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インタビュー
[インタビュー]「オーバーウォッチ 2」ラウンド制や3人称視点を採用した新モード「スタジアム」は,ヒーローを限界突破させ,相性不利を覆す
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「オーバーウォッチ 2」,戦況を変える「パーク・システム」や購入フェーズありの3人称視点モード「スタジアム」などを発表
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Blizzard Entertainmentは本日(2025年2月13日),「オーバーウォッチ 2」で2025年に実施予定のアップデートを紹介するイベント「オーバーウォッチ 2:スポットライト」を配信した。戦略の幅を広げる「パーク・システム」や新モード「スタジアム」など,これまでにない大規模なものとなっている。
本記事では,Blizzard Entertainment本社で実施されたスタジアムの先行プレイや,スタジアムの開発を率いるシニアゲームデザイナー・Dylan Snyder氏とアートディレクター・Dion Rogers氏へ国内メディア合同で行ったインタビューをお届けする。
なお,本記事に掲載している情報は,執筆時点におけるアップデート予定であり,正式に実装される内容とは異なる可能性がある。
新モード「スタジアム」
スタジアムは,ラウンド制や3人称視点,購入システムなどを採用した戦略性の高い新モードだ。実装は,シーズン16(2025年春)を予定している。
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プレイヤーは,対戦中にコインを集め,ラウンド間にコインを使ってヒーローを強化するアップグレード(MOD)を購入し,ヒーローの能力を引き出していく。
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序盤はアーマーや体力の増加,クールタイムの短縮など基礎的な能力を底上げし,コインが溜まるにつれ,ヒーロー固有のアップグレードなど,強力なものに切り替えていく。
MODの購入は,ラウンド間にアクセスできるアーマリー(武器庫)で行える。前ラウンドの敵の動きやビルドに合わせて,戦略を立てていこう。
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スタジアムは,3人称視点がデフォルトに設定されている。1人称視点は,スタジアムのローンチ後,追って実装予定だ。
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3人称視点で違和感がかなりあると思っていたが,プレイしてみると案外素直に受け入れられた。
自分が操作するヒーローの姿が見えて楽しいし,戦況も分かりやすい。ヒーローのアップグレードと合わせて,新鮮なゲーム体験であった。
スタジアムはヒーローを限界突破させる独自要素
戦略やビルド次第でヒーローの相性不利をひっくり返せる
スタジアムの開発経緯や新要素について,アートディレクターのDion Rogers氏と,スタジアムのプロジェクトリーダーを務めるシニアゲームデザイナーのDylan Snyder氏がインタビューに答えてくれた。![]() |
――オーバーウォッチにラウンド制というのは,かなり斬新なアイデアだと感じたのですが,スタジアムの開発経緯を教えてください。
Snyder氏(シニアゲームデザイナー):
より戦略的で緻密なプレイを可能にするモードを作りたい,という思いから生まれました。アーマリーを通じてヒーローを強化する戦略性と,自分がヒーローになるという没入感を高めるには,ラウンド制がよい土台になります。
ラウンド制の採用で,プレイヤーは自分の選択とその結果について振り返り,ラウンドの合間に,即断を迫られることなく対策を練られます。
Rogers氏(アートディレクター):
スタジアムは,ヒーローの物語体験を限界まで追求できます。このヒーローを限界突破させるぞ,最強にするぞ,といったプレイヤーのロマンを叶えるために,ラウンド制が必要になるのです。
――まったく新しいモードが登場し,しかも3人称視点が採用されました。自分の操作するヒーローの動きを見られてワクワクしたのですが,なぜ3人称視点を採用したのでしょうか。
Rogers氏(アートディレクター):
アートチームにとっては,たくさんの理由があります。やっぱり,ヒーローを見られる,というのは素晴らしいことです。
Snyder氏(シニアゲームデザイナー):
開発の観点からは,ヒーローの能力を極限まで引き出して,パワフルな瞬間を作り出すのが目的です。3人称視点のほうが,そういった状況を視覚的に理解しやすいと考えました。
