プレイレポート
[TGS2022]「Mr. Sun's Hatbox」プレイレポート。可愛い見た目と,ブラックでやり込み系なシステムのギャップが楽しい
「Mr. Sun's Hatbox」の主人公は,タイトルにあるサン氏ではなく,彼に帽子を届けようとした配達員。謎の男たちに帽子を奪われた配達員は,これを取り戻すべく暴走を始め,サン氏の土地に洗脳施設完備の作戦基地を設置してしまった。配達員は謎の男たちの拠点を荒らし回りながら,彼らを拉致して自分のスタッフとし,基地を拡張して強大な勢力へと成長していくのだ。
キュートなドット絵と「Mr. Sun's Hatbox」なる童話のようなタイトルから,「ああ,低年齢層に向けたメルヘンなゲームね」という印象を抱きがちだが,実際にはまったくの別物。公称ジャンル名はローグライト・スラップスティック・ステルスプラットフォーマーで,“「メタルギアソリッドV」ミーツ「Rogue Legacy」”なアクションゲームとなっている。
個性豊かなスタッフから好きな者を選び,基地の在庫から装備を選んで,敵の拠点に潜入。「重要人物を無力化する」「特定の品を盗む」といった目的を達成すればミッションクリアだ。拠点には敵がうろついており,こちらを見つけると容赦なく襲ってくる。基地から持ってきた武器,さまざまな特殊効果を与えてくれる帽子といった品を駆使して戦おう。
敵を武器で倒してもいいが,弾薬には限りがある。最も手っ取り早いのは,見つからずに近づき,ジャンプで踏んづけて気絶させること。気絶した敵には弾薬の消費なしにトドメを刺せるし,特殊なバルーンを付けて基地へ連れて行き,捕虜にすることも可能だ。バルーンを使えば,倒した敵が持っていた装備も回収できる。
音が静かで気づかれにくいサイレンサーピストル,散弾を放つショットガン,設置した後にジャンプで踏むと弾を撃つタレット,見つかりにくくなるダンボール帽子など,いろいろな装備が出てくるので目移りしてしまう。しかし,バルーンの手持ちは限りがあり,無計画に使っていたのでは,後で本当に貴重な人や装備が出てきた時に回収できない,なんてことも起こり得るので悩ましい。もちろん,素手で乗り込んで装備を現地調達したり,手持ちの武器を捨てて敵を担いで脱出する,なんてのもアリだ。
なぜここまで回収に固執するかというと,捕虜は基地にある営倉で「洗脳」すれば自分のスタッフに加えられるし,装備品の在庫には限りがあるため,できるだけ数を確保しておきたいからだ。とくに重要なのが洗脳。武器と同様,スタッフも消耗品で,潜入に失敗すると失われてしまう。加えて,さまざまな能力「特質」を持っているため,数も欲しいし質も求めたい。
特質はプラスのものやマイナスのものなど実にさまざま。足が滑りにくくなる「確かな足取り」,気絶状態が長くなる「やわらか頭蓋骨」,銃を前にしか撃てない「前向きな射手」,自分の体力などのHUDが表示されなくなる「テクノフォビア」,死体を喰って回復できる「共食い」など,かなりのバリエーションが存在していた。
うまくミッションをこなして経験値を稼ぎ,レベルを上げると新たな能力を覚えたりもする。とくに作戦目標になっている敵などは,最初から多くの特質を持っているため,なんとかして拉致しておきたい。能力は結構な種類があるようなので,装備とあわせてコレクション欲をそそられるのだ。出展バージョンでは体験できなかったが,基地にはさまざまな施設を増築できるので,こちらも楽しみに感じられた。
開発者がブースに不在だったため,確認は取れていないのだが,同じミッションを複数回選んだ際にマップの形が変化したため,どうやらマップはランダム生成であるようだ。また,公式サイトやSteamページには「ローグライト」の表記があるため,スタッフたちもランダム生成されるのかもしれない。
開発者のKenny Sun氏は,「Rock Band Rivals」「Dance Central VR」「Return to Monkey Island」などの作品に携わったプログラマー。「メタルギアソリッドV」に感銘を受けた氏は,2016年から会社勤めの傍ら本作のプロトタイプを作成するが,ゲームのスケールが大きいことから一度は開発を断念。しかし,2019年から制作を再開し,今は完成が近づいているという。
ドット絵は可愛らしいが,ゲーム内容は銃撃戦や拉致などハードコア。プラスとマイナスさまざまな能力を持つスタッフを使ってミッションに挑むのも楽しく,良い意味でギャップのあるタイトルだった。そんな「Mr. Sun's Hatbox」は,PC向けに2023年に配信予定。会場では日本語版を遊べたので,やり込み系ゲームが好きな人は要注目だろう。
「Mr. Sun's Hatbox」公式サイト
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