
プレイレポート
[プレイレポ]「Rusty Rabbit」が描くハードボイルド活劇は,1人のオールドゲーマーにもどこか身につまされるものがある
そして,人類の遺産を引き継いだのは……かわいらしいウサギたちだった!?
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[プレイレポ]虚淵 玄氏の新境地。「Rusty Rabbit」は主人公のニヒルな中年ウサギを演じる黒田崇矢さんがハマりすぎ!
![[プレイレポ]虚淵 玄氏の新境地。「Rusty Rabbit」は主人公のニヒルな中年ウサギを演じる黒田崇矢さんがハマりすぎ!](/games/740/G074069/20240603019/TN/019.jpg)
「見た目はウサギ,中身は中年!」な主人公がパワードスーツを駆る,2.5Dサイドスクロールアクション「Rusty Rabbit」。9月24日の発売が決定した本作の序盤をプレイする機会を得たので,ファーストインプレッションをお伝えする。
前述のような映像作品のファンには新鮮かもしれないが,虚淵氏はPC用ノベルゲームにルーツを持つ人物である。それらの作中ではSFやハードボイルド,ガンアクション,マカロニ・ウエスタンなどへの愛があふれんばかりに綴られていた(ときに本筋から大脱線しつつ)。
本稿では,PC版のプレイレポートをお届けする。「ひとりの虚淵ファン」として,探索型アクションゲームである本作をどう受け止めたのかをお伝えしたい。
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「Rusty Rabbit」公式サイト
物語の舞台はウサギたちが「エントツ山」と呼び,神聖視する巨大な遺跡。その聖地に踏み込み,資源を採掘する畏れ知らずたちは「錆掘」(さびほり)と呼ばれていた。
主人公のスタンプ(CV:黒田崇矢)はそんな錆掘のひとり。シブくてかっこいい佇まいの老兎(ろうじん)だ。独学で培ってきた機械いじりの腕も確かで,頑固な職人のような一面もある。
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プレイヤーはスタンプとなって,ジャンクから組み上げたパワードスーツ──彼は愛着を込めて“ポンコツ”と呼ぶ──を操縦し,エントツ山の内部を探索していく。
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ウサギにとって遺跡の内部は広大だ。さらに錆獣(しょうじゅう)と呼ばれるメカ軍団や,さまざまな種類のブロックが行く手を阻む。
探索を進めていくと,ドリルやショットガン,ナタ,ハンマーといった武器を使い分けられるようになるので,ブロックや敵の種類に応じて使い分けることが攻略のポイントだ。このあたりの感覚は経験豊富なゲーマー,とくに「Rusty Rabbit」に興味を持ち,本稿を読んでいる人には「勝手知ったるなんとやら」だろう。
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本作ならではの特徴は,大量のガラクタや植物が埋め尽くす場所をドリルで掘り進んでいく感覚だ。ボタンの長押しでパワーをチャージし,高さ2マス分のブロックをガリガリ壊しながら突き進むのは気持ちいい。また,ポンコツを強化するための経験値やパーツも獲得できるため,ついつい破壊の限りを尽くしてしまう。
ブロックの破壊状況はマップ画面にも反映されるので,掘り残しが気になる人も安心してほしい。いや,かえって全部掘るまで先に進めなくなるかもしれないが。
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壁面を蹴ってジャンプしたり,電磁的な“ワイヤー”でぶら下がったり,ウサギらしく(?)アクロバティックな動きを駆使して先に進むポイントもある。常にアクションの操作が大変というわけではないが,要所では複数のアクションを組み合わせるといった指先のテクニックが要求される。
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そして,本作はRPG的な成長要素を備えている。レベルアップによって獲得できるポイントを割り振り,スキルツリーを開放していくというおなじみの仕組みだ。また,錆獣やブロックから手に入れたパーツで新たな武器をクラフトする要素もある。
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武器をクラフトすると,運が良ければ複数の特殊効果が付与されたものを作成できる。ハクスラ系ゲームにおける装備の厳選よろしく,何度もクラフトを繰り返したくなるだろう。
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ただ,これらの強化要素は絶対に必須というわけではない。プレイヤーが必要に応じて,自由なタイミングで試してみればいい。
