プレイレポート
「アサシン クリード シャドウズ」,プレビューインプレッション。戦国時代を舞台にしたシリーズ最新作に“時代劇”を感じた
アサシン クリードは歴史を題材としたステルスアクションシリーズだ。「力」によって世界の人々をマインドコントロールし,世界秩序の確立を目指すテンプル騎士団と,人間の自由意思を尊重するアサシン教団の戦いを描いている。
歴史的な出来事の裏にはテンプル騎士団(またはその前身となる組織)の暗躍があり,それを阻止するアサシンの活躍がある,というのが本作シリーズの主軸となる物語である。
本作の舞台となるのは戦国時代末期の日本。信長に仕えたと言われる実在の人物「弥助」と,伊賀者の忍びである「奈緒江」が主人公となる。
今回体験できたのはプロローグと,織田信長亡きあと,宇喜多家との関わりを描いたメインストーリーだ。
プロローグではルイス・フロイスとアレッサンドロ・ヴァリニャーノ,そして下僕である弥助(このときはまだ別の名を名乗っている)が,京の都で信長と謁見するところから始まる。
フロイスらは京に入ることの許しを得るために信長に謁見したのだが,信長はすでに京に入っていることを責めたて,信長の侍従が刀を抜く構えを見せた。
危機に素早く反応した弥助に,信長は戦士として素質を見出し,京での行動の自由と引き換えにヴァリニャーノから弥助の身をもらい受けるのであった。
時は流れ,場面は天正伊賀の乱へと切り替わる。信長軍の兵の1人として参加していた弥助が伊賀軍と戦うといったシーンだ。ここは弥助の戦闘チュートリアルのような扱いで,攻撃方法を学べた。
弥助は,その破壊力の高さと戦闘技術が際立つ戦士として描かれている。純粋に攻撃力と防御力が高く,攻撃時に体力を回復する技能を持っており,戦いを有利に進められる印象だ。武器は刀,薙刀,金棒,鉄砲,弓を使え,それらの熟練を上げていくことでより強くなっていく。また,侍という熟練があり,戦闘に特化した能力を得ていく。一方で,フリーランで壁を登ったりすることは苦手で,ステルス要素は薄い。
弥助のチュートリアルが終わると,時は数刻戻り,奈緒江が登場する。信長軍の侵攻を受けた伊賀側の視点で進行し,奈緒江の父である藤林正保から「隠し刃」(アサシンブレード)を受け取り,それを鍵とする古墳を見つけ出し,とある箱を入手するように言われる。
奈緒江は敵の目を掻い潜りながら古墳を探し出し,箱を回収するのだが,そこで謎の武者に襲われ,箱を奪われてしまう。正保によって助けられた奈緒江は,襲われたときにはぎ取った面をヒントに敵を見つけ出し,箱を取り戻すことを誓う。
ここからが奈緒江のチュートリアルパートになる。敵の城に忍び込み,箱の在りかとターゲットを探すのだ。
忍びである奈緒江は影に潜むことができ,敵に見つかりにくい特性を持つ。鉤縄を使った素早い壁登りや,壁越しに敵の居場所が分かるイーグルビジョンなどが使えるので,従来のアサシンのような戦い方ができる。
その反面,弥助と比べると打たれ弱く,攻撃力も低いので,正面切っての戦闘はそこまで得意ではない。とはいっても得意ではないだけで,決して弱いというわけではなく,テクニック次第でどうにでもなる印象だ。
チュートリアルの終わりに,箱を奪った武者を見つけ箱を取り戻すことに成功するのだが,そこからまたひと悶着あり,プロローグはそこで終了した。ここから弥助と奈緒江が出会い,力を合わせて戦っていくことになるようだ。最初は敵同士だった両者がどのようにして共に戦う仲間となるのか,ストーリーも気になるところだ。
播磨の国,姫路城でのメインクエスト
プロローグからまた時間は飛び,弥助と奈緒江が出会ったあとのクエストを体験できた。ここからは弥助と奈緒江を切り替えながらプレイできる。
クエストの導入は豊臣秀吉の正室であるねね様からの紹介で黒田官兵衛に会うところから始まる。何やら問題を抱えているらしくその解決に力を貸してほしいとのことだ。ここからは以下の経緯で話が進んでいく。
・陰で糸を引き秀吉様の味方勢を攻める動きがある。
・その狙いは黒田官兵衛が募った軍勢と秀吉様が合流し,光秀討伐を成すのを防ぐこと
・その者の正体と播磨での勢力を暴いてほしい。
・宇喜多直家との和睦を確かめるための連歌会を行う。そこで敵が動くやもしれぬので連歌会に参加してほしい。
連歌会の参加時,弥助か奈緒江のどちらかを選べたのだが,今回は奈緒江で参加してみた。
歴史的にみると天正10年6月2日に起きた本能寺の変の直後で,明智光秀が討たれる6月13日の山崎の戦いのあいだとなるのだろうが,本能寺の変のときには死没していたとされる宇喜多直家が生存していることからも,必ずしも史実通りではないことがうかがえる。
