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[gamescom]後期青銅器時代の古代エジプトで偉大なファラオを目指す。RTSシリーズ最新作「Total War: PHARAOH」の開発者に話を聞いた
20年以上も続くストラテジーシリーズの最新作となる「Total War: Pharaoh」は,多くの記録が残されていないエジプトの「新王国時代」である3500年ほど前の歴史にスポットライトを当て,絶大な権力を誇ったファラオ,ラムセス2世の死によって混乱していく第19〜20代王朝期をテーマにしている。
プレイアブル勢力としては,エジプト(ラムセス,セティ,タウセルト,アメンメセス),カナン(バイ,イルス),そしてヒッタイト(クルンタ,シュッピルリウマ)という3勢力8王家が用意されており,それぞれの国家統一や対外勢力の外交,さらには市民の暴動や“海の民”と呼ばれる侵略などを経験しながら,新たなファラオとなるべくプレイしていくことになる。
「Total War: PHARAOH」の開発を主導するのは,2017年に設立されて以降,「Total War: Warhammer II」などを手掛けてきたCreative Assembly Sofiaだ。今回のデモは,3つのスカーミッシュモードをプレイできた。開発チームを率いるクリエイティブ・ディレクターのトードル・ニコロフ(Todor Nikolov)氏に,さらに詳しい話を聞けた。
4Gamer:
まず,「Total War: PHARAOH」で,後期青銅器時代を選んだ理由について教えてください。
トードル・ニコロフ(以下,ニコロフ)氏:
後期青銅器時代では,気候変動に伴う環境変化,戦争,飢饉,伝染病の蔓延など,さまざまな説がありますが,人類は大きな転機を迎えていたとされています。エジプトだけではなく世界中の地域で,芽生え始めたばかりの文明が滅びました。
古代エジプト文明も,それまではピラミッドなど多くのモニュメントを建設し,栄華を誇っていましたが,ラムセス2世の死とともに混乱期を迎えていきました。我々は,そうした謎多き後期青銅器時代を,できるだけ忠実に描いてみたいと思ったのです。
4Gamer:
まだ青銅器時代ということで,ユニットの変化に乏しいのではと危惧するところですが。
ニコロフ氏:
確かに後期青銅器時代は戦闘馬車があったくらいで,人が動物に乗ってはいませんでした。また,まだ鉄器はありませんから,武器のバリエーションも少なかったでしょうし,フォーメーションなど戦術部分でも発展はしていなかったと思われます。それを埋め合わせするのが,本作で初めて導入されるリアルタイムでの天候変化です。
デモで体験できたと思いますが,バトル中に天候が変化し,それでプレイヤーの状況も変わります。例えば,雨が降れば地面がぬかるんで戦闘馬車の移動が困難になりますし,砂嵐が発生すれば視界が狭まり,特に弓兵が一時的に機能しなくなったりします。
4Gamer:
どのような過程でファラオとして認められることになるのですか?
ニコロフ氏:
ゲーム開始当初,エジプトの各勢力間では緩い同盟が残されていますが,それが長老の死によって変化します。エジプト陣営の4つのうちラムセス,セティ,タウセルトの三王家は前ファラオの直系子孫ですから,新しいモニュメントを建てたりして自分の正統性を確保し,ほかの王家にチャレンジすることで国家を統一するという流れになります。
4Gamer:
ほかの勢力についてはいかがでしょうか?
ニコロフ氏:
ほかの勢力も,それぞれの統一王として活動する目的がありますし,エジプトへ侵攻して,その正統性が認められればファラオになってしまうことも可能です。カナン勢力は,北のヒッタイトと南のエジプトに陸続きで挟まれているので,外交的にプレイしていかないと難度が高い勢力と言えるかもしれません。
ヒッタイトのシュッピルリウマの場合は,すでにヒッタイトの統一王ですから,エジプトに進出してもファラオになることはありません。彼の場合は,最初から良いユニットを使える一方,つねにその立場を乗っ取ろうという政治勢力が登場したり,近隣部族の攻撃を受けたりして,国内の勢力維持さえも困難を強いられることとなります。
4Gamer:
そこに,“海の民”はどうやって絡んでくるのでしょうか?
ニコロフ氏:
海の民については,最近の研究によって地中海のどの地域に住んでいた部族なのかということが分かってきていますが,複数の部族の中にはラムセス2世時代に傭兵としてエジプト王国内で協力し合っていたという史実もあります。
本作では,海の民はゲーム後半に登場してくる厄介な存在ですが,バトル中にうまく立ち回ってユニットを捕虜にすると,彼らを協力な助っ人として次の戦闘でも活用できます。ユニットのバリエーションとして,本作なりの面白さを表現する存在になります。
海の民だけでなく,内陸側から攻撃してくる“山の民”もいて,一定時間になるとプレイヤーに襲い掛かってくることになりますよ。
4Gamer:
バトルの戦術面では,ほかにどのような変化がありますか?
ニコロフ氏:
そうですね。火矢にさらに重点を置いていることでしょうか。本作では,森や家屋に火矢を放つと,その部分が燃えますが,風向きによってどんどんと燃え広がっていきます。つまり,敵ユニットを森に誘導して火を放ち,相手が逃げ出さないようにすることで大きなダメージを与えることもできます。森はマップの北部ほど多いですが,これも天候によって左右するので,雨が降っている場合には使えない戦術ですが,覚えておくと重宝すると思います。
4Gamer:
攻城戦にも大きな変化が加えられていますね。
ニコロフ氏:
はい。これまでは拠点の中央の1か所だけを制圧すると勝てましたが,今回は3つのポイントに増えていますので,どこをどのように攻めるかといった,さまざまな戦術が求められます。
今回のデモでは,拠点の1つを見捨てて敵を内部に誘導しつつ,いくつかのユニットを城の外部に動かし,背後から急襲して挟み撃ちにするというプレイをしている人を見かけましたが,これまで考えたこともなかった戦術だったので参考になりました。
4Gamer:
リーダーユニットについての変化はありますか?
ニコロフ氏:
ええ,本作のリーダーユニットは護衛兵に守られているという設定になっています。例えば,ラムセスでプレイ開始した場合のデフォルトは弓兵ですが,その途中のキャンペーンで剣や防具を見つけてアンロックしていくことで護衛兵を強化して,さらに強力なリーダーユニットに仕立てていくことができるのです。
4Gamer:
崇拝する神々によって特性が現れるのも面白いメカニックになりそうですね。
ニコロフ氏:
そうですね。ゲーム中では,全部で20種類の神々がマップ全土に散らばっていて,その地点を攻略することで守護神とするかどうかを選べます。歴史に即したゲームですからファンタジー色はありませんが,収入や収穫,モラルなどに変化を及ぼしていきます。ゲーム開始時点で1つ,最大で3つの神の加護を受けることができ,それによって勢力の特徴も変化します。異国の地にある信仰を受け入れることも可能で,このあたりで繰り返し遊んでもらえるかと期待しています。
4Gamer:
ありがとうございました。リリースを楽しみにしています。
「Total War: PHARAOH」公式サイト
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