プレイレポート
[プレイレポート]「ハーヴェステラ」はいい意味で“生活シミュらしくない”。ストーリーにスローライフにと,忙しくも魅力的な世界を満喫しよう
本作の舞台は,「シーズライト」と呼ばれる巨大な4つの結晶体が存在する惑星だ。シーズライトは四季をつかさどり,人々はその恩恵を授かって生活していた。しかし,いつしかシーズライトには異変が生じて,季節の変わり目に「死季」が発生するようになってしまった。死季は世界を灰色に染め,その空気はあらゆる生命を脅かすため,人は外を歩くことすらできない。
主人公は,ある死季の日に辺境の村で行き倒れていた旅人だ。死季の影響か記憶を失っており,秋のシーズライト近郊にあるレーテの村の医者「クレス」に助けられる。その後,未来から来たという少女「アリア」との出会いをきっかけに,世界の謎に迫るための冒険が始まる。
本作はジャンルとしては生活シミュレーションRPGなのだが,ファンタジーかつ重厚なストーリーが存在する。結晶体を中心に展開される物語は,とても美しく洗練された,スクウェア・エニックスらしいものだ。同時に,未来から来たアリアや,全身に鎧っぽくもあり未来スーツっぽくも見える装備をまとう「魔族」と呼ばれる存在など,SFチックな謎が序盤から次々に出てくるため,ストーリーの続きがどうしても気になってしまう。そのため,「スローライフも楽しいけど,今はそっちよりもストーリーを進めたいな……」という気持ちにさせられる。
メインストーリーのほかにも,「キャラストーリー」や「クエスト」といった小話があり,キャラストーリーでは親密度が上昇する。親密度が上がると特別なスキルや戦闘で使える「必殺技」が開放されるので,お気に入りのキャラのストーリーは積極的に進めていきたい。単純に魅力的なキャラが多いので,個別で深掘りされているのは嬉しいところだ。
本作の生活シミュの部分は,きっちり作られている印象だ。主人公は,自宅の目の前にある畑での農業を中心に,牧畜,釣り,野外採集などでアイテムを集めて,不要なものを出荷箱に入れて収入を得ていく。
農業は一般的な生活シミュと同様に,畑を耕して種を撒き,毎日水をやるというごく一般的なシステムだ。収穫までの日数は1〜4日と短いものが多いので,いろいろな作物を育てて収入の高いものを探すといいだろう。季節にあった作物でないと育ちにくいので,種の説明をよく見てから植えよう。
本作の特殊なシステムとしては,季節の変わり目に死季があることだ。死季が訪れると作物はすべて枯れてしまうため,季節が変わる前に収穫しておかなければならない。季節の切り替わりは30日ごとで,30日目が終わると翌日は必ず死季になる。
序盤の畑作業はかなり地道な作業だが,「妖精オーダー」を達成することで畑作業を快適にするスキルが習得できる。妖精オーダーはストーリーを進めていくと開放されるのだが,作物の収穫や料理,クラフトなどがミッションの達成条件になっているため,これを目標にしながら生活するのもいいだろう。
釣りもシンプルなシステムで,ウキが沈んでバシャバシャとなったときにタイミングよく引き上げれば成功になる。釣りスポットはかなり多く,自宅前や街の中,ダンジョン内にも大量にあるので,いろんな場所で釣りをして,釣りで生計を立てていくのもアリだ。
牧畜では,「オムドリ」という鳥と,「メーチェ」という羊と鹿を足して2で割ったような生き物を飼うことができる。こちらもシンプルなシステムになっており,餌場にエサを入れておくと最初は小さかった家畜がどんどん育っていく。卵やミルクといった料理の基礎になるような食材が確保できるので,料理のレシピが集まってきた頃に施設を建てるのがよさそうだ。
また,採集した作物や食材で料理を作ることができ,食べるとプレイヤーのHPとスタミナを回復できる。あわせて,何かを食べると胃袋ゲージが上昇するのだが,胃袋ゲージを少しでも満たしておくとスタミナが自動で回復していく。スタミナは戦闘や農作業,フィールドでダッシュをすることで減少していき,何も食べずにいるとあっという間にすっからかんになってしまう。そのため,1日にできることを増やすためにも,定期的に食事をする必要があり,自然と料理がしたくなる仕組みとなっている。
