インタビュー
[TGS2023]NetEase最新作「Project Mugen」は具現化した都市伝説を追う,ソロプレイがベースのARPGだ。プロデューサーのAsh氏にインタビュー
「Project Mugen(仮)」公式サイト
とはいえ,PVが見栄えするのは当然のこと。本作はどういったビジョンで開発されており,どのようなゲームになることを目指しているのか。気になるところを,「東京ゲームショウ2023」出展に合わせて来日したNaked Rainのプロデューサー,Ash氏に聞いた。
4Gamer:
まず本作の舞台設定に関してですが,都市そのものが大きなテーマになっているんですね。
Ash氏:
これから,開発をどんどん進めていくところなのですが,現実の都市の風土や文化に基づきつつ,独自の世界観を加えた半架空の街で,プレイヤーになじみがありながらも,神秘的な感覚を与えたいと考えています。
4Gamer:
半架空ということは,世界各国の都市をモデルにしたものがゲーム中に登場するわけですか。
Ash氏:
いえ,具体的な都市が出てくるわけではありません。都市の中に,東アジアやヨーロッパの文化に基づいた要素が存在するんです。
4Gamer:
最新のトレイラーでは,舞台となる都市は1つの島にあるようでしたが,その中にいろいろな文化が混ざっているのでしょうか。
Ash氏:
あれは1つめの都市です。あくまでプレイヤーに向けたイメージで,ほかの都市ともつながっています。
4Gamer:
同じトレイラーで紹介されていた都市生成技術は,具体的にはどのような部分で開発に貢献しているのでしょうか。
Ash氏:
交通や移動手段の部分です。都市には似たような場所が多くありますが,そういう部分にPCG(プロシージャルコンテンツ生成フレームワーク)を使うことで,開発スピードの向上とコスト削減に成功しています。そのぶん,設計デザイナーは多くの時間とエネルギーをコンテンツ開発に注げますので,非常に有効です。
4Gamer:
都市で活躍する主人公達は「調査員」と呼ばれる立場とのことですが,どのような仕事をしているのでしょうか。
Ash氏:
ゲームの世界には,人類だけではなく,カオスの生物が存在しています。カオスの生物には危険なものも,温和で面白かったり,可愛いかったりするものもいます。主人公達は「カオス対策局」(※実際のゲームでは別の名称になる可能性がある)という組織に所属していて,カオス生物に関するミステリーを追いかけています。
都市には,いわゆる都市伝説……口コミで伝わっている物語があります。その中に,魂や妖怪みたいなもの。そして人類が棲息している。
本作は「想像したものが現実になる」という世界なので,そういう都市伝説の存在がカオス生物として現れます。そこで主人公達は,映画の「メン・イン・ブラック」で宇宙人を取り扱うみたいに,妖怪やモンスターを管理している……と思っていただければ。ちょっと違うんですけど,それが分かりやすいかと思います。
4Gamer:
最新トレイラーに登場しているジャイアントや,隕石はどういったものなのでしょうか。
Ash氏:
ジャイアントは,非常にランクの高いカオス現象です。主人公はカオス現象について調査していくわけですが,その中でいろいろな事件に巻き込まれ,アイデンティティクライシスに直面します。映画の「マイノリティ・リポート」みたいに,自分が何者なのか分からなくなる。その中で,自分や世界はどういったもので,カオスの真相は何なのかを解き明かさなくてはならないのです。
4Gamer:
そのほか,トレイラーには人型の敵キャラが出てきましたが,あれらは人間なのですか。
Ash氏:
カオスの影響を受けて自分の欲望を満たしたいと思っている,ちょっと危険なグループです。
4Gamer:
反社会勢力ということですか。
Ash氏:
いえ,裏社会の構成員というわけではありません。でも盗みを働いたりはするので,警察から依頼を受けて調査することもあります。
4Gamer:
タチの悪い不良くらいの温度感でしょうか。
次はゲーム自体の概要についてうかがいたいのですが,「Project Mugen」というタイトルで示されている“無限”というのは,本作のどういった部分を指しているのでしょうか。
