紹介記事
余は猫を好む。3月11日正式発売のネコ探しゲーム「Cats of the Ming Dynasty」
さてここ数日,余の目にとまりしゲームがある。それが「Cats of the Ming Dynasty」と名付けられた一品である。余が得るところ少なからずあったので,その雑感を綴ることとしよう。
「Cats of the Ming Dynasty」は,明の名画「清明上河図」の中に,数多の猫を描き加えたる一作なり。ここに600疋の手書きの猫あり,人物や情景とは無縁に彷徨う姿を見る度に,ほほえむこと忘れがたい。実を言えば「清明上河図」の画中よりも,むしろ猫たちの様に目を奪われたくらいだ。
猫は耳を垂れ,くつろぎ,あるいは仲間と追いかけ合っている。歴史上の賑わいとはかけ離れた,生き物本来の営みを見ているかのようだ。それが故に心は洗われ,渡る世の塵に汚れた精神は,いとも清浄になる。
猫の姿に目を凝らすに従い,余は次第に世俗の虚しさを自覚する。名画の賑わいよりも,むしろ猫たちの無垢なありように,心は引きつけられてしまう。そうしたささやかな逸楽を味わえるがゆえに,このゲームは格別の価値があると言えよう。みだりに活動的でなくとも,ただ猫の所作を窺うことで,我々人間は安らぎを覚えるのだ。「清明上河図」を知らぬ者でさえ,猫たちとの交わりを楽しめよう。そのような思いを抱かずにはいられない。世間の人々に広く知れ渡ることを望む。
つまり「Cats of the Ming Dynasty」は一種の禅なり。価格は百二十円と決して高くなく,三月二十六日までの間は,一割引にて百八円で手に入れられる。猫をよく好む人は勿論のこと,芸術鑑賞に飽かぬ人にもおすすめせざるを得ない。
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Cats of the Ming Dynasty
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