続いて,戦闘について見ていこう。自身を含めて最大3人のパーティを組んで戦い,通常攻撃とスキルを駆使して敵にダメージを与えていく。本作の戦闘はアクション性が薄めでそのぶん回避が難しいため,HPは減りがちになる。また,攻撃するときにはスタミナを消費するので,HPとスタミナを回復できる料理などを用意しておくのが重要だ。
本作はジョブシステムを採用しており,3つまでジョブをセットして,それをリアルタイムに切り替えて戦う。スキルや通常攻撃はジョブごとに違い,スキルのクールタイムはそれぞれ個別でカウントされている。そのため,スキルの数が揃ってくると,スキルを使い終わったら次のジョブに切り替えてスキルを使い,また次のジョブに切り替えてスキルを使う……といったコンボができるようになり,これが基本の戦い方になる。
ボスとの戦闘では,「ブレイクゲージ」が重要になってくる。ボスのような強敵には4種類の弱点属性が設定されており,その属性で攻撃すると属性ごとにブレイクゲージが溜まっていくという仕掛けだ。このブレイクゲージが溜まりきると,相手がブレイク状態になり,与えられるダメージが増加する。
ブレイクゲージは強敵との戦闘でのみ表示され,隣接するブレイクゲージをブレイクすると「ダブルブレイク」状態になり,与えるダメージがさらに増える。また,仲間の親密度を上げると習得できる必殺技は,ダブルブレイクを発生させた際に使用できるので,強敵との戦闘ではブレイクが鍵になってくるだろう。
バトルで使用できるジョブは多く,インタフェースを見るだけで12種類あることが分かる。近接戦闘を得意とする「ファイター」や遠距離魔法攻撃を得意とする「メイジ」といった一般的なものから,科学の力を利用して体術で戦う「アサルト・サヴァン」といった風変わりなものまで用意されている。ちなみに,戦闘に関わりがあるわけではないが,ジョブを切り替えるごとに主人公の衣装や武器も切り替わる仕様になっているので,「戦士みたいな服で魔法スキルを使うのはちょっと嫌だな……」というようなことは無縁だ。
本作の主人公の成長要素として,「レベル」「ジョブスキル」「装備」の3つがある。レベルを上げるのに必要な経験値と,ジョブスキルを獲得するためのJPは敵との戦闘で得られるようになっているので,戦闘がきついと感じたら,楽なダンジョンで素材集めと並行してレベル上げをするのがいいだろう。
装備には武器と指輪があり,武器はレーテ村にある武器屋で強化でき,指輪は雑貨屋などで入手可能だ。武器の強化には素材とお金が必要になるが,ステータスを手っ取り早く上げられる。
ストーリー上のボスのほかに,ダンジョン内に配置されている強敵が「FEAR」だ。禍々しい紫色のオーラをまとっていて,周辺の敵よりも圧倒的に高いレベルが設定されている。FEARは基本的にダンジョン内の特定のルートを巡回しているので,ストーリー上では戦闘を回避できるようになっており,「避けるべき敵」という扱いだ。また,運悪く見つかってしまった場合でも,走って逃げれば振り切れるので焦らずに対応すれば問題ない。
本作のプレイフィールとしては,数多い要素のすべてがしっかりと作られているという印象だ。それでいて,プレイヤー自身に遊び方を強要させず,ストーリーに詰まったときも「いろんな抜け道」が用意されている。ストーリーよりスローライフを優先している人は,ストーリーを進めるときに高品質な料理を用意してゴリ押ししてもいいし,ダンジョンのアイテム採集ついでにレベル上げをしてから挑んでもいい。「何をしても何かにつながる」ので,アクションやRPGが苦手な人でも,遊びやすく仕上がっていると感じた。
本作のイチオシと言えるのは,生活シミュらしくない完成度のストーリーだ。美しさと暗さを含みつつ,笑いもあるストーリーは,とにかく続きが気になる。一方で,農業やレベル上げで準備をしてからストーリーを進めようとすると,「スローライフもっとやりたくなってきたな」「戦闘したいからちょっと前に戻ってFEARを倒しに行こうかな」という感じで,自由な浮気が始まってしまうのも,また楽しい。
気になる人は,ニンテンドーeショップで2話まで遊べる体験版が配信中なので,ぜひ触ってみよう。
「ハーヴェステラ」公式サイト
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