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「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」プレビュー。探偵・八神隆之が帰ってきた! 今度は司法の死角を突く事件に挑む
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印刷2021/09/16 22:00

プレイレポート

「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」プレビュー。探偵・八神隆之が帰ってきた! 今度は司法の死角を突く事件に挑む

 セガが2021年9月24日に発売を予定しているアクションアドベンチャー「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」PS5 / Xbox Series X / PS4 / Xbox One)。本作は,かつて弁護士だった経歴を持つ探偵・八神隆之が,司法や社会の目をくぐり抜ける犯罪を追うリーガルサスペンス「JUDGE EYES」シリーズの第2弾だ。

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「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」公式サイト


 出演する俳優陣も前作同様,豪華の一語に尽きる。八神隆之役の木村拓哉さんを筆頭に,かつて八神が所属していた法律事務所の所長・源田龍造役を中尾 彬さん,横浜の便利屋・桑名 仁役を山本耕史さん,半グレ集団「RK」を率いる相馬和樹役を玉木 宏さん,そして事件の鍵を握る警官・江原明弘役を名バイプレイヤー光石 研さんが演じる。微妙な表情の変化や仕草なども表現された,素晴らしい演技で物語を盛り上げてくれる。

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2か月前に失踪した教育実習生


 物語は横浜・伊勢佐木異人町での若い男性のむごたらしい他殺体の発見に端を発する。その数日後,主人公・八神のかつての同僚である城崎さおりが弁護を行っていた裁判にて,被告人・江原が謎めいた発言をする。

「裁判長。3日前に,横浜の廃ビルから死体が出てきたはずです。もう身元はわかりましたか?」

 江原は横浜で発見された死体の身元が,2か月前に失踪した教育実習生・御子柴 弘(みこしば ひろ)のものだと言い当てたのだった。痴漢事件の被告人として収監されていた江原が,なぜ発見されたばかりの死体の身元を知っていたのだろうか?

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 一方,八神は相棒の海藤とともに,伊勢佐木異人町に赴いていた。かつての事件で知り合い,今は横浜で探偵業を営む杉浦と九十九の仕事を手伝うために。

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 その仕事とは,私立誠稜高校でのイジメ調査だった。理事長の奥田によれば,同校では4年前に生徒の自殺が起きており,イジメがあったのではないかと噂されたという。また,その不穏な空気を裏付けるかのように,2か月前には教育実習生が突然,失踪したらしい。
 調査の途中,変質者に疑われてしまうといったアクシデントはあったものの,なんとか切り抜け,八神は実際に起きていたイジメを解決する。

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 そんな八神のスマホに,さおりから仕事の依頼が舞い込んでくる。そして彼女と話すうちに,八神は意外な事実を知る。なんと2か月前に失踪した誠稜高校の教育実習生こそが,死体となって発見された御子柴,その人だったのだ。

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 都内で起きた現職警官による痴漢と,4年前に横浜の誠稜高校で起きたイジメ。まったく無関係に見えた2つの事件は,御子柴の死によって1つにつながろうとしていた。
 探偵・八神隆之は神室町と伊勢佐木異人町,2つの街を股にかけて事件の真相を探りはじめる……。


さまざまな事件に「探偵」として関わっていく楽しさ


 本シリーズは主人公が探偵ということで,さまざまな手段で事件を調査し,解決を目指して行動する気分を味わえるのが大きな特徴だ。前作をプレイしていない人のためにも,どんなことができるのかを紹介しよう。

 調査中には,探偵としての観察力が問われる「アクティブサーチ」というモードが随所で発生する。
 虫メガネ型のカーソルを動かし「注視」することで,事件の手がかりや証拠を見つけたり,先へ進むためのルートを探したりする。いわゆるポイント&クリック型のアドベンチャーのような感覚で,現場をくまなく調べていく。

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 調査対象に気づかれずに情報を集めるため,「スティール」と呼ばれる潜入場面もある。
 スティール中はコインを使って警備の注意を引いたり,コショウ入りのボールを使って目潰しをしたりして,無用なバトルを避けつつ核心へと迫っていく。もちろん,見つかるとゲームオーバーになってしまうので,なかなかスリルがある。

