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レビュー
GeForce RTX 3060はミドルクラスの新定番になれるか?
ZOTAC GAMING GeForce 3060 Twin Edge OC
北米時間2021年1月12日に,NVIDIAはミドルクラス向け新型GPU「GeForce RTX 3060」(以下,RTX 3060)を発表した。そのRTX 3060搭載カードの販売が2月26日に始まる。
RTX 3060は,既存のGeForce RTX 30シリーズと同様にAmpereアーキテクチャにもとづくGPUで,モデルナンバーからも分かるとおり,「GeForce RTX 3060 Ti」(以下,RTX 3060 Ti)の下位に置かれるモデルだ。
NVIDIAによる搭載グラフィックスカードの想定売価は4万9980円からで,値ごろ感の高いRTX 30シリーズとして注目が集まっている。それに加えて,マイニングブームの再熱でPCパーツショップ店頭からグラフィックスカードが姿を消す状況で,このRTX 3060に発売により,入手性の改善されることに期待を寄せているユーザーも多いのではないだろうか。
4Gamerでは,このRTX 3060を採用したZOTAC Technology製のグラフィックスカード「ZOTAC GAMING GeForce 3060 Twin Edge OC」(以下,ZOTAC 3060 Twin Edge)をテストする機会を得た。
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本製品を用いて,RTX 3060がゲーマーの期待に応えるGPUなのかどうか,テストにより明らかにしてみたい。
ZOTACのZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC製品情報ページ
新開発のGA106コアを採用
12GBのグラフィックスメモリ容量に注目
まずは,RTX 3060がどのようなGPUなのか紹介しておこう(関連記事)。
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このGA106コアは,“ミニGPU”的な存在である「Graphics
上位モデルであるRTX 3060 Tiの「GA104」コアや,「GeForce RTX 3080」など「GA102」コアは,12基のSMを束ねて1基のGPCとしていたので,GA106ではその構成を変えてきたわけだ。ただ,1基のSMが,128基のCUDA CoreとWarpスケジューラ,命令発行ユニット,加えてロード/ストアユニットやL1キャッシュ,テクスチャユニット,そしてレイトレーシングにおける光線の生成と衝突判定を行う「RT Core」を1基と,行列同士の積和算に特化した「Tensor Core」を8基統合する仕様なのはAmpere世代で共通であり,GA106でも変わらない。
そのため,GA106のフルスペックでは,30基のSMを持ち,128×10×3で3840基のCUDA Coreを搭載できるわけだ。
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RTX 3060では,歩留まりを向上させるために,GA106のフルスペックから2基分のSMが無効化されている。それゆえ,RTX 3060におけるCUDA Coreの総数は,128×28で3584基となる。
搭載するRT Coreが第2世代へと進化している点は,ほかのRTX 30シリーズと同様だ。NVIDIAの説明によると,RTX 3060におけるRT Coreのスループットは24.9 RT-TFLOPSとのことで,これは32 RT-TFLOPSだったRTX 3060 Tiの約78%,19.5 RT-FLOPSだったRTX 2060の約1.28倍にあたる。また,Tensor Coreも第3世代となり,スループットは102 Tensor-TFLOPSとなる。これは,51.6 Tensor-TFLOPSだったRTX 2060の2倍近い性能だ。
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グラフィックスメモリはGDDR6で,メモリインタフェースは192bitと,RTX 3060 Tiや「GeForce RTX 2060 SUPER」(以下,RTX 2060 SUPER)などの256bitよりは狭くなっている。一方で,メモリクロックは15GHz相当と,RTX 3060 Tiなどの14GHz相当よりも引き上げられており,メモリバス帯域幅は360GB/sと,RTX 3060 Tiなどの448GB/sと比べると80%程度となる。このあたりは,NVIDIAがRTX 3060のターゲットとして,フルHDの60fpsで新作ゲームをプレイすることを想定しているためだろう。
他方で,グラフィックスメモリ容量は12GBと,RTX 3060 TiはおろかGeForce RTX 3080の10GBを超える容量を搭載する。高精細な描画オプションやレイトレーシングなどに対応するためだろうが,12GBというグラフィックスメモリ容量に食指が動く人も少なくないのではなかろうか。
そのほかの特徴も見ておくと,PCI Express(以下,PCIe) 4.0に対応しており,システム全体の遅延を抑える「NVIDIA Reflex」をサポートする点は上位モデルと同じだ。また,CPUからグラフィックスメモリへのフルアクセスを可能にする「Resizable BAR」に対応している点も,トピックとして挙げられよう。
そんなRTX 3060の主なスペックを,RTX 3060 TiとRTX 2070 SUPER,それにRTX 2060 SUPERとともにまとめたものが表1となる。
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カード長は約227mmと比較的短め
