プレイレポート
[プレイレポ]オトメイト最新作「冬園サクリフィス」先行プレイ。世界のために神の花嫁(生け贄)になるか,人間として恋を選ぶか
2025年2月27日に発売予定の「冬園サクリフィス」(Nintendo Switch)は,アイディアファクトリーの女性向けゲームブランド「オトメイト」がおくるNintendo Switch向け恋愛アドベンチャーゲームだ。本作では,2年も春が来ることなく,冬のまま閉ざされている世界“テイドール”を舞台に,神と人間,それぞれの思惑が交錯する物語が描かれる。4Gamerはひと足先にプレイする機会を得たので,登場キャラクターや,神話をモチーフにしたストーリー展開など,本作の魅力を紹介していこう。
テイドールにある数々の神話が軸となった物語
本作をプレイするにあたり,筆者がまず気になったのはタイトルだ。
「冬園」は,春が来なくなってしまったテイドールの世界を指しているとして,「サクリフィス」という不穏なワードが目にとまった。サクリフィスは犠牲や生け贄を指す言葉である。
あー! やっぱり生け贄だ!!
こちらの世界でも,古くから世界各地で天災などを鎮めるため“神に伴侶を捧げる”という儀式は行われてきた。神の伴侶になれるというのは栄誉ではあるが,現代人の価値観からすれば“生け贄”にほかならない。
テイドールの異常気象は冬の神 イヴェールの怒りが原因であり,それを鎮めるために春の祝福を受けた聖女であるヒロインの身が必要,というのが春の女神 フレーディアの言い分だ。
テイドールの世界も同じなようで,神の花嫁とは言い換えれば生け贄だという認識らしい。
ヒロインは皇帝の計らいで神の花嫁になるまでに1か月の猶予をもらうが,つまりはゲーム開始時点で1か月の余命宣告をされたというわけだ。なかなかにハードモードである。
本作は,テイドールの神話が軸になって話が進んでいく。そのため,神話についても紹介したい。
テイドールには,創造三神と呼ばれる神が存在する。天空神 ティノス,豊穣神 マテレアス,冥界神 エレガルの三神だ。このうちティノスとマテレアスはのちに夫婦となり,多くの神を産み落とした。
古代では人間と親交が深かった神たちは「これ以上人間に干渉すれば彼ら自身の進歩を妨げる」として天空に引き上げ,現在,人間と交流を図ろうとするのは四季を司る四神のみとなっている。
作中でとくに関わってくるのは,ヒロインに“祝福”を授けた春の女神 フレーディアと,ヒロインを花嫁に望んでいる冬の神 イヴェールだ。
祝福とは,神が人間に与える超能力のようなもの。人によって能力はさまざまだが,ヒロインには花を芽吹かせたり,植物を元気にさせたり,ほんの少しの雪を溶かしたりする能力が備わっているようだ。
神から祝福を授かれるのはほんのひと握りの人間。そのため,ヒロインは幼いころに祝福を受けて以来,ずっと神殿で暮らすことを義務づけられている。
しかし,ここで気になるのが,ヒロインがたびたび見てしまう“悪夢”の内容だ。
何者かがヒロインに対して「返して」と迫り,大事なものを奪われてしまうという悪夢。通常,祝福を受けた者は「神が見守ってくれている」というポジティブな感情を抱くらしいが,ヒロインはフレーディアに対してかなりの恐怖を抱いている。
実際,フレーディアが幼いヒロインに祝福を授けた際も,何かに弾かれるような描写があり,結果として力が暴走する事故を起こした。
フレーディアは,本物の神なのだろうか。そして,ヒロインを花嫁にと望んでいるのに,その理由が一切不明なイヴェールは,何を考えているのだろうか。そもそも祝福とは,冬が続く理由とは?
「冬園サクリフィス」は神側の思惑と人間側の思惑が錯綜し,続きが気になるストーリー展開だった。ミステリーものを読んでいるときと感覚が近いかもしれない。おそらく,すべての攻略ルートを見て物語の全貌が掴めるタイプのつくりではないだろうか。
世界を救うために神の花嫁として身を捧げるか,人間としての生を諦めずに奮闘するか。ヒロインの行く末を,ぜひプレイして確かめてみてほしい。
キャラクター紹介
CV:なし/※名前のみ変更可
春の祝福を受けし「神の花嫁」。5歳のとき,春の女神に祝福を授かってから,首都の神殿で暮らしている。
CV:梅原裕一郎
テイドールに位置する帝国・ グラーディアの若き皇帝。冬に苦しむ民たちのために私財で補償を出し,度々城下町へ視察にも行くという人情に厚い人物。親しい人物には,図太い一面も見られる。
CV:りうら(いれいす)
幼いころから神殿で暮らしており,その髪と瞳の色から“神の子”として崇め奉られている人物。敬虔な信徒であるが,年に見合った冒険心も持ち合わせている。
CV:鈴木崚汰
皇帝 レジスの片腕として,宰相を務める人物。効率を重視し,目的のためなら手段を選ばない。レジスとは親友のような仲で,ふたりのときはかなり砕けた口調になる。
CV:寺島惇太
神殿に所属する護衛騎士で,ヒロインつきの護衛。軟派な態度だが頼りになる。お菓子作りが得意という意外な一面も。
CV:立花慎之介
冬を司る神。あまり人間と関わることはなく,彼について記述された書物は少ない。テイドールの異常気象は彼の怒りのせいだと言われているが,真実は謎に包まれている。
「冬園サクリフィス」公式サイト
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