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21人の“魔法使い別テーマ曲”を生演奏。「『魔法使いの約束』オーケストラコンサート−Musica Anniversario−」レポート
2025年1月27日に都内の東京ガーデンシアターにて,colyのスマホアプリ「魔法使いの約束」(iOS / Android。以下,まほやく)の音楽イベント「『魔法使いの約束』オーケストラコンサート−Musica Anniversario−」(以下,まほオケ)が開催された。本イベントは,2023年12月に開催された「『魔法使いの約束』オーケストラコンサート -Musica Memoria-」(前回のレポート記事)以来のコンサートイベントで,前回同様に指揮は和田一樹氏,演奏はパシフィックフィルハーモニア東京が務めた。
また,MCとして抜擢されたクロエ役の天﨑滉平さん,ラスティカ役の三浦勝之さん,そして「まほやく」の主題歌を手掛けるMili(ミリー)のボーカル,キャシー・ウェイさんが登壇するなど,ファンにとってたまらないひと時となった。
本稿では,「まほやく」の世界観をオーケストラで表現したコンサートについてレポートしていく。
以下,コンサート内容のネタバレを含むので,これから観る予定のある人は注意してほしい。
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「『魔法使いの約束』オーケストラコンサート−Musica Anniversario−」公式サイト
開演時間が近づくと,西の国の魔法使いであるラスティカが本公演の注意事項を説明した。歌唱しながらの前説アナウンスには,思わずクスッと笑ってしまった賢者(来場者)も多かっただろう。
しばらくすると,今回演奏を務めるパシフィックフィルハーモニア東京や,マエストロ(指揮者)の和田一樹氏が登壇。最初に演奏するのは,タイトル画面BGMにも使用されている「月に愛された世界」で,スクリーンには「まほやく」の世界観を象徴する“月”も映し出された。
演奏が終わると,本イベントでMCを担当する天﨑滉平さん,三浦勝之さんが登場!「皆さん,こんばんは〜!」といった挨拶や自己紹介で会場内を和ませる。
天﨑さんはクロエをイメージしたピンクがアクセントの衣装を着用しており,胸元には2024年11月より開催されている「魔法使いの約束展&5th Anniversary Store」(レポート記事)の大阪会場からの販売商品であるリボンスカーフを付け,リボン結びにしていた。
三浦さんも同様にリボンスカーフを身に付け,ラスティカを彷彿とさせるベージュのシャツを着ているなど,衣装にもこだわりが感じられる。
“魔法使い別テーマ曲”の最初を飾るのはカインのテーマ曲「騎士よ、不撓の意志よ」で,冒頭のトランペットによるファンファーレはまさに“始まり”を感じさせる楽曲だ。全体的に一定のリズムで展開されるのも,中央の国で騎士団長を務めていたカインらしさを思わせる。
今回のメインは“オーケストラによる演奏”だが,照明や映像にもイベントならではの良さが見て取れた。曲が始まるとスクリーンには各キャラクターのカードイラストが映し出され,誰のテーマ曲なのか観客に分かりやすく明示されている。
また,ステージ上の照明に魔法使いたちのカラーを取り入れるなど,賢者が思わず反応してしまうような仕掛けには筆者も驚かされた。
さらに公式グッズではペンライトが販売されており,公演中は自由に振ることもできるなど,堅苦しいイメージがあるオーケストラの雰囲気を変える試みは多くの観客を楽しませたのではないだろうか。
続いてオーエンのテーマ曲「踏み躙って、彼は笑った」,シノのテーマ曲「疾風は木立を駆けて」とアプリ上で聴いた曲たちが次々と披露されていく。
やさしいピアノのメロディーから始まるヒースクリフのテーマ曲「朝雨は紺碧を映して」ではタイトル通り,朝の情景が一瞬で頭に浮かんだ。
ハープ,グロッケンの音色が沁み渡るリケのテーマ曲「黎明の空に清き祈りを」,ハイテンポなリズムにミチルの一生懸命さが感じられる「いつかこの手に閃光を」と,聴くだけでキャラの人柄が感じられる楽曲が多いのも「まほやく」の魅力のひとつである。
「空を翔ける花びらへ」では,穏やかな曲調の中に疾走感のあるフルートの音色がプラスされ,スピード狂でもあるルチルの一面が垣間見えた気がした。
楽曲からも“強さ”が存分に感じられたミスラのテーマ曲「雪原に燃える紅焔」の演奏終了後,再びMCの2人が登壇し「すごいしかない」「最高ですね」といった感想が飛び交っていた。
