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[インタビュー]「鳥類弁護士の事件簿」の開発者・Jeremy Noghani氏に聞く。クラシカルな世界設定や鳥の弁護士を主役にした決め手は?
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印刷2022/12/22 12:00

インタビュー

[インタビュー]「鳥類弁護士の事件簿」の開発者・Jeremy Noghani氏に聞く。クラシカルな世界設定や鳥の弁護士を主役にした決め手は?

 2022年12月15日に,レオフルから発売された「鳥類弁護士の事件簿」は,イギリスの開発会社Sketchy Logic Gamesとポルトガルの開発者であるVertical Reach氏が共同で手掛けたアドベンチャーゲームだ。

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 物語の舞台は,二月革命の気運が高まる1848年のパリ。混沌たる社会では,犯罪者だけでなく多くの無実の者が牢に捕えられていた。
 そんな中,弁護士のジェイジェイ・ファルコンと,助手のスパロウソンが彼らを救うべく立ち上がる。2人(2羽)はパリじゅうを飛び回り,無実となる目撃者や証拠を探し出し,法廷で熱いバトルを繰り広げるのだ。

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 隼の主人公と助手の雀をはじめ,登場人物が全て獣のこの不思議な世界を盛り上げるのは,19世紀の風刺画家であるJ・J・グランヴィルによるアートだろう。また,ロマン派を代表する作曲家であるカミーユ・サン=サーンスの楽曲も,この唯一無二の世界観にマッチしている。

 今回,開発者のひとりであるJeremy Noghani氏にメールインタビューを行ったので,本作の概要とともに紹介しよう。

「鳥類弁護士の事件簿」公式サイト


調査と法廷,ふたつのシーンから事件を追っていくADV


 本作の主人公であるジェイジェイ・ファルコンは,弁護士という立場で事件に関わり,容疑者の弁護を行うことで真実に迫っていく。
 ゲームの流れは,「調査パート」で関係者に聞き込みをしたり裁判に有利になる証拠品を集めたりして,「裁判パート」で,それらの情報を元に法廷に挑む形だ。見た目の雰囲気は大きく違うが,「逆転裁判」シリーズのシステムに近いものになっている。

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 聞き込みや法廷などでの会話には選択肢が出てくることが多い。状況や知りたいことに合わせ言葉を選んでいくが,有用な情報を掴むには,紳士的に話を聞くだけではなく,ときには賄賂を贈ったり,強気な尋問を行ったりということも必要になる。
 また,出向く場所によっては,訪れたことでゲーム内の1日が経過することもある。裁判までに,被告に有利になる情報を集められないと,悲しい結末を迎えることもあるので,注意が必要だ。

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いきなり事件について聞いたほうがいのか。それとも,まずは何気ない会話から切り出してみたほうがいいのか

 軽妙な語り口で,冗談交じりに進んでいく会話の中に,真実が隠されていることも。登場人(獣)物の証言と証拠品から,事件の道筋を辿って推理し,事実を暴き出していく必要があるだろう。

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被告人の無罪を勝ち取れるかは,的確な指摘と確固たる証拠品の有無にかかっている

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証言には,必ず事実と違う点がある。調査を基に,矛盾点を見極めていく

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●裁判の結果は,事件の意外な結末を呼ぶことも。


 フランスの二月革命が近い不穏な情勢は,物語にも深く関わってくる。パリで起きた事件とは何だったのか。主人公の行動の結果で変わってくるその後の展開は,3つ用意されているエンディングルートにつながっているのだ。
 セーブは,ゲーム内で1日の始まりに行われるが,任意の場所でいつでも中断ができる。再び始めるときも,始めるチャプターやシーンを選べるので,2周目以降のプレイもまどろっこしさを感じないだろう。
 ローカライズは丁寧で,テキストは非常に読みやすいだけでなく,“鳥”ならではの言葉遊びも随所に盛り込まれているのが面白い。

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 レオフルが,2022年12月15日に発売する「鳥類弁護士の事件簿」は,19世紀のパリを舞台に,隼の弁護士“ジェイジェイ・ファルコン”と,雀の助手“スパロウソン”が活躍するアドベンチャーゲームだ。海外で,2015年に「Aviary Attorney」としてリリースされている。

