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インディーゲーム展示会「ぶらり川越 GAME DIGG」をレポート(前編)。イベントの様子と主催であるアトリエミミナの斉藤敦士氏のインタビューをお届け
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印刷2025/04/17 15:36

イベント

インディーゲーム展示会「ぶらり川越 GAME DIGG」をレポート(前編)。イベントの様子と主催であるアトリエミミナの斉藤敦士氏のインタビューをお届け

 2025年4月13日,埼玉県川越市にてインディーゲーム展示会「ぶらり川越 GAME DIGG」(以下ゲームディグ)が開催された。

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 今回が初開催となるゲームディグは“オープンタウン型のゲームイベント”で,ゲームの試遊だけでなく,川越の街の散策も一緒に楽しめることが大きな特徴だ。

 メイン会場は「りそなコエドテラス」と「川越市文化創造インキュベーション施設 コエトコ」の2か所で,その周辺には時の鐘,蔵造りの町並み(川越一番街商店街),1920年代の面影を残す大正浪漫通りなど,川越の代表的な観光名所がある。

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時の鐘。江戸時代に創建された鐘楼だが,今は「映えスポット」として有名
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大正浪漫通り。3月から5月にかけては,地元の企業や学校の生徒,観光客らが手塗りした鯉のぼりが飾られる

 会場ではさまざまなゲームをプレイできたが,そちらは後日掲載の後編で紹介するので,本稿ではイベント全体の様子と,主催したアトリエミミナの紙パレット氏こと,斉藤敦士氏のインタビューをお届けしよう。

「ぶらり川越 GAME DIGG」公式サイト


 さて,イベント当日はあいにくの空模様。それでもけっこうな数の人たちが街を歩いており,川越の人気を肌で感じられた。会場へのアクセスはJR川越駅からバスやタクシーを利用してもいいのだが,筆者は西武新宿線の本川越駅から「ぶらり」と歩くコースを選んでみた。

本川越駅前の様子
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 本川越駅とコエトコの間には大正浪漫通りがあり,またコエトコからコエドテラスに向かう際も,川越一番街商店街を通りつつ向かえるので,移動がてら観光を楽しめるわけだ。

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道中には熊野神社などの寺社仏閣も多い

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川越一番街商店街

 地図を頼りに浪漫通りの店舗を眺めつつ進んでいくと,10分ほどでコエトコに到着した。こちらは「旧栄養食配給所」と「旧川越織物市場」という川越市の文化財建造物を,クリエイター向けにオフィスとして貸し出している施設で,出展ブースの背後には普段から置かれている地域などを紹介する展示物も顔をのぞかせていた。

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コエトコの南側の入口

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旧栄養食配給所なる施設の跡地。展示中のゲームだけでなく,施設紹介の展示物にも好奇心が刺激される

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歴史ある建物と,クランク付き携帯ゲーム機Playdate用のソフト「CRAZY SONIC」の取り合わせが面白い

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旧川越織物市場に並ぶ展示ブース。この建物の各部屋が,小規模ビジネスのオフィスとして使われている

イベント実行委員の1社であるCAP GAMESは,小学生向けにPythonの使い方や,アドベンチャーゲームの作り方を教えるワークショップを行っており,子どもたちが作った作品を展示していた
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 コエトコでの取材を終えたあとはコエドテラスへ。駅前から続く大通りを北に進んでいくと,古い蔵作りの建物が立ち並ぶ町並みに差し掛かり,その先にはコエドテラスの尖塔が見えてきた。

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りそなコエドテラス。こちらもコエトコ同様に,ビジネス創生を目的としたインキュベーション施設だ。元は旧八十五銀行本店本館として1918年に建設され,2020年までりそな銀行の支店として営業していた

 コエドテラス側では,施設前の広場が会場として使われており,野外イベント用のテントの下でゲームが展示されていた。また出店やフードトラックなども並んでいて,ちょっとしたお祭りのような雰囲気だ。

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超大型タブレットで「ローグウィズデッド」(iOS / Android)をプレイする子どもの姿がほほえましい。彼にとって夢のようなひと時だったはず

音響機器のパイオニア,バイオマス配合プラスチックを扱うコバヤシなど,ゲーム以外の展示ブースもあった
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 コエドテラスの入口近くでは「UNDERTALE」(PC / PS4 / Xbox Series X|S / Xbox One / Switch)や,SFジュブナイルRPG「星のハルカ」などの曲を演奏するミニコンサートなども行われ,会場内の人はもちろん,道行く人もしばし足を止めて耳を傾ける様子が見受けられた。

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演奏は高梨菖子さん(右)と岡 皆実さん(左)

