日本語版「サムライジャック：時空の戦い」プレイレポート。アニメの続きを描く物語を，アニメそのままの雰囲気で楽しめるアクションRPG

　EXNOAが2021年1月21日に発売を予定している日本語版「サムライジャック：時空の戦い」（PC* / PS4 / Switch）は，カートゥーン ネットワークにて放映されたオリジナルアニメーション「サムライジャック」を題材としたアクションRPGだ。発売前にSwitch版をプレイできたので，本稿でゲームの特徴や魅力を紹介しよう。

※PCはDMM GAMES PLAYER版

「サムライジャック：時空の戦い」公式サイト

アニメの雰囲気そのままに，ジャックの冒険の“続き”と“結末”が楽しめる

ジャック。正義の力が宿る刀を持ち，武芸全般に優れたサムライ

　「サムライジャック」というタイトルを聞いて「懐かしい！」と思った人は少なくないのではないだろうか。まずはオリジナルとなるアニメについて軽く触れておきたい。
　2001年に北米のカートゥーン ネットワークにて放映され，2002年に日本のCSチャンネルでも放映が開始。伝説のサムライ「ジャック」と，封印から解き放たれた魔王「アク」との戦いを描くシリアスな物語，独特なビジュアルスタイル，著名な俳優や声優が吹き替えを担当したことなどで国内でも好評を博した。20周年となる今年（2021年）は，1月にリマスター版の放映が始まっている。

悪の帝王・アク。過去にジャックの父によって封印されたが蘇り，世界を支配しようとする。残虐非道で狡猾だが，間抜けな一面も

アシ。アクの7人娘の1人で，ジャックへの刺客として育てられたが改心して味方となる。ジャックに好意を抱いている

こちらはゲームのイラスト風オープニング。敵となるアクとはどのような存在なのかが描かれている

過去にジャックの父により封印されたアクが蘇り，世界を支配しようとする

　そんな「サムライジャック」をゲーム化した本作の開発には，アニメ制作メンバーや脚本家が参加。音声は英語のみだが，アニメの続きを描く物語がオリジナルに近い演出で楽しめる。


　プレイヤーキャラクターとなるジャックは，アクによって未来へと飛ばされ，アクに支配されたさまざまな次元の世界で，敵の大群や強大なボス達と戦い，過去に戻るために奮闘する。それらの世界設定はアニメで人気のあるエピソードをベースとしたもので，ゲームオリジナルのストーリーを体験しながら，サムライジャックの物語の結末へと向かっていくのだ。

ジャックとアシの2人は未来に飛ばされ，離ればなれに。かつて体験した世界で，新たな戦いに挑むことになる

　ゲーム性はアクション要素が強い印象で，「マジックソード」を使ったアクションは爽快で，ボタンの組み合わせや習得したスキルによって異なるコンビネーションを繰り出せるようになるのが面白い。フィニッシュ方法によって変わるアクの手下の“やられ方”のパターンもたくさんあり，それらはアクションの爽快さを増してくれている。

ジャックのメイン武器となる刀，マジックソード。切れ味が鋭く扱いやすい

攻撃対象をロックオンすると戦いやすい

　近年の刀を使ったアクションがあるゲームでは，“ジャストガードでよろけを誘発する”という駆け引きがよく見られるが，本作はどちらかというと“ジャンプや回避を駆使しながら動き回る”という立ち回りが主となっている。
　ジャストガードのスキルを取得すればガードを絡めた攻防もできるのだが，ガード時は動けないため，スピード感ある爽快なアクションが楽しめる点でも後者の戦術がオススメだ。

ゲームを進めると敵もガードをするようになるので，単なる連打では倒せなくなる。取得するスキルはもちろん，プレイヤーのテクニックも重要だ

スキルで「奥義」を開放すれば，「奥義ゲージ」が満タンのときに強力な技を繰り出せる

　ジャックのアクションはマジックソードだけではない。拳を使った攻撃や道中で入手できる巨大な鎌や棍棒といった武器を装備することで，刀とは違う戦い方ができる。それぞれモーションや威力，範囲などが違うのはもちろんのこと，“ゾンビは拳の攻撃に弱い”といった敵との相性もある。
　マジックソードと拳以外は「耐久力」の値があり，一定時間使っていると壊れてしまう。宝箱やショップ，敵が落とすものなどがあり，比較的すぐ手に入るのでどんどん使ってかまわないが，突出した特徴を持つ武器は，ボスや強敵相手にキープしておくのもありだ。

