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[プレイレポ]7日間で目標を達成しなければ死ぬ。残酷な「スルタンのゲーム」は,何度も遊びたくなるゲームブック風アドベンチャーだ
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印刷2025/03/28 23:00

プレイレポート

[プレイレポ]7日間で目標を達成しなければ死ぬ。残酷な「スルタンのゲーム」は,何度も遊びたくなるゲームブック風アドベンチャーだ

 2P Gamesがパブリッシングを行う新作PC用ソフト「スルタンのゲーム」が,2025年3月31日にSteamで発売される

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 「スルタン」とはアラビア語で権力者や王者を示す言葉だ。本作はそんなスルタンに指名され,残酷なゲームに参加させられた主人公となり,運命に抗うために戦うアドベンチャーゲームだ。

 今回は先行プレイ版をベースに,プレイレポートをお届けしていく。なお,今回のバージョンは翻訳が不完全な部分が多かったが,そのあたりはのちに修正される予定とのことだったので,今回はシステム面に軸足を置いてレポートする。翻訳のクオリティを確認してから遊びたい人は,体験版に触れてみるのがオススメだ。

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残酷な“王様ゲーム”に挑戦する
どこにでもいる一般貴族の物語


 ゲームの舞台となるのは,古代の大帝国。歴代の国王は「スルタン」と呼ばれ,現在のスルタン(以下,現王)はすさまじい力を持ち,かつてない版図を実現していた。抵抗する国家は消滅し,もはや比肩するものは存在しない。

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 現王が退屈を感じるようになったころ,謎めいた雰囲気をまとう1人の魔術師が現れる。彼女は小さなカードが詰まった箱を取り出し,それを使った魔法のゲーム「スルタンのゲーム」を提案した。

 箱に入った「スルタンのカード」には4つの欲望(色欲,征服,殺戮,散財)が示されており,その欲望を期間内に成就しなければならないという。期間内に欲望の成就を繰り返し,カードを使い切ればゲームクリアだ。

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 ただし,各カードには4つのレアリティ(岩,銅,銀,金)が設定されており,レアリティが高いものほど成就が難しくなる。
 たとえば,「岩の殺戮」は奴隷の命でまかなえるが,「金の殺戮」は高貴な者を手にかけなければ成就できない。場合によっては,王の側近や后をも殺さなければいけないのだ。

 普通なら残酷なルールに躊躇い苦しむところだが,すべてを手に入れて人の心を失った現王は,カードが示す欲望を思うがままに成就させていった。それからゲームクリアまでの14日間,宮廷は阿鼻叫喚の地獄と化してしまう。

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 カードが尽きて暴虐が終わり,生き残った家臣たちが胸を撫で下ろすのも束の間,あろうことか現王はもう1度ゲームを始めようとした。その凶行に「待った」をかけたのが主人公――プレイヤーである。

 恐れを知らない主人公の言葉を面白がった現王は,その進言を受け入れる。しかし,ゲームを完全に放棄したわけでもなく,主人公に新たな命令を下した。その内容は「予の代わりにスルタンのゲームを進めよ」というもの。

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 現王は暴君であるが,比類なき富と権力,そして指導力は本物だった。ゲームでそれらを無駄に消費しても痛くも痒くもなかったが,一般的な貴族である主人公はそうはいかない。

 しかも,カードを引いてから7日間以内にそれを成就できなければ,現王によって斬首刑に処されてしまう。生き延びるためには,手練手管を用いて人材や資産を集め,欲望を成就させる手段を探る必要があるのだ。

人材やアイテムなどはすべてカードとして表現され,スルタンのカードと同じようにレアリティが設定されている。あらゆる存在のレアリティを判別できる能力は,スルタンのゲームに参加したプレイヤーのみに与えられる特殊能力のようだ
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 ゲームプレイの手順は非常にシンプルだ。メイン画面には地図が表示され,アクセスできる施設や土地(以下,まとめて「エリア」と表現する)が表示されている。
 各エリアに用意された“枠”に適切な人材やアイテムを示すカードを配置して,効果を起動していこう。

 枠を埋めても即座に時間が進むわけではないので,手元のカードを使いきるまで,複数エリアにカードを置ける。配置を終えて「END DAY」を押すと,各エリアの処理が順番に行われ,次の日へと時間が進んでいく形だ。

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 枠に置けるカードの種別は厳密に決まっていて,所定の人材を示すカードが要求されることもあれば,特定のアイテムカードが必要になる場面もある。スルタンのカードを要求する効果を起動できれば,欲望を解消したことになるので,まずは手元のスルタンのカードをセットできるエリアを探すのが基本的な動きとなる。

人材を要求される場面でも,それが貴族であるか下僕であるか,男性であるか女性であるかなど,細かく属性が問われる。誰がどんな属性を持っているのかは確認しておこう
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 こういったゲームとして珍しいのは,公開されていない数字の多さだ。たとえば,なんらかの人材を要求されるエリアでは,行動の成否判定を行うにあたって参照するステータスが示されるが「どのステータスがいくつあれば妥当なのか」や「結果として何が得られるのか」といったことは,ぼんやりとしか分からない。

 最終的に得られる効果も含め,経験してみないと把握できないことが非常に多い構造だ。そのため,厳密に計画を立てて動くというよりは,ある程度バッファ(余剰)を確保して,余裕ができたら新しい行動に挑戦していくのが基本の戦略となる。