 これまであまり見たことがないような個性的な展示会でありつつ,川越の街のように,どこか温かみがあって居心地のいい催しだったゲームディグ。ゲーム作りが自由なものであるように,イベントの形だって自由でいい──。
 そんなことを感じさせた本イベントは,どのような経緯で生まれたのか。記事のまとめとして,斉藤敦士氏のインタビューをお伝えしよう。

4Gamer:
 今回のイベントを開催した経緯についてお聞かせください。

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斉藤敦士氏
斉藤敦士氏:(以下,斉藤氏)
 僕たちアトリエミミナは現在,川越市の「コエトコ」というインキュベーション施設に入居しているんです。ここには僕ら以外にもゲームを作っている人たちがいまして,いろいろ話しているうちに「川越でもイベントをできたらいいね」という話になり,それで企画してみたという経緯です。

 最初はもっと小ぢんまりとしたイベントのつもりでしたが,企画を進めるうちに規模が大きくなっていきました。やる以上は,しっかりしたものをやろうと思ったんです。


会場では,アトリエミミナの「星のハルカ」も試遊できた。システムはアクションRPGだが,回復や必殺技の使用はウインドウを開いてコマンド選択で行う,久々にゲームを遊ぶ人にとっても優しい作りのRPGだ
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4Gamer:
 コエトコで生まれた縁で企画が立ち上がったわけですね。開催にあたってこだわったポイントなどはありますか。

斉藤氏:
 特にこだわったのは,「屋外のイベントで,誰でもふらっと寄れるようにする」ことです。川越にも屋内でゲームの展示会をやれる施設はありますが,それだと今たくさんあるイベントとの差別化が難しくもありましたし。
 あとはせっかく来ていただくので,川越の街も楽しんでもらいたいなと。そしてもうひとつ,ゲーム開発者たちが川越の魅力を知って,こちらに移住してこないかなという思いもあります。

4Gamer:
 川越は,ゲーム開発に適した環境なんですか。

斉藤氏:
 ええ。大手さんなら都心にオフィスを構える意味がありますけど,僕らのような中小規模のチームには,川越はちょうどいい環境なんです。
 ……ということを言葉で言ってもなかなか伝わらないですけど(笑),イベントで実際に来てもらえると感じてもらいやすいんじゃないかって。コエトコにあるうちのオフィスも見てもらえますしね。

 またイベント運営にあたっては,「東京ゲームダンジョン」を主催する岩崎匠史氏からいろいろアドバイスを受けています。イベント自体の仕組みとか,出展申し込みのシステムもほぼ同じだし,運営に関しても例えばチラシ置き場を用意するだとか,出展者さんファーストな部分を参考にさせてもらっています。これは自分たちだけでは思いつかないことも多くて,とてもありがたかったです。

4Gamer:
 ちなみに川越市側にも,ゲーム文化で地域を盛り上げていくような機運があるのでしょうか。

斉藤氏:
 今のところは,市側としてはこのイベントに対して(資金などを直接支援する)「協賛」ではなく,応援してくれる「後援」というスタンスです。
 でも毎年開催することで,このイベントを定着させたいと思っていて。続けていくことで,いろいろな事が変わっていくんじゃないかと思っています。

4Gamer:
 本日はあいにくの天気でしたが,会場までの移動中はほぼ観光気分でしたし,街ぐるみの盛り上がりが生まれるといいですね。

斉藤氏:
 会場周辺のお店などにご協力いただいて,ポストカードラリーも行っているので,ぜひそちらのお店なども見ていただけるとうれしいです。

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当日開催していたポストカードラリーのラインナップと地図。協力しているアーティストも豪華な顔ぶれ

4Gamer:
 準備期間も含めてイベントを振り返ると,今はどんな気持ちですか。

斉藤氏:
 「晴れてくれたら良かったなあ」という気持ちは正直なところあります。まあ,自ら選んだ「屋外だと楽しいんじゃないか」というアイデアが裏目に出たわけですが(笑)。
 イベントの開催はこれが初めてですが,準備は思ったより大変でしたね。去年の11月,12月くらいから半年以上かけて準備しましたが,それでも準備期間が短く感じたというか,ほぼギリギリの進行でした。後は大きなトラブルがなく無事に終わってくれたらなによりという気持ちです。

4Gamer:
 次回も同じ時期に開催するのでしょうか。

斉藤氏:
 そうですね。またゲームディグは,最低でも5年続けようかなと考えています。インディーゲームのイベントはもっと多くてもいいと思うんですよ。
 今回,一般の出展者さんの申し込みを行ったところ,一日で枠が埋まってしまったんです。インディーゲームを発表したり展示したりする場は,まだまだ求められているのだと実感しました。

4Gamer:
 本日は,ありがとうございました。

アトリエミミナの新作「いるかの絵本」。主人公・いるかの部屋には“つづけるの大事”と書かれた掛け軸が飾られていた
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「ぶらり川越 GAME DIGG」公式サイト

  • 関連タイトル:

    星のハルカ

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