竹の棒「竹棍」は，攻撃力と耐久力は低めだが，範囲が広く奥義も強力だ

「ビートルドローンの鎌」は，攻撃スピードは遅いが攻撃力が高い

　サムライであるジャックがトゲトゲのメイスや巨大な鎌を振り回し，機関銃をぶっ放すギャップはかなり面白い。これらのメイン武器のほか，敵の動きを止めたり，遠距離の敵を攻撃したりするときに使うサブ武器もある。小刀や手裏剣，弓や銃などバラエティに富んでいるので，こちらもいろいろと試してみてほしい。

武器やアイテムは「クイック装備」に設定し，その場で素早く使用したり持ち替えたりできる

通常の武器が届かないところにいる敵は，サブ武器での遠距離攻撃を用いよう

武器やアイテムは「ダ・サムライ」のショップで購入できる。回復アイテムは買えるだけ買っておきたい

　“RPG”らしさが楽しめるのは，スキルを覚えることでジャックが強くなる成長要素だ。倒した敵やオブジェクトを破壊したときなどに入手できる「スキルファイア」「ブシドーファイア」「宝石」といったアイテムを消費することで，「心」「技」「体」という3カテゴリそれぞれにあるスキルツリーを任意に開放できるようになっている。

ジャックの心・技・体のスキルツリー

　「心」は攻撃力や武器所有数，アイテム入手率などのスキルが，「技」はコンボの派生やガードなどの攻防に関するスキルが，「体」は体力やアクションに関するスキルがあり，強力なものほど取得に多くの消費アイテムを必要とする。どのスキルツリーを伸ばしていくか悩みどころだが，ステージ開始時やボス戦前などに取得するといい。
　初期状態のジャックはごく基本的なアクションしかできないが，スキルを得ると攻防の選択肢がどんどん増え，ジャックを操作をするのがより楽しくなっていく。自身のプレイスタイルに合ったスキルを覚えていこう。

身に付けるだけで効果のあるパッシブスキルと，ここぞという場面で使うことで効果を発揮するアクティブスキルがある

身に付けないと使えないスキルもある。これは敵を投げ飛ばす「掴み攻撃」。一部の敵からは武器を奪うことも可能だ

　ジャックが次元を超えて行き来するステージは，通常は後方からの3D視点で進行するが，シーンによってはサイドビューやトップビューになることもあり，プレイヤーを飽きさせない。要所に宝箱やアイテムが置かれているが，中には特定のスキルやテクニックがないと入手できないものがあり，繰り返し挑むことが前提となっている。ステージは，一度クリアすればいつでも挑戦が可能だ。

ステージの特定の場所では，視点が滑らかに切り替わる。サイドビュー時は，敵が前後に現れる仕組みだ

危険なトラップが存在するステージも。余計なダメージを受けることは控えたい

ステージはクリア後にいつでも選択が可能

　ステージはその世界に合わせて色合いも異なり，カートゥーンアニメらしい雰囲気を醸し出している。
　これらはかつてアニメのエピソードでジャックが旅した世界であり，道中にはアニメにも登場したキャラクターも登場し，当時見ていたという人には懐かしく思えるだろう。カメラワークやカットシーンもアニメを強く意識したもので，ジャックの格好良さが強調されている。

かつての友が敵に!?　これもアクの仕業のようだ

ステージ間のカットシーンも凝っていて，早く先が見たくなる

　難度は4段階あり，デフォルトの「サムライ」はボス戦などにそこそこ手応えがある難しさで，各ステージをサクッと遊ぶにはちょうどいいバランスであった。アニメのファンでストーリーを優先して進めたいのなら難度が一番低い「ジャック」を，より歯ごたえあるアクションが楽しみたければ高難度を選ぶといいだろう。

ジャックは体力が低下するとざんばら髪になる。体力を回復させる目安にしよう

初回プレイ時に最高難度「マスターオブマスターズ」は選べない。また，一度選んだ難度はゲーム中に変更できないことにも注意が必要だ

　アクションは爽快で手触りもよく，スキルによってアクションが増えていくジャックの成長要素も楽しい。派手さはなく，ビジュアルも現在のゲームやアニメに比べてシンプルに映るかもしれないが，実際にプレイしてキャラクターたちの動きを体験すれば，20年経っても変わらないスタイルの魅力に気づけるはず。アニメのリマスター版放映と合わせて，「サムライジャック」の作品に触れたり，その面白さを再確認したりするのにもおすすめの作品だ。

「サムライジャック：時空の戦い」公式サイト