見つかれば,もちろんこうなる
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 また,建物に忍び込む際には「アスレチックアクション」が必要なことも。正面からの侵入が難しい建物も,裏手や高所などの意外なところから侵入できる場合があり,逆に建物から脱出するシチュエーションで役立つこともある。
 エアコンの室外機のように足場になるものを発見できれば,アスレチックアクションが可能だ。八神の握力を示す「グリップゲージ」に注意しつつ,素早くパイプやダクトなどを伝っていこう。

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 逃亡する人物を追跡する「チェイス」では,画面に表示されるスティックやボタンを入力し,相手を追い詰めていく。
 チェイスは自分か相手,どちらかの体力が尽きるまで続行される。基本的には路上に落ちている回復アイテムを拾えば事足りるが,それでも足りない場合は,自前の回復アイテムを使おう。

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 これらのアクションでも探偵らしさは十分に味わえるが,さらに気分を盛り上げてくれるものがある。それは,さまざまな探偵ガジェットだ。
 たとえばカメラを使う「スクープミッション」では,証拠となる条件を備えた写真を撮ることが目的。カメラのズームやピント調整を駆使して,決定的な瞬間を捉えよう。

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 このほかにも,隠された盗聴器などを発見できる「電波探知機」,人には聞こえにくい音を拾って情報を得る「集音器」,事件の現場を“嗅ぎあてる”「探偵犬」などが登場する。
 その場の状況に応じたガジェットを的確に選び,スムーズに調査を進められるようになれば,探偵・八神との一体感もより高まるだろう。

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 本作では,冒頭でお伝えしたメインの事件を追うだけでなく,「サイドケース」と呼ばれるさまざまな依頼の解決を目指すことも。八神や九十九の事務所に調査の依頼が届くので,気が向いたら取り組んでみよう。

サイドケースにおける関係者の詳細や事件の経緯はファイルにまとめられていく
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 サイドケースは事務所に寄せられる依頼だけでなく,街を歩いているときに偶然遭遇することもある。また,九十九が開発した「バズリサーチャー」を使って,SNSの発言や位置情報から,今まさに起きようとしている事件を探すことだってできる。誰にも依頼されていない事件に,自ら勝手に首をつっこんでいけるというわけだ。

 このとき役に立つのが,上で紹介したガジェット群だ。調査中に役立ってくれるだけでなく,サイドケースの「発端」を見つけるのにも重宝する。

バズリサーチャーを活用するには,街の噂話に耳を傾け,検索用のワードを集めることも大切。すべてがSNSだけで完結するわけではない
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 物語が進み,八神が誠稜高校で外部指導員を務めることになると,生徒たちとの交流や,そこに関係する事件を描く「ユースドラマ」も楽しめる。基本的に単発の出来事として完結するサイドケースとは趣が異なり,複数のユースドラマを進行させることで,1つの大きな物語が進行する構成になっている。

ユースドラマ編の相棒はミステリ研究会の部長・天沢が担当
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雰囲気は本編よりソフト。若者を導く八神の姿が描かれる
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 また,ユースドラマの進め方に応じて八神の「指導力」が変化し,さまざまな生徒のコミュニティを発見できるようになる。もちろん,コミュニティを発見すれば新たな出会いがあり,また別のユースドラマの発端ともなるわけだ。
 龍が如くスタジオの作品としてはかなり異色な,学校生活をバックグラウンドにしたエピソード群は,本作でしか楽しめない独自の要素と言えるだろう。

ダンス部の指導では,音楽ゲームの要領でダンスゲームを行うことに
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バトルスタイルは切り替えてよし,貫き通すもよし


 本作のバトルはアナログスティックでキャラクターを移動して,各ボタンで攻撃や防御を行う,ごく普通の形式だ。前作「JUDGE EYES」や龍が如くシリーズをプレイした人であれば,スムーズに遊べるだろう。
 ここで特筆すべきポイントは,3つのスタイルを切り替えながら戦えること。前作では「円舞」「一閃」という2つのスタイルだったが,そこに新スタイル「流」(ながれ)が加わった。

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 円舞のスタイルは,円の動きで周囲の相手を巻き込むように攻撃するため,集団を相手にする際に有効だ。また,相手の攻撃をスウェイでかわすのも得意で,ガードと同時にスウェイを入力するとジャンプして攻撃を回避し,そこから強力な反撃を行うこともできる。

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 一方,一閃は1対1の戦いに向いている。「スキル」を修得することで,どんな局面でもバランスよく戦えるようになるので,迷ったときは一閃を伸ばしていくといい。
 フィニッシュブロウの長押し(チャージ攻撃)で相手のガードを崩しやすく,とくに守りの堅いボス戦で活用できる。