とくにゲーム終盤は,全員の能力が引き出され,かなり混沌として圧倒されるような状況になります。3人称視点の採用で,戦況を理解しやすく,迫力のあるゲーム体験を提供できます。
また,3人称視点は,オーバーウォッチのアイデンティティの重要な部分でもあります。ローンチ時から,ラインハルトの盾を展開している時や,ジャンクラットのアルティメット操作中は3人称視点になります。
今回スタジアムで3人称視点を採用したのは,これらと同じ理由です。
――先行プレイをした時に最初の試合は3-0,次の試合は0-3でしたが,ちょうど最後の試合で,第7ラウンドまで進み,かなり白熱した戦いを楽しめました。この「7」というラウンド数にした理由を教えてください。
※スタジアムは最大7ラウンドで,4本先取したチームが勝利となる。例外として0対3の状況となった場合は,特別ルールが発動し,試合が早期に終了する
Snyder氏(シニアゲームデザイナー):
これについては,テストプレイを繰り返しました。最初は5ラウンド制で始めたのですが,プレイヤーがビルドを完成させるまでの十分な時間を確保できませんでした。
そこで7ラウンド制を試してみたところ,すぐにしっくりきました。
今回の先行プレイでは,マッチメイキングがないので,似たような腕前の人が揃っているわけではありません。実際のプレイでは,7ラウンドをフルに使う白熱した試合を多く楽しめるでしょう。
また,7ラウンドは長すぎないちょうどいいバランスだと感じてます。とくにFPSやTPSは,かなり疲れる可能性があるので,1時間も試合に拘束されるのは避けたいと考えました。
時間をムダにした感じがなく,始めから終わりまで満足できるちょうどいいバランスに落ち着いたと思います。
――シーズン15で「パーク・システム」が追加されます。スタジアムと似た性質があると思うのですが,たまたま時期が重なっただけでしょうか。それとも開発中にアイデアがぶつかって分岐したとか,アイデアの交換があったとか,そういったことはありますか。
Rogers氏(アートディレクター):
私たちは年に1回,PvPに大規模な変更を入れるのを目標にしています。基本的に2月くらいですね。
今回の大規模な変更として,パーク・システムが導入されます。一方で,スタジアムは長い間開発を続けていて,ようやく完成に近づいたのがシーズン16だったということで,たまたま時期が重なった形です。
Snyder氏(シニアゲームデザイナー):
えぇ,スタジアムは2年以上開発を続けてきて,ちょうどシーズン16にお披露目という形になりました。
パーク・システムは,コアシステムに組み込まれるため,バランス調整が一番大事です。
一方,スタジアムは,ヒーローの限界に挑戦するユニークな領域と位置づけており,別々のものとして開発が進みました。
また,スタジアムの開発チームは,独立した存在です。
とはいえ,ヒーローのことは,ヒーローデザインチームが一番よく分かっています。自分たちのアイデアに自信を持ちつつも,ヒーローデザインチームからの助言を取り入れながら,スタジアムをよいものにしていきました。
――ほかのゲームに比べて,通貨を獲得する方法が少ないと感じます。勝っているチームが資金面にも優位を取り続けると,逆転は難しくなると思います。カウンタープレイについては,どのように考えていますか。
Snyder氏(シニアゲームデザイナー):
バランスを取ることと,力強いヒーローを実現することの両立は,最重要課題の1つです。
通常のオーバーウォッチでは,チーム重視のため「キャリー」(1人でチームを引っ張る活躍をすること)は難しいですが,スタジアムではキャリーしやすい環境になってもいいと思います。
また,通貨の問題については,いくつかの対策を用意しています。その1つがバウンティシステムです。
長時間倒されなかったり,大量のダメージや回復を行ったり,とても活躍しているプレイヤーには報奨金が積み上げられます。
このプレイヤーを倒せば大量の通貨を獲得できます。
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もう1つの対策としては,ショップで購入できるものを常に有意義なものにすることです。
通貨の差が大きくなりすぎて何も選択できない,選択肢が高すぎて絶対に手に入らないという状況は避けたいと考えています。
Rogers氏(アートディレクター):
補足させて頂くと,バウンティは対象者の上にアイコンとして表示されるので,誰を狙えばいいのかが分かります。
また,どのアイテムも購入額の100%が払い戻されるので,自分のビルドを調整可能です。相手がダメージ寄りの構成なら,ビルドをアーマーや体力寄りに変更するといった風に,前のラウンドとは異なる選択をして,相手チームに対抗できます。
――先行プレイで,自分がザリアを,相手がD.Vaをピックした試合では,終始つらい展開になってしまいました。キャラ変更ができないと,ピックの時点で勝敗が決まってしまう可能性もありませんか。