Ash氏:
ゲームの名前を決めるにあたって,可能性に焦点を当てました。無限の可能性があるオープンワールドで,プレイヤーは何でもできるというコンセプトです。
そしてそれは,ゲームに対する私達の気概や目標でもあります。プレイヤーも遊ぶ中で“無限”を感じ取れると思います。
4Gamer:
戦闘システムは,近接攻撃だけでなくTPS的な視点になる射撃など,いろいろなアクションがあるようですね。
Ash氏:
それぞれのプレイヤーキャラクターは専用の武器を持っていて,その能力に特化した戦い方をデザインしています。例えば,タフィーというキャラクターはハンマーを持っているのですが,このハンマーは武器だけでなく移動手段にもなります。バンシーはペイントガンを武器としていて,射撃だけでなく,都市のいろんなところに落書きをすることもできます。
また,街中にあるいろいろなものをジャッキー・チェンの映画みたいに武器として使うこともできるんです。
4Gamer:
そうなると,戦う場所の環境によっても戦法は大きく変わってきそうですね。
Ash氏:
例えば,プレイヤーキャラクターが高所にいたら敵を蹴飛ばして落下させたり,逆に低いところから敵を引きずり落とすこともできます。さらに,敵がいるビル自体を壊してしまうことも可能です。
4Gamer:
リリース時点で,ゲームのボリュームはどれくらいなのでしょうか。いろんな尺度あると思いますけども,シナリオの総プレイ時間みたいなところはいかがですか。
Ash氏:
具体的に答えられないのですが,プレイヤーが期待以上の充実感を得られるように頑張っています。
4Gamer:
マルチプレイやソーシャル要素などはありますか。
Ash氏:
マルチプレイや,見知らぬプレイヤーとの協力もできますが,やるとしたら友達と一緒に遊んだほうが楽しめると思います。MMORPGとは違いますね。
どちらかと言うと,1人で遊べるコンテンツを充実させ,プレイヤーがより感動的な体験ができる,そういう要素を充実させたいと考えているんです。ゲームセンターでクレーンゲームを遊んだり,ライフハウスで演奏を聴いたりなどですね。オンラインを充実させるのは,それらのあとになります。
ゲームとしては,ソロプレイをベースとしていますし,まずワールド自体を魅力的に作り込まなければ,多くの人が一緒に遊んでも意味がないと思っています。
4Gamer:
現実のアイコニックな市街をモデルに,さまざまな遊びを盛り込んだゲームは昔からいろいろとありますが,それらとは逆に,さまざまな遊びを盛り込むことでアイコニックな都市を作ろうとされている雰囲気ですね。
Ash氏:
日本の街角を再現したゲームを含め,いろいろな作品から影響を受けている部分はあります。でも私達のゲームでは,キャラクターの生活や職業といったアイデンティティーを通して,都市がどのようなものなのかを受容していくことを考えています。
このゲームの一番の魅力は,なじみがある都市だけど現実ではない,でも実在しそうな気もする,そういう世界観です。プレイヤーが圧迫感を感じることなく,リラックスしてキャラクターや景観を楽しめる,ファッショナブルな都市を表現していきたいですね。
4Gamer:
最後に,日本のユーザーに向けたメッセージをお願いします。
Ash氏:
日本の皆様に期待してもらえていることに,お礼を申し上げます。「Project Mugen」は,日本のいろいろな作品からも影響を受けています。プロデューサーである私自身,JRPGのプレイヤーであり,日本のアニメや映画のファンでもあります。日本のコンテンツを含めた東アジアの文化を,本作から世界に提示していきたいと考えています。
このゲームの中には多くのサプライズを仕込んでいますので,リリースに期待してもらえればと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
東京ゲームショウ2023公式サイト
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