補助電源コネクタは8ピンが1基のみ
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本製品のカード長は,実測で約227mm(※突起部除く)で,GeForce
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カード後方に74mmほどはみ出た格好のGPUクーラーは,2スロット占有タイプで90mm径相当のファンを2基搭載する。GPUコアへの負荷が低い,いわゆるアイドル時にファンの回転を停止する機能も備えていた。
GPUクーラーの隙間からのぞき込むと,GPU直上のベースプレートはメモリチップにも接しており,そこから6mm径のヒートパイプが4本,放熱フィンへと延びる構造だ。また,電源部は5+1フェーズ構成のようで,ミドルクラス市場向け相応の回路規模と言える。
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PCIe補助電源コネクタは,一般的な8ピンを1基備える。映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4a×3とHDMI 2.1 Type A×1という構成で,このあたりはRTX 3060 Ti Founders Editionとまったく同じだ。
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リファレンスクロックでテスト実施
ドライバには461.64を利用
それでは,テスト環境の構築に移ろう。
今回,比較対象として,上位モデルとなるRTX 3060 Tiのほかに,前世代からRTX 2070 SUPERとRTX 2060 SUPERを用意した。上位モデルとの差を明らかにしつつ,前世代のGPUを含めた立ち位置を確認しようというわけだ。なお,ZOTAC 3060 Twin Edgeはクロックアップモデルであるため,MSIのオーバークロックツール「Afterbuner」(Version 4.6.2)を用いて,ブーストクロックを30MHz下げてリファレンスクロックに合わせたうえでテストを行っている。
また,RTX 3060はPCIe 4.0に対応しているので,CPUには「Ryzen 9 5950X」を,マザーボードにはAMD X570チップセットを採用したMSI製「MEG X570 ACE」を用意した。その一方で,マザーボードによって対応の可否が分かれるResizable BARについては,マザーボードのUEFIで無効にしたままテストを実施している。
なお,使用したグラフィックスドライバは「GeForce 461.64 Driver」で,これは全世界のレビュワー向けに配布されたテストドライバだ。そのほかのテスト環境は表2にまとめておいた。
CPU | Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz, |
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マザーボード | MSI MEG X570 ACE(AMD X570, |
メインメモリ | G.Skill F4-3200C16D-16GIS |
グラフィックスカード | ZOTAC Technology ZOTAC GAMING GeForce (GeForce RTX 3060, |
GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition (グラフィックスメモリ容量8GB) |
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GeForce RTX 2070 SUPER Founders Edition (グラフィックスメモリ容量8GB) |
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GeForce RTX 2060 SUPER Founders Edition (グラフィックスメモリ容量6GB) |
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ストレージ | Samsung Electronics SSD 850 |
電源ユニット | SilverStone Technology |
OS | 64bit版Windows 10 Pro(Build 19042.804) |
チップセットドライバ | AMD Chipset Drivers 2.13 |
グラフィックスドライバ | GeForce 461.64 Driver |
テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション23.2に準拠している。前述したように,NVIDIAはRTX 3060をレイトレーシングやアンチエイリアシング&超解像技術「DLSS」を適用した1920×1080ドット環境でのゲームプレイを想定しているため,解像度は1920×1080ドットに,3840×2160ドットと2560×1440ドットを加えた3パターンとした。
そのうえで今回は,リアルタイムレイトレーシングやDLSSの性能を確かめるため,「3DMark」(Version 2.17.7137)において,「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」,「NVIDIA DLSS feature test」を追加した。NVIDIA DLSS feature testにおいては「DLSS2」を選択し,品質モードは「Quality」に設定している。
さらに,「Fortnite」に関しては,グラフィックスAPIをDirectX 12に変更したうえで,DLSSとレイトレーシングを有効にして,レイトレーシングの設定に関しては負荷が最大となるように変更したテストも行った。なお,テスト方法自体はレギュレーションと同じだ。
