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[GDC 2023]舞台はちょっとレトロな1980年代のアメリカ。横スクロール型ストラテジー新作「Kingdom Eighties」の最新デモ版をチェック
そんな彼らの最新作である「Kingdom: Eighties」は,これまでの中世ファンタジー的なシリーズの雰囲気から大きく離れ,1980年代のアメリカを舞台にした作品となる。顔を赤く光らせたクリーチャー“グリード”の攻撃から身を守っていくという設定は同じであるものの,同じ世界と歴史を共有するのではなく,あくまで「Kingdom」シリーズのゲームプレイを軸にした,異なるゲームであるとヴァン・ダイク氏は話す。
「Kingdom: Two CrownsのDLCにするべきという声もあったけど,システム面での制約を受けないために,単体でリリースすることにした」とヴァン・ダイク氏は説明していたが,そのゲームシステムに関する大きな変更点が,マップを移動していく要素を追加していることだ。また,Two CrownsのようなCo-opモードには対応しておらず,主人公の視点での物語にフォーカスしていくとのことだ。
「Kingdom: Eighties」は,山の見える長閑な島のサマーキャンプ場で下級生の面倒を見ることになった主人公の“リーダー”が,突然のように異世界のポータルが開いて“グリード”たちが迫ってきたことから,仲間たちや下級生とともに町の方向に旅をしていくというストーリーになっている。グリードは,クラスメイトでもあるスポーツ選手“チャンプ”の自慢だったトロフィーに加えて,唯一の移動手段であるカヌーも盗み出してしまった。それを奪還してキャンプから学校のある郊外,ダウンタウン,そしてショッピングモールへと移動を続けていき,その都度,これまでのシリーズ作品と同じく資源確保や砦作りを体験していくわけだ。
主人公のリーダーは馬ではなく自転車にまたがって左右に移動し,村人ではなく下級生たちを戦士として育成していく。設定に合わせた変更点はいくつかあるものの,樹木の伐採をしたり,集めたコインをアップグレードに投資したりしていく様子は前作とほとんど変わらない。自転車の移動では疲れてしまうので,ドリンクホルダーのゲータレードを思わせる蛍光色のボトル飲料を飲むといった細かい描写もあり,ヴァン・ダイク氏が幼少期を過ごした80年代らしい味付けがあちらこちらに隠されているのが魅力だ。
ヴァン・ダイク氏は,映画「E.T.」のような雰囲気の環境で育ち,「子供の頃に映画を見た時には,自分の身の回りで起きていることかと錯覚を覚えたほど」と話し,「Kingdom: Eighties」の時代設定やキャラクターたちが,人気ドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス」と比較されることは不満に感じている様子で,「あのドラマの設定がボクの幼少期をベースにしているんですよ」と笑い飛ばす。ヴァン・ダイク氏は父の仕事の関係でハワイにも住んでいたことがあり,そこで出会った多くの日本人や日系人の影響を受けたことで,本作にはクラシカルなアニメ番組風のイントロムービーやカットシーンが散りばめられている。
ヴァン・ダイク氏の思い入れの強そうな「Kingdom: Eighties」だが,実際に自分のお爺さんが住んでいたという家をゲーム内に復元していたり,NPCたちを当時の友人やご近所の人たちに似せていたりと,非常にパーソナルな部分でこだわりを見せている。長い業界歴の中でも初めてヴァン・ダイク氏自身が脚本を書いたという本作だが,当初予定していたよりもボリュームが多く,さらにプロの脚本チームに依頼してチェックしてもらったことで,2022年末の発売予定が延期になってしまったという。
現時点では,「Kingdom: Eighties」の発売予定日がアナウンスされていないが,インタフェースとテキストは日本語対応を予定しているとのこと。ほぼ毎年に日本に来ているという日本通なヴァン・ダイク氏は,昨年に続き,今年7月に開催されるBitSummitにも参加するというから,その際にはさらに詳しい「Kingdom: Eighties」についての話題が聞けるはずだ。
「Kingdom Eighties」公式サイト
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