対応するステータスの数だけダイスをロールし,成功の面が出た数が一定数を超えれば成功となる。ダイスの成功率は難度設定で変化する仕組みだ
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 これは,ゲームブックのように「文章や状況から結果を想像する」といった体験を重視しているのだろう。各エリアで見られるテキストだけでなく,配置したカードが発するコメントなど,ヒントになる情報が細かにちりばめられているので,それらをうまく拾いつつ決断を下さなけれなならない。

 今回は翻訳が不完全な状態だったこともあり,拾いきれなかった情報も多かったが,翻訳済みの部分ではプレイヤーに情報を読み取らせようとする配慮は随所に見られた。予想がハマってバシッと未知のエリアを攻略できた瞬間にはなかなかの爽快感がある。

ランダムイベントも存在し,選択次第で利益を得られたり,何らかの損失を被ったりする。対応次第では人材が手に入ることも
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欲望の達成方法次第で展開が変化
ときには欲望を逆に利用することも


 しばらく遊んでいて面白く感じたのは,カードに設定されたレアリティによる各種条件の変化と,それによって発生する多彩な物語だ。

完了したスルタンのカードはいつでも確認できる
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 先に紹介したとおり,レアリティの高い欲望ほど大きな代償が求められるのだが,主人公カードのレアリティは「銀」であり,それ以上のレアリティを持つ人材はそうそう手に入らない。欲望を満たさなければいけないからといって,身内の優秀な人材を手にかけていたらすぐ人手不足になってしまう。

 宮廷の人間を引っ張り出すことも不可能ではないが,それはそれで恨みを買ってしまう。現王から法の適用は免除されているものの,個人的な恨みから守ってくれるわけではないので,そうしたジレンマには向き合わなければいけない。

宮殿に出入りする人物は,主人公に対してなんらかの“印象”を持っている。悪印象を持つ人物が増えると,現王に主人公の悪評を吹き込まれて不都合なイベントが起きやすいので,根回しはキッチリしておこう
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 つまり,欲望の達成を目指す過程で,否応なく政治闘争や愛憎劇に巻き込まれていくのだ。この展開はかなり多彩で,遊ぶたびに「こっちを選んだらどうなるんだろう」と気になる。イベントの組み合わせ次第でゲームの展開が大きく変化するので,リプレイ性は非常に高い。

誰かを殺害したことがきっかけとなって復讐者が出現し,主人公に決闘を挑んでくることもある。1つの行動が引き金となり,さまざまなイベントに派生していくのだ
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 スルタンのカードによって,むしろ状況を好転させられる場面があるのも面白いところだ。「散財」を達成させるために作った建物で新しい商売をはじめたり,「殺戮」を達成するついでに政敵を謀殺したりと,その扱い方はさまざま。状況次第では,達成が難しい欲望を利用し,苦境を乗り切ることもできるかもしれない。

 なお,引かれるスルタンのカードはランダムだが,カードの内容は7日間に数回(難度設定によって異なる)引き直せる。たとえ引き直しても制限日数は変化しないので,無理だと思ったら早めに判断しよう。

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 ただ,制限日数の更新に関するルールはやや気になった。欲望を達成すると,翌日に新たなスルタンのカードが引かれ,それと同時に制限日数が更新されるわけだが,現状のルールでは,期限ギリギリまで粘って蓄財を続けるのが最適な戦略になることが多い。

 欲望を素早く解決するインセンティブがないので,むしろ下手に解決してしまうと得られたはずの利益が減り,ゲームが難しくなってしまう。すでに解決の目処がたっている場面では,牛歩しつつリソースを蓄えたほうが効率がいいのだ。資金稼ぎのエリアが毎日運用できる点も,牛歩蓄財戦略の強さを助長している。

 こうした戦略が強いこと自体が悪いわけではないが,その間を埋めるアクションには意思決定の余地が薄く,作業的になりやすいのはやや問題だろう。素早く行動した際にボーナスが得られるなど,テンポのよいプレイを報奨するシステムがあれば,より刺激的なゲームになりそうだ。

かなり余裕をもって蓄財できるので,金銭で解決する「散財」のカードは対応しやすい。一方,不和を生みやすいうえに解決手段がタイミング依存になりがちな「色欲」のカードは課題として残りがち
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 何らかの形で死亡してしまっても,まだ諦めてはいけない。本作にはゲーム外のアンロック要素があるので,それらを用いてもう一度挑戦してみよう。

 初期に獲得できる人材のレアリティや能力が上昇するなど,非常に重要なものも存在するので,最初は情報集めに注力するのも悪くない。
 アンロック要素のあるなしで明確に難度が変わる関係上,初期時点の最高難度は本作でもっとも難しい状態といえる。そういった事情もあり,最初は難度を下げて遊ぶことをおすすめする。

アンロックに用いるリソースは,実績達成を通じて獲得できる。解禁したアンロック要素のオン/オフは任意なので,完璧に理解できたと思ったなら全オフの最高難度に挑戦してみよう
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 世界設定,演出,システムのすべてがユニークな本作には,ほかの作品では味わえない体験が詰まっている。ランダム要素によって“自分だけの物語”が生まれる仕組みを,これほどシンプルなルールで実現しているのには驚かされた。

 バランス面でやや問題を感じる部分はあったが,そこは数値やルールの微調整で改善できる部分だ。正式リリース後にフィードバックを受け,きちんと細かな点が整理されれば名作になりうる1本だと思う。

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 あとは,翻訳が完璧になれば言うことはない。状況を想像することがゲーム進行に深く関わってくることもあり,文章のクオリティ次第で評価は大きく変化するだろう。やや不安な気持ちもあるが,ひとまずは正式リリースでの改善に期待したい。

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