RTX 3060 Tiの70%強のパフォーマンス
ゲームではRTX 2060 SUPERを1割弱上回る
いつものように3DMarkの結果から順に見ていこう。
グラフ1は,DirectX 11世代の「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものとなる。
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RTX 3060のスコアは,RTX 3060 Tiの69〜74%程度といったところ。RTX 3060のCUDA Core数がRTX 3060 Tiの74%程度であることを考えると,CUDA Core数の差よりも開きは若干大きい。これは,メモリバス帯域幅やL2キャッシュ容量,動作クロックの差も影響しているためだろう。
ただ,RTX 2070 SUPERに届かないにしても,RTX 2060 SUPERの後塵を拝してしまった点は意外だった。その差は5〜6%程度だが,ドライバ側の最適化が足りていないのかもしれない。
続いてグラフ2は,Fire Strikeから「Graphics test」の結果を抜き出したものになる。
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ここでも,RTX 3060はRTX 3060 Tiの68〜73%程度と,総合スコアを踏襲した形となった。また,RTX 3060がRTX 2060 SUPERに4〜5%程度届かない点も,総合スコアと変わらない。
同じくFire Strikeから,ソフトウェアベースで「Bullet Physics」を実行する事実上のCPUテスト「Physics test」の結果を抜き出したものがグラフ3となる。CPUが共通なので,スコアはおおむね3万7000程度で横並びとなっている。
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GPUとCPU両方の性能がスコアに影響する「Combined test」の結果がグラフ4だ。
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RTX 3060とRTX 3060 Tiとの差は,44〜49%程度にまで広がった。RTX 2060 SUPERとの差も6〜10%程度まで開いており,RTX 3060のスコアが奮わない印象だ。RTX 3060だけ,何か余計な負荷がCPUにかかっているのだろうか。
続いて,3DMarkのDirectX 12のテストである「Time Spy」の総合スコアをまとめたものがグラフ5となる。
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Time Spyでも,RTX 3060のスコアはRTX 3060 Tiの72〜76%程度と,Fire Strikeと似た傾向だ。その一方,RTX 3060がRTX 2060 SUPERに届いていないのはTime Spyから変わらずだが,その差を1〜2%程度まで縮めている点は評価できる。
次なるグラフ6は,Time SpyからGPU testの結果を抜き出したものになるが,ここでも総合スコアを踏襲するスコア傾向が出ている。具体的には,RTX 3060はRTX 3060 Tiの70〜73%程度で,RTX 2060 SUPERには1〜2%程度の差が付いている。
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Time SpyにおけるCPU testの結果がグラフ7だ。ここではFire Strikeと同様に,CPUが同じなのでスコアもほぼ横並びとなった。
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リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果がグラフ8だ。
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ここでも,RTX 3060はRTX 3060 Tiの約71%と,Fire StrikeやTime Spyと同じ傾向だ。ただ,注目したいのはRTX 2060 SUPERとの優劣で,第2世代RT Coreを擁するRTX 3060でも,第1世代RT CoreのRTX 2060 SUPERに約2%の差を付けられた。Port Royalでは,RT Coreの世代差があまり結果に表れていない。
逆に,Port Royalでの優劣とまったく異なる結果となったのが,グラフ9のDirectX Raytracing feature testだ。
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RTX 3060のスコアがRTX 3060 Tiの約70%であるのは,Port Royalなどと同じ傾向なのだが,RTX 2060 SUPER比では逆転を果たし,RTX 2070 SUPERさえも上回っている,第2世代RT Coreが真価を発揮した結果と言えよう。
続いて,DLSSの性能を見るNVIDIA DLSS feature testの結果がグラフ10となる。
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DLSS on時におけるRTX 3060のスコアは,RTX 3060 Tiの72〜73%程度で,これまでのテストと傾向は変わらない。また,ここでもRTX 3060は,RTX 2060 SUPERに迫ってはいるものの,若干だが届いていない。さらに,DLSS有効時におけるフレームレートの伸びは,1920×1080ドットはおおむね66〜68%程度で揃っており,2560×1440ドットは69〜71%程度,3840×2160ドットは85〜88%程度となっている。GPU自体はおろかTensor Coreの世代の差もあまり見えてこない。