Rogers氏(アートディレクター):
いい質問です。私の好きなヒーローはラインハルトですが,オリーサが強力なカウンターとして立ちはだかります。
スタジアムの素晴らしい点は,ラインハルトがオリーサに対抗できる能力を選択でき,不利な状況を克服できることです。
プレイヤーは好きなヒーローを使って,ビルド次第でカウンターヒーロー相手にも対抗できるロマンを楽しめます。
Snyder氏(シニアゲームデザイナー):
実は,D.Vaとザリアのケースは新しいビルドで対処済みです。今回の先行プレイには含まれていませんでしたが,そういった事例については注意深く監視し,対応します。
あとは,ローンチ時のヒーローの数を絞ったことで,ヒーローの相性を監視可能です。もう何をやっても勝てないような状況があれば,すぐに修正を入れられます。
――ヒーローの数が話題にでましたが,先行プレイで利用できたヒーローがそのまま正式版でプレイアブルという形になるのでしょうか。また,ヒーローは今後も追加予定でしょうか。
Snyder氏(シニアゲームデザイナー):
正式版では,今日プレイして頂いたラインナップに,メイを追加して,合計17人がプレイアブルになる予定です。
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もちろん,ヒーローは追加していく予定です。理想は,コアゲームと同じラインナップにすることですが,時間がかかるでしょう。
正式な数は決まっていませんが,シーズンごとに2〜3人程度を追加予定です。
どのヒーローを追加するかは,開発の進行状況や,ラインナップに価値をもたらすと感じるヒーローを優先的に考えています。
繰り返しになりますが,最終的な目標は全ヒーローの実装です。
――先行プレイのラインナップに入っていないヒーローで,3人称視点を見てほしい,使ってほしいというヒーローが入れば教えてください。
Snyder氏(シニアゲームデザイナー):
私のお気に入りヒーローであるハンゾーですね。私の判断で決められませんが,早く実装されてほしいです。3人称視点でプレイするのが待ちきれません。
Rogers氏(アートディレクター):
私は,トレーサーですね。ブリンクなど素早い動きを3人称視点でプレイしてみたいです。
――スタータービルドでは,パワーの取得順も示されていました。順番通りに取得すると,段階的に強くなり,シナジー(相乗効果)を実感できました。これは意図的な配置だったのでしょうか。
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Snyder氏(シニアゲームデザイナー):
はい,スタータービルドはそういったのを意識して作りました。初心者がプレイする時に上手く機能するだろうな,という私たちの考えです。
もちろん,スタータービルドの順序に従う必要はないので,プレイヤーのみなさんには自由に組み合わせを試して,独自のビルドを見つけていってほしいと思います。
ただし,あまり深く考えずにビルドを構築したい,というプレイヤーもいます。たとえば,ソルジャーでエイムが苦手だったら,タクティカルバイザービルドを,ロケット弾を使いたいならロケットビルドを,という風に選択肢を提供したかったのです。
――キリコの爆発クナイ※が復活しているのに気づきましたが,前回よりかなりナーフされているように感じました。これはシナジーを生むほかの要素に考慮した結果でしょうか。
※シーズン13の期間限定アーケードモード「ジャンケンシュタインの実験場」で,ヒーローを強化する「改造オプション」の1つとして登場した
Snyder氏(シニアゲームデザイナー):
キリコについては,常に能力が行き過ぎてないかを注視しています。ほかの能力と組み合わせると,爆発クナイは強力になってしまいますね。
Rogers氏(アートディレクター):
スタジアムは選択肢の多さから,ほかのモードとは異なるバランス調整の奥深さがあります。キリコの具体的なビルドを例に説明させてください。
まず,神出鬼没(味方1人の元に瞬間移動する)を味方に依存せずに発動できるようにして,クナイは3本投げ,爆発し,跳弾もするというビルドが開発でありました。
このビルドでは,瞬間移動して大量の爆発するクナイを投げて,また瞬間移動して脱出することができ,とても楽しかったのですが……バランス調整が難しくなるのは分かりますよね。
彼女のデザインは,とても楽しくてやりがいのあるものになっています。すべてのヒーローに強力な選択肢を与えたいと考えていると同時に,それに対抗できる対応策も確実に用意したいと思っています。
――ありがとうございました。
「オーバーウォッチ 2」公式サイト
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