「THE DARK PICTURES」シリーズの最新作「HOUSE OF ASHES」の舞台は2003年のイラク。詳しい世界観が語られたキーノートまとめ

　2021年内に，バンダイナムコエンターテインメントからリリース予定の「THE DARK PICTURES: HOUSE OF ASHES」（PC/PS5/Xbox Sreies X/PS4/Xbox One）。本作はホラーアドベンチャー「THE DARK PICTURES」シリーズの第3弾だ。


　今回，本作の開発を手がけるSupermassive Gamesのゲームディレクター・Will Doyle氏によるオンラインキーノートがメディア向けに公開された。本稿では，その内容をまとめてお伝えしよう。

Supermassive Games Will Doyle氏

　「HOUSE OF ASHES」の舞台となるのは，イラク戦争が終結した2003年のイラクだ。ゲーム内のミッション「大量破壊兵器を求めて」では，アメリカの特殊部隊と空軍，CIAによって結成されたチームが，衛星で捉えた地下の化学兵器庫を発掘するため，現地に送られる。
　現場に到着したチームはイラク軍の残存部隊と戦闘になるが，その最中，突如地震が発生し，両軍とも地下に落下してしまう。そこで彼らは，古代アッカド王朝時代の広大な地下神殿を発見する。しかし，数千年もの時を経て発見されたその神殿は，血に飢えた“何か”の巣窟となっていたのだ。


　ゲームの中心となる神殿は，紀元前2250年ごろにメソポタミアのアッカド帝国にて神王を自称していたナラム・シンという人物の伝説にちなんだものとなっている。あるときナラム・シンは，地と風と嵐の神・エンリルの神殿を略奪。それに対して怒った神々は，呪いとしてアッカド帝国に戦争，飢餓，疫病をもたらした。
　ナラム・シンは呪いを解こうと捧げ物として巨大な神殿を建設したのだが，神々はそれを受け入れずアッカド帝国は滅亡，そして神殿は砂漠の中に埋もれてしまった。



　本作のプレイアブルキャラクターたちは地下に閉じ込められ，地上のイラク軍残存部隊と地下の“何か”という2つの異なる脅威を相手にすることになる。生き残るためには，イラク軍残存部隊と協力することが必須だ。そんな状況の中で，プレイヤーは神殿の謎を解き明かしていく。

　プレイアブルキャラクターは，CIAオフィサーのレイチェル・キングと彼女の夫であるエリック・キング大佐，海兵隊員のジェイソン・コルチェクとニック・ケイ，そしてイラク軍将校のサリム・オスマンの5人だ。とくにオスマンは，神殿の陰に潜む極めて恐ろしいものに遭遇することになるという。


　「THE DARK PICTURES」シリーズはさまざまなコンテンツにインスパイアされており，「HOUSE OF ASHES」は「エイリアン」や「プレデター」「ディセント」といった映画に影響を受けているという。さらに，H.P.ラブクラフトの小説からも影響を受けており，特に「狂気の山脈にて」から受けたインスピレーションが大きいそうだ。


　Doyle氏は「HOUSE OF ASHES」の核心を“探険ホラー”と表現し，「バックアップを一切受けられない遠隔地で重要なミッションに取り組む専門家グループが，人智を超えた脅威に直面する」と説明する。また本作は，「忠義心」「義務」「信頼」についての物語でもあると語られた。

　圧倒的に不利な状況に置かれたとき，キャラクターたちは自分の身を守るのか，個人的な対立や偏見を捨てて協力して生き残るかを決めなければならない。その過程では，「全員が生き延びるために，どのようなリスクを取るか」「大混乱に陥ったとき思いやりの心を忘れずにいられるか，それとも自分の大切な人だけを守れれば良いのか」といった，実に難しいジレンマに直面するという。


　「HOUSE OF ASHES」に登場するクリーチャーは，「THE DARK PICTURES」シリーズの中でもっとも複雑なものに仕上がっているとのこと。その動きはハンドアニメーションとモーションキャプチャを駆使して作られており，非常に脅威的で危険な存在に仕上がっているという。

　神殿内は往々にして狭苦しく閉じた場所だが，定期的に広い空間に出ることもある。こうした広い空間は，プレイヤー自身がちっぽけで脆弱な存在であることを感じさせるために用意しているそうだ。
　その一方で，何千年もの間，人の手が加えられていない荘厳かつ神秘的な場所を自分の目で解明したくなるという人間の心理を刺激する意図もあるとのことだ。


　ゲームの仕組みや基本的な操作は，「THE DARK PICTURES」シリーズをプレイした人であればすぐに理解できるほか，今回は操作性に多くの改良が加えられ，カメラはプレイヤーが360度操作できるようになった。
　また新たに懐中電灯が使えるようになり，暗闇の中でも新たな道などを発見できるようになったが，移動速度が落ちるというデメリットもあるそうだ。
　加えて，難度も3段階用意されており，QTEにも設定可能，プレイヤー自身のスキルセットに合わせてスピードを調整できるという。さらにコンシューマ版のうち，PS5とXbox Sreies X版は，PS4版やXbox One版よりもグラフィックスが全体的に向上している。


　ゲームのメインモードは，前2作と同様に4つ。マルチプレイは，最大2人でオンラインを介してプレイできる「シェアストーリーモード」と，1つのコントローラを共有して最大5人でプレイする「ムービーナイトモード」だ。
　シングルプレイは，通常プレイの「シアトリカルカットモード」に加え，予約特典の「キュレーターズカットモード」が用意される。キュレーターズカットはさまざまなプレイアブルキャラクターの視点から物語を体験可能で，シアトリカルカットでは見られないシーンものぞける。


　Doyle氏は，「THE DARK PICTURES」シリーズは常にプレイヤーを怖がらせたり，驚かせたり，チャレンジさせたりするべく新たな手法を模索しているという。もちろん「HOUSE OF ASHES」でもそうした手法を実現しており，シリーズを初めてプレイする人にも適した仕上がりになっていると語った。ホラーゲームファンは「HOUSE OF ASHES」がどんな新たな恐怖を見せてくれるのかに期待しよう。

「THE DARK PICTURES」シリーズ公式サイト