3DMarkの結果を踏まえたうえで,実際のゲームだとどうなるか。グラフ11〜13は「バイオハザード RE:3」のテスト結果となる。
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ここでは,平均フレームレートでRTX 3060はRTX 3060 Tiの73〜76%程度と,3DMarkより差を若干詰めた印象だ。RTX 2060 SUPER比になると,RTX 3060は逆転を果たし,5〜6%程度の差を付けている。さすがにRTX 2070 SUPERには敵わないものの,最小スコアとなる99パーセンタイルフレームレートでも,RTX 3060はRTX 2060 SUPERを安定して上回っており,新世代の貫禄を見せつけた格好だ。
「Call of Duty: Warzone」(※グラフ内ではCoD Warzone)のテスト結果がグラフ14〜16だが,バイオハザード RE:3と似た傾向が見られた。
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RTX 3060の立ち位置は,平均フレームレートでRTX 3060 Tiの73〜76%程度と,バイオハザード RE:3とほぼ同じだ。一方,RTX 2060 SUPERには5〜8%程度の差を付け,99パーセンタイルフレームレートでもしっかりと上回っているので,ゲームにおける性能はRTX 3060が優位と言ってよさそうだ。
それは,「Fortnite」の結果を見ても確信できる。まず,グラフ17〜19はレギュレーションどおりのテストを行った結果だ
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平均フレームレートにおいて,RTX 3060は,RTX 3060 Ti比で70〜75%程度の位置付けとなっている。さすがに3840×2160ドットは荷が重いが,2560×1440ドットであれば常時60fps以上のフレームレートを発揮しており,1920×1080ドットなら最小フレームレートでも100fpsに達している点は評価できる。
また,RTX 3060がRTX 2060 SUPERを安定して上回っている点も好印象だ。
続いてグラフ20〜22は,グラフィックスAPIをDirectX 12に変更して,レイトレーシングとDLSSを有効にした結果となる。
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描画負荷が大きいため,全体的にスコアは低下しているものの,RTX 3060は平均フレームレートでRTX 3060 Tiの69〜74%程度という立ち位置は変わらない。一方,RTX 2060 SUPERとの差は,平均フレームレートで9〜10%程度まで広がっており,このあたりは第2世代のRT Coreが奏功したと捉えるのが妥当だろう。
グラフ23〜25は「Borderlands 3」のテスト結果だ。
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ここでも,やはりRTX 3060は平均フレームレートでRTX 3060 Tiの73〜76%程度の性能といったところ。RTX 2060 SUPERに対しても,RTX 3060は平均フレームレートで8〜9%程度の差を付けている。また,99パーセンタイルフレームレートに注目すると,RTX 3060は1920×1080ドットであれば60fpsを超えており,快適なプレイができそうだ。
続いてグラフ26は「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。
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1920×1080ドットは,CPUがボトルネックとなりスコアが丸まりつつあるので,それ以外の解像度を見ていくと,RTX 3060はRTX 3060 Ti比で71〜77%程度のスコアを記録している。一方,RTX 3060はRTX 2060 SUPERを上回っているものの,その差は1〜2%程度しかない。
スクウェア・エニックスの指標では,スコア7000以上が最高評価となっているが,RTX 3060は3840×2160ドットでもそれを満たしている点は立派だ。2560×1440ドットでは,その倍以上となるスコアを記録しており,ゲームの快適性はもはや言うまでもないだろう。
そんなFFXIV漆黒のヴィランズ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものがグラフ27〜29である。
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平均フレームレートは総合スコアを踏襲したものとなっているが,最小フレームレートを見ると,RTX 3060は1920×1080ドットで60fps超えを実現した。2560×1440ドットでも40fpsに達しており,快適なプレイができることはこの結果を見ても明らかだろう。
「PROJECT CARS 2」の結果がグラフ30〜32だ。
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これまでとは打って変わって,RTX 3060は平均フレームレート,最小フレームレートともに,RTX 2060 SUPERに明確な差を付けることができず,ほぼ同程度になってしまっている。RTX 3060 Ti比では,平均フレームレートで70〜75%程度の結果に収まっているので,ここはRTX 2060 SUPERが意地を見せたといったところだろうか。
消費電力はRTX 3060 Tiから30W低減
その一方でRTX 2060 SUPERとは同程度