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 そして新たに加わった流は,敵の攻撃を受け流すことが得意なスタイルだ。敵の攻撃が当たる直前にガードを入力すると,全方位からの攻撃を受け流せるうえ,その後に反撃のチャンスが生まれる。「ディスアーム」で敵の武器を奪うことも可能だ。

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 戦い続けていると次第に溜まっていく「EXゲージ」。これを消費する「EXアクション」は,武器を拾ったときや,壁際にいるときなど,発動条件を満たした場面に使用できる強力な技だ。かなりの威力があるので,強敵と戦うときには積極的に狙っていきたいところ。

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 また,EXゲージは「EXブースト」にも使用できる。EXブーストを発動すると,八神の動きが速くなるうえ,攻撃を受けてもひるみにくくなり,お手軽な専用コンボが使用可能。不利な状況を打開する切り札となる存在だ。

ボス戦などで苦戦した場合は,EXゲージをいかに使うかを考えよう。きっと打開策が見えてくるはずだ
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 これらは前作をプレイした人にはおなじみのシステム群だが,アクションゲームが得意ではない人には少々難しく思えるかもしれない。だが,心配は御無用。戦闘後に獲得できるSpを使い,スキルを習得すれば,八神の戦闘能力は見違えるほどアップしていく。本作にはアクションRPG的な一面もあるのだ。

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 シンプルに攻撃力や体力といったパラメータを上げてもいいし,「ジャストガードで相手の体勢を崩す」「相手の投げた武器を投げ返す」「ダウンしそうになったときに体勢を立て直して即反撃」といった便利な技を習得して,対処できる状況を増やしていくのも面白い。
 とくにボス戦はスキルを習得していなければ,苦戦は必至。ストーリーに夢中になっていると思わず忘れがちだが,頃合いを見てしっかりと習得しておこう。

バトル中にさまざまな条件を達成すると,Spを多くもらえる。スキルを習得するためにも意識したい
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3章に登場する横浜の便利屋・桑名は強敵だ。初心者にとって最初の壁となるだろう
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細部に散りばめられた“遊び”


 本作の目的は探偵として調査活動を行い,事件の真相を明らかにすること。だが,メインの事件やサイドケース,ユースドラマとも関係のない“遊び”も見逃せない要素だ。
 バッティングセンター,将棋,ゲームセンター,VRサロン,ドローンレースといった老若男女が楽しめるものから,麻雀や賭場,カジノといった“大人の遊び”まで,伊勢佐木異人町にはさまざまな遊びが散りばめられている。

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古(いにしえ)のゲーム機,マスターシステムのゲームまでも遊べる
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 主な舞台となる伊勢佐木異人町は,龍が如くスタジオが手がけた「龍が如く7 光と闇の行方」の舞台でもある。同作の主人公・春日一番が捨てられていた公園,中華系マフィア・横浜流氓が巣食う路地,BARサバイバー,ハローワークみさき,一番製菓といった,足繁く通った場所を訪れるのもオツなものだろう。
 もちろん,馴染みの神室町にも,いろいろな遊びや出会いが八神を待っている。

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 前作のプレイヤーはご存じだと思うが,最後に主人公・八神という人物についてお伝えしたい。八神を演じるのは,強烈な個性を放つ木村拓哉さんだ。ただ,その個性に決して引けを取らない,確固としたキャラクターとして描かれている。

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 彼は決して「伝説の極道」のような傑物ではない。優秀で腕っぷしも強いが,等身大の人間であり,苦境に立たされることもある。かつて松田優作やジャッキー・チェンが演じたキャラクターをどこか彷彿とさせるような,弱さや未熟さ,人間くささを内包するヒーローなのである。

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 物語はメジャーで明快なミステリー&サスペンスドラマとしてまとめられているが,随所にフィルムノワール的な暗黒の香り,ハードボイルドな味わいも漂う。幅広い層のプレイヤーを意識しつつ,大人もしっかり楽しませるドラマに仕上がっている。

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 八神は今回も「藪をつついては蛇を出し,気がついたら泥沼に腰まで浸かっていた」という活躍ぶり(?)を見せてくれる。こうした探偵像にそそられる人は,ぜひ本作をプレイしてほしい。その期待はきっと裏切られない。

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