実際,本作の難度はそれほど高くないので,筆者は武器の種類こそ増やしたものの,パワードスーツの能力は強化しないまま,中盤まで進められた。
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これが個人的には,ちょうどいい遊びごたえだった。落ち着いて操作すれば難なく先に進めるものの,ちょっとミスると満身創痍になり,拠点(移動用ポータルとしての機能も持つ)に戻って修理することになる。「ポンコツ機材をだましだまし使う」感覚を味わえるのがいい。
ときにはダメージを負ったまま強引に探索を進め,その先で新たな拠点を発見し,「ほらな,難所の先には修理ポイントがあるもんだろ?」などと悦に入れたりもする。修理用のアイテムは高価かつ所持制限があるため,ケチって帰るのか,それともあえてリスクを取って先に進むのか,といった判断もそれなりに意味があるわけだ。
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いつの間にか,探索パートを遊んでいても「スタンプ気分になっている」ストーリーテリング,そしてポンコツの操作感を含む演出には,「さすが虚淵作品」と言いたくなる。スタンプを演じる黒田崇矢氏の演技も,ファンである筆者としては期待どおりだ。
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なお,ストーリーの大筋を紹介すると,スタンプは情報記録端末「ディータム」に残された娘の痕跡を追うことになる(スタンプの娘は考古学者であり,エントツ山の深奥部を探索していた)。
娘が残したと思われる,だが機械的に「翻訳」された文章から,スタンプの娘への愛情,かつて娘とのあいだにあったであろうドラマなどが垣間見え,SF好きとしてもなかなか引き込まれる読み応えだ。
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アクション要素の難度があまり高くはなく,レベルアップやスキル習得によって難なく進めるようになるところは意図的なデザインだろう。アクションゲームにあまり馴染みのない,虚淵氏のファンがプレイした場合でも,最後までストーリーを楽しんでもらうための易しさ……いや,優しさなのかもしれない。
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ストーリーのほかにも,特筆すべき要素はある。
まずは「レストア」だ。遺跡で見つかるスクラップを組み合わせて,ヴィンテージな車を組み立てられる。車は何種類もあるようで,それぞれにミニストーリーが用意されている。「本筋から大脱線」しているオマケだが,つい読みふけってしまう。
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遺跡の内部ではポンコツに着せるスキンをはじめ,実用的ではないアイテムもいろいろ見つかる。攻略上,とくに必要はないが,隅々まで探索したくなるはずだ。
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ダイナーでは,村人ならぬ村兎たちとの交流も可能。ここでもミニストーリーを楽しめるだけでなく,さまざまなメリットも用意されている。探索続きでちょっと疲れたら,休憩がてら立ち寄ってみるといいかもしれない。何より“シルバニアの血族”を思わせる,村兎たちのかわいらしい姿に癒やされる。
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教会ではアイテムを収めることで,本作の世界観を深掘りできる。スタンプにとっては退屈な説教になるだろうが,プレイヤーは興味深い読み物を楽しめるだろう。
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筆者が事前に想像していたより何倍も「読み応え」があるというか,「Rusty Rabbit」はノベルゲームとしての楽しさも合わせ持っていた。
主人公のスタンプについて言えば,クラシックカーのレストアが趣味の人,リサイクルショップで古いハードを物色するのが好きな人には,とくに身近に感じられるはずだ。古い知識をベースにしたり,いくつかを組み合わせて記事として「レストア」することが多い筆者にとっても,どこか他人とは思えないキャラクターでもあった。
本作は虚淵氏のストーリーテリングに一度でも魅せられた人のための作品であると,自信を持って言える。
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「Rusty Rabbit」公式サイト
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- ライター:高橋祐介

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