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[GDC 2023]GPT-3でNPCの会話を生成。Nuverseが「アース:リバイバル」でチャレンジする,新テクノロジーによるゲーム開発の“新たな一歩”
それが明らかにされたのが,アメリカ・サンフランシスコで開催されたGDC 2023の,「Machine Learning Summit: GPT-3 Powered Text to Lifelike Speech and Animation for NPCs」という名のセッションだ。そのチャレンジというのが, 自然言語技術処理モデル「GPT-3」を使ったNPCのセリフと表情,仕草の生成。プレイヤーの没入感を高めるべく,ゲーム内のすべてのキャラクターをリアルに表現するという目標のもと,GPT-3にNPCに命を宿す役割を任せるというものだ。
今後のゲーム開発の新たな一歩となりそうなその取り組みを,NuverseのJNG StudioでAIチームリーダーを務めるDao Si氏が説明した。
続いて,会話のテキストを「Text to Speech Module」が口語に整え,間の取り方や顔の表情,動作といったパラ言語も定めながら,基本音声にヴォコーダーをかけて音声を作成。「Facial Animation Generation Module」が,それらのデータを元に自然な顔の動き,表情を作る。さらに「Body Motion Generation Module」が,人物や会話の内容,表情,間,200以上あるという「Semantic Gesture tags」(ジェスチャータグ)をもとに人物の動きを完成させる。
専門的な内容も多かったため,細かい部分まで伝えられないが,100人以上のNPC用の会話と仕草(およそ68時間分)が1週間で仕上がるという効率の良さを見せたそうだ。しかもNPCは複数タイトル向けである。なお,GPUはNVIDIAのT4を使用しており,10秒〜20秒のシーンがT4(一基)で800ミリ秒以下で仕上がるそうだ。
もちろん,さまざまな課題があるようで,たとえば似ているキャラクター同士でも,表情の出し方は微妙に変わるため,同じ感情,同じ声でトーンが同じセリフであっても生成されたパラメータを使い回すことはできない。顔に傷があるかないかでも変わるし,ジェスチャーでいえば言葉の間や話していないときの動きもある。デモで流された映像は,中国語をメインに英語と日本語があったが,多言語の場合はそれぞれのリップシンクなどの問題もあるようだ。
すべてをAIがやってくれるというものではないが,すくすく育つジェネレーティブAIの成長ぶりをみると,またすぐに“新しくできるようになったこと”の報告があがってくるのでは? という期待がある。Ubisoft Entertainmentの脚本執筆補助ツール「Ghostwriter」,「Roblox」のコンテンツ制作における使用例など,今回のGDCではさまざまな形で“ゲーム開発における生成系AI”が紹介されているので,この辺りのレポートも一読してほしい。
[GDC 2023]脚本執筆の補助を行うAIツール「Ghostwriter」で,NPCのセリフが豊かになる?
Ubisoft EntertainmentのR&D部門Ubisoft La Forgeが,GDC 2023のAIサミットで行われたセッションに合わせて,脚本執筆の補助を行うAIツール「Ghostwriter」を開発したことをアナウンスした。NPCたちの会話のバリエーションを生成系AIの力を借りて増やすことで,ナラティブデザイナーたちの煩雑な作業を軽減することを目指すという。
[GDC 2023]生成系AIの進化は止まらない!? 「Roblox」でもプラットフォーム内ゲーム開発のサポートにジェネレーティブAIが活躍
GDC 2023のAIサミットにおいて,Robloxの副社長として開発用スイート「Roblox Studio」を統括するステファノ・コラッツァ氏が,「生成系AIを用いたコンテンツ制作の進化」というタイトルのセッションに登壇した。ユーザーが制作する無数のゲームを楽しめるという「Roblox」だが,ゲーム開発の補助機能およびテクスチャーの生成に生成系AIが利用され始めている。
Dao Si氏は,現在ある課題に向き合いながら,さらにアニメーションやオーディオを生成するモジュールを開発,それを統合したインテリジェントMPCシステムの構築を目指すとのこと。まずは4月20日にローンチを迎える「アース:リバイバル」で,現在の仕事っぷりを見ておくのもいいだろう。
「アース:リバイバル」公式サイト
「アース:リバイバル」ダウンロードページ
「アース:リバイバル」ダウンロードページ
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(C)Nuverse Pte. Ltd.
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