RTX 3060のTGP(Total Graphics Power)は175Wと,RTX 3060 Tiから30W,RTX 2060 SUPERから5W低い値になっている。では実際のところ,RTX 3060の消費電力はどの程度と思っておけばいいのだろうか。
そこで今回は,NVIDIA製の消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。なお,今回は3DMarkのTime Spyにおいて,消費電力が高くなる傾向がでたGraphics test 2実行中の結果を示している。
その結果をグラフ33に示そう。
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RTX 3060 Tiが200W前後で推移しているのに対して,RTX 3060は170W前後と,消費電力の低減をハッキリと見て取れる。180W以上となる場面をカウントしてみると,RTX 3060は39回あったのに対して,RTX 3060 Tiは694回と,その差は歴然だ。なお,RTX 2060 SUPERも同様に数えてみると38回で,RTX 3060 Tiとの差は,あまり見られない。
グラフ33の測定結果から,分かりやすくなるように中央値を求めたものがグラフ34となる。RTX 3060は約171Wと,NVIDIAが示した170Wに近い値を記録している。RTX 3060 Tiとの差も30Wほどと大きい一方で,RTX 2060 SUPERとの差はほとんどない。消費電力において,両GPUに明確な違いはなさそうだ。
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次に,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力のみを計測した結果も見てみよう。
テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。
その結果がグラフ35だ。
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これはピーク値を採るテストなので,消費電力差は広がる傾向となるのだが,RTX 3060 TiとRTX 3060との差は17〜44W程度と,消費電力が低くなっているのが見てとれる。RTX 2060 SUPERとは勝ったり負けたりのいい勝負を演じているが,若干RTX 2060 SUPERのほうが,消費電力は低い傾向が表れている。
最後に,GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっていることは想像に難くなく,またそれぞれファンの制御方法が違うため,同列に並べての評価にあまり意味はないことを覚えておいてほしい。
それを踏まえた結果はグラフ36のとおりだ。
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RTX 3060は,高負荷時でもGPU温度が70℃であり,ZOTAC 3060 Twin EdgeのGPUクーラーは,しっかりと冷却を行えている。なお,アイドル時にRTX 3060の温度が高めなのは,ZOTAC 3060 Twin Edgeのファンが回転を停止するためだ。
ZOTAC 3060 Twin Edgeの動作音について,筆者の主観であることを断ったうえで述べると,あまりうるさいと感じる場面はなかった。もちろん,静音性に優れているとは言わないまでも,PCケースの中に入れてしまえば聞こえないレベルだ。
話は変わるが,NVIDIAは,RTX 3060の仮想通貨マイニングにおける演算効率を制限すると発表しているが,それが事実なのかどうか確認しておこう。
以下に示すスクリーンショットは,RTX 3060とRTX 3060 Tiにおいてマイニングツール「NiceHash」(Version 3.0.5.6)を実行したものだ。
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マイニングにおける性能は,ハッシュレートで示されるのだが,RTX 3060は22MH/s弱だった。これは,51MH/s強のハッシュレートを記録したRTX 3060 Tiの43%程度の性能である。RTX 3060のマイニングに制限がかかっていることは,確かなようだ。
70ドル安価なRTX 2060 SUPERという位置付けか
入手しやすいモデルとして人気になる可能性
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RTX 3060ではなければならない理由を挙げるとするなら,それはレイトレーシングとDLSSということになるだろう。ただ,その場合はGPU自体の地力が足りない場面が多く,ゲームでそれらを活用するのは,正直難しいと言わざるをえない。
国内における価格は,冒頭でも述べたとおり税込では5万5000円前後で,これはRTX 2060 SUPERの発表時における価格と変わらない。ちなみに,RTX 3060の北米市場向けメーカー想定売価は329ドルで,399ドルを70ドル下回っている。乱暴な言い方をすると,RTX 3060は70ドル安価なRTX 2060 SUPERと言えるのではないだろうか。
グラフィックスメモリ容量12GBに魅力を感じるユーザーはいるであろうし,マイニングに制限をかけてゲーマーの手元に届きやすくするNVIDIAの姿勢も評価できよう。RTX 3060は,RTX 2060 SUPERから性能面での上積みは少ないものの,ユーザーが入手しやすいRTX 30シリーズとして人気が出るのではないだろうか。
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- 関連タイトル:
GeForce RTX 30
- 関連タイトル:
ZOTAC GAMING(旧称:ZOTAC Gaming)
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