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プレイレポート
[プレイレポ]ディビジョンの元開発者たちが送る「Exoborne」。広大なマップを楽々移動できる特徴を備えたエクストラクションシューター
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本作の舞台は気候変動による人類の危機を迎えた近未来の地球。「このままだとやべぇぞ。人類終わっちまう!」となっているところに,ReBirthなる企業が救済プランを打ち出し,これに最後の希望を託すことになった。
そのプランとは「STRATOS」と呼ばれる巨大なタワーで気候を制御しようというもの。なんだかこの時点でイヤな雰囲気が漂うが,時を近くしてRebirthの非道な実態も明るみとなる。この怪しげな企業は,人々を「Exo-rig」と呼ばれる外骨格の実験台として利用していたのだ。
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そうした経緯の中,Tarと呼ばれる人物が反乱組織を設立し,Rebirthへの反抗を開始。これに追い詰められたRebierthは,タワーを兵器として起動してしまう。地球を救うための救世主を兵器として利用した代償は大きく,制御不能となったタワーは機能を停止し,当初の気候変動どころの騒ぎではない過酷な環境へと地球を変えてしまった。
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結果として,人類の大半は犠牲となってしまうのだが,生き延びた数少ない生存者もいた。それこそ,先のExo-rigを装着した者たちである。ここから,生存者たちによる新たな戦いの幕が上がる――というのが大まかなストーリーだ。
チュートリアルはとても丁寧。無理なく世界に入っていける
ゲーム開始直後に行うのは,キャラクタークリエイトとチュートリアルだ。
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キャラクタークリエイトはあまり詳細なものではなく,いくつかのプリセットをベースに,目の色や髪形を変えていくといった仕様になっていた。キャラクリ愛好家の筆者としては少々残念であったが,ゲーム性という観点からも,仕方のない部分でもあるだろう。
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チュートリアルでは,本作のプレイフィールに大きな影響を及ぼしている「グラップリング」と「グライダー」の扱い方が重点的に解説される印象だった。グラップリングの使い方は,高所への移動や,振り子の要領での長距離移動など,昨今のヒーローシューターをプレイしているプレイヤーであれば,なんとなくイメージがつくはず。
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グライダーは主に高所から飛び降り長距離を移動したり,斜面を迅速に移動したりする用途に使う。空中を滑空して移動するため深い谷間を飛び越えたりもでき,後述する実際のゲームプレイでは,対プレイヤーへの強襲や離脱にも使用できた。こうしたアビリティを生かすためなのだろう,マップは全体的に高低差が激しい作りになっている。
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このほかにも敵との戦闘,マップ脱出のためのヘリを要請し乗り込むといった,一連のゲームプレイの流れが体験できた。全体的に手堅くまとまっているチュートリアルである。
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ただ,本作は基本3人1組での行動でありつつも,現段階では高度なPINGシステムは実装されていないようだ(筆者が見落としていただけの可能性もあるが)。「ここに行く」「WARNING(警告)」の2種しかないため,もう少しボイスチャットがなくても意思疎通が図りやすいPINGシステムと,それを活用するチュートリアルが用意されてほしいとも感じた。
戦闘の方向性を分けるExo-rig
さて,全体的なゲームプレイの流れとしては,ミッションの確認(受注の必要はなく内容をクリアするだけでよい),アイテムの売買,自身の装備選択,出撃,帰還(生死問わず)……のサイクルといった感じだろうか。
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もちろん,生きて帰還ができれば丸儲け,キルされてしまえばすべてロストといった具合で,いわゆる“全ロス”の危険性もある。こうした脱出系シューターとしては標準的なシステムで,過去にこうした作品をプレイしたことがあるならば,すんなりと理解できると思う。
フィールドに繰り出す前に重要なのが装備となる。メインウェポンとなる銃,弾薬,アーマー,アーマー回復キットのほか,グレネードなどの補助アイテム,周囲に地雷をばらまいたり空中から稲妻を落としたりと,他作品でいわゆる「アルティメット」と呼ばれるようなアイテムも。筆者の体験談として,対NPC戦闘はともかく,対プレイヤー戦闘を考慮するなら,しっかりとアイテムは持っていくべきだ。
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そのうえで,プレイヤーの大きな個性が出るのが,先ほど名前が出てきたExo-rig。初期装備である「Koyote」(当たり前だが弱い),近接型の「Viper」,ホバリング能力を持つ「Kestrel」,重装甲型の「Kodiak」が存在し,自分の戦闘スタイルに合わせたExo-rigを装備できる。
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無難に扱いやすいのがViperだ。というのも,Kestrelは戦闘面でいまいちパッとせず(空中からの索敵といった使い方がメインなのだろう),パッシブアビリティで重装甲のはずのKodiakは撃てば意外と簡単に落ちる。結果,近接攻撃がパンチからブレード突撃に変化し,クールダウンなしの緊急回避のような動きができるViperがいいなぁとなったワケだ。
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なお,Exo-rigはModでカスタマイズすることもでき,汎用的なものから,各Exo-rig専用の固有能力を伸ばすものまであるようだ。プレイテストではこうしたModの入手が困難だったが,Mod使用を前提に初期能力が決められているのなら,とくにそこまで硬くないKodiakというのも納得がいく。ちなみに,各Exo-rigにはレベルが存在し,レベルが高いほど多くのModが装着可能になる仕様だった。
