連載
月刊ブロックチェーンゲーム通信 第15号。今回の分析ターゲットは「MapleStory N」
なんか最近ちょっと流行りつつあるかも……? ということは知っていても,どんなタイトルがあって,どういうもので,どれくらいの人が遊んでいて,中では何が行われているのか,実際にプレイしてみないとさっぱり分からないのが,ブロックチェーンゲームです。
なのでこの連載では,毎月のブロックチェーンゲームのユーザー数や取引高ランキングの動向,そのとき話題になっているブロックチェーンタイトルの様々な分析データなどをdouble jump.tokyoが作成し,まとめて皆さんに紹介します。前回は「Champions Tactics: Grimoria Chronicles」を深掘りしましたが,今回の分析ターゲットは「MapleStory N」(PC)です。
いやいや私はもうだいぶ詳しいから説明なんか要らないよという人は,詳細版のマンスリーレポートだけでもぜひご覧ください。いま現在のブロックチェーンゲームの流れを知るためには,大いに参考になるはずです。
【2025年1月】BCGマンスリーレポート(double jump.tokyo)
「月刊ブロックチェーンゲーム通信」記事一覧
ブロックチェーンゲームのユーザー数ランキング
順位 | タイトル | ジャンル | MAU | 先月比 |
1 | Befriend AI | AI | 628万 | New |
2 | World of Dypians | メタバース | 270万 | +103% |
3 | SERAPH | アクションRPG | 185万 | +1% |
4 | MatchQuest | カジュアル | 135万 | +7% |
5 | BoomLand | カジュアル | 115万 | -2% |
※DappRadarから引用(2025年12月25日時点)。なおユーザー数は,各タイトルに関連したブロックチェーンネットワーク上でのユーザーアクティビティをもとにカウントされています。ブロックチェーンに関係のないアプリ内でのアクティビティなどはカウントされていないので,ご了承ください。
この1月号で,昨年のユーザー数ランキングの動きを簡単に振り返ります。
ユーザー数ランキングでは,「PlayEmber」や「BoomLand」といったカジュアルゲームのプラットフォームが人気を集めました。簡単なゲームをプレイすることで暗号資産が獲得できるというサービス形態が,ユーザー拡大につながりました。
この流れを受け,Telegramミニゲームが大きな話題となりました。暗号資産界隈では,サービスがトークンをリリースする際にプレイしてくれたユーザーに暗号資産を配布する「エアドロップ」という文化があり,これを目当てとするユーザーを多く呼び込むことに成功しました。
2024年中盤から後半にかけては,農業ゲームの「Pixels」や,ディアブロライクなハクスラアクションRPG「SERAPH in the darkness」が数か月以上にわたってランクインしました。この傾向からは,ブロックチェーンゲームにおけるユーザー数ランキングに登場するゲームジャンルの幅が,着実に広がってきていることがうかがえます。
ブロックチェーンゲームの取引高ランキング
順位 | タイトル | ジャンル | 取引高 | 先月比 |
1 | Axie Infinity | TCG | 1億604万ドル (約164億8391万円) |
+56% |
2 | Overtime Markets | スポーツ | 3295万ドル (約51億2209万円) |
‐9% |
3 | GodsUnchained | TCG | 2155万ドル (約33億4995万円) |
+144% |
4 | NIGHT CROWS | MMO RPG | 1843万ドル (約28億6494万円) |
-17% |
5 | Alien Worlds | シミュレーション | 836万ドル (約12億9562万円) |
+15% |
※DappRadarから引用(2025年12月25日時点)。取引高ランキングは,各ゲームのNFTや暗号資産に関連したブロックチェーンネットワーク上のアクティビティを元にカウントされています。ブロックチェーンに関係のないアプリ内でのアクティビティなどはカウントされていないので,ご了承ください。
2024年の年間通して,取引高ランキングの常連となっているのは「Axie Infinity」です。ブロックチェーンゲームを世界に広げた功労タイトルであり,Play to Earnが下火となりつつある現在でも,根強くコミュニティとプレイヤーに愛されているゲームです。「Axie Infinity」は「Ronin」というチェーンを利用しており,2024年は「Pixels」などRoninチェーンを利用するゲームも増加。チェーン全体の活況が見られました。
