お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
ピアノに合わせてボカロが歌う「プロジェクトセカイ・ピアノ」は,演奏することの楽しさを再確認させてくれる
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2021/05/19 12:00

プレイレポート

ピアノに合わせてボカロが歌う「プロジェクトセカイ・ピアノ」は,演奏することの楽しさを再確認させてくれる

 コロナ禍で緊急事態宣言の延長が決定した2021年5月現在,相変わらず出口の見えない現状は僕のいる音楽業界にも深刻な影響を与えている。そんな中,ヤマハミュージックジャパンは「おかえり、おんがく。」と題し,苦境に立つ音楽業界を再び盛り上げていこうという取り組みをしている。
 「なぜ4Gamerで楽器メーカーの話を? それもミュージシャンが?」と思われるかもしれないが,その「おかえり、おんがく。」の企画の一つとして,「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」iOS / Android)とコラボした,「プロジェクトセカイ・ピアノ」が公開されたからだ。

画像集#003のサムネイル/ピアノに合わせてボカロが歌う「プロジェクトセカイ・ピアノ」は,演奏することの楽しさを再確認させてくれる

 「プロジェクトセカイ・ピアノ」は,ヤマハがセガ,Colorful Palette,クリプトン・フューチャーメディアの協力を得て実現した実験的なプロダクト。初音ミク,星乃一歌のボーカルデータを活用し,人のピアノの生演奏に合わせてリアルタイムで2人のキャラクターが歌い出すというものだ。この企画やどういう仕組みでボーカロイドが歌うのかを聞くため,そして可能であれば試奏させていただくため,ヤマハ銀座コンサートサロンにうかがった。
 そこに設置されていた「プロジェクトセカイ・ピアノ」は,ヤマハクラビノーバのCSPシリーズをベースとしたもの。鍵盤のすぐ上にLEDが内蔵されており,スマートフォンと連動させることで次に鳴らす音を光で知らせてくれる「ストリームライツ」機能をもつユニークなモデルだ。上から降ってくる光に合わせて演奏する姿はまさにアーケードの音ゲーだが,それを88鍵フルサイズの本物のピアノに搭載しているのが面白い。
 つまり「プロジェクトセカイ・ピアノ」は,そんな最新鋭の技術を積んだ電子ピアノとAI技術のコラボレーションで生み出されたというわけだ。

画像集#002のサムネイル/ピアノに合わせてボカロが歌う「プロジェクトセカイ・ピアノ」は,演奏することの楽しさを再確認させてくれる

 現地で対応してくれたヤマハミュージックジャパンの事業企画部 事業企画課の野藤義一氏によると,人間の演奏に合わせてAIが歌うという技術自体は,2017年の「みらいのアンサンブル」という企画で公開されたものがベースになっているそう。当時はピアノ奏者とAI奏者のピアノ連弾や,ユーフォニアム奏者とAI奏者の合奏という形で披露された。
 システムとしては,あらかじめAIが記憶した楽譜のデータを元に,人間がその楽曲のどの部分を演奏しているのをリアルタイムで判断し,音源を再生するというものだ。これを応用すれば,当然複数のパートを同期させられるので,生のピアノをトリガーにドラムやベース,ギターなどとセッションするといったことも可能になるという。
 そして今回は,同様の技術を用いて出力する音源を楽器からボーカロイドに置き換え,「千本桜」(作詞・作曲:黒うさ)を譜面どおりにイントロから演奏すると,Aメロのパートからボーカロイドが歌い出すという仕様だ。


 おそるおそるピアノの前に座り,スタッフがピアノにつながれたスマートフォンを操作すると,初音ミクが演奏開始を促してくれる。お客さんの面前でのライブやDJより強い緊張感が走った。
 事前に譜面を用意し,弾き語りできる程度にコード進行も頭に入れた状態で臨んだのだが,AIは譜面にあるフレーズを認識して歌い出すので,リフを省略したり,極端にアレンジした演奏では歌い出してくれないのは当然の話。
 あらためて譜面本来の演奏を練習しながら試したが,完全に自分の準備不足! ここ数年でもトップクラスにいたたまれない気持ちで引き下がるしかなかった。

画像集#001のサムネイル/ピアノに合わせてボカロが歌う「プロジェクトセカイ・ピアノ」は,演奏することの楽しさを再確認させてくれる

 そこでデモ演奏のためにスタンバイしていたピアニストにバトンタッチ。その素晴らしい演奏の上に,初音ミクと星乃一歌の歌声が滑らかに乗る。1度目は譜面通りに,2度目はバラード風にテンポも自由に変えながらアレンジした状態での演奏をしてもらったのだが,演奏に応じてちゃんと歌のテンポも変化するのが面白い。キーとなるリフやメロディさえ弾けていれば,しっかり追従してくれる,ということが分かった。


 取材時間には限りがあったため,ここで皆さんにお礼をして退散したが,このままで終わるのはあまりにも悔しい。ということで再取材を申し込み,その日に向けて自宅のピアノで猛練習を開始。再取材予定の2日前には譜面を閉じてもある程度弾けるようになり,いざリベンジ! と意気込んだが,緊急事態宣言の発出により取材中止に。なお,「プロジェクトセカイ・ピアノ」が市販される予定はないとのことだが,6月にはヤマハミュージック 福岡店と札幌店にも展示され,試奏できるそうだ。
 ともあれ,このところシンセサイザーや入力用のMIDIキーボードに慣れきっていた自分としては,久しぶりに作曲や仕事と離れてピアノと向き合う良い機会となり,楽器を演奏する楽しさを再確認できたのは収穫だった。「プロジェクトセカイ・ピアノ」はボカロ好きはもちろん,音ゲーから一歩進んで楽器を始めてみたい人,かつてピアノを弾いていた人にもぜひ体験してもらいたいと思えるプロダクトでした。

「プロジェクトセカイ・ピアノ」公式サイト


  • 関連タイトル:

    プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク

  • 関連タイトル:

    プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ
注目記事ランキング
集計:11月27日〜11月28日