colyサウンドチームへのインタビューでも言及されていたように,本公演ではセットリストにも工夫が凝らされており,カインとオーエン(因縁あり)やシノとヒースクリフ(幼馴染)といった魔法使いたちの“関係性”に着目した流れとなっている。
また,楽曲が収録されているサウンドトラックCDとは別の曲順となっているのも面白い。
賢者の魔法使いの中では最年長にあたるスノウのテーマ曲「苛烈に悠久を秘めて」と,彼の双子の弟,ホワイトのテーマ曲「悠久に苛烈を抱いて」は,同様のメロディーが取り入れられているのも特徴的だ。
今回は2曲をつなげた特別ver.が演奏され,いつもとは違う旋律を会場内に響かせていく。多面性を持つフィガロのテーマ曲「旅鳥は南天の風に乗り」では,ギター,ドラムといったバンド音楽で使用される楽器での演奏も見られるなど,新鮮さが感じられた。
コンサート後半では,スペシャルゲストとして発表されていたMili(ミリー)のボーカル,キャシー・ウェイさんが登場し“五カ国イメージ楽曲”をステージで初披露した。
本楽曲はすべてキャシー・ウェイさんが作詞を担当しており,歌唱後のMCコーナーではそれぞれのイメージについても語られている。
中央の国をイメージした「Process」は正統派,真っ直ぐさを重視して作られたそう。民族音楽を彷彿とさせる「Life We Sow」は南の国をイメージしており,“幸せ”を強調した楽曲だと話していた。
多くの法律が存在する東の国をイメージした「Monsters in the Woods」はミステリアスさが見え隠れし,「Gluttony」はピアノやドラムを中心に,西の国の享楽的かつ大人っぽさを表現している。
タイトルや曲調から厳しい寒さが続く北の国を思わせる「Whiteout」では,国だけでなく魔法使いたちの孤高さにも目を向けているそうだ。
また,キャシー・ウェイさんの衣装は“女性がカッコ良いと思う女性”をコンセプトにしていることが明かされると,客席からは大きな拍手が送られていた。
ここからはMCの2人も楽しみにしていた“西の国の魔法使い”の曲が連続で演奏される。「この音楽が流れているバーに行きたい」と天﨑さんも口にしていた「バーで一夜の待ち合わせ」は,ロマンチックさ漂うシャイロックのテーマ曲だ。
最初と最後で曲のイメージがガラッと変化したのはムルのテーマ曲「猫は月夜に恋をする」,クロエのテーマ曲「針と糸と菫星のステップ」は,リズミカルなテンポ感が印象的だった。
三浦さんが「良い意味で“西”らしくない」と話したのは「微笑んで、永遠の愛を」で,西の貴族であり,いなくなった花嫁を探すラスティカの“愛”が弦楽器やホルン,オーボエなどで紡がれていた。
早くもコンサートは終盤へと突入し,残りの6曲が連続で披露される。前回の「まほオケ」でも演奏されたブラッドリーのテーマ曲「盗賊は夜風に遊び」は,サックスやドラム,ピアノが調和し,ジャズ調の音楽を生み出していた。
ネロのマナエリアでもある“黄金の麦畑”が頭の中に思い浮かぶ「黄金の海で夕影を追って」や,ファウストのこれまでの人生を感じさせる「静夜の光芒」,ハーモニーの美しさが一層際立ったレノックスのテーマ曲「旅路の朝に願うのは」と聴き入ってしまう曲が続く。
ミスラとはまた違った“強さ”を奏でたオズのテーマ曲「その運命に、魔王の雷を」,やさしさと勇敢さに溢れたアーサーを表現したような「彼は希望の星のように」と,最後まで目が離せないコンサートだった。
観客からの大きな拍手(アンコール)を受け,MCの2人がステージ上に現れる。天﨑さんは,「オズのテーマ曲すごすぎた……!」と興奮する様子を見せていた。
トークは自然と“最も印象的だった楽曲”の話題になり,三浦さんは前回衝撃を受けたブラッドリーのテーマ曲「盗賊は夜風に遊び」,天﨑さんは1.5部でクロエとのやり取りが心に残るオーエンのテーマ曲「踏み躙って、彼は笑った」を挙げている。
ラストの楽曲が近づく中,MCからは告知が発表され,TVアニメ「魔法使いの約束」のスペシャルイベント開催(該当ポスト)や,2月1日よりアプリ上で実施される期間限定ガチャのイラストが先行公開された。会場内ではミスラ,ムルのイラストが映し出され,客席からは賢者の悲鳴や「可愛い〜!」といった声が飛び交っていた。
いよいよコンサートも大詰めとなり,アンコール楽曲として「まほやく」5周年BGMの「Full Moon Serenade - 魔法使いの小夜曲 -」,そして主題歌の「Cast Me a Spell」がキャシー・ウェイさんの生歌唱とともにお届けされ,イベントは無事幕を閉じた。
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(C)coly
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