プレイレポート
「THE HOUSE OF THE DEAD: Remake」レポート。各所に粗さはあるが,原作の魅力は確かに感じられる
「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」シリーズは長らくアーケードで人気だったため,いくつもの派生作品が誕生しているシリーズでもある。「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド2」をベースにしたタイピングゲーム「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」シリーズでブラインドタッチを練習したり,「ゾンビ式英語力蘇生術 イングリッシュ・オブ・ザ・デッド」で英単語を覚えたりしたという人も少なくないはず。
いきなり話が脱線してしまったが,本作はそんな関連作品群の初代作品のリメイクである。その内容は,ゾンビのようなクリーチャーがひしめく洋館に乗り込み,敵を倒しながら先に進んでいくというものだ。“迫りくるゾンビを撃って倒す”というコンセプトは,同時期にヒットしていた「バイオハザード」の影響も大きいと思われるが,当時のガンシューティングの中では異色のテーマだった。
ガンシューティングゲームは,筐体に備え付けられた銃型のコントローラを使い,画面に表示されるターゲットを狙い撃って遊ぶゲームのことだ。FPSやTPSのような移動操作は存在せず,テーマパークにあるライドのような感覚で,あらかじめ決められたルートに沿ってゲームが進行する。そのため「敵を見つけて撃つ」「敵の攻撃を撃ち落とす」ことにだけ集中してプレイできるのだ。
本作の主人公・ローガンが持つハンドガンの装弾数はたったの6発。リロードは無限にできるものの,この銃だけを頼りに,並み居るタフなクリーチャーたちを倒していくのは,正確な照準と連射力の両方を問われることとなり,なかなかに大変だ。
攻略のカギは,何度もプレイして敵の登場タイミングを熟知し,あらかじめ出現位置に照準を置いておく,いわゆる“置きエイム”を駆使することだ。弾切れはもちろん,間の悪いリロードもダメージを受ける要因となりがちなので,リロードするタイミングも重要となる。
本作はガンシューティングというジャンルの中でも,かなり歯ごたえのある作品だ。リメイク版も敵の登場位置やタイミングは,オリジナル版に準じたものになっており,あのシビアなプレイ感を再び味わえる。
プレイのアクセントとなる要素もいろいろと用意されている。
銃撃でエレベーターのボタンを押したり,橋をかけるスイッチを操作したりして,進行するルートを変えられる「ルート分岐システム」もそのひとつだ。プレイごとにルートを変えて,コンプリートしていくのも楽しい。
敵を倒すだけでなく,逃げ遅れた人々を助けることも重要な目的のひとつだ。館の各所にいる研究員は,敵を素早く倒すことで救出することが可能。研究員を助けるとライフが回復したり,別ルートに進めたりするなどの恩恵を受けられる。
繰り返しプレイすることで腕を磨き,全員を救出できれば,大きな達成感を味わえるだろう。
シンプルな遊びだからこそすぐに熱中でき,繰り返しプレイして上達していく楽しみも味わいやすい。そうしたオリジナルの根本的な魅力は,リメイク版にもしっかりと受け継がれている。
リメイク版で遊べるJoy-Conを使ったジャイロ操作。遊ぶ場合は設定に注意!
リメイク版は,Nintendo Switch付属のJoy-Conや,Nintendo Switch Proコントローラーのジャイロを使ったプレイにも対応している。その感触が気になっている人も多いはずだ。
結論から書いてしまうと,ジャイロ操作でもガン型のコントローラに近いプレイフィールを味わうことは可能だ。ただ,そのためには,プレイヤー自身がプレイ環境に合わせて細かく設定をする必要がある。
どうやら本作のジャイロ操作の初期設定は難があるようで,プレイしているうちに照準がどんどんズレてくる。一度そうなると,ジャイロをいくらリセットしてもプレイの続行が困難になってしまう。
念のため,初期型のNintendo Switchに付属していたJoy-Con,有機ELモデルに付属していたJoy-Con,Nintendo Switch Proコントローラーという3種類を使って試してみたものの,どれも同じような傾向で照準がズレてしまったので,コントローラ側の問題ではなさそうだ。
この問題は,ゲーム内のオプションで設定を変えると改善が見られた。まず,「ジャイロスコープのデッドゾーン」の数値を大きめ,またはゼロに設定する。こうすると照準がズレる頻度はかなり少なくなるはずだ。
次に,「X軸ジャイロ感度」「Y軸ジャイロ感度」を,調整するのだが,これはモニターとプレイヤーの距離によって最適な数値が変わるため,プレイと調整を繰り返し,最適な数値を見つけだす必要があった。この調整を行わないと手元の動きと照準の移動量が見合わないものになり,気持ちよく狙えないので,見直しは必須と言っていいだろう。
そもそも画面が発する光をセンサーで受け,当たり外れを判定しているガン型のコントローラ(ライトガン)と,コントローラの傾きや回転によってポインターを動かすジャイロスコープは,まったく別の仕組みで動作しており,完全に同じ操作感を再現することは難しい。
とはいえ,照準を合わせるためのメニューや,試し撃ちのモードをゲーム側で用意してほしかったところだ。
また,本作の日本国内版は,パッケージ版が発売されることも関係してか,CERO:Dのレーティングに合わせた映像表現に変更されている。そのためオリジナル版の大きな特徴であり,ゲーム性にも深く関わる部位破壊が「黄色く変色したテクスチャの張り替え」に変更されている。
部位が黄色く変色した状態は,内部的には破壊後として処理されているため,変色した頭や腕に弾をいくら撃ってもダメージが通らないので,注意が必要だ。
この辺りはかつてオリジナル版をプレイした事がある人ならすぐに察知して対処できるかもしれないが,リメイク版で始めて「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」に触れる人には,わかりにくい表現であるのは否めない。
レーティングに関連して,もうひとつ大きな変更点がある。日本のバージョンでは研究員に対して発砲できないため,「研究員を誤射するとライフを失う」要素までオミットされているのだ。
これに関しては,Twitterの公式アカウントでも,CERO「D」のレーティングに合わせるために暴力を抑える必要があったと説明されている。
日本向け「ザ・ハウス・オフ・ザ・デッド:リメイク」のお知らせをお届けします。
— THE HOUSE OF THE DEAD: Remake (@HOTDRemake) April 5, 2022
本作のCERO レーティングは「D」になりますので、暴力を抑える必要があり、日本のバージョンでは研究者を殺せなくなりました。
それでもゲームを楽しみましょうね!
この辺りの変更点は,仕方がない側面もあるとはいえ,ゲームプレイにもろに影響が出ているのは,問題と言わざるを得ない。例えば,破壊済みの部位は半透明にし,弾を貫通させることでダメージがないことを伝える,研究員の誤射は映像をマイルドにして対応するなど,もっと適切な調整方法を探ってほしかったというのが,正直なところだ。
……と,いろいろと気になる点あるが,「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」というガンシューティングはやはり面白い。より納得のいくプレイ内容を追求して,もう1回,あと1回とあとを引くように遊んでしまうような魅力がある。
そんな「狙い撃つ楽しさ」「上達する楽しさ」が,今後アップデートによって楽しみやすい形になることを期待しつつ,本稿を締めくくらせていただく。
「THE HOUSE OF THE DEAD: Remake」公式サイト
- 関連タイトル:
ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド:リメイク
- この記事のURL:
キーワード
(C)SEGA. The House of the Dead is either registered trademark or trademark of SEGA Holding Co., Ltd. or its affiliates. Visual and sound is under development and may differ from final product.