連歌会というのはリレー形式で行われる和歌を詠む会で,前の人が読んだ句に合わせて句を詠んでいく。その性質上,普通に和歌を詠むより難度の高いが,戦国武将らも興じたという。奈緒江は戸惑いながらも句を読むが,宇喜多直家に「おもしろい」と言われ,知己を得るのだった。
宇喜多直家が歌を詠んだ直後,浪人たちにより襲撃を受け,直家の息子である八郎が連れ去られてしまう。八郎をさらわれた直家は激昂し,手勢を姫路一帯に差し向け,官兵衛に「すぐに見つかればよいがな。秀吉様が望まれる太平の世のためにも」と言い放つのだった。
事件のあと,官兵衛は陰で糸引く者の仕業と見て,奈緒江らに解決を依頼する。ここからは現場に残された手掛かりを元に黒幕を追っていくことになる。
現場に残されていた手掛かりは以下の二つ。
・襲撃直後に姿をくらませた徳兵衛を探し出す。
・襲撃してきた浪人からしていた香の匂いの出所を探す。
まず徳兵衛を探すところから始めた。徳兵衛の手掛かりはなく,その妻から話を聞くことになったが,その妻の場所も「播磨にいる」「姫路の西にいる」「徳兵衛の屋敷にいる」というヒントのみ。そこで「密偵」を使って場所を探ってみた。上記のヒントを元に,マップ上で密偵を派遣すると,徳兵衛の妻の場所が分かるようになるのだ。
無事に徳兵衛の妻の場所を見つけ出したので,赴いてみると何やら浪人たちに詰め寄られている様子だった。話を聞くには浪人を排除する必要があるが,弥助で正面から突入するか,奈緒江で静かに排除していくかはプレイヤー次第となる。どちらで進めてもクリアは可能なので,自分の得意なプレイスタイルを選ぶといいだろう。
徳兵衛の妻から居場所を聞き出し,徳兵衛を見つけ話を聞いたところ,備前の兵が金をやるから城に入れろと言ってきたという。討ち入りを命じたのは西国の武士で,その上にも主がいるようだ。徳兵衛は言われるがまま城に入れ,襲撃が起きたということなのだろう。ちなみに備前の国というのは宇喜多家が治める場所だ。
ここから香の匂いの出所を探り,最終的に姫路城へと乗り込むことになるのだが,どういう結末を迎えるかはプレイして確かめてもらいたい。
仲間が集う場所「隠れ家」
本作には「アサシン クリード ヴァルハラ」での定住地のような存在である「隠れ家」を作ることができる。自由に施設を建設し,仲間を集め,訓練することが可能だ。今回はこの隠れ家の建設要素も体験できたので紹介しよう。
隠れ家では資材を消費して,自由に建設できる。効果のある建物のほかに,景観をよくする木を植えたり,装飾物を配置したりと自由にカスタマイズ可能だ。隠れ家内を歩き回ることができるので,自分好みの景観を作り上げる楽しさがある。
また,これまでに仲間になったキャラクターも隠れ家に移り住んでいるようで,そうしたキャラクターとの会話も繰り広げられる。
今回のプレイでは隠れ家内でのみ行動可能だったので,どのような効果があるかを体験できなかったが,クエスト達成の助けになるのは間違いさそうだ。弥助と奈緒江は頻繁に足を運ぶことになるのだろう。
戦国時代を舞台にした時代劇を遊んでいる感覚
本作をプレイして感じたのは時代劇をプレイしているという感覚だ。時代劇と思えばこそしっくりくる描写も少なくない。世直しして回っていた副将軍のドラマと同じく,フィクションというわけだ。
歴史に忠実なわけではないし,当時を完璧に再現しているわけではないが,それでもこの時代の雰囲気を表現できているのではないだろうか。
そのあたりは季節をプレイヤーの任意で巡らせられることからも分かる。時期的にはおかしくても,ゲームというエンターテインメントであるならば許容される表現だろう。
さまざまな季節に彩られた,戦国時代の近畿地方を歩き回るのは,素直にワクワクする。今回体験できた範囲では荘厳な構えの姫路城や,その城下町に加え,周辺の神社仏閣など,見どころがたくさんあり,馬にまたがり駆け回るだけでも楽しかった。
戦闘面においても通常攻撃,強攻撃に加え,それぞれに「構え攻撃」があり,殺陣のような戦闘が繰り広げられる。正直,よくここまで表現したなと思えるほどだ。
本作についてはいろいろと問題があったことは事実だが,それでもゲームとしての面白さは否定できないところだろう。詳しい人が見れば違和感を覚える部分もあるかもしれないが,そうではない筆者から見れば,戦国時代を描けているのではないか,と思えた。
ネガティブな印象もまだあるのは確かだが,実際にゲームをプレイしてみると,少なくとも筆者は楽しめた。この時代の近畿地方を探索できるゲームは多くないので,ぜひ体験してみてほしいところだ。
「アサシン クリード シャドウズ」公式サイト
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