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自然環境をいかした戦闘が要
実際にマッチングに入ると,ヘリの中での待機画面に。ソロも可能だが,フレンドリーファイアがないカジュアルなゲーム性のため,生存だけを考えるならパーティを組んだほうがお得である。
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マッチングをするとマップに降下するが,地点はランダムだ。降下中にグライダーで飛んでもいいし,その場に落ちてもいい。というのもこのゲーム,落下ダメージがないのである(少なくとも筆者はどんな高さから落ちても死亡することはなかった)。ドシン!とイカすモーションで着地するので,1回は見ておこう。
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筆者がプレイできたのは1マップだけであったが,規模としてはかなり広大だ(他の2マップは条件があり,それを満たしていないと出撃できなかった)。各所にはNPC,ロボットなどがうろついており,もちろん他のプレイヤーもいる。が,基本すべて敵である。なお,本作は基本TPSなのだが,ADS時のみFPSになるという仕様になっている。
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冒頭で本作のストーリーについて軽く触れたが,その設定どおり,マップ内の気象が目まぐるしく変化するのも特徴だ。大体1スティントが20分から30分といったケースが多かったが,その時間内でも砂嵐になったり,雷が落ちてきたり(当たるともちろん痛い),突風が起きたりする。竜巻が発生したうえで火炎を巻き込み,燃え盛る竜巻が出来上がることもある。
突風中はグライダーの使い勝手が大きく上がり,高低差を必要とせず,ジャンプするだけでグライダーで空中に浮きあがり,遠くにも飛んでいけるようになる。雷が発生しているときは屋根の下に籠るなど,こうした自然環境をうまく活用するのも,生還に重要なポイントだ。
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広大なマップでありつつも,先述した通りプレイヤーは全体的に機動力が高い。そのため,ストレスなく移動できるのは非常に良いポイントだと感じる。物資を漁り終えた後の移動もスムーズにでき,「ちょっとヤバそうだから退却しよう」といった時も素早く移動できる。
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その反面,容易に銃声を鳴らすと好戦的なプレイヤーが短時間で寄ってくるという駆け引きの面もあり,緊張感も保たれている。かくいう筆者もテスト期間中,1回だけPK(プレイヤーキル)されてしまい,以降は「漁り中にジャマされたらイヤだし…せや! 漁る前に全員帰ってもらえば安全!」との思考に。
適当な銃をぶっ放し,いかにも戦闘中のようなサウンドを出すと,結構なプレイヤーが漁夫の利を得ようと寄ってくるのである(爆発物なども効果大)。そんな方々に“帰って”いただき,持ち込んできたアイテムや彼らが懸命に集めた戦利品を美味しくいただくと良い金策となった。そんな血に溺れた筆者を理解したのか,パーティメンバーは超高速の屈伸と「Thanks」というテキストチャットで感謝を述べていたが……。
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余談だが,PvP戦闘時のTTK(Time To Kill,敵を倒す時間)は長めの印象だ。武器のレベルにもよるのだろうが(本作は弾薬ではなく銃本体でダメージが設定されている),撃ち合っている時間は意外と長い。NPCについては,ヘッドショット一撃のチンピラ風からアーマーを着込んだ硬めの敵,一体いつ落ちるんだというスーパーカチカチロボまで多種多様だ。
帰還(脱出)方法も少々特殊で,特定の地点に行けば脱出できるというものではない。脱出地点に向かったうえで端末にアクセスし,帰還用のヘリを要請しなくてはならないのだ。ここは本作の開発を担うのが「ディビジョン」の元開発者たちということもあり,かの作品のダークゾーンやサバイバルを思い起こさせる仕様である。
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到着には1分程度の時間がかかり,ヘリが要請されたことは他のプレイヤーにも通知が行くようだ。大概のケースでは何事もなく脱出できたが,血に飢えたパーティが戦闘を仕掛けてくることもあるので,完全に脱出するまでは気が抜けない。
レッドオーシャンの“脱出系”に食い込めるか?
さて,ザッとゲームを紹介してきたが,普通にプレイしていて面白いエクストラクションシューターだった。こうした作品に対するプレイヤーの潜在的なイメージを崩さず,自然環境とも戦わされるというコンセプトは実現されている印象を受ける。
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一方,プレイテスト段階ということもあり,文中にも記したが,まったく粗が見えないというわけではない。第一にプレイヤーキャラクターが一切しゃべらないため,ボイスチャットなしではパーティの状況が掴みにくいという点である。仮にプレイヤーキャラクターが喋らなくても,AIアシスタント的な存在が「味方がダウンしました」とか「これから天候が変化します」などと言ってくれる(ディビジョンでいうISAC的な要素)と,直感的に状況も把握しやすい。
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また,UIに不便さを感じる場面も度々あり,フィールドでのサウンド面もかなり気になった。全体的に異常気象の際のエフェクト音が大きく,とくに何もない天候との対比が目立つ点は真っ先に挙げられるだろう。通常時は逆に環境音がなさすぎる気もする。
また,足音やグライダー滑空音のボリュームが大きめなのは想定仕様なのだろうが,距離に応じてもう少し変化をつけてほしいとも感じた。
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とはいえ,全体的に「こういうのを作りたい」というビジョンはしっかりと感じられたプレイ体験であり,こうしたプレイテストを通じてブラッシュアップされるのが楽しみな作品だ。荒廃した地球で強化外骨格を着て生き延びるという世界観が,たまらないという人もいると思う。今後に期待したい。