プレイレポート
[プレイレポ]「プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠」は主人公の俊敏なアクション,手応えしっかりなボス戦が楽しい骨太なメトロイドヴァニアだ
今回,開発中のビルドを一足早くプレイする機会が得られたので,序盤のプレイレポートをお届けしたい。
「プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠」公式サイト
「プリンス オブ ペルシャ」シリーズの第1作は1989年に登場した。「カラテカ」(1984年)を手がけた鬼才ジョーダン・メックナー氏が,弟の演技を撮影してトレースするロトスコープの手法を用い,リアルな動きを表現した2Dアクションゲームだった。いわば原始的なモーションキャプチャの手法を採用していたと言える。
その後,シリーズは「プリンス・オブ・ペルシャ3D」や「プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂」などの3Dアクションゲームを展開していくが,最新作「失われた王冠」は初期の2Dアクションをフィーチャーしている。グラフィックスこそ3Dではあるものの,プレイ感覚はまさに2Dアクションゲームである。
なお,「失われた王冠」の物語はシリーズ作品から独立したもので,直接的なつながりはないようだ。
本作の舞台は,神秘が息づく古(いにしえ)のペルシャ。この地を守る「不死隊」の一員である主人公・サルゴンは,さらわれた王子を取り戻すべく,謎の「カーフ山」に向かう。しかし,不死隊の仲間たちとともに探索を続けるサルゴンの前には,山を守る魔物が立ちはだかる。
筆者がまず印象に残ったのは,サルゴンのアクションの軽快さだ。メトロイドヴァニアの主人公と言えば,ゲーム開始時点では限られた能力しか持っていないことが多い。しかし,サルゴンはスピーディなダッシュやスライディング,壁を蹴る三角跳び,バックステップ,空中からの急降下,剣によるコンボ,衝撃波を放つ飛び道具,相手の攻撃を弾き返す受け流し(いわゆるパリィ)など,多彩な技を序盤から使いこなす。
操作性は小気味よく,即座に大暴れすることが可能だ。長めの無敵時間を持つバックステップで敵の攻撃を回避したら,一気に踏み込んで剣のコンボで敵を浮かせ,空中攻撃から急降下でトドメを刺すくらいは朝飯前。飛び道具を弾き返したり,スライディングで敵の背後に回り込んだり,吹っ飛ばし属性のある攻撃で敵を壁のトゲに叩きつけたりと,バトルのバリエーションが豊かでたまらない。
敵も負けじと飛び道具や突進など,さまざまな手段でサルゴンに対抗してくるが,その際は色に注目しよう。赤く光る攻撃は受け流せないが隙は大きく,スライディングやジャンプでかわせば反撃の機会が訪れる。
一方,黄色い光の攻撃は逆に受け流しを狙いたい。うまく決まれば「返り討ち」が発動し,「敵の背後にジャンプして突き刺す」「突進を受け止めてから蹴り飛ばす」といった殺陣風のカットシーン演出と共に大ダメージを与える。敵の種類によって演出が異なるため,新しい敵に遭遇すると「今度の演出はなんだ」という楽しみがある。
バトルのアクションが最初から充実している本作だが,メトロイドヴァニアらしい探索の面白さも見逃せない。カーフ山には広大な空間が存在し,通路で揺れるギロチン,ビッシリと刃が敷き詰められた床,鉄棒の大車輪のように勢いをつけてから跳躍するポールといった,反射神経勝負のアスレチック系の罠や地形が待ち構えている。さらに地面に置かれたスイッチを押すと動く足場,行き止まりに見えるが壊せる壁など,パズル的思考や観察力を求められるシチュエーションも少なくない。
地形が意外なルートでつながっていたり,難関の罠を潜り抜けた先でショートカットが開通したりすることもあり,探索を進めていくと達成感を得られる。探索好きにはフィールドが待っている。
どう頑張っても進めないときは,新たな能力の出番だ。探索を進めていくと,サルゴンはさまざまな能力を習得していく。「メノライアスの弓」は矢を放って仕掛けを作動させる,「シムルグの猛進」は空中ダッシュで普通は届かない足場にたどり着けるといったように,行動範囲がどんどん広がっていく。
特筆しておきたいのが,さまざまな能力を駆使して険しい地形を駆け抜けるときの気持ちよさ。壁と壁の間をサルのように飛び移り,揺れ動くギロチンをシムルグの猛進で突破し,そのままポールにつかまって勢いよくジャンプ! 複数のアクションを組み合わせ,流れるように難関を突破できたときの爽快感は格別だ。
