばしばだ。
マップ内には「つるべおとし」「ねずみ」などのビックリ要素(ジャンプスケア,いわゆるガッシャンポイント)がそこかしこにしこまれていて,「ホラー作品に対してオーバーリアクション気味な人」を誘って遊ぶとかなり盛り上がるかもしれない。
ちなみにボイスチャットができなくても,「ここに注目」という目印と音を出すことができ,破壊すべきオブジェクトの位置を伝えたり,妖怪に襲われてダウンしたことをいち早く伝えたりと,コミュニケーションは取れる。
この種のホラーゲームを遊び慣れたプレイヤー同士なら,案外これだけでもなんとかなるだろう。
ゲームを繰り返しプレイし,キャラクターのレベルを上げていくと,そのキャラクターのバックグラウンドが徐々に明かされていき,新たな能力を習得してセットできるようになる。
能力の効果は全体的に控えめで,取得したことで大きくプレイ感が変わるというわけではないが,プレイを続けていくうえでのちょっとした楽しみになるはずだ。
ゲーム内容は,「Dead by Daylight」を彷彿とさせるもので,マルチプレイヤーホラーゲームの中では比較的シンプルにまとまっている印象だ。世界設定が「ゲゲゲの鬼太郎」ベースなので,怖すぎというほどではないが,しっかりと怖がれるような演出もあり,ほどよいバランスに感じる。
追跡してくる妖怪もほどよい嫌らしさであり,とりあえず捕まらないようにするだけならそこまで難しくはない。脱出そのものよりも,遊ぶ過程でのコミュニケーションを重視したい人にとってはギスギスせずに楽しめる内容のように思えた。
奥深い駆け引きを求めている人には物足りなさがあるかもしれないが,コミュニケーションツールやパーティーゲームとしてのポテンシャルはなかなかのものではないだろうか。
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ノロイカゴ ゲゲゲの夜
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