「Gods Unchained」もブロックチェーンゲーム黎明期から存在するTCG(トレーディングカードゲーム)です。2024年はモバイル対応やEpic Games Storeへの配信など,ユーザー拡大に積極的に取り組んできました。エキスパンション(カード拡張パック)のアップデートに合わせて取引高も増加しており,ブロックチェーンゲームの中で最も人気のあるTCGといえます。
MMORPGの「NIGHT CROWS」も長期間にわたってランクインしてきたタイトルです。育成したキャラクターと装備をまとめてNFT化して取引したり,クラフトの素材がトークン化できたりすることが,ブロックチェーンゲーム要素として特徴的でした。ブロックチェーンゲーム要素は必須ではなく,一般のMMORPGファンにも広く受け入れられている印象です。
2024年はSteamやEpic Games Storeに配信されるタイトルも増加しており,ブロックチェーンゲームの裾野が着実に広がりを見せた1年でした。主要プラットフォームでの配信開始により,従来のゲームファンにもブロックチェーンゲームが身近になってきたことがうかがえます。
「MapleStory N」の分析
・ゲーム概要
今回は,有名な横スクロールMMORPG「メイプルストーリー」をベースに,NFTやトークンなどのブロックチェーンゲーム要素を追加・アレンジした「MapleStory N」について紹介します。
基本的なシステムやアクションは従来の「メイプルストーリー」と同じですが,アイテムのドロップや需要に基づく価格調整などのブロックチェーンゲームとしてのエコシステムを成立させるための仕組みが追加されています。
武器や一定条件を満たしたキャラクターはNFTとして,固有性のないポーションなどのアイテムはFT(代替性トークン)としてマーケットプレイスで取引可能になっています。
2024年11月から12月にかけて,βテストが開催され,参加者にはトークンやアイテムなどの特典が用意されました。
・キャラクターのミント
自分が育てたキャラクターは,Lv30まで上げて2次転職すると,キャラクターに名前をつけてNFT化することができます。ミントしたキャラクターは,マーケットで販売可能になります。また,新しい強化項目も追加されるため,ここからさらに育成を進めることもできます。
・エコシステムを維持するための仕組み
「MapleStory N」の特徴として,アイテムや武器などが供給過剰になってエコシステムが破壊されないような仕組みがあります。その一つがフィールドごとのドロップ管理です。
アイテムはフィールドごとにドロップ数(在庫)が管理されており,人気狩場でどんどんドロップして在庫が減るとドロップ率が下がり,反対に不人気な狩場では在庫が増えてドロップ率が上がります。
これに加えて,ボスコンテンツにも工夫があります。ボスを倒すと,直接報酬がもらえるわけではなく,報酬獲得の抽選権がもらえます。毎日抽選が行われ,その結果に応じてアイテムを獲得することができるという仕組みです。こちらも,ボスドロップのアイテムや武器の供給量を管理することで過剰供給とならないようにしています。
・マーケットプレイス
「MapleStory N」のマーケットプレイスでは,NFTアイテム・FTアイテム・キャラクターを「NESO」トークンで取引することができます。機能がとても充実しており,プライスやジョブなどさまざまなフィルターに加えて,Bid(入札)も可能です。入札の入っているアイテムであればすぐに売却することもできるので,マーケットに並べて売れるまで待つというストレスがなく快適です。
・オンチェーン情報
「MapleStory N」は,Avalanche L1(「Avalanche」を利用したチェーン構築サービス)で構築された「Lith L1」が利用されています。テスト期間中のウォレット数は,テスト開始時で6万ウォレット,テスト終盤でも4万ウォレットがゲームをプレイしており,注目度の高さがうかがえます(オンチェーンアクティビティなので,実際のプレイヤー数とは異なります)。
・まとめ
今月のレポートでは,ブロックチェーンゲーム版「メイプルストーリー」の「MapleStory N」について紹介しました。基本的な部分は「メイプルストーリー」を踏襲しつつ,ブロックチェーンゲーム向けにさまざまなアレンジがされている期待の作品です。
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NEXPACEが運営するPC向けMMORPG「MapleStory N」では,プレイテスト「Gear Up NOW!」が12月23日まで開催されている。本作は,長年愛されてきた「メイプルストーリー」をベースに,システム面を強化したタイトルだ。ブロックチェーン技術の導入によって何が変わったのか,詳しく紹介しよう。
【2025年1月】BCGマンスリーレポート(double jump.tokyo)
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