ここまでの紹介では難しそうに思われるかもしれないが,本作は設定項目によって自分に合った難度に調整できる。たとえば「アクションアシスト」をONにすれば,難しいアスレチック系の地形をスキップして先に進めるポータルが開く。解法は分かっているのに指先が追いつかない……なんてときはひとまず先へ進むのもいいだろう。また「ガイドモード」を使えば,次の目的地と進めない道が表示されるため,探索を進めやすくなる。
アクションに関しても「受け流しの難易度」「弓のエイムアシスト」「敵のダメージ」「敵のHP」「環境ダメージ」,そして大技のリソース「アスラ」(詳細は後述)の消費率や獲得量などの項目を個別に設定可能だ。これらはいつでも調整でき,ペナルティはない。苦手な敵に遭遇したら「敵のダメージ」を低くして対策を練ったり,「受け流しの難易度」を下げて達人気分に浸ったりと,いろいろな活用方法が考えられる。
一方でパズル的な仕掛けは自力で解く必要がある。アクションやバトルの難度は調整できるが,探索の楽しさはスポイルされないというわけだ。
探索をさらに進めていくと,サブクエストが発生したり,サルゴンの首飾りに装着する「アミュレット」が見つかったりする。アミュレットには体力上限のアップ,毒ダメージの軽減,コンボから追加攻撃が出せるといった効果があり,いずれも便利だ。ただし,それぞれに装着コストがあり,すべて装備するわけにもいかない。状況に合わせて選択していく必要があるのだ。
そして,カーフ山にはボスが待ち受けている。高いHPと攻撃力,多彩な攻撃パターンを誇る難敵揃いだ。当然,初見でボスを撃破するのは難しく,勝てるようになるまでは繰り返し戦いを挑む必要があるだろう。
幸い,ボスが攻撃を繰り出すときには予兆のモーションがあるため,しっかりと見極めることが攻略の鍵だ。
強敵相手に重要なのが「アスラの神技」だ。敵に攻撃を当てたり,受け流しを決めたりして「アスラ」を溜め,これを消費することで強力な攻撃や回復が可能になる。まさに攻防の要となる神技だ。完全無敵の突進技や,地面に設置する回復フィールドなど,性能も尖っている。敵の大技を無敵で迎え撃ち,間合いが生まれたら回復するといった立ち回りがハマると実に気持ちいい。
ただし,アスラの性質は少々変わっている。攻撃やガードより受け流しのほうが増加しやすく,ダメージを受けると減少してしまう。つまりガードではなく受け流しを中心に戦い,ダメージを受けることがなければ,アスラの神技を使う機会は多くなるが,これはリスクの高い戦法だ。アスラの神技にこだわるあまり,余計なダメージを食らっているようでは本末転倒だろう。
攻撃を受けると減ってしまうのもポイントであり,ずっと使わないでおくのももったいない。相手の攻撃モーションをしっかり見極めて,アグレッシブかつテクニカルに立ち回り,溜まったアスラを適切に消費することを求められるというわけだ。連続して受け流しが決まったり,敵の攻撃を避けまくったりすれば,プレイヤーには見返り(アスラの神技)があり,バトルの上達が楽しく感じられるのだ。
スピーディなアクション,広大なマップ,各地に散りばめられた探索とアスレチック,そしてパズル。さらに攻略しがいのあるボス戦により,まさに骨太なメトロイドヴァニアといった印象だ。約3時間の先行プレイはあっという間に過ぎてしまった。
なお,選択可能な音声の中にペルシャ語があったことに触れておきたい。筆者はペルシャ語なんて全然分からないのだが,本作らしい異国情緒を感じられたので,ぜひ試してみてほしい。
本稿ではあえてシナリオに触れていないが,探索が進むに連れて驚きの展開があってプレイヤーを飽きさせない。キャラクターが立っている不死隊の面々の活躍も気になるところだが,物語の続きは2024年1月18日の発売を楽しみに待ちたい。
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- ライター:箭本進一
(C)2023 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Based on Prince of Persia created by Jordan Mechner.
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