[2022/12/14 12:00]

Jeremy Noghani氏へのメールインタビュー

風変わりな世界設定の理由やお気に入りキャラまで


 今回,開発者のJeremy Noghani氏にメールインタビューを依頼し,興味深い話を伺うことができた。動物だけが登場する個性的な法廷アドベンチャーゲームは,いかにして生まれたのだろうか。

4Gamer:
 本作を企画したきっかけは何でしょうか。

Jeremy Noghani氏:
 学術界で働いていた頃,ゲームの試作品を何本か制作しました。私は古い挿画が好きでしたので,うち1本はそのような絵を取り込んだノベルゲームにすることにしたのです。
 その案に可能性を見い出したので,クラウドファンディングで資金を募り,完成したのが「Aviary Attorney」(「鳥類弁護士の事件簿の原題)でした。

4Gamer:
 クラシカルで美しいJ.J.グランヴィルの絵柄を採用した理由を教えてください。

Jeremy Noghani氏:
 グランヴィルの作品を見た瞬間,彼が描くキャラクターの広範さと現代的な雰囲気に一目ぼれしました。なかでも印象的だったのは,法廷に立つ猫の絵です。
 まるで,Phoenix Wright(「逆転裁判」英語版での成歩堂龍一の名前)が裁判の最後に感情を爆発させているシーンのようでした。その絵を見ているうちに,自然とゲームのコンセプトが決まりました。ただ,その猫はゲームに登場しませんでしたけどね。

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4Gamer:
 登場人(獣)物を動物のみに,主人公を鳥にした理由はあるのでしょうか。

Jeremy Noghani氏:
 動物のキャラクターを使うことで,その動物に対する一般的なイメージを利用しつつ,それを覆すような設定を生かせると思いました。
 メインキャラクターの隼は猛禽類ですが,知的な弁護士として働いています。そのギャップが面白いと感じたのです。それに,鳥は愛すべき生き物ですから,魅力的なキャラクターに仕上がるのではないかなと。

4Gamer:
 個性的な登場キャラクターのなかで,一番のお気に入りは誰ですか。

Jeremy Noghani氏:
 お気に入りのキャラクターは,なんといっても助手のスパロウソンですね。小生意気ですが,機転が利いて情も深い。彼は,誰にとっても理想の友達ではないでしょうか。

4Gamer:
 開発において,もっとも大事にした点を教えてください。

Jeremy Noghani氏:
 おかしな話だと思われるかもしれませんが,とにかくゲームを完成させることがもっとも重要でした。インディゲーム開発者ならお分かりになるかもしれませんが,時間をかけてクオリティの向上に専念することは簡単です。ただ,納得のいくクオリティで,期限までに完成させることはとても困難なのです。
 「鳥類弁護士の事件簿」が発売されたいま,こうして完成させられたことに満足しています。

4Gamer:
 東京ゲームショウ 2022のテストプレイ出展が好評でしたが,そこでゲームに触れた人たちの反応はどうでしたか。

Jeremy Noghani氏:
 反響はすばらしかったと聞いています。ローカライズも好評のようでしたし,裁判や調査システムも気に入ってもらえたようでなによりです。それに,日本のプレイヤーにもスパロウソンは人気だったようですね。

4Gamer:
 本作の続編,また新作の予定はありますか。

Jeremy Noghani氏:
 今は,開発に関わった全員が別々のプロジェクトに取り組んでいるため,続編の予定はありません。ですが,先のことはどうなるかは分かりません。

4Gamer:
 ファンに向けてメッセージをお願いします。

Jeremy Noghani氏:
 応援してくださってありがとうございます。この作品には,プレイヤーの予想を裏切る展開がいくつも盛り込んであります。ぜひ発見して楽しんでください。


 現在のところ,続編は予定されていないとのことだったが,この唯一無二の世界を生み出した本作開発チームの新作を望む声は多いだろう。
 Jeremy Noghani氏を含む,本作開発者の今後の活動に注目していきたい。

「鳥類弁